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喪失のブルース



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【この小説が収録されている参考書籍】
喪失のブルース (ハーパーBOOKS)

喪失のブルースの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

壊れた女は無敵だ

バンクーバーの底辺の街で、狼の血を引く野良犬だった雌犬ウィスパーと暮らす調査員ノラ・ワッツを主人公にするシリーズ三部作の第一作。作者のデビュー作だけにやや荒削りだが骨太の女性ハードボイルドである。
冬の早朝5時、ノラに「15歳の少女が行方不明になったので探して欲しい」という電話がかかってきた。依頼人に会ったノラは「失踪したボニーは、あなたが15年前に養子に出した子供だ」と告げられる。ノラには確かに、15年前にレイプされて妊娠し、生まれた子供を腕に抱くことも無く養子に出した過去があった。母親としての自覚は全く無かったノラだったが、警察が本気では捜査していないこともあり、少女を捜すことを決心する。単なるティーンエイジャーの家出かと思われた事態だったが、調べを進めるうちにノラの過去にも関わってくる邪悪な陰謀の影が濃くなってきた・・・。
本作の魅力の第一は、ヒロインのキャラが異色なこと。先住民の血を引く姉妹の姉で、幼い頃に両親と別れ、連れて行かれた里親や施設になじめずに家出し、ホームレスや軍隊を経験し、現在は私立探偵とジャーナリストの共同事務所で調査員として働きながら無断で事務所のビルの地下室で暮らしているという複雑さ。しかもアルコール中毒の過去があり、恩を仇で返すような倫理観が欠如した部分もある、いわば壊れた女である。それでも、周辺人物たちからは助けの手を差し出され、一途に正義を貫こうとする強さも併せ持っている。誰かの書評に「ミレニアムのリスベットみたい」という表現があったが、その通り。ストーリーがどうこうよりも、ヒロインの言動に共感できるか否かが、本作の評価を決めるだろう。
ハードボイルド・ファン、ノワール・ファン、女性が主人公のサスペンスがお好きな方にオススメしたい。

iisan
927253Y1

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