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本好き! さんのレビュー一覧

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レビュー数183

全183件 21~40 2/10ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.163: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

魂の歌が聞こえるかの感想

音楽業界のお仕事小説ともいえる、これまた著者の新境地。新人バンドの売り込みに駆け回る主人公。かつては人気を誇ったアーティストの人気を再び呼び戻す仕事と並行して情熱を燃やすのは頭が下がる思い。音楽に興味深い者にとっても感慨深い作品だろう。全体を通して残る謎がわかると、感動せずにはいられなくなるかも。
でも、音楽に興味があってもそれを仕事にしたいとは思わなかったのも事実。
魂の歌が聞こえるか
真保裕一魂の歌が聞こえるか についてのレビュー
No.162: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

その女アレックスの感想

予想を覆される究極のサスペンス。前半は背筋が寒くなるほど残虐な描写が続き(カミーユのキャラがそれを和らげてくれるが)、後半の取調べシーンはもう目を離すことができないほど物語に没頭してしまった。数々の賞を獲っただけのことはある。このシリーズはコンプリートしてみたくなること必至。
その女アレックス (文春文庫)
ピエール・ルメートルその女アレックス についてのレビュー
No.161: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

風に立つの感想

南部鉄器の工房に補導委託で送られてきた少年と工房を営む親子と職人たち。彼らを通じて感じたのは親子、家族のあり方。工房の親子もそうだし、少年の両親とも、親子とは?家族とは?を著者はうまく感動的に描いてくれました。
これまで重厚なミステリを読ませてくれてきた著者だが、異なる形で胸に残る感動作を与えてくれた。その力量には恐れ入ります。今後もこのような感動への期待度がまたアップしました。
風に立つ (単行本)
柚月裕子風に立つ についてのレビュー

No.160:

幽玄F

幽玄F

佐藤究

No.160:
(9pt)

幽玄Fの感想

三島由紀夫「豊饒の海」4部作を読んだ者は本作も読むべし!
戦闘機パイロットとして一生を捧げた、三島作品に出てくる人物と同じ名を持つ主人公。彼の性格的には感情移入はしにくいが、一貫して戦闘機に入れ込んだ彼の一生と、彼を取り巻く様々な変人(?)たち。
専門用語などはよくわからなかったが、そんなことはお構いなく没頭して読めたことに筆者の三島に対する思いをズシリと感じる。
幽玄F
佐藤究幽玄F についてのレビュー
No.159: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

掲載禁止 撮影現場の感想

帯にある心臓の弱い方はご注意を...は決して大げさではない、まさに長江流どんでん返しの応酬!
どれも結末は予想外だが、特に「イップスの殺し屋」が最も好み。
単なるどんでん返しならよくあるストーリーだが、長江流はそこに一味も二味も付け加えてホラー色も濃くなっている。
こういった短編だと、読みやすくストーリーが入ってきやすい。
今後の期待をさらに大きくする作品。
掲載禁止 撮影現場
長江俊和掲載禁止 撮影現場 についてのレビュー
No.158:
(9pt)

二律背反の感想

プロ野球コーチの苦悩や裏方の目立たないけど大事な働きが詳細に語られていくのは、著者ならでは。
監督やコーチ仲間、選手と必ずしもソリが合わないのに優勝できるのか?殺人事件に巻き込まれているのに試合に集中できるのか?などツッコミどころは多いが、野球ファンなら充分楽しめる作品であった。二見コーチの苦悩や監督・他のコーチ・選手との軋轢だけでも一つの作品になりうるが、そこに殺人事件を絡めて、やはり本城氏の野球小説は面白い。
ところで、タイトル「二律背反」は何とも堅苦しい。文庫化される時に改題となるか?
二律背反
本城雅人二律背反 についてのレビュー
No.157:
(9pt)

ロスト・イン・ザ・ターフの感想

競馬を愛する者たちのラブコメディを描いたらこうなった、といったような実に楽しい作品。どちらかといえばライトな競馬ファン向けだが、著者らしい場面も出てくるし、おもしろくも感動的な作品でした。著者はメジロマックイーン信者か?(笑)
ロスト・イン・ザ・ターフ
馳星周ロスト・イン・ザ・ターフ についてのレビュー
No.156:
(9pt)

ふたつの時間、ふたりの自分の感想

これまで読んだ数あるエッセイ集の中でもここまで著者の思い、強いメッセージが届くものはなかなかないのでは。想像を絶する震災の体験を通じてこれからも強く生きていこうという意志。人生のバイブル(と言っても過言ではないだろう)として、落ち込んだ時に手に取れるよう、ずっとそばにおいておこう。
ふたつの時間、ふたりの自分 (文春文庫)
柚月裕子ふたつの時間、ふたりの自分 についてのレビュー
No.155: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

スタッフロールの感想

本題から少しずれるかもしれないが、映画好きだった私が映画から離れてしまったのは、最近はCGを使用した作品が当たり前になってきた事によるところが大きい。マチルダのような造形師たちが苦労して作成した手作り感あふれる作品に比べて、CGを用いた作品はコンピュータのボタンひとつで作れてしまう(本作にもそんな表現があったかに思うが)、もちろんそんな簡単な話ではないがそんなイメージはつきまとう。どうもその辺のイメージにつられてしまったところにその理由がある。
今後も恐らく昔のように映画を見に行く機会はほとんどないのかもしれない。本作を読んで、そんな勝手な感想を持ってしまった。
でも、物語としては最後には救われる。マチルダもヴィヴもそんな気分だっただろう。モノづくり、殊に映画の制作現場の真剣な取り組みが充分に伝わる読み応えある作品でした。
スタッフロール
深緑野分スタッフロール についてのレビュー
No.154: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

