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(短編集)

クリスマス・プレゼント



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【この小説が収録されている参考書籍】
クリスマス・プレゼント (文春文庫)

クリスマス・プレゼントの評価: 7.86/10点 レビュー 7件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.86pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全7件 1~7 1/1ページ
No.7:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

クリスマス・プレゼントの感想

短編でも次から次へと読ませてくれる。
長編と同様全く期待を裏切らない作品の数々
短編なので伏線も少なく途中で何となく展開が読める作品もあるのですが、
読み通りの展開になるのか、はたまたディーヴァーの事、予想だにしない
結末になるのか、それも又楽しみでページをめくる手が止まらない。
果たして予想通りの展開でも、どんでん返しでも、読後の満足感はかわらない
すばらしい作品ばかりです。

blueridgecabinhome
UHOQT2T1
No.6:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

怒涛の16作品

怒涛の16作品。最初から、ガツンときます!筋書きが何となくわかるどんでん返しもあれば、叙述ものあり、そう来るかというものもあり、実に楽しかったです。訳が何人かで分かれており、ディーヴァー作品はやはり池田さんの訳が読みやすくてスッと入ってきました。

タッキー
KURC2DIQ
No.5:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)
【ネタバレかも!?】 (3件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

題名通りに冬に読むのが吉?

どんでん返しの帝王ジェフリー・ディーヴァーが雑誌などいろいろなところで発表した短編を集めた短編集。
表題になっている「クリスマス・プレゼント」は書き下ろし短編でリンカーン・ライム&アメリア・サックス物である。本書の刊行は12月なのでまさしくディーヴァーからのクリスマスプレゼントだ。

まず開巻一番の「ジョナサンがいない」からいきなり見せてくれる。
さすがディーヴァーといった短編。のっけからかましてくれる。いきなりやられてしまった。

次の短編の題名「ウィークエンダー」はもちろん日本の昔深夜にやっていた番組から取ったわけではなく、“週末の旅行者”という意味。
奇妙なテイストの一編。人質として攫われたコンピューター会社の副社長が提案した自分を解放してくれれば絶対に犯人達のことは話さないという信用しがたい言葉を放つ。もちろん最初から犯人は歯牙にもかけないが、営業をやっていた彼の弁舌は巧みで次第に引き寄せられていく。
運命論的論理展開をも繰り広げつつ、次第に説得されていき悪が善へと改心していく人質と犯人との信頼関係の誕生を思わせる美しい作品と思いきや、結末はかなりダーク。とはいえ、ちょっと切れ味は鈍いか。

「サービス料として」は精神科医と患者の話。
確かに伏線はあった。ただディーヴァーにしてはこの結末は安直かな。それほど意外だと思わないし。

「ビューティフル」も痛烈なオチだ。
これもディーヴァーのミスリードが効いた好編。これは完璧な美貌を持つ女性しか解らない心境だろうなぁ。この作品に共感を覚える美女は案外多いのかもしれない。色々想像が膨らむ一編だ。

次の「身代わり」は典型的なクライムストーリー、と思いきや・・・。
いやあ、行きずりの男に頼む行きずりの殺人という典型的な話なのにディーヴァーにかかるとこうも鮮やかにひっくり返されるとは。偶然すぎると否定してはいけない。これぞ短編小説の醍醐味なのだ。

「見解」は『エンプティー・チェア』でも見られた田舎町の悪徳警官物だ。
田舎町という人口の少ない共同体ではいじめっ子は大人になってもいじめっ子として振舞い、いじめられっ子はその忘れたい過去を抱えたまま生きていかねばならない。いじめっ子で今では悪徳警官となったエドとボズはかつてのいじめられっ子ネイトを尋問し、昔のように半ば虐めるように聴取する。虐めた者は虐めたことを軽視するが虐められた者の心の傷はなかなか癒えない。

「三角関係」はピートがモーの浮気相手を殺す為、彼の別荘に来る誘いを敢えて受け、そこで殺害しようとする、という話。
一番驚いたのがこの話。どんでん返し、というか叙述トリックが鮮やかに決まった作品だ。まさに語り(騙り)の魔術師ディーヴァーの真骨頂といえる作品だ。

いきなりシェイクスピアの時代に遡るのが「この世はすべてひとつの舞台」だ。
ディーヴァーが歴史物!?というのがまず驚きだった。なかなか堂に入った筆捌きで本当にこの作家は器用だなという思いを強くした。
ストーリーとしては意外性はあるものの、シェイクスピアを上手く使ったことで当時のロンドンの不条理な法廷において主人公を無実にすることが可能となった(昔のイギリスの法廷の、貴族に有利で庶民に不利な不平等ぶりはカーの『エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件』に詳しい)。またこの事件がシェイクスピアのある作品の萌芽になっているというオチも上手い。

