■スポンサードリンク


本好き! さんのレビュー一覧

本好き!さんのページへ

レビュー数178

全178件 141~160 8/9ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
 閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
No.38:
(9pt)

「デッド・オア・アライブ 江戸川乱歩賞作家アンソロジー」収録作品

乱歩賞作家7人によるアンソロジー「デッド・オア・アライブ」のトリを務める短編です。
ナノバブル発生装置を開発した女社長と、離婚寸前の夫、専務の男、秘書...
サスペンス色豊かに、あっといわせる結末もなかなかのものです。
本作ほか、6編の傑作短編が収録されていますが、さすがトリを務めるだけあります。
他の作品では横関大、薬丸岳の作品が特に印象的でした。


鏑木蓮終章~タイムオーバー~ についてのレビュー
No.37:
(9pt)

私に似た人の感想

著者いわく「乱反射」路線ということで、”小口テロ”を10人の登場人物の視点から描かれており、結末は著者ならではの驚き付きです。
テロなるものが日本でも普通に起こるようになった昨今、著者のメッセージも込められているような気がします。
登場人物の中では「ヘイトさん」のキャラが際立っていて、個人的には気に入っています。でも彼の行く末は...
「乱反射」路線とのことですが、ストーリー展開はどっこい、結末はこちらの方がいいですね。(まぁ、好き好きはあると思いますが。)
私に似た人
貫井徳郎私に似た人 についてのレビュー
No.36: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

佐方貞人シリーズ以外も期待

大藪賞の受賞作ということで、内容も濃いし女性作家とは思えないほど骨太な作品。
連作短編集とはいっても、必ずしも佐方検事が主人公ではない短編もあって、なかなか考えてるなと思いました。
「本懐を知る」など、スピンオフ的な作り方をしているのはポイント高。

後は、デビュー作もそうでしたが、佐方貞人シリーズ以外のテーマ・題材の全く違ったミステリーも書いていただいて
どれだけ書ける作家なのか見てみたいと思います。
検事の本懐 (角川文庫)
柚月裕子検事の本懐 についてのレビュー
No.35:
(9pt)

大江戸恐龍伝の感想

構想~完結実に20年、著者渾身の超大作。平賀源内が活躍する歴史ロマン小説。
龍の骨といわれるものを発見し、その謎を追って困難を越えながら真相に迫っていく壮大なストーリー。
第一巻はその序章ともいえます。
謎の龍骨にまつわる伝承や、漂流の末謎の生物に襲われる猟師たちの話など、この後どう展開していくのかが気になって仕方がなくなる第一巻です。源内のほか、鬼平こと長谷川平蔵や上田秋成、円山応挙なども登場。
全五巻、歴史ロマンあふれる展開が期待できます。

第二巻に入り、話が徐々に核心にせまってきます。龍掌の謎を探ろうとする源内の周りには火鼠の一味なる不穏な陰が。
また、それにまつわる「判じ物」を解読するシーンも楽しいところです。

ニルヤカナヤに向けて出航する第三巻では、立ち寄った琉球での神女(ノロ)たちとの対面など、謎の解明に向けて徐々にストーリー展開されてきます。この辺は「龍の掌」はちょっと置いておいて…との印象ですが。

第四巻ではいよいよニルヤカナヤに上陸、そこでこの物語のクライマックスといえる局面を迎えます。特に戦闘シーンは圧巻。そして龍が本格的に登場してきますが、まさに和製ジュラシックパークの様相!?源内さんは最大のピンチに!?

クライマックスを迎える第五巻は江戸の町を龍が暴れまわるさしずめ「江戸時代版ゴジラ」。
当初龍を見世物にしようとした源内の思惑は思わぬ方向へ向かうことに。
著者本人が映画化を希望しているように、ビジュアル面でも見ごたえある迫力満点の超大作です。
原作に忠実に映画化するなら、映像化に消極的な私でも満足のいく映画になるのではないでしょうか。
大江戸恐龍伝 第一巻
夢枕獏大江戸恐龍伝 についてのレビュー
No.34:
(9pt)

ようこそ、わが家への感想

久々にミステリ色の濃い作品。
電車の順番抜かしを注意したばっかりに嫌がらせを受けるようになる主人公。会社での架空取引の真相を暴く池井戸さんお得意のストーリー。この二つが融合してワクワク感満載となっています。
ミステリ色が濃い(殺人未遂も発生!?)こともあり、半沢シリーズとは少々趣の異なる一冊になっています。
池井戸さんの作品はどれも読みやすく、銀行や会社の経理事務の流れがわかりやすく描かれているところがイイですね。

