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新・本格推理04 赤い館の怪人物



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初公開日(参考)2004年03月
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新・本格推理〈04〉赤い館の怪人物 (光文社文庫)

2004年03月12日 新・本格推理〈04〉赤い館の怪人物 (光文社文庫)

登竜門。注目のミステリ作家、柄刀一、石持浅海、東川篤哉らを次々と輩出した本シリーズは、職業作家への確かな道として定着した。寄せられた作品群から感じられる、煌めく才能と測り知れない将来性―中でも選りすぐりの8編を紹介する。斬新なトリック、緻密なプロット、独創的な構成…次代のミステリ界を担う逸材は、この中から生まれる。(「BOOK」データベースより)




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No.1:
(5pt)

ちょっと低空飛行気味

う~ん、前作品集で小貫風樹氏という才能が出てきたことで俄然このアンソロジーのシリーズのレベルが上がったと思ったのだが、今回は退化した印象は否めない。全体的に小粒というか二番煎じのような印象を受けた。
というのも今まで採用された作者の作品が載っているのだが、それらの作品の傾向が前作と似ており、アレンジが違うだけとどうしても思ってしまった。どの作品も諸手を挙げて絶賛できるものでもなく、何らかのしこりが残るので、カタルシスまで届かないのだ。

本作品集で秀逸だったと思うのは、「迷宮の観覧車」、「殺人の陽光」、「ありえざる村の奇跡」、「金木犀の香り」の4編。しかしそのどれもがしこりが残る。

まず「迷宮の観覧車」。観覧車に乗った釣り人が降りてくる時には背中を刺され、血まみれになって横たわり絶命していた。しかも両手の指全てが切り取られた形で。11年後、ある学校の転校生が転校二日目から登校拒否をしていた。担任である若い女性教師家庭訪問に訪れるとその生徒が住むマンションは事件の起きた観覧車が見渡せた。過去の事件と何か関係があるのか?
この作者は前巻で「Y駅発深夜バス」が掲載され、『世にも奇妙な物語』を思わせる冒頭から一転して意外な真相へと繋がるという秀逸な作品を残していたのだが、今回はあまりにも人間関係の偶然が重なっていると思った。出来すぎたドラマのようだといわざるを得ない。そのせいで衝撃をもたらすと用意していた結末が逆に陳腐に感じたし、やりすぎだなと辟易もした。

次に「殺人の陽光」。青年実業家が全身に画鋲を打たれた上に出刃包丁で心臓を一突きにされるという殺人事件が起きた。非常勤のソーシャル・ワーカー綿貫の元に3ヶ月ぶりにカウンセリングに来た鶴岡愛美は自分の父親がその犯人だと云う。しかし父、栄司にはアリバイがあった。
この作者も過去に作品が掲載されており、そのどれもが高水準で、印象に残っている。特に文体が非常に引き締まっており、今回もその例に洩れず、全体を通して大人の小説だという香りが漂っている。それがためにちょっとおおげさな機械トリックがアンバランスで失望を禁じえなかった。全てを語らず、態度や描写で示す筆致はもはやプロ級なのに、惜しい。

そして「ありえざる村の奇跡」。岩手県の寒村で高さ100mの風車の上で生首が見つかるという事件が起きた。死体の正体はその村にUMAが現れるという知らせを受け、取材しに来たTVディレクターだった。そのUMAは高さ7mの窓を乗越え、100mを5秒台で走り、50mを15秒で泳ぐという。
この作者、島田氏の『眩暈』がよほど気に入っているのか、前作「東京不思議DAY」という作品で不思議な手記を用いた作品を書いていたが、今回もその趣向で、さらにグレードアップして臨んでいる。この目くるめくおかしな手記の連続は悪夢を見ているようだったが、最後に解き明かされる真相はなかなか面白かった。

最後に「金木犀の香り」。医者である異母兄の葬式で実家を数年ぶりに訪れた私は中学時代にほのかに恋心を抱いた女子中学生に思いを馳せる。しかしその女子中学生は当時公園で他殺死体として発見された。あの事件の犯人は一体誰だったのかと私は思い出とともに推理を巡らす。
ノスタルジーというかペシミズム溢れる筆致は読ませるが、あまりに内省的な内容は作者自身のセラピーを付き合っているようでちょっと疲れる。この家庭内の悲劇を語る感傷的な筆致といい、二転三転する過去の殺人事件の真相といい、もろ作者はロスマクを意識しており、文体の与えるノスタルジーとは裏腹に語っている内容は結構ドロドロだった。しかし目立った瑕はなかったし、これが本作でのベスト。

この4編を特に評価するのは制限枚数100枚を十分に活用して、事件のみならず、周辺のドラマを語り、単なる「推理」小説になっていないこと。テクニックはほとんどプロの作家と変わらないと思うし、物語としても非常に面白い。
その他の作品では人工知能AIが組み込まれた部屋(密室)を語り部に設定した異色の作品「吾輩は密室である」が敢闘賞といった感じで、それ以外は自分の趣味に走りすぎて、自己満足の域を脱していないと思う。選者の琴線には触れたかもしれないが。

選者二階堂黎人氏がちょっと趣味に走ってきた感じが今回はした。前作で面白くなるだろうと思っていただけに残念だった。次回はどうだろう?


▼以下、ネタバレ感想

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