続く「釣り日和」は元に戻って現代物。
主客転倒というか善悪反転というのはディーヴァーのお家芸とも云えるどんでん返しの典型だが、本作はまさにそれ。しかしあざといかなぁ。明らかにミスリードがあからさますぎるもの。

「ノクターン」はある巡査の話。
ディーヴァーにしては捻りのない、ストレートな作品だが、ハートウォーミングな味付けがいい。
強盗犯を独自の情報網を駆使して突き止める刑事志望の若き巡査。しかし捕まえた犯人は両親が行方不明となり、一人で弟と妹を養う17歳の青年。典型的といえば典型的だが、やはりこういう話は読んでて気持ちがいい。

「被包含犯罪」はまさに逆転の妙味を味わえる好編。
街のギャングで証人全てを買収できる人物の裁判で、召還される証人は次々と被告人に有利な証言をする。その絶体絶命の中、検事が老獪な策を講じるのだが、これは非常に意外な真相だった。
ここは素直に法の専門家の広範な知識とそれを上手く利用して尋問を誘導した検事の手際の鮮やかさに賞賛を贈るべきだろう。これがディーヴァーだ!と云わんばかりの切れ味鋭い好編だ。

不気味な余韻を残すのが「宛先のないカード」。
三人称叙述ながらストーリーはほぼデニスの主観で語られる。しかし読者も次第にデニスの常軌を逸する行動に不信感を覚え、メアリの話を聞くにデニスが精神異常者ではないかと結論づけるようになるのだが、最後のパラグラフに書かれたメアリの再婚相手が明らかになることで、どちらが本当の話だったのかと揺さぶられる。24ページと短いながらも余韻は最も深い作品だ。

本書におけるボーナストラックであるのが表題作。リンカーン・ライムの登場だ。
本書唯一のリンカーン・ライム物であり、本書の為の書き下ろし短編。長さも最も長く66ページある。しかし短編としてはそれほど長くない分量だが、この長さでディーヴァーは二転三転の仕掛けをかけてくるのだから畏れ入る。
収録ページを予め見ていなかったので、どんな結末になるのか久しぶりにハラハラした。そしてディーヴァーはきちんとライムがこの危機を解明するのに読者にも推理できるようヒントを散りばめていることを明かすが、いやあこれを看破するのは至難の業かと。しかし表題作に相応しい1編。個人的ベスト!

次の「超越した愛」は一人の男がある女性と恋に落ちるが、父親の猛反発に遭って、駆け落ち同然で相手を連れ出そうとして、奮闘した顛末を語る話。
しかしやはりディーヴァー。通常ならばそのまま読み流してしまう話でさえ、どんでん返しが用意されているのだから畏れ入る。しかし冷静に読むとこれは作者の意図が透けて読めるのでさほどサプライズは感じないかも。

「パインクリークの未亡人」は実にディーヴァーらしい作品だ。
片田舎の未亡人に訪れたのは都会から来た魅力的な男。たった38ページの小編なのに話がこれほど二転三転するとはまさにこの作者ならでは。でもちょっとやりすぎかな。

最後の「ひざまずく兵士」はまたもやストーカー物。
ストーカー物が本書では最も多く、「ビューティフル」、「超越した愛」とこれで3編目。しかし本作が最もストレートに加害者、被害者の対立を描いており、これはさすがにどんでん返しはないのではと思いきや、やはりディーヴァー、ありました。
とはいえその真相は予想の範疇。


その名の通り読者へのクリスマス・プレゼントの如く2005年の12月に出版され、文庫で出されたこの短編集は確かに年末を迎える海外ミステリファンにとって最高のプレゼントになっただろう。事実、翌年の『このミス』では発売から11ヶ月のブランクがありながらも多くの読者の支持を集め、2位という高評価を得た(ちなみにこの年の1位はローリー・リン・ドラモンドの『あなたに不利な証拠として』だからこの年は短編の当たり年だったといえるかも)。
そしてその評価が至極妥当だったと読後の今強く感じている。

全16編からなる作品のテーマはそれぞれ既婚女性の内密なデート、強盗の逃亡劇、精神科医とのカウンセリング、ストーカーに悩むスーパーモデル、身代わり殺人、田舎町の悪徳警官の犯罪、三角関係、没落貴族の復讐劇、刑事物に法廷劇、妻の浮気を疑う夫、間にリンカーン・ライム物を挟み、波乱万丈の恋を熱っぽく語る男、片田舎の町の未亡人のロマンスと実に多種多様。
なんだろう、このヴァラエティの豊かさは。これほど多彩な舞台を用意してそれぞれに印象深い結末をしつらえているとは、ディーヴァーの作家としての守備範囲の広さに驚くことしきりだ。

