鎮魂のデトロイト
- 拳銃 (222)
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ノラ・ワッツ三部作の第二作。一作目であまりに薄幸ゆえタフでワイルドなサバイバリストに育ってしまった個性豊かなヒロインの登場を描き、生まれてから一度も会ったことのない娘を探す旅に出たヒロインは、謀略を暴き、派手な大団円を迎える。 本作では、父の自殺の謎を追って、父の育った土地デトロイトに向かい、ここでも複雑に入り組んだ人間模様の謎に絡め取られながら、危険に曝される。前作と本作の間で、ノラの周辺環境に大きな変化が起こり、しかもノラはデトロイトで物語を紡いでゆくため、物語は自殺した父、行方をくらました母と二つの人生の秘密を暴きつつ新たな展開を迎える。 とりわけ謎の多い母の行方についてとノラや娘ボニー、前作から因縁の続くブラズーカら含めて、すべての決着は三作目を待つこととなる。 そう。始動と決着とに挟まれた経過地点みたいな一冊なのである、本書は。 バンクーバー在住の作者は、トロントで政治学を学び、ホームレス支援活動や映像業界での調査業を経験していたという。米国とレバノンの国政情勢を絡めたり、歴史的紛争地帯の動静や難民虐殺事件など、カナダ生まれの本書は従前のアメリカン・ミステリよりも遥かにグローバルな視点に連結させている。一人のしがない女性が取り組む一家族の行方を辿るミステリであるというのに。 登場する人物の多種多様さ、関わる国籍の多さ、人間関係、組織関係、距離感の把握し難さなどが、娯楽小説としてのスピード感にブレーキをかけ、、敢えて読者の眼差しを、ビッグスケールな世界に向けようとしている野太いプロットは男性顔負けである。 バイオレンスを身に着けた多くの男どもの追跡を逃れ、猫のように闇の中で爪を研ぐヒロインのたくましさと慎重さぶりは、今回も彼女の孤独とともに語りの中で一貫してゆく。前作ほどにエキセントリックな設定ではない生活レベルで出発しただけに、少し彼女の安定や成長を観ることができると感じたが、良い意味で裏切られ、最終巻への期待を持たせて物語は閉じてゆく。 それぞれの際立つキャラクターにどういう最終章が用意されてゆくのか、現時点で執筆中ということもあり情報はゼロ。緊張が続くままに巻を閉じることになったが、ノラはバンクーバーに戻る様子はなく、娘ボニーの住むトロントに向かいそうな気配である。こうなれば最後までつきあうしかあるまい。 | ||||
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ジイちゃん にしては 珍しく 8パーセント 読了にて、Gi ve up !こういう 昏いハナシ は、勘弁して ちようだい。 阿弥陀さま まっててください。 もうすこしで… | ||||
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キャスリン・ビグロウの「デトロイト」で描かれた「アルジェ・モーテル事件」は、1967年。 私にとってのデトロイトは、1990年代前半、ヘンリー・フォード・ミュージアムの紅葉、デトロイト美術館のジョージア・オキーフ、そして日本からのマイアミ新婚旅行の途中でワンストップした友人のアテンドで行ったデトロイト空港。2時間ほどの運転中、地上から降り出したような雪が静かに舞っていました。空港に向かうハイウェイからは、次第に「日本車」が消えていき、通りすがりに見える車は、GM、フォード、クライスラー、時折、ベンツ、BMW。既にモータウンの栄華は無くなっていましたが、特に悪い思い出も見当たりません。「アレサ・フランクリンを聞いてしまったら、その街を悪く言うことなどできるはずがない」(笑)。 そして、今のデトロイトは? 「鎮魂のデトロイト "It All Falls Down"」(作:シーナ・カマル ハーパーBOOKS)を読む。 残念ながら前作の「喪失のブルース」は、未読です。私のオイル切れの廻らない頭脳のせいか?或いは前作を読んでいないせいか?、特に前半、人間関係を整理するのに少し時間がかかりました。 探偵(元探偵?)ノラ・ワッツは、「自殺した父親を知っている」という謎の男の言葉をきっかけにバンクーバーから、デトロイトへと赴きます。いとも簡単に人が殺される街、デトロイトへ。一方、ノラのAA仲間であり、彼女の元スポンサーでもあったブラズーカは、富豪の友人ラムから、亡くなった恋人を死に至らしめたドラッグ・ディーラーを見つけてほしいと依頼されます。父親の死の真相は?何故、執拗にノラは命を脅かされるのか?物語を書くのは、ここまでにしておきます。 この物語をスリラーとして読むと少し物足りないと感じるかもしれませんね。私には、普通小説の2巻目から読んでしまったという感覚が残りました。 父親探しは、レバノン-ベイルートという大いなる舞台を引きずり出し、エイミー・ワインハウスの「リハブ」が流れ、いつまでたってもリハブできない元アルコール依存症者たち、ドラッグ依存症者、ギャンブル依存症者、セックス依存症者たち、そのすべての依存症者たちが跋扈する国、街を炙り出し、ネイティブ・アメリカン、他国からの移民たちを含む多人種社会の闇を取り込みながら、それでも作者は、戦いをやめないカウガール、カウボーイたちを描き切りたいのかもしれません。 「音楽は重いカーテンを開いて、光を入れることからはじまる。さもなければ、闇を招きいれることから。少なくとも、ブルースとはそういうものだ。魂の音楽と呼ばれるには、それなりの理由があるのだ。本質ではない部分をすべて剥ぎ取った場所。そんな場所があるとすれば、それはデトロイトにほかならない」 (Kindle の位置No.3194-3197). 名訳だと思います。そして、もう前作を読むことはないかもしれませんが(笑)、もう一つの「ルーツ」を探るであろう次回作をとても期待しています。 | ||||
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