Xの悲劇

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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ

2019年04月22日 Xの悲劇【新訳版】 (創元推理文庫)

鋭敏な推理力を持つ引退した俳優ドルリー・レーンは、ニューヨークの路面電車で起きた殺人事件への捜査協力を依頼される。ニコチン毒を塗ったコルク球という異様な凶器が使われた、あまりにも容疑者が多い難事件から、ただひとりの犯人Xを指し示すべく、名探偵は推理と俳優技術のかぎりを尽くす。巨匠クイーンがバーナビー・ロス名義で発表した、本格ミステリ史に燦然と輝く〈レーン四部作〉の開幕を華々しく飾る、傑作中の傑作。(「BOOK」データベースより)

評判

Xの悲劇の評価:

7.17/10点 レビュー 12件。 A ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点7.17pt

Xの悲劇の総合評価:

8.00/10点 レビュー 119件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

全3件 1〜3 1/1ページ
No.3
(9pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

モダンでありながら古典風味

エラリー・クイーンが当初バーナビー・ロス別名義で世に放ったいわゆる悲劇4部作の第1作。名探偵ドルリー・レーンシリーズの幕開けである。

ドルリー・レーンとエラリー・クイーン。作者クイーンはこの2人の名探偵を実に特徴付けて設定している。
犯人が確定する絶対的な証拠を掴むまで絶対に真相を話さない、お互い引用癖があるという共通点はあるものの、片や大学卒でミステリ作家でもエラリー・クイーンは若さ故に先走る事があり、書物収集家でもある典型的なインテリタイプ。
片やレーンはかつてシェイクスピア俳優として名声を馳せた人物で、常に冷静に事件を見つめ、元俳優という職業を活かし、変装までも行って独自で捜査を行い、また演劇と犯罪とを結びつけて考える、そして耳が聞こえないというハンディキャップを負いながらも読唇術で会話ができ、なおかつ推理に浸るときには目を瞑り外界からの情報を一切シャットダウンすることができる深慮黙考型の探偵だ。古典ミステリの観点から云えば、このドルリー・レーンこそ昔ながらの名探偵像に近いと云える。

またこの作品、国名シリーズと違って、非常に古めかしい装いを呈している。
なにしろ冒頭は山奥に建つイギリス様式の、個人劇場を備えた豪邸ハムレット荘を訪ねることから始まるのだ。ニューヨークに住居を構える都会型探偵エラリーとは大違いの舞台設定だ。
事件は衆人環視の満員電車の中での殺人、また乗客の多数乗った連絡線からの墜落死とモダンな感じはするものの、レーン氏の風貌、文体などからもこれぞ古典本格ミステリといった風合いが漂う。こういうガジェット趣味は現代の新本格ミステリに通ずる趣向であり、読んでて非常にワクワクした。

さて読者への挑戦状は挿入されていないものの、国名シリーズ同様、犯人を当てられるだけの材料は真相解明には全て揃っていた。
そして本作が発表された1932年という年は他にも『ギリシア棺の謎』、『Yの悲劇』、『エジプト十字架の謎』というクリーン諸作の中でも代表作と呼ばれる4作品が発表されたクイーン最盛期の年である。

本作では殺人事件は3つ起き、それぞれの舞台は電車、定期船、電車と乗り物であるのが特徴。装飾は古めかしいが、殺人現場は非常にモダンである。
そしてこれら「動く密室」を設定しているのが、国名シリーズとは一線を画するといったところか。そして犯人逮捕シーンも最後の殺人の舞台となった電車内で行われる、劇的趣向が施されているのもやはり主人公レーンが元舞台俳優であることを意識しての事なのかもしれない。

本作のタイトル『Xの悲劇』の「X」の意味について、作者はきちんと答えを用意している。
その正体はなるほどね、という軽い意味合いのものではあるが、雰囲気や字面だけで題名をつける作品が多い中、こういう誠実さは非常に好感が持てる。それが果たして「悲劇」になったのかどうかは別にして、記憶に残るタイトルと正体であるのは間違いない。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.2
(9pt)

Xの悲劇の感想

初エラリー・クイーンです。ガチガチの本格読むのが久しぶりだからかも知れませんが、こんなに面白いとは思わなかったですね。古さも違和感もあまり感じず、魅力的な探偵にすっかり魅了されました。最近まで翻訳ものは敬遠していたのが、勿体無かったです。
思えば昔、新本格に夢中になった時期が有りましたが、随分時間が経ってから元ネタにたどり着いたと言う訳ですね。しばらく古典を読んだ後は、新本格を読み直して見よう。

なおひろ
R1UV05YV
No.1
(9pt)