今度はどんな結末が待っているのか?騙されないぞと思い、色んな想像を巡らすがやっぱりやられてしまう。このどんでん返しを見事に成功させる要素がミスリードの技巧の冴え。上手く読者を誘導して意外な方向から不意打ちを食らわせる。読者が本を読んでれば読んでいるほど先読みするため、余計に引っかかってしまう。本当にこの作家は読者に先入観を抱かせるのが非常に上手い。
特にシチュエーションを上手く利用したダブルミーニングの切れ味がすごく、最初の一行ですでに作者の術中に陥ってしまう作品も少なくない。それについては各編の感想でも述べているし、また未読の方の読書の興を殺ぐことにもなるので敢えてここでは触れないでおこう。

個人的ベストは表題作。リンカーン・ライム物だからというわけではなく、どんでん返しに次ぐどんでん返しを見せながら、きちんとその伏線が作中に張られており、リンカーンの推理が追えるようになっているという非常にきめ細やかな作品だからだ。この作品がなかったらベストは叙述トリックが冴え渡る「三角関係」だった。
他に騙りの上手さで「ジョナサンがいない」、予想外の結末だったのが「ビューティフル」と「身代わり」、ストレートな人情物の「ノクターン」、思わず「あっ」と声を挙げた鮮やかな法廷逆転劇を見せた「被包含犯罪」、奇妙な味わいの余韻を残す「宛名のないカード」が印象に残った。

これほど質の高い短編はエラリイ・クイーンでも成しえなかった。そしてもはや物語は語り尽くされていると云われて久しい21世紀においてこんなにも傑作の揃った短編が読める幸せ。長編だけでなくディーヴァーは短編の名手であることを見事に証明した。

既に2作目の短編集も刊行されている。いつ大地震が起きてもおかしくない昨今だからこそ、まさに読まずに死ねない短編集だろう。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

特にはクリスマスらしさはないが

クリスマス・プレゼント、そのタイトルから読むべき時期はクリスマスだと、ずっと今まで読まずに溜めていた一冊。ジェフリー・ディーヴァーの作品は初めてだったが、どんでん返しの名手?という評価を得ているのも納得できた。
本作品に収録されている話は、どれも数十ページととても短い短編である。それ故話に深みを持たせるのは難しいだろうが、淡白にならずストーリーに浸ることができた。特にこれが!というのはないが、どれもかなりのクオリティを見せてくれる。筆者の長編作品を読んでみたいと思わされた。きっと長編であれば大きな驚きを得ることができるだろう。

陰気な私は地球を回さない
L1K3MG03
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

30頁でここまで魅せてくれるとは

 
 J・ディーヴァーの短編集。 16作品収録でページ数だけ見れば長編小説級。

 短編小説を真っ向から感情移入して読む人はいないでしょう。 どれだけドラマティックな結末を用意しても登場人物に思い入れようが無いのだから仕方ない。  ならばひたすらにエンターテイメント性、読者を驚かし裏切ることに傾倒してゆこう。 ただ短い話ではないです、予め短編とはどうあるべきかを作者なりに捉え定義して作られています。 本作はそんな短編集です。
 
 私は本作を一種のパズルクイズのように考え、直感的に誰が悪意を持っているのか答えるように読んでいきました。 当たれば喜び、外れれば驚く、そこには至極単純な感情しか湧き上がっていないのですが面白いのだから何の問題もないです。 大きな展開の起伏と複雑な感情が欲しいのなら大人しく長編を読めばいいのですよ。  
短編に求められてるものを見極め書かれた本書は「クリスマスプレゼント」程の一大イベントではないが大きなサプライズになりました。

 

りーり
9EDFH0HC
No.2:
(8pt)

クリスマス・プレゼントの感想

16作品の短編小説が収録された本です。
どんでん返しの連続で、どんでん返しが起きる度に脳の思考回路が、一瞬停止してしまうような感覚に陥ってしまいました。
面白いので、是非読んで見て下さい。

松千代
5ZZMYCZT
No.1:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

お菓子が詰まった長靴!

ジェフリー・ディーヴァーの初短編集。16作品、580ページほどの分厚い文庫本だが、とにかく楽しめる作品ぞろいで一気読みしてしまった。
もちろん、長編作品のようなお得意の「ジェットコースター」的な展開はないが、どの作品をとっても「捻り」が効いていて、読者を驚かせよう、喜ばせようという作者の熱意がひしひしと感じられる。読者はきっとクリスマスの朝、お菓子がいっぱいに詰まっている長靴を見つけた子供の気持ちになれるだろう。

iisan
927253Y1

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