(短編集)

仄暗い水の底から

登録されているタグ

※タグの編集はログイン後行えます
オススメ平均点

6.50pt (10max) / 2件

5.94pt (10max) / 16件

Amazon平均点

4.00pt (5max) / 37件

楽天平均点

3.88pt (5max) / 8件

みんなの オススメpt 自由に投票してください!!

0pt

サイト内ランク[]

C

ミステリ成分[] この作品はミステリ? 自由に投票してください!!

↑現実的

0.00pt

0.00pt

←非ミステリ

45.00pt

ミステリ→

56.50pt

↓幻想的

初版刊行(参考)
種別
短編集
閲覧回数
3,915回
お気に入りにされた回数
0
読書済み登録回数
30
このページのURL

あらすじ

2025年11月25日 仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)

夫と離婚し、港区の埋立地に建つマンションに引っ越してきた淑美と5歳の娘・郁子。ある日2人は、マンションの屋上でおもちゃの詰まった赤いバッグを見つける。しかし、このマンションに子供は郁子以外いないはず……その日を境に、不可解な現象が起き始める(「浮遊する水」)。大ヒットホラー映画原作「浮遊する水」、『ユビキタス』の原型ともいえる「孤島」など、“水”をモチーフとした7篇を収録。『リング』著者による至高の恐怖短篇集。プロローグ浮遊する水孤島穴ぐら夢の島クルーズ漂流船ウォーター・カラー海に沈む森エピローグ 単行本あとがき 解 説  篠田節子(「BOOK」データベースより)

評判

仄暗い水の底からの評価:

6.50/10点 レビュー 2件。 C ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点6.50pt

仄暗い水の底からの総合評価:

7.92/10点 レビュー 39件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

全1件 1〜1 1/1ページ
No.1
(7pt)

既にもうネタ切れ感が…

7編の水をテーマにした連作短編ホラー集。神奈川県に住む老婆が孫娘に朝の散歩時に一週間お話をするという構成になっている。

まず「浮遊する水」はかつて角川ホラー文庫で編まれたホラーアンソロジーで読んでいたもの。夫との離婚を機に港区の埋立地に建てられたマンションに引っ越した母子家庭の一家が出くわす怪異譚。
埋立地、水道水といったじっとりしたイメージを喚起する文体は、粘っこさを感じさせる。これを読んだ後は社宅の水を飲むのが嫌になったくらいのおぞましさを感じた。切れ味素晴らしい短編。

続く「孤島」からは全て初読。大学時代の友人が第六台場という都会の無人島に女を捨てたという。その友人は夭折し、数年後、理科の教師となった主人公がひょんなことから第六台場の調査に参加する事に。そしてそこで出くわした物とは・・・というお話。
物語は読者の予想通りの展開を見せるが、東京のど真ん中、しかもお台場という地にある無人島を舞台にこういう物語を紡ぐという発想を買う。なんとも云い難い読後感を残す。

「穴ぐら」はあなご漁で生計を立てている漁師の妻が朝起きると失踪したという話。散歩がてら妻を捜すが見当たらない。戻っているかもと思い、家に帰ってみるがやはりいなかった。昨夜は酔っ払って早々に寝たはずだが、記憶が定かではなかった稲垣はその日はそのまま寝て、翌朝漁に出発した。
「浮遊する水」の変奏曲のような作。母子家庭から父子家庭(この場合は妻が失踪して一時的に父子家庭になったというものだが)という構成も似ている。しかしここで最も気になったのが主人公の稲垣裕之は幼い頃に親から暴力を受け育った男で、親となった今、同じことを子供にしているという点。暴力は遺伝すると昨今問題になっているものだ。そしてこれは自分にも思い当たる節があるだけに、いっそう印象に残った。

「夢の島クルーズ」は主人公が高校のOB会で知り合った男に誘われ、ヨットで東京湾クルーズに行ったことから物語は始まる。よくあるマルチ商法の勧誘だったことが解り、うんざりした主人公は夫妻の話に取り合わず、夢の島マリーナへの到着を今か今かと待ちわびていた。だがマリーナまで数キロというところでヨットがいきなり止まってしまう。スクリューを見ると、子供の靴が片方絡まっていた。それを除けてみたが、やはり動かない。キールに何か絡まっているのだろうと判断したオーナーは潜って取り除く事に。しかし浮上した男は顔面蒼白で、溺れかけていた。
都市伝説ホラー。ぶつっと切れるような形で物語は終えるが、ちょっとベタな感じ。それよりも知り合いに誘われてヨットのクルーズに参加か・・・。自分にも同様の経験があるだけに、主人公の心理が痛いように解った。