ようこそ、わが家へ (小学館文庫)
池井戸潤ようこそ、わが家へ についてのレビュー
No.33:
(9pt)

ねじれた過去 京都思い出探偵ファイルの感想

京都を舞台に人の「思い出」を探す思い出探偵シリーズ第2弾。
ポイントは、依頼人の要望に応えるストーリーだけでなく、探偵側そのものの人間的な部分が描かれているところ。
探偵も人間だから、悩む。これがこのハートフルミステリの奥深いところ。
連作短編の作品のうち、役者志望だった探偵のうちの一人が、探偵事務所をやめ、念願かなって役者の道に進んでいくのですが、
行方不明になった役者仲間を探す章は本作本来の主題から少し外れているような印象が残ったのが残念です。
最後の「思い出をなくした男」の章は泣ける作品だと思います。



ねじれた過去 京都思い出探偵ファイル (PHP文芸文庫)
No.32: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

最後の証人の感想

冒頭から期待を持たせてくれる作品です。
法廷ミステリはどうしても法廷での検察側と弁護側のやりとりが大半を占めてしまうものですが、
本作は飽きさせず間延びさせず、面白く読み続けさせてくれます。
終盤のドンデン返しもある程度予測はつくとしても、キャラ設定は際立っているし。
一番考えさせられたのは、警察組織のウラの部分。
身内かわいさで身内をかばう体質は現実にもあるのは疑いないところで、警察がキライな理由の大きな部分です。
似たようなケースが現実に起こっているのはまちがいないのでは?という感想も持ちました。

最後の証人 (角川文庫)
柚月裕子最後の証人 についてのレビュー
No.31:
(10pt)

光秀の定理の感想

明智光秀を主人公にした小説はなぜこれほど面白いのでしょうか。
光秀(十兵衛)と僧・愚息と剣人・新九郎との友情物語の色濃く、彼らの性格描写は格別です。
また光秀に妻・熙子に対する愛情もよく出ています。
数学の問題の部分がかなりウエートを占めていますが、出てきたときにはもう時間も忘れて読みすすめました。
「本能寺」後における彼らの光秀に対する推測も十分うなずける内容でした。
信長も出てきますが、意外とイメージよりやさしい人物に描かれている?
真保裕一「覇王の番人」と併せて読むとより楽しめるかも。
光秀の定理 (角川書店単行本)
垣根涼介光秀の定理 についてのレビュー
No.30: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

前作同様痛快ストーリー

前作「おれバブ」に続けて読みましたが、負けず劣らず痛快なストーリーで時間を忘れて読み進めました。
同作は半沢はもちろん、出向先で奮闘する近藤や金融庁のオネェ検査官・黒崎といった個性的なキャラも登場してきますが、
特に近藤には思い切り感情移入でき、思わず「がんばれ!!」と声をかけたくなりました。

半沢の活躍ぶりはもはや言うまでもないこと、徹底的にやり返す(「倍返し」と言う言葉が小説にも出てくるんですね)様が気持ちいいくらい痛快です。

近々「ロスジェネの逆襲」も読みましょう。そして4作目になる「銀翼のイカロス」も今は週刊誌に連載中とのこと、単行本で刊行されるのが楽しみです。
オレたち花のバブル組 (文春文庫)
池井戸潤オレたち花のバブル組 についてのレビュー
No.29: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

元銀行員の著者ならではの痛快小説

あの大ヒットドラマの原作ではありますが、元来原作と映像は別物と認識しているので、ドラマは全く見ていません。(某出演者がキライというのもあって。。。)
元銀行員であらせられる池井戸さんならではの痛快な作品。銀行をやめたのは実際にひと悶着あったからで、それでここまで銀行組織の闇の部分を書いているのでは?と思わせますが、勧善懲悪的な展開になっていることや、半沢直樹君の活躍ぶりがみごとにハマッています。
ここに起こっていることは、決して小説の中だけではなく、多かれ少なかれ現実の銀行組織でも起こっていて不思議ではないことであり、「銀行の常識は世の中の非常識」をまざまざと体感させてくれる”半沢直樹シリーズ”第1作目であります。
ますます銀行組織と銀行員がキライになります。。。
これを読んで銀行に就職したいと思う学生がいるのでしょうか?
オレたちバブル入行組 (文春文庫)
池井戸潤オレたちバブル入行組 についてのレビュー
No.28: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

