プレード街の殺人
- ミッシングリンク (19)
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まず、前半は、プレード街を舞台に繰り返される連続殺人事件の謎と、警察の成果を得ない奮闘ぶりが、街の人々の日常のどこかふんわりとした雰囲気にそぐわぬ不気味さで描かれる。 そして、後半に入ると、いよいよプリーストレイ博士が登場し、博士自身が巻き込まれながらも、事件は一気に解決の方向へと導かれて行く。 前半に関しては、文句の付けようも無く、非常に楽しく読み進める事ができる。 正直に言って、犯人はとても分かり易く、恐らく大半の読者は、前半から、それを承知の上で読んで行く事になるだろうが、それでも、「一体この人物の動機は何か?」そしてまた、 「どの様にして犯罪が行われたのか?」という点に強く興味を惹かれる為、「犯人は誰か?」という好奇心を失ってなお、楽しむ事ができる筈だ。 ところが……後半になると、途端に失速してしまうのである。 そこにはいくつもの要因が挙げられるが、何といっても、一番の要因は、前半において最大の謎と言っても良い様に提起されていた犯人の動機に、博士があっさり気付いてしまう所だろう。 動機については、読者が何よりも注目しているだけに、独自の調査の末の推理であって欲しいのだが、後半に入るとすぐ、ただ、博士がある出来事を思い出した為に、一気に謎が解けてしまうのだ。 これは、どうにも頂けない。しかも、この「ある出来事」というのは印象的なもので、博士以外の人間でも、関係者ならとうに気付き、犯人の動機に見当が付けられていて良かった様に思えてならない。 そして、当然、この動機の解明によって、前半から犯人だと明らかに(読者には)察しが付く人物についての謎も、もはや読み手にとっては謎ではなくなってしまうのだが…それにも拘わらず、作者が、 後半の魅力をそこに集約しようとしている様に思われ、分かり切った事を読まされている、という感じが拭えないまま読み進めて行く事になる…。 更には、博士が何を推理するわけでもなく、ただ犯人によって一方的に回答が与えられるだけの終盤も不満だ。 多少無理はあり、アンフェアな点があるものの、一つ一つの事件の説明は、一応できている。が、それら一つ一つの事件を一人の人間が長期に渡る連続殺人として――つまりは、ある意味で、 一つの事件として――計画したというのには、明らかに無理がある。 作者は、局所的には丁寧に物事を見ようとしていても、全体を眺めた時に、その一つ一つが可能であるか、設定として妥当であるか、という点を殆ど無視しており、推理小説としては、これは大きな マイナス要因だ。 という訳で、後半はこうした不満が重なって、すっかり作品に対する評価が落ちてしまう。前半が非常に面白かっただけに、本当に残念だ。 推理小説としての出来の良さを求める人には、この急激な失速は応えるだろうと思われる…。 が、しかし、単に小説として楽しめれば良い、という人には、充分お薦めできるだけの作品ではある。 ところで、本格推理小説には映像化に向かない物も多いが、この作品などは、脚本、演出さえうまく行けば、きっと面白いものになるだろう。 映像では、推理物としての欠点は小説ほど目立たないだろうし、何といっても、事件自体は観る者の興味を惹きつけるのに充分だからだ。後半、博士が推理もせずにただ巻き込まれて行く所も、 ミステリーというより、サスペンス的な要素として捉えられ、違和感は感じず、むしろ楽しめるかもしれない。 | ||||
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