「漂流船」はなんと長編『光射す海』で登場した第七若潮丸、しかもあの主人公の一人真木洋一が参加していた漁の後日譚である。あの作品はホラー味はなく、一人の女性の正体を探るミステリだったが、これは古来からある海洋ホラーとなっている。
漁を終え、日本への帰路に出くわした一台のクルーザー。中には誰もいない。結局海保との相談で漁船が曳航することに。乗り込んだ機関士白石が遭遇したものとは?
作中でも書かれているがかの有名なマリー・セレスト号事件をモチーフにしている。しかしこれは純然たるホラー。怪異の正体がわかるまでは日誌の内容などぞくぞくすることしきりだったが、正体が解ると意外に陳腐な印象。

次の「ウォーター・カラー」は問題作。気鋭の小劇団がかつてバブル時代に活況を呈した複数階で構成されたディスコの跡地を利用しての公演中に水漏れというアクシデントに見舞われる。古参の劇団員で、演出家との意見の食い違いから直前になって役を降ろされた神谷が原因を突き止めにいくことに。
廃屋となったディスコの跡地のトイレ一面に流れる水、排水口に大量に詰まった色とりどりの髪の毛、と古来からホラーに欠かせないモチーフを使い、実際ドキドキしながら読んだのだが、最後のオチに愕然。これはちょっと奇を衒いすぎたといわざるを得ない。明かされる真相はホラーという読者の予想を裏切り、超えるものであるが、これをいい意味か悪い意味で裏切ったのかは読者によるだろう。
私は悪い意味でとった。

ラストの「海に沈む森」は感動の一編。洞窟探検を趣味している主人公が多摩川の源流を友人と遡るうちに前人未到と思われる洞窟を発見する。すでに結婚し、子供もいる主人公は人生守りに入り、躊躇うが友人にそそのかされ、入ることに。そして・・・という展開的には予想通りとなるのだが、そこからが素晴らしい。時代設定を1975年とし、そこから主人公が手紙を認め、放流する。そして20年後、成長した息子が訪れるといった展開を見せる。父と子の血の絆を感じさせる力強い一編だ。
そして語り部として設定されている老婆もこの手紙が実は老婆の生きる源となっているというのが最後になって解る。

この7編で舞台となるのは東京一円だ。港区の埋立地、第六台場、富津岬、東京湾に、鳥島周辺―ここも確かに東京だ―、芝浦運河沿岸に立つ雑居ビル、そして多摩川の源流。ほとんどが東京圏に住む読者ならば目にする、訪れている、もしくは行こうと思えば行ける場所だ。つまり作者は読者のすぐそばに怪奇は潜んでいると告げている。
そして全編を通して語られる水もホラーの要素としては欠かせないものだ。水の雫の落ちる音から、人智の及ばない海や未開の地下水まで様々だ。恐らくこれは作者自身が水と密接に関わっていることに起因するのだろう。特に漁、クルーズといった航海に関するものが多い。これは『光射す海』でも使われていたマグロ漁を作者自身が経験することで得た知識であり、自然そちらへ題材を取ることが多くなったのだろう。

ただ残念なのは、この短編が今までの長編に見られた題材のアレンジでしかないこと。漁やクルーズなど船に纏わる話、鍾乳洞探検、そして劇団の話などは『楽園』、『光射す海』の作品を物するのに取材した、もしくは自身で体験したものだろう。
しかし4作目にして、似たような印象を受けるのは意外と作者の引き出しが少ないのではないかと危惧してしまう。確かに読ませるが、初めてこの短編を読むならば、また印象は違っただろうが、続けて作者の作品を読んでいる身にしてみれば、またこの話か、と思ってしまうのは否めない。
次作の題材が新しいことに期待したい。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[] ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S

Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.37
(2pt)

