(短編集)

エラリー・クイーンの国際事件簿



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エラリー・クイーンの国際事件簿 (創元推理文庫)

2005年07月28日 エラリー・クイーンの国際事件簿 (創元推理文庫)

美味なる犯罪を求めて世界を周遊する名探偵エラリー・クイーン。行く先々で供される珍味佳肴は異彩を放つものばかり。フランスで名警部の秘話に耳を傾け、日本の帝銀事件に仰天し、聖地エルサレムの未解決事件に真相提示を試みる――。『エラリー・クイーンの国際事件簿』『事件の中の女』の2集に併せて、ハリウッドを巡る摩訶不思議な「テイラー事件」、ファイロ・ヴァンスひいてはエラリー・クイーン誕生の契機となったエルウェル事件を描く「あるドン・ファンの死」を収録する、犯罪小説集成。訳者あとがき=飯城勇三(「BOOK」データベースより)




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エラリー・クイーンの国際事件簿の総合評価:7.50/10点レビュー 6件。Bランク


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No.1:
(9pt)

事実はやはり小説より奇だった

作者エラリー・クイーンが収集した事件について紹介した作品集。1編あたりが10ページ未満ということもあってショートミステリ的な作風になっている。

まず第一部はクイーンが世界中を周遊して聞いた話について書かれた「国際事件簿」。

まさに奇妙な事件ばかりだ。南スペインでは美女を彫らせるといつも同じ顔になる入墨師の話が、日本ではあの有名な帝銀事件が、フランスのノルマンディーではパリ警視庁でその人ありと謳われたフォス警部が突然引退するに至った事件が語られ、アルゼンチンでは知られざる名探偵ディエゴ・ゴメス捜査部長の活躍に、ルーマニアではある詐欺事件の一部始終が、そしてアルジェリアでは新婚初夜の夫婦に降りかかった密室での新妻殺人事件の顛末が語られる。
さらにメキシコでは富豪の未亡人の殺人事件、インドでは呪いによって殺された青年の話、ユーゴスラヴィアではヴェリカ・キキンダという町で起こった連続盗難事件、エクアドルでは浮気妻が浮気相手と2人きりの時に部屋で射殺された事件、パリでは愛のため両目を失った青年の話が、フィリピンではフィリピンで闇取引の大物になった元アメリカ軍人の殺人事件に西オーストラリアでは砂漠で白骨死体で発見された白人の話、チェコスロバキアの浮気娘がかかった奇病の正体の話、モンテカルロではカジノのクルーピエ(ルーレット係)が起こした神がかった犯罪、と続く。

そしてモロッコで起きたフランス軍人とベルベル人の美女との悲恋のお話に、トルコでハーレムの一人になったアメリカ人女性の不審死、中国は上海にあるフランス租界で起きた心中事件の意外な真相が語られ、スペインのマドリードで起きた無政府主義者の女性闘士が起こした狂気の殺人、エルサレムでは今なお謎とされる発見された男女の死体の真相で閉じられる。

第二部はアメリカで起きた奇妙な事件について語られた「私の好きな犯罪実話」だ。

まず「テイラー事件」は数奇な人生を経て名監督となり、女優たちとの浮名を轟かせたウィリアム・デズモンド・テイラー殺人事件を扱った物。まだグレタ・ガルボも登場していないサイレント時代のハリウッドで起きた映画監督殺人事件。しかし何よりもこのテイラーという人物の人生もドラマティックなのだ。才能さえあれば富と栄光が得られるハリウッドが持つ狂気の魔手。これはまさにそれに絡め捕られ人生を狂わされた人々の物語だ。

次の「あるドン・ファンの死」は実に興味深い。何しろ作者クイーンがエラリー・クイーンシリーズを書くきっかけになった事件だというのだから。この社交界の雄ジョゼフ・ボウン・エルウェルが自宅で殺された事件はなんとS・S・ヴァン・ダインのデビュー作『ベンスン殺人事件』のモデルになった作品であり、『ベンスン殺人事件』を読んだある2人が後の作家エラリー・クイーンとなったというのだ。
また社交界で浮名を沸かせたエルウェルが死体で発見された時にはカツラを脱ぎ、入歯も外し、引き締まった体に見せるためにはめていたコルセットを外した単なるハゲで歯のないデブのオッサンだったらしい。これは後にあるクイーン作品に繋がっていて興味深い。

