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(短編集)

お文の影(ばんば憑き)



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【この小説が収録されている参考書籍】
ばんば憑き
ばんば憑き (新人物ノベルス)
お文の影 (角川文庫)

お文の影(ばんば憑き)の評価: 10.00/10点 レビュー 1件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点10.00pt

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No.1:
(10pt)

お文の影(ばんば憑き)の感想

全六編の歴史物短編集です。
「坊主の壺」「お文の影」「博打眼」「討債鬼」「ばんば憑き」「野槌の墓」の六編です。
書籍版の題は「ばんば憑き」ですが、文庫版の題は「お文の影」になります。
江戸人情話であり、妖による不思議談でもあります。
ミステリ色は薄いですが、全話上質で面白いです。
歴史物ですが読みやすく、単純な勧善懲悪にせず一捻りされています。
怪談ですが、恐い話や妖が退治される話ばかりではありません。
妖自体が勿論悪いものもありますが、性根の良いものや、生まれが哀しいものもいます。
妖よりも、その背景にある人間の業や欲、それに頼らざるを得ない無慈悲な実情の方が恐く辛いです。
そうした深みを、くどさを感じさせることなく読ませてくれます。

また、本作は「ぼんくら」シリーズと「三島屋」シリーズのスピンオフでもあります。
「お文の影」は「ぼんくら」シリーズの政五郎親分とおでこが活躍します。
「討債鬼」では「三島屋」シリーズの青木利一郎、悪童三人組、行然坊が活躍します。
私は「ぼんくら」「おそろし」「あんじゅう」しか読んでいません。
それらを読んだところ、本作はどちらかというと「三島屋」シリーズ寄りの雰囲気だと思います。
「ぼんくら」シリーズはあくまで人の業や欲に因るイメージで、「三島屋」シリーズの方が妖の存在感があるイメージなので。
スピンオフとしても、政五郎親分は主役として一つ事件を解決するのに対し、利一郎の方は主役なだけでなく、ある程度過去が判明するなど盛り沢山です。
とはいえ、二作を知らなければ本作を読めないわけではありません。
二作を未読でもまったく問題ないです。

個人的には「坊主の壺」が一番好きな作品ですが、他の方々の感想を見ると好きな作品はバラけているようです。
それだけ、どの話も上質なのだと思います。
宮部みゆき氏の歴史物が好きな方は勿論、歴史初心者の方も楽しめる一冊だと思います。

あんみつ
QVSFG7MB

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