日本の黒い霧~昭和の激動期を実感

昭和20年代、日本はGHQの統制化にあり、混乱状態から抜けられないでいた時代に起きた数々の事件の謎を清張さんが独自の観点から推理する。
有名な下山事件、松川事件に帝銀事件などは、事件の概要は良く知っていたが、そこにはGHQの影がうごめいていた。。。
聞いたことのある事件から、初めて耳にしたような事件まで、清張さんの名推理が展開され、戦後間もない頃の日本国内の混乱の様がよくわかった。真相はいかに、という感じですが、真犯人に突き当たりそうになったら急に警察が捜査を終えてしまうところなど、似たような事件は現代にもあるような。。。
本作に納められた事件については、当時も今もその推理について物議をかもしているようで、本作の影響力の大きさを知らされますが、特に伊藤律の章などは、伊藤の遺族から大きな間違いを指摘され、場合によっては発禁もありうるという記事を最近読んだことがあるくらいです。なんといっても、事実は小説より奇なり、歴史は生き物なんですね。
日本の黒い霧〈上〉 (文春文庫)
松本清張日本の黒い霧 についてのレビュー
No.27: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

臨床真理の感想

正統派の医療ミステリと思いきや、障害者を題材になんともいえないダークさというか、
ここまで書いて大丈夫か?というくらいエグイ小説です。(特に最終盤)
ストーリーは割合ミステリの王道を行っていて、キャラクターもそれぞれ持ち味を出してます。
司の特殊能力もミステリらしくでいいじゃないですか。
美帆や友人警察官もいいキャラです。

障害者の描き方云々が言われてますが、私はこのくらいエグくてもいいのでは?と思います。
さすがに終盤のシーンはそのエグさに「!?」が目の前をユラユラしながら読んでいましたが、
これまで読んだこのミス大賞作品野中でも、レベルは上位だと思います。(このミス大賞の受賞作には結構エグイ内容の作品が多いと思うのは私だけ!?)

評価の高い柚月氏の他の作品も楽しみです。
臨床真理 (角川文庫)
柚月裕子臨床真理 についてのレビュー
No.26: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

思い出探偵の感想

思い出の人・もの・ことを探すのが生業の思い出探偵。
終戦間もない頃の混乱期に出会った女性や、大事な落し物を届けてくれた名前も知らない人を探すことを生業とする思い出探偵。
”ハートフルミステリ”作家の著者ならではの心がホットになる作品です。
中にはサスペンス色の強い章もあり、できたら全て”ハートフル”であってほしいとも思いましたが、
どの章も「思い出」をテーマにしていることを思えば、少し変化球で攻めるところがあってもいいかなと。「思い出」とはいいものも悪いものもありますからね。
「思い出をなくした男」が続編とのことなので、早いうちに読んでみたいですね。

思い出探偵 (PHP文芸文庫)
鏑木蓮思い出探偵 についてのレビュー
No.25: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

写楽の正体見たり!?

謎の浮世絵師・東洲斎写楽の正体を著者ならではの視点で解明していく傑作長編。
その謎については諸説入り乱れているのですが、島田説はまさに目からウロコ!
これまで誰も目をつけなかったところ(意外と盲点?)に注目、謎解明のストーリーは
納得の一言です。

惜しむらくは、冒頭からしばらく読まされる”六本木回転ドア事故”。
なにか写楽の謎につながるのかと思って読んでいると肩透かしをくらったような感じです。
この事故は写楽とは直接関係ないので(こっちの方は解明まで行かないので)、
写楽の謎解明の部分が痛快だっただけに、よけいなサイドストーリーをつけてしまったな、という
印象が残り、残念な後味でした。
写楽 閉じた国の幻
島田荘司写楽 閉じた国の幻 についてのレビュー
No.24: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

ローカル線サイコウ!