第二部はこの2作までで最終の第三部は女性の犯罪を扱った物。女性が犯罪者だったり、被害者だった事件が紹介されている。題して「事件の中の女」だ。

いつの世もいざとなれば女性の方が度胸が据わっているもの。この第三部に挙げられた女性の犯罪者の悪女ぶりは女性の本当の怖さが滲み出ている。

結婚詐欺師を逆に手足のように使い、2件の殺人をさせた女。
6度の結婚を繰り返し、自身の殺人を実の息子に擦り付けた母親。
自分たちの世界を守るため障害となる母親を殺した2人の少女。
愛する赤ん坊におもちゃを買うために連続強盗、警官殺しを引き起こした鬼子母神のような女。
その美しさゆえに恋敵を殺させてしまった女。
陰と陽の境遇と性格を備えた2人のルームメイト。
夢で殺人事件を知った女性。
自分の死を“見た”女。
連続殺人鬼の餌食になった女性たち。
妻殺しの加害者でありながらその夫に殺された女。
別の殺人のあおりを食らって毒入りウィスキーを飲んでしまった不運な女性。
夫殺しの容疑者でありながら裁判で無罪を勝ち得た挙句に天罰が下ったとしか思えない死に方をした美女。
男のあしらい方を間違えたがために命を失った“国民の恋人”と称された絶世の美女。
自分に逆らう嫁が憎いため息子たちに殺させた姑。
恋多き人生を送っていたが一転して一人の男に尽くし、嫉妬のあまり殺してしまった女。
次々と夫、子供を毒殺していく女。
これらのうち、ある者は理解でき、またある者は理解を超え、そしてある者は不幸としか思えない末路を辿っている。

これら3部で構成された本書で語られているのはおそらく実話だろう。そしてそのどれもが意外な真相なのだ。
最後の一行で読者に知らされる“最後の一撃”はまさに「事実は小説より奇なり」であることを思い知らされる。

本書に挙げられているのは19世紀の終わりから20世紀の半ばにかけての犯罪記録である。こういった記録は実際貴重である。
日本でも牧逸馬氏が同趣向の世界怪奇実話集を編んでいたが長らく絶版となっていた。それを島田荘司氏が精選して復刻させた。本書は今なお本屋で手に入るのだからまだ幸運だ。東京創元社の志の高さに感謝したい。

世界で起こったフィクションを凌駕する奇妙な事件の数々を集めた本書はその内容ゆえに読後感が決して良いわけではないが、歴史に残る犯罪記録として実に貴重な作品だ。
さらに本書が書かれた“その後”について触れられた解説は本書の事件の驚きをさらに補完してもう一度驚かせてくれる(特に母親を殺した2人の少女のその後は強烈だ!)。その存在の意義と価値、そしてここに収められた話の奇抜さと作者の簡潔にして冷静な叙述ぶりを高く評価しよう。


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No.5:
(4pt)

犯罪実話

エラリー・クイーンの手掛けた犯罪実話3種を翻訳したもの。
 「私の好きな犯罪実話」は1956年に出たアンソロジー。クイーンのほか、クレイグ・ライス、E・S・ガードナー、ナイオ・マーシュらが執筆陣。クイーンは2編を寄せている。クイーンのもののみを訳出。
 「エラリー・クイーンの国際事件簿」は、1964年に出たクイーンの犯罪実話集。世界各国から実話が集められており、日本の帝銀事件も入っている。全20編。
 「事件の中の女」は前作の続編。1966年に出たもの。全19編。
 意外性のある事件が多く、推理小説にも通じるおもしろさがある。
 それにしても、これを翻訳出版したというのがすごい。
エラリー・クイーンの国際事件簿 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:エラリー・クイーンの国際事件簿 (創元推理文庫)より
4488104320
No.4:
(4pt)

