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誓約



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誓約の評価: 7.50/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(9pt)

これ以上の結末はない。天晴!

上下巻合わせて1,040ページあまり。しかも各ページには文字がぎっしりでほとんど隙間が無い。
この世評高い大作を読みたいがために各本屋(福岡・愛媛・東京!!)を回り、なおかつネットで検索したがどれも「品切れ」の文字がついている。諦めて本を売りに行った地元の古本屋で持ち込んだ本の査定を受けている暇潰しに本棚を見ていた時に偶然にも見つけ、迷わず購入した。

そして待望の開巻から約半月費やした後の感想は、最後の最後で救われたという感じがした。
正直、読書中はあまりにも冗長すぎやしないかと何度も洩らした。それは読後の今でも変わらない。この真相に至るまでに果たしてここまでのプロセスが必要だったのか、これは今でも疑問である。世に蔓延る世評を見ると、重厚壮大だが読み苦しくないというのがほとんど感想として載っている。しかしやはり私には長いと感じた。

主人公のベトナム戦争で成した愚行―正確に云えば成された愚行―に対する裁判を、内部葛藤を、時に俗者のように、時に聖者のように描写する。それはある時は彼の行動を監視する者に対し、暴力を加えたり、妻への荒々しいセックスにて表出される。デミルの素晴らしい所は、単にベトナム戦争の悲劇の犠牲者としての主人公を決して読者におもねるような聖人君子に描かず、愚痴もいい、素行もそれほど正しくなく、しかも軍隊に復員した時はだらしの無い格好で軍人の反感を買う。つまりみんなの周りにいる誰かとして描く。この手法が重苦しいテーマを読み易くしているのだろう。
読んでいる最中は映画『戦火の勇気』が頭によぎった。タイスン中尉がベトナムの病院でどのような指示をしたがために大量虐殺に至ったのか、この事実についてあらゆる人が本で語り、軍事裁判にて証言し、そして主人公自身も語る。小隊の中の人間関係の歪みが生んだ大虐殺の事実はそのまま同じように歪められ、タイスンを追い詰める。

最後の切り札、ケリーの登場で漸く真相が明らかにされ、何が正しくて、何が悪いのかを悟られる。それはやはり人ではなく、戦争という特異な状況であったが故の哀しい事実だった。誰もがあの戦争では狂っていた、その事は誰も否定できないし、また非難もできない。知らない方がいいこともある、これは正にその典型だった。



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Tetchy
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