赤字廃止寸前のローカル線を再生させるべく、社長に抜擢されたのはなんと、新幹線のカリスマ・アテンダント!運転ダイヤは1時間に1本程度の青息吐息ローカル線が、新社長の画期的なアイデアによって見事に地元に愛され蘇る。
本書はそんな企業再生物語にミステリの要素を絡めた、実に痛快な作品です。ミステリの部分は著者ならではの展開になっています。
現実にも再生を果たした路線はあるし、工夫次第で廃止を免れることは可能だということを改めて教えてくれています。鉄道オタクの皆さんにもぜひ読んでもらいたいです。
ローカル線で行こう! (講談社文庫)
真保裕一ローカル線で行こう! についてのレビュー
No.23: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ミステリ色が一層濃くなりました

これまでと物語の印象がかなり変わりました。
長編であることのほかにも、江戸川乱歩をテーマにして暗号解読なんかも出てきて、ミステリ色が濃い一冊となっています。
いつかは出てくるだろうな、と思っていたらやはり出てきた「乱歩」。
ストーリーもそれに合わせたでしょうね、ミステリの王道のような展開です。
栞子さんの”探偵ぶり”も堂に入ってます。
こうなると次回作はもっとミステリらしくなるんでしょうか。
そして栞子さんと大輔君の運命は!?
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)
No.22: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

いつまでもショパン。いつまでも岬洋介。

岬洋介シリーズです。「ドビュッシー」「ラフマニノフ」ときて「ショパン」です。
前2作と比して、舞台がポーランドで行われる「ショパン・コンクール」、そしてテロリストによる爆破事件とスケールが一気に大きくなりました。そして、内容の描写も格段に進化しているような気もします。コンクールの場面とテロの部分も難なく融合していると思います。
コンクールにおける演奏時の描写も変わらず秀逸で、まさにその場にいるように演奏者や観客の気分がよく伝わってきます。
それにしても、われらが岬洋介の今後が気になります。
ショパンの次にお目見えする大作曲家はさて、どなたでしょうか(・ ・)??

いつまでもショパン (宝島社文庫)
中山七里いつまでもショパン についてのレビュー
No.21: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

大人の恋愛ミステリ!?

女性ベストセラー作家が突然の絶筆宣言、その真相を探り、できれば作家活動を再開してもらうべく、編集者が女性作家・咲良怜花の元へ。そして彼女は切々と絶筆宣言に至った経緯を語る...
作家・咲良怜花誕生の秘話から挫折、男性遍歴とベストセラー作家への転機、そして筆を折ることとなった経緯が実に細かに描かれています。
作家デビューまでの経緯は、一時は作家を夢見た私にとっては、生半可な考えではとても難しいぞといわんばかりに、その困難さを教えてくれてもいます。(著者ご自身の経験も踏まえてるんでしょうか?)比較的重厚な物語となっており、またその結末も重いものがあり、読み応えのある一冊でした。
女性作家を主人公にした小説を男性である著者がみごとに書き上げています。女性読者から見た咲良怜花観はどんなものなのでしょうか。

新月譚
貫井徳郎新月譚 についてのレビュー
No.20: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

玄太郎じいさん大活躍!

「さよならドビュッシー」にちらっと出てくる玄太郎じいさんが主役となったいわゆるスピンオフ小説。
脳梗塞で倒れて車椅子生活となるも、その毒舌ぶりは健在で、その名探偵ぶりを存分に発揮してくれる短編集です。
「さよならドビュッシー前奏曲」とは文庫化にあたって改題されたもので、最終章以外は音楽的な要素は一切出てこないので、少々違和感を感じるが、最終章でやっと音楽的要素が現れ、しかも岬洋介が登場するのでまぁ、よしとしますか。
どの章もそのどんでん返しぶりに度肝を抜かれました。(ちょっと大げさかな?)ぜひ続編を期待します。

さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
No.19:
(9pt)

異色な乱歩賞作品

歴史的超大作「カラマーゾフの兄弟」の続編に勇猛果敢・大胆不敵にも挑戦し、江戸川乱歩賞受賞の快作です。ドストエフスキーの作品を日本人が完結(?)させたなんて考えるとなんとも壮大ですが、乱歩賞史上異色さでは群を抜いているでしょうね。
物語全体に”ロシア”感があふれているし、原典を読んでいない人にもわかるようご親切に概略が盛り込まれている点には好感。しかし、19世紀半ば頃の話にしては、その頃の雰囲気がイマイチ伝わってこなかった。
このスタイルでの受賞は著者だからこそで、選考委員も言ってるように、二番煎じは絶対やめましょうね。
カラマーゾフの妹 (講談社文庫)
高野史緒カラマーゾフの妹 についてのレビュー