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本好き! さんのレビュー一覧
本好き!さんのページへレビュー数178件
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「人の心を理解し、人に寄り添ってくれる。こんな動物は他にはいない。」本作を読むとそれがよ〜くわかる。いい人間、悪い人間の違いなんか当然わかってるんだろうな。犬を飼っていたことのある私も、これを読んで改めて犬が人間に対してもっている感情がどれだけレベルの高いものかを感じ取ることができました。私も感じたことがあるのですが、やけに飼っていたのと同じ犬種に出くわすな、と思っていたら当の犬が実は亡くなったと聞かされ、きっとありがとうを言いに来てたのでは?なんて言われたことがあります。本作は現実感はイマイチかもしれないが、そんな犬の想像以上の賢さを思い知らされる作品でした。直木賞受賞おめでとうございます^_^
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大河ドラマの影響もあり、12年ぶりに再読。光秀に関する研究も進み、またドラマや小説などの本を読んできたこともあり、より内容が鮮明に理解できた。改めて真保さんの筆力に感服。
小平太を代表する忍びの躍動ぶりも感動的、上下巻に分かれて長いかと思われた大作もあっと言うまに読破。光秀に関する謎はこうだったらいいな、面白いなと思ったことをほぼ網羅してくれていて、文句なしの傑作と言えます。 数年後、また再読したいです。 |
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【ネタバレかも!?】
(2件の連絡あり)[?]
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深海調査船を舞台にしたスリル満点海洋ミステリ。
さすが真保さん、この手のサスペンスは外しません。閉ざされた空間で繰り広げられる展開は「ホワイトアウト」を彷彿させるが、また違った世界を見せてくれます。そして全編にちりばめられた蘊蓄(こういうと否定的に感じるかも知れないが)も真保さんらしさが活きていて、名手健在を印象づけてくれました。 |
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ガミさん、日岡、そして沖虎彦。3人の個性が光る3部作の完結編。本作の昭和57年編ではやはりガミさん。
そして平成16年編では日岡が捜査の中心にいるわけだが、全体にわたってその存在感を重く漂わせているのが沖虎彦。改めて彼の人生を考えてみると、なんとも言えない世の中の不条理が見えてくる。本作の真の主人公は沖か。 「孤狼の血」シリーズ3部作はとにかく骨太で丁寧かつ重厚な作りが際立っており、本作のラストは掉尾を飾るにふさわしいグサリとくる読後感。 |
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限りなく事実に近いフィクション、「下山事件 最後の証言」と併せて読めば、昭和史最大の未解決事件の真相がわかるかも知れない。同時に戦後史の闇の部分が垣間見える。でも最も感じたことは、数多い未解決事件、この作品と同じようなことがウラで蠢いているのではと勘ぐらされてしまったのも事実。
600頁以上ある分厚い文庫本だが、あっと言う間の一気読みだった。 |
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万年最下位球団を引き受けることになった新米監督の奮闘ぶりがコミカルに感動的に描かれた、野球好きにもってこいの作品。監督と曲者のコーチ陣、選手との葛藤が、実際もこうなんだろうなぁと思わせてくれながら、強豪チームに立ち向かうチームの奮闘が、笑いとともに伝わってくる。私も野球好きなので、現場の泣き笑いがよくわかる。
好きな場面のひとつとして、監督が電話で奥さんと話したチームを率いていくヒントを得るところ。各章に用意されているが、ちょっとしたポイント。 でも第5章の美人広報のエピソードはなくてもよかったかなぁと思った。 野球好き、特に弱い球団のファンなら最後はウルッときますねよ。 |
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ミュージシャンであり小説家である黒木さんの処女小説、当初はCDアルバムの付録となっていた連作短篇。しかし、あなどるなかれ、その完成度はハンパない!
鹿の剥製と話ができる主人公たち。それだけ聞くとファンタジーそのものだが、荒唐無稽というなかれ。初めはファンタジーとして読み進めていくが、終盤からミステリー、ホラー色が濃くなり、人生を見つめ直していくストーリー展開。そのポイントポイントで話ができる鹿の剥製が重要な位置を占める。 初めての小説でこれだけの作品が書ける著者。彼女が生み出す音楽とともに小説も大いに期待できる。 |
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昭和史に残る最大のナゾ多き事件。その事件に関わっていたかも知れない人物の孫にあたる著者による渾身のドキュメンタリー、語られていることはほぼ真実に近いのでしょう。これを読めば下山総裁は自殺だなんて到底思えない。それで一応片付けられているのは戦後の昭和を動かしていた政府の闇がありありと顔を見せているのです。昭和史の、特に戦後史を学ぶに実に有益なノンフィクション。
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孤高のミュージシャン、そして小説家。
音楽好きで本好きな私にとって、これ以上ないものを提供してくれる黒木さんの作品をまずは最新作を読んでみた。 「父」という存在がこれほどまでに主人公・栞に影響を与えていたのか。父を亡くしてそれほど経っていない私にも父とは?家族とは?と考えさせてくれる問題作です。冒頭のエピソードが結構エグく迫ってくるし、ヤなやつが次々出てくるので、全編こんな感じ?と思ったが以外に軽く進むし、途中、黒木さんの曲の歌詞も出てきて思わずニヤリとしたりして読みやすかった。次は作家デビュー作を読んでみよう。 |
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毎度おなじみのストーリーながら、食堂を訪れる依頼客のエピソードと、こいしの京女ぽさ、流の食に対する取り組み方はいつもほっこりさせられる。「たらこスパゲティ」の元アイドルのエピソードでは、グループにいるときはチヤホヤされて有頂天になっていても、いざ年をとって人気が下降線になってみると何も取り柄がなくなってしまった哀れな姿をまざまざと感じてしまった。現実にもほら…