世界を巡る大人のクイーンの犯罪実話集。

私にとって本格ミステリーの代名詞にして神様クイーンが著した犯罪実話集。エラリー・クイーンが2人の従兄弟ユニットなのは有名ですが、本書は片割のマンフレッド・リー氏が単独で雑誌に執筆した物らしいです。クイーンはその昔、国名シリーズという趣向でデビューを飾りました。それは国にまつわる小道具を巡る推理の饗宴でしたが、今回は探偵クイーンが実際に世界を旅して、土地の官憲達から面白い犯罪物語を披露して貰う、といったスタイルです。本作では、残念ながら往年の神の如き名推理は味わえませんが、国それぞれの思想や風土に裏打ちされた犯罪と結末が描かれ、実話とは言え不自然さが無く、語り口の上手さとあいまって極めてナチュラルな仕上がりになっていると言えるでしょう。古今東西の数ある犯罪の中でクイーンが集めた宝石のような各篇の選択の妙からは、彼の素晴らしい業績のひとつである名アンソロジストとしての側面もうかがわせます。ちなみに、日本からは帝銀事件がチョイスされています。
ただ一つ本作で私にとって首を傾げる最大の謎を考察してみます。それは事件の結末でエラリーが必ず間抜けな質問をする点です。名探偵クイーンが、まさかそんな馬鹿な訳はありませんから、語り手に敬意を表して(喜ばせる為に)わざとトボケて白ばっくれているのでしょう、というのが私の推理です。Q・E・D(証明終わり。)
他に、魅力的な解決されない謎の事件が2篇と、『事件の中の女』で、情熱・愛憎・狂気を感じさせる犯罪の世界の女性たちを、ドラマチックに描いています。

本書の手触りは、クイーン後期の成熟した大人の雰囲気を漂わせている感じがして、彼を愛するファンにとっては感慨深い味わいがあると思います。
エラリー・クイーンの国際事件簿 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:エラリー・クイーンの国際事件簿 (創元推理文庫)より
4488104320
No.3:
(4pt)

ホントに久しぶりにクィーンに出会えて、ただただ感激!

クイーンこそパズラー中のパズラー。アメリカミステリー界の巨匠である。

本書は何十年ぶりかで完訳されたクイーンの三部構成・41の掌編からなる犯罪実話集。

現実の犯罪を素材として、あるときはパズラー仕立てに、あるときは犯罪心理小説仕立てに、あるときは<奇妙な味>仕立てに、またあるときはオチのあるショート・ショート仕立てにアレンジされている。

創作ミステリーではないものの随所にクイーンらしさがうかがえて、クイーンのファンとしては、久しぶりにそのテイストを味わうことができた。

私はホントに久しぶりにクィーンに出会えて、ただただ感激だった!
エラリー・クイーンの国際事件簿 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:エラリー・クイーンの国際事件簿 (創元推理文庫)より
4488104320
No.2:
(2pt)

落語のような雰囲気

実際に起こった事件を集めているからか、盛大な謎解きなどはありません。
「エラリー・クイーン」とゆう名前に期待して読むと、がっかりするかもしれません。私などがそうでした。
全てに上手にオチがついていますので、犯罪をテーマにした落語を聞いたような感じ。気軽に読むのには良いです。
エラリー・クイーンの国際事件簿 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:エラリー・クイーンの国際事件簿 (創元推理文庫)より
4488104320
No.1:
(4pt)

クイーン犯罪紀行

作家のエラリー・クイーンが実際の奇妙な事件を収集しに世界全国を回る。
元ネタのクライムはかなり有名なものらしいのですが、
それをいかにもクイーン風に味付けて
面白くおかしく不可能犯罪風味にしているのがポイント。
エラリー・クイーンの国際事件簿 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:エラリー・クイーンの国際事件簿 (創元推理文庫)より
4488104320



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