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その雪と血を



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その雪と血をの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

チンピラの切ない恋

「刑事ハリー・ホーレ」シリーズで人気のジョー・ネスボのシリーズ外作品。70年代のオスロを舞台に、ノルウェーの実力派が技巧を凝らした切ない愛の叙情詩である。
殺し屋しかできないオーラヴは、かつて売春組織で痛め付けられようとしているのを救った聾唖のマリアを密かに恋しく思いながらも、ただ静かに見守るだけだった。ある日、ボスの若妻コリナが浮気をしているので殺せと命じられたオーラヴは、コリナを見た瞬間に一目惚れしてしまった。コリナを殺せないなら浮気相手を殺せばいいと考えたオーラヴは、浮気相手を射殺したのだったが、浮気相手の正体はボスの一人息子だった。ボスから命を狙われたオーラヴの逃避行に、コリナが関わり、さらにはボスと対立する組織も絡んできて、雪のオスロを舞台に「殺るか殺られるか」の壮絶な戦いが繰り広げられ、最後は・・・。
識字障害がありながら本を読み、詩情に満ちた文章を書く殺し屋という主人公のキャラクターが秀逸。純粋さと孤独感が、読者の心をつかんでいく。さらに、薄幸の元売春婦・マリアとボスの若妻・コリナも魅力的で、雪の中での物語が色鮮やかに膨らんでくる。ポケミスで170ページほどの短さながら読み応えがあり、読後感は深い。ノワール小説としても、純愛の物語としても傑作である。
幅広いミステリーファンにオススメだ。

iisan
927253Y1

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