「カツ弁」、「かやく御飯」の章も感慨深く、これまでの5巻以上に「家族」をテーマに胸を打つエピソードが多かったように思う。 さて、「まんぷく」となったからにはもう終わり?それともまだ続くのかな?だとしたらなんという副題が? |
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女性主人公はお手の物(?)の著者ならでは、西澤奈美がかっこいい。ステレオタイプという意見もあるが、ミステリに登場する女性はこうでなきゃ、という感想を持った。AIやフェイクニュースなど最近のトレンドをもりこんだのは賞を意識した面もあろうが、さすがうまい作家だと思った。乱歩賞も令和になり様変わりしてきたか。
欲を言えば、もっと大掛かりな捕物帳でもあれば読み応えも増したかもしれない。次回作に注目。 |
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小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」掲載の短編。
タイトルから「鏡地獄」を連想したが、全く異なる内容。鏡がベースにはなっているが、戦争末期の空襲や工員として駆り出される女生徒など、戦時文学としてもグッとくるストーリーになっている。 でもやはり、乱歩へのオマージュということであれば、著者なりに「鏡地獄」からこの作品に昇華したんでしょう、収録作品の中では(乱歩を抜きにしても)読み応えあり、読後感のよい作品でした。 |
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講談社「戦国の教科書」収録の短編。著者初の戦国ものであるが、宗教勢力の統制を進める豊臣秀吉より方広寺大仏殿の造営を任されていた高野山の僧・木食応其を主人公とする当時の宗教思想をテーマに描かれている。古代史ものが多いイメージがある著者だが、それ以外の時代であってもその時代を生きた人たちの生き様はしっかりと伝わってくる。地震の被害から喫緊の対応を迫られる人たちの描き方がインパクトを与える。収録作品の中でも最も心動かされる一品。
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誘拐がテーマとあって、全編にわたって漂う緊迫感は圧倒的。
真保さんの名作「誘拐の果実」を凌ぐほど。 孫娘を誘拐されて、あたふたする政治家の様子は、政治家嫌いにとっては溜飲が下がる思いさえした。それは事件の真相が判明しても変わらなかった…かな? 改めて真保作品の圧倒的筆致に感動。 |
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岬洋介の司法修習生時代を描いており、もともとはそちらの道に進むはずがピアニストを目指すこととなったきっかけがわかる作品になっている。
前半は修習生がどのような指導・実習を受けて法曹の世界へ進んでいくのかがわかる。実際の事件を取り扱ってその世界の厳しさ・むずかしさを体験できる。 後半からはあるきっかけを元にピアニストを目指すスイッチが入ってしまい... 当シリーズのお楽しみのひとつであるピアノ演奏シーンは後半にたっぷり用意されていて、前半の音楽ミステリらしからぬ展開をしっかりいいい払拭してくれる。 実際の事件を解決に向かわせるミステリの核の部分がやや物足りない気がしたが、いずれにしてもこのシリーズ、演奏シーンがとても爽快なので、岬の現在なども取り上げて続けていってほしいです。 、 |
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前作は5つの区の薀蓄をミステリ仕立てで展開、今作は続編として4つの区の章からなっています。池袋のポルターガイスト、東向島の消えた小説家、立石様の奇跡、将門の首塚…
後のニ区(葛飾、千代田)がなかなかに練られているなと感じたのは、なんでも願いを叶える「立石様」を家族の絆を結びつけたこと、そして将門の首塚の伝説とこのシリーズの根幹の部分をうまく関連させて、意外な形でシリーズ3作目を期待させていること。さすがは業界人、と言わせるほどの作風は自然と次も読まなくちゃ、とのめり込ませてくれました。23区ガイド的なのは今回も健在ですが、ミステリとしてもしっかり成立していると思います。 ところで、まだまだ私の第二の故郷であるあの区は出てません。あの区のどんな謎と薀蓄を披露してくれるのか、楽しみです。次回作に登場するか? |
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他の作品とはやや趣が異なるけれど、心が温まる極上のアート短編集です。中でも「群青」「デルフトの眺望」「道」は特にオススメ。
どれも心温まる、感涙のストーリーですが、「デルフト〜」は私の義父も介護ベッドで寝たきりになった末に亡くなり、しかも「真珠の首飾りの少女」が好きだったので実体験とのかぶりにジンとくるものがありました。 「群青」「道」も情景がしっかり心を動かしてくれます。 |
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痛快!明智小五郎VS黄金仮面!
理屈抜きで楽しめる乱歩の代表作! 荒唐無稽かもしれないけど、それはそれ、描かれた時代を考えれば乱歩の発想力、才能が堪能できる。 |
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「平将門」と「音楽」。この2つの異質なるキーワードが気になって本作を手にとった。兎にも角にも重厚な世界が広がり、戦のシーンに圧倒されるが、その中で琵琶の音色のみごとな描写、寛朝の将門に対する心の動き、また重厚な中に一種の清涼をもたらしてくれる傀儡女。そして終盤になるにつれて凄惨さを増してくる戦の血腥いまでの場面。当時の人々が何を思って生きていたか。読むほどにひしと伝わってくる思いがした。
この時代をしかと描けるのは澤田氏ならでは。 |
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MoMAを舞台にマハさんならではのアートストーリーが展開される。9.11や3.11を巧みに織り交ぜ、リアリティ豊かな作品となっている。
「ロックフェラー・ギャラリーの幽霊」や「新しい出口」に登場する初代MoMA館長・アルフレッド・バーの人柄に感銘を受けた。この手のアート小説はマハさんの独壇場か。 最終盤に出て来る一文「Happy To See You」は今の素直な気持ち。 |
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