平凡なセールスマンのグレゴール・ザムザは、気がかりな夢からさめたある朝、一匹の巨大な褐色の毒虫へと変わった自分を発見する。

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。

大好きだった妻の澪が亡くなって1年、身体にさまざまな不具合を抱えた巧は、町の小さな司法書士事務所に勤めながら、6歳になる一人息子の佑司とひっそりと暮らしていた。

普通の高校生だった「ぼく」、須玉明が得た力は、この世に留まる霊の姿が視えるというものだった。

京都の美大に通うぼくが一目惚れした女の子。高嶺の花に見えた彼女に意を決して声をかけ、交際にこぎつけた。

どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう。

僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。

小学生の青斗が住む海沿いの田舎町には、ひとつの伝説があった。

文明の亀裂をこじあけて宇宙時代をのぞいてみたら、人工冬眠の流行で地上は静まりかえり、自殺は信仰にまで昇華し、宇宙植民地では大暴動が惹起している――人類の未来に待ちぶせる悲喜劇を、皮肉げに笑い、人間の弱さに目を潤ませながら、奇想天外、卓抜なアイデアをとりまぜ

目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。

あの頃の僕らは、誰かのヒーローになりたかった。クリスマスを目前に控えた階段島を事件が襲う。

友達の死から始まった苦い夏休み。僕らは、幽霊に導かれて旅に出た。

ふとした気まぐれや思いつきによって、人間を残酷な運命へ突きおとす“悪魔”の存在を、卓抜なアイデアと透明な文体を駆使して描き出すショートショート３６編を収録する。

人間の妄想を取り扱うエフ博士の妄想銀行は大繁盛! しかし博士は、彼を思う女からとった妄想を、自分の愛する女性にと……。

11月19日午前6時42分、僕は彼女に再会した。誰よりも真っ直ぐで、正しく、凛々しい少女、真辺由宇。

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。

才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり…。

社長から休暇取得を厳命された爽香は、部下のあやめたちと温泉旅行の計画を立てる。そんな折、恩師・河村布子から相談が。

大切な人の死を知る度に、時計の針は何度でも過去へと巻き戻る。

雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。

21世紀末、南米の科学者達により作り出され“遺伝子戦争”の引き金となった新しい人種「猫目」。

ビストロ・パ・マルへようこそ。

謎も汚れもクリーンに解決する〈清掃人探偵・キリコ〉シリーズが新カバーで登場! キュートなハートウォーミング・ミステリー

みんなは知らない、ちょっとだけ特別なちから。

小劇団「紅神楽」を主宰する女優・紅林ユリエの恋人で同居人のミケさんは料理の達人にして名探偵。

私のからっぽに栓をしてほしかった。 幼なじみの兄弟に愛される一人の女、もどかしい三角関係の行方は。

この道がずっと続けばいいと思うこともある。 ここから早く抜け出したいと思うこともある。

盲目の三味線師匠春琴に仕える佐助の愛と献身を描いて谷崎文学の頂点をなす作品。

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。

清掃作業員・キリコが日常の謎をクリーンにする本格ミステリー「女清掃人探偵」シリーズ、実業之日本社文庫初登場!小児病棟に入院している子どもたちのあいだで「病棟に魔女がいる」との噂が立ち、新人看護師・さやかがその正体をつきとめようと奔走するが…。

西暦2112年。人間の精神を数値化し最適幸福が追求できるようになった未来世界。

タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。

九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく―。

『元気ですか?浮上したら漁火がきれいだったので送ります』彼からの2ヶ月ぶりのメールはそれだけだった。

犯罪傾向の数値が高い者を“潜在犯”として事前に捕らえることで、世界の幸福は保証されたはずだった。

20歳の茉莉は、数万人に一人という不治の病にかかり、余命が10年であることを知る。笑顔でいなければ周りが追いつめられる。

すべての伏線が、愛――。 第54回メフィスト賞受賞作! わたしは1年しか生きられない。

『星を継ぐもの』シリーズ4作品 新版化 月面で発見された5万年前の死体はどこからやってきたのか？ ハードSFの巨匠ホーガン不朽の名作 第12回星雲賞海外長編部門受賞作 【創元ＳＦ文庫60周年記念新版】 月面調査員が、真紅の宇宙服をまとった死体を発見し

どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。

石橋を叩いても渡らない心配性の高校生・中崎夕也はある夜、七不思議を司る精霊・テンコと出会う。

この一冊で世界が変わる、かもしれない。 実業之日本社創業120周年記念! 小社文庫限定の書き下ろしあとがき収録。

広告代理店営業部長の佐伯は、齢五十にして若年性アルツハイマーと診断された。

村内先生は中学の臨時講師。言葉がつっかえて、うまくしゃべれない。

思い描いていた未来をあきらめて赴任した高校で、驚いたことに“私”は文芸部の顧問になった。

中1の奈緒がピアノを教わっている絹子先生の元に、フランスからサティのおじさんがやってきた。

フリーライターの真以が書斎がわりに使う、東京郊外の寂れたファミリーレストラン。

お子さん、まだ?焦りと戸惑い、嫉妬、胸の中からあふれだす願望。結婚しても、競争は終わらない。

いつになったら、私は自由になれるのだろう。恋愛小説の最高傑作。

僕の人生は無色透明だった。日野真織と出会うまでは―。

真以は恋人の南野刑事との久しぶりのデートに心をときめかせていた。

大好きな叔母・春桜(はるか)が宛名も書かず大切に手元に置いている手紙を見つけた甥の千景(ちかげ)。

小説家と、彼女を支える夫を襲ったあまりにも過酷な運命。

「小国ナスミ、享年43。」宿り、去って、やがてまたやって来る―感動と祝福の物語。

兼業漫画家の立石晴奈がまだ幼かった頃、放火されて実家が全焼し、家の中から誰も知らない女性の写真が出てきた。

ピアニストからも絶賛!ドビュッシーの調べにのせて贈る、音楽ミステリー。ピアニストを目指す遙、16歳。