余り怖くない

恐怖の怖い小説だと聞いて半ば意気込んで読み始めたのですが、予想とは裏腹にそれほど怖いとは感じられませんでした。同名映画「仄暗い水の底から」の原作らしいと聞いてそんな恐怖映画の原作はさぞかし怖いのじゃなかと覚悟したものの、あまり怖くなく拍子抜けしました。怖い怖いと意識しすぎて読んだ影響かもしれませんがどの短編も怪しい感リンが出てきたと思ったらただそう思っただけだった「浮遊する水」然り、この出てくる女性はきっとこうだと神秘的に思い込んだら違っていた「孤島」があり、どれも自分の思い描いた恐怖世界と異なりその異なり方があまり怖さを感じさせなかったような気がします。おおよその予想された結末が途中で読めた「穴ぐら」他も怖いと話は余りありませんでした。その中でも「漂流船」は幽霊船が登場し、何か恐怖を感じさせる幽霊船は子供の頃にそういう怖い話を聞いたことのある経験もあいまってそれと照らし合わせてやはり少しぞっとさせられました。最後の「海に沈む森」からのエピローグへの流れは恐怖どころかにと小説の世界とはいえ、人々の不可思議なつながりを感じさせられてしまいました。初めて鈴木光司の小説を読んで今まで怖いと言うイメージでの気負いがまずは打ち消されてしまいましたが、他の小説も追ってみたいです。
仄暗い水の底から (角川ホラー文庫) Amazon書評・レビュー: 仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)より
4041167728
No.36
(4pt)

ミステリー嫌いも損しない不思議な作品

じーんわりめぐってくるこの感じは、恐怖や不気味さより、人と人をつなぐ絆の強さ、不思議さへの畏怖ではないか。感情を抑えた文章ゆえ、泣けるということはなかった。しかしこの短編が、それぞれしみじみとした読後感を残す。
人は、人とつながっていこうとする。幼くても。憎んでいようとも。父と息子。夫と妻。男と女。子どもと世界。
特に「穴ぐら」、大絶賛です。何度も読み返しました。愛してはいなかった、あなぐらにはまっただけだった。憎んでさえいたかもしれなかった。その夫と妻が、死の瞬間に驚きの姿で・・・。読後は恐怖と感慨で、ふぅ~っとタメイキでした。
ミステリー嫌いが、ミステリーですっかり元をとりました。嫌厭してきた人にこそ手に取ってみて欲しい一冊です。
仄暗い水の底から (角川ホラー文庫) Amazon書評・レビュー: 仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)より
4041167728
No.35
(4pt)

映画版とは別物

水をテーマにした短編を集めた短編集。大部分の作品にお化けが出てくるのですが、お化けの姿ははっきりと描写されず、主人公がお化けの存在を確信するところで物語は終わっています。ですから、解釈の仕方によっては主人公の妄想と受け止めることもできます。このあたりが作者の腕前の見事なところで、あからさまにお化けを登場させてしまうと陳腐になってしまうことを心得て絶妙のところを引き際としているのでしょう。
『浮遊する水』は『仄暗い水の底から』というタイトルで映画化されましたが、小説版と映画版では全くの別物です。ちょうどディックの『追憶売ります』が『トータル・リコール』へと大変身を遂げたように、『浮遊する水』で描かれた地味な世界の続きを思い切り派手に展開したのが映画版『仄暗い水の底から』という感じです。
仄暗い水の底から (角川ホラー文庫) Amazon書評・レビュー: 仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)より
4041167728
No.34
(3pt)

一番怖いものは?

どの話も水に関する話だ。7つめの短編は、プロローグとエピローグに関係した話になっている。どれも読んでいてぞくっとするが、本の内容そのものよりも、むしろ、そこに登場する人間の内面、心のうちにあるゆがんだ心理に恐怖を感じる。怖いのは怪奇現象などではない。生身の人間の心だ。そのことを強く感じるから、よけいにこの本に対して怖さを感じる。
仄暗い水の底から (角川ホラー文庫) Amazon書評・レビュー: 仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)より
4041167728
No.33
(5pt)

怖さのレベルは

怖いです。リアリティーがあるから。夫と離婚して幼い娘と古ぼけたマンションで暮らし始める主人公。奇怪な出来事は引越し当初から起こり始める。部屋の天井にひろがる染み。それは日を追うごとに大きくなってくる。そして赤い幼稚園のバッグ。それは捨てても捨てても親子が行くところに追いかけるように現れてくる。屋上に誘われ、まるで友達と遊んでいるかのように会話をする娘。部屋の水道からは黒髪が流れ出し、不気味さはつのってゆく。その昔マンションで何が起こったのか…赤いバッグの謎、失踪した小さな女の子の謎、
これを読むと古いマンションやエレベータにはしばらく近づきたくなくなる。本と映画を両方見るとなおさら面白い。怖いけれどおすすめです。
仄暗い水の底から (角川ホラー文庫) Amazon書評・レビュー: 仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)より
4041167728

その他、Amazon書評・レビューが 37件あります。
Amazon書評・レビューを見る