鮮やかな名作


▼以下、ネタバレ感想

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Emm
Q2MI66AG

Amazonレビュー

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未読の方はご注意ください

No.107
(5pt)

ポーの影響

エドガー・アラン・ポーは、探偵と犯人が鏡像関係にあることを繰り返し描きました(『謎ときエドガー・アラン・ポー』参照)。エラリー・クイーンのこの作品でも、探偵と犯人は本質的に似通っています。探偵は元役者で、メークや衣装を変えて、一人で何役もこなせる人物です。そして犯人もまた……。
 Yの悲劇では、ポーのデュパン第一作(モルグ街の殺人)における犯人(オランウータン)をなぞってクイーンは犯人を造形したと私は思っています(クイーンの犯人も「猿まね」が上手です)。Xの悲劇では、デュパンものの最終作(盗まれた手紙)の犯人像(探偵デュパンの「双子」のような犯人)にクイーンはインスパイアされたのではないでしょうか。ならばZの悲劇はどうなのでしょう。こんど読んでみたいと思います。
 ちなみに、この新訳はとても読みやすいです。Zの悲劇も中村さんの訳で……しかし、まだ(2024年7月時点)出ていないようですね。
Xの悲劇【新訳版】 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: Xの悲劇【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488104436
No.106
(5pt)

XもYも実は面白い

エラリー・クイーンはYの悲劇から先に読んだのですが、翻訳も読みにくいしなんだかなぁ。。。と言う印象でした。が、こちらのXはテンポが良く入りやすかったです。その上でもう一回Yを思い浮かべると、Xと同じくらい良い作品と感じました。車掌業務を掛け持ちとか、多少無理ある気はしましたが、全体を通して推理小説らしい論理的な展開だったと思います。
Xの悲劇 (1963年) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: Xの悲劇 (1963年) (角川文庫)より
B000JAJ2S2
No.105
(3pt)

久しぶりに読んで見ました

Xの悲劇、Yの悲劇、Zの悲劇は,エラリークイーンの代表作として,ずっと心に残っていました。久しぶりに,Zの悲劇を読んだのをきっかけとしてXの悲劇も読んで見ました。思っていたほど,すっきりとした推理とは言えませんでしたが,推理小説の金字塔として,もう一度読んで観る価値はありました。
Xの悲劇 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: Xの悲劇 (角川文庫)より
4042507158
No.104
(4pt)

ヴァン・ダインも読みたくなる

後世的にはクイーンの方が知名度や評価が高いが作品の数と打率、話題作りなどそれは個人的にも納得である。が、クイーンの最高傑作との呼び声も高い本書を読んでみると単品においては両者甲乙つけがたくクイーンはヴァンダインのフォーマットを流用している事と当然ヴァンダインの方が先という事で個人的にはヴァンダインの方が上な気はする。といっても本作は老俳優探偵でその仕事がら変装も得意というオリジナルな面白さ。日本の推理大家たちの多くがクイーンの後追いと言ってもいい位の事を鑑みるにクイーンもやはりすごい。クイーンを読むとヴァンダインのグリーン家や僧正あたりも読んでみたくなる。ようは色々この時代の「元祖推理作家たち」の作品を読みたくなる事間違いなしの作品。
Xの悲劇 (1963年) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: Xの悲劇 (1963年) (角川文庫)より
B000JAJ2S2
No.103
(5pt)

数10年ぶりに読んでみた

三大ミステリー作家と言われているが、日本ではアガサアガサアガサなのだろう。
時代は100年くらい前のニューヨーク。
この小説が正確なのかどうかは分からないが、当時のNYの描写には引き込まれる。
だが、訳されたのも50年くらい前なのだろう。
放送禁止用語、言葉狩りで無くなった言葉(良いことか悪いことかは分からない)、そして、今の日本語としては違う漢字になった熟語や言い回し、原音に忠実なカタカナ英語。

記憶に間違いが無ければ、エラリー・クィーンのデビュー作への対抗として書かれている。
発表時は変名だったため。

数十年前は4部作を一週間で読んでしまったが、一日一章と決めて辞書で漢字や熟語、時代背景を確かめながら読んだ。

 アガサは今でも色々な訳者がいて、時代に言葉もあわせてくれているが、物語に入るまでは勇気がいる。
 できれば新しい訳者に出てきて欲しいと思う、良い作品だ。
 私は4部作で一つだと思っていて、これがミステリーの最高傑作だと、数十年前も、今、読み返してみても、そう思う。
 一度時代と世界に入れば、その中で動き回れる。
 また、夜更かしに引きずり込んでくれた、とても良い作品。
Xの悲劇 (1963年) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: Xの悲劇 (1963年) (角川文庫)より
B000JAJ2S2

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