ついに工事が始まった。大石を沈めては堰を作り、水路を切りひらいてゆく。

精神科医の小野寺は、殺人容疑者の精神鑑定を依頼された。

1945年8月15日、日本敗戦。国内外の日本人全ての運命が大きく変わろうとしていた―。

歯を食いしばり一日を過ごす。星を数える間もなく眠りにつく。

パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議に出席した佐伯教授は、アメリカ陸軍微生物研究所のベルナールと名乗る見知らぬ老紳士の訪問を受けた。

恋人を交通事故で失って以来、北園舞子には、見るもの触れるものすべてが無意味に感じられた。

その映像は、開けてはならないパンドラの箱だった!?大手放送局に勤務する川原庸次は、かつて学生運動に参加していたという上司からT大時計台闘争にまつわるスクープ映像の存在を聞かされる。

中学時代憧れていた山岡が、医師として村に帰ってきた。久しぶりの再会をした真紀だったが…。

絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする非人間的な白人支配層に立ち向かう若き日本人医師。

「一度目」は戦時下の強制連行だった。朝鮮から九州の炭鉱に送られた私は、口では言えぬ暴力と辱めを受け続けた。

分裂病と覚醒剤中毒の治療・研究に成果をあげている南仏、マルセイユの大学病院で首なし死体がみつかった。

日系ブラジル人医師の津村は、北京の国際医学会で知り合った北朝鮮の医師に技術を伝えて欲しいと請われ、招聘医師として平壌産院に赴く。

東西の壁が崩壊したベルリンで、日本の剣道の防具が発見された。

とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。

韓国沖合で大型旅客フェリー世月号が沈没、多くの犠牲者が出た。

1900年万国博覧会で賑わうパリ。

十人に一人がHIVに感染している国南アフリカ。

日本占領下の東南アジアに、B29の大空襲を受けた東京に、原爆投下直後の広島に、そしてソ連軍が怒涛のように押し寄せる満州や樺太の地に医師たちの姿があった。

199X年度「ノーベル賞」には微かな腐臭がした―イギリス医学界の重鎮が受賞した「医学・生理学賞」の周辺に不自然な死が多すぎるのだ。

代々、使譯(通訳)を務める“あずみ”一族の子・針は、祖父から、那国が漢に使者を遣わして「金印」を授かったときの話を聞く。

享保十三年、久留米藩領井上村。

一九九八年、和歌山市内の夏祭りでカレーを食べた住民六十名以上が中毒症状を呈し、四名が死亡した。

エンブリオ―それは受精後八週までの胎児。

歴史学者・須貝彰は、南仏の図書館で世紀の発見をした。

宗像時子は父が遺した古アパート、扇荘の管理人をしている。

生殖と移植では「神の手を持つ名医」と評判の岸川卓也院長が率いる、贅沢な施設と高度な医療を誇るサンビーチ病院。

その男は決して屈しなかった。人が一生に一度出会えるかどうかの大傑作。

「町医者」が、ぼくの家の天職だった――。 大正時代、寄生虫退治で評判を取った初代。

深夜、引き出しに排尿する男性、お地蔵さんの帽子と前垂れを縫い続ける女性、気をつけの姿勢で寝る元近衛兵の男性、異食症で五百円硬貨がお腹に入ったままの女性、自分を23歳の独身だと思い込む女性…様々な症状の老人が暮らす痴呆病棟で起きた、相次ぐ患者の急死。

初めてだった。これほどに、自分を認めてくれる教えは。

すべての民にとって不満のない世などありえない。しかし、民を死に追いやる政事のどこに正義があるというのか。

新任看護婦の規子が偶然、耳にした言葉は「無脳症児」―。

警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。

鉄道のシステムがダウン。都市銀行も同様の状況に陥る。

平穏だった家族が少年事件によって崩れていくさまを描く心理サスペンス。

安房国で漁師をしていた見助は、京に遊学していたという僧侶と出会う。

2011年、夏――ダム建設工事の掘削作業中に、縄文人男性と弥生人女性の人骨が同時に発見された。

クリスマス前夜の「一家四人殺し」―数多の痕跡を残しながら、逃走する犯人たち。

パチンコ、麻雀、競馬、競輪…。「庶民の娯楽」という美名の陰で、急速に増えつづける依存者の群れ。

セバスチャン・ラッドはアメリカの大都市で開業中の“無頼の弁護士”。

世田谷区祖師谷で起きた母子三人惨殺事件。被害者が地下アイドルだったこともあり、世間の大きな注目を集めていた。

大手製薬会社社員の藤井賢一は、不祥事の責任を取らされ、山形の系列会社に飛ばされる。

末期癌を宣告された医師・岬雄貴は、酒浸りの日々を送っていた。

パリ警視庁特別医務室に勤務する精神科医のラセーグは、犯罪者や保護された者を診断する毎日。

五歳のとき双子の妹・毬絵は死んだ。生き残ったのは姉の雪絵―。