蒼天の鳥の感想

実在した人物を主人公に、史実を織り交ぜながらぐっと引き込まれるミステリを創り上げてくれた。自分好みで乱歩賞の中でもトップクラスの読後感。これまで知らなかった田中古代子・千鳥親子の活躍と行末。作中、二人の存在感が素晴らしいだけに、最後は涙なしでは読めなかった。
それでも、この二人の功績を知ることができたのは大きな収穫。親子揃って夭折したのは残念至極だが、母親の古代子はもちろん、7歳というあまりにも短い人生において、子供とは思えないほどの作品を遺した娘・千鳥の功績はこれからも語り継いで言ってほしいものである。
蒼天の鳥 (講談社文庫)
三上幸四郎蒼天の鳥 についてのレビュー
No.153:
(9pt)

たゆたえども沈まずの感想

著者は史実とフィクションを巧みに織り交ぜた作品創りが実にうまい。架空の人物である加納重吉が実在していたかのように存在感を示している。
また、テオとフィンセントの兄弟愛も読み応えがある。
ただし、特に前半部分では登場人物たちに感情移入出来なかったのが残念。キャラクターが独りよがりすぎたか。後半になってようやく感動を覚えるようになった。
たゆたえども沈まず
原田マハたゆたえども沈まず についてのレビュー
No.152: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

風神雷神の感想

原田マハ版「風神雷神 Jupiter,Aeolus」との読み比べでわかる謎の絵師・俵屋宗達の作家ならではの宗達論。原田版は歴史青春小説なのに対し、柳版は本格的歴史小説といえるか。
評論的な部分もあって、史実に近いのかとも思える。それもあってかところどころに横文字が出てくるのがやや気になった。
でも、ラストに向けてドラマチックになるのはこちらが上か。
本阿弥光悦、出雲阿国、烏丸光広らとの出会い・絡みは面白かった。
風神雷神 (上) (講談社文庫)
柳広司風神雷神 についてのレビュー
No.151: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

D坂の殺人事件の感想

創元推理文庫の乱歩全集にある挿絵は、昭和いや大正感が出ていて、乱歩の世界にどっぷりつかれる。一見何が描かれているのかわからないところがGood。
明智小五郎が初登場する「D坂の殺人事件」をはじめ、「虫」「石榴」を読めただけでも本書を手にとって良かったと実感。
D坂の殺人事件 (江戸川乱歩文庫)
江戸川乱歩D坂の殺人事件 についてのレビュー
No.150: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

戦火のオートクチュールの感想

ブランドには興味がないが、謎多きココ・シャネルと彼女を絡めた完成度の高い歴史ミステリーとして、本作は史実を絡めたその本質を極めていると感じさせる。
ココ・シャネルやヒトラーが生きた時代の混沌も彩りを添えて、戦時中と現代を巧みにつなぎ合わせたところも実にドラマチック。
戦火のオートクチュール(祥伝社文庫さ24-1)
佐野広実戦火のオートクチュール についてのレビュー
No.149: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ラブカは静かに弓を持つの感想

音楽小説とスパイ小説の融合。主人公・橘はどこか「ピアノマン」の雪祈に似た雰囲気を持っている印象を持ったが、音楽をやる人間はこのキャラクターが似合うのか。音楽教室の仲間や浅葉先生もそれぞれいいキャラクターで音楽好きには納得の作品。
ラブカは静かに弓を持つ (集英社文庫)
安壇美緒ラブカは静かに弓を持つ についてのレビュー
No.148:
(9pt)

鴨川食堂ひっこしの感想

鴨川食堂が上賀茂に移転!?これまでとは趣の違ったストーリー展開、今後はどうなっていくのか興味が唆られる。「鴨川食堂おでかけ」という初めての試み(ファンサービス?)や「産大」の登場で思わずほっこり。
上賀茂に移転した新・鴨川食堂の流・こいし親子の進化した姿を期待!
鴨川食堂ひっこし (小学館文庫 か 38-13)
柏井壽鴨川食堂ひっこし についてのレビュー
No.147: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

風神雷神 Jupiter,Aeolus の感想

アートミステリーの名手による感動の歴史青春小説。大半はフィクションだろうが、若き日の宗達や遣欧使節の少年たちが実際にそうだったかもと思わせるほどのリアリティで芸術を求めて命懸けの旅をする。旅の途中もさることながら、ローマにおける現地での絵画との衝撃の出逢い。シーンひとつひとつがまさに絵画的で、読んでいるこちらもそれを共有しているかのよう。
プロローグとエピローグに登場する望月彩。マハさんの分身かも、とも思わせてくれた。
風神雷神 Juppiter,Aeolus(上)
原田マハ風神雷神 Juppiter,Aeolus についてのレビュー
No.146: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

なぜ「星図」が開いていたかの感想

初期短篇8篇からなる傑作ぞろい、昭和30年代初期ということを考えれば、今なお人気を博しているのがわかるというもの。「顔」や「張込み」といった映像化作品もいいし、個人的には本作最後を飾る「共犯者」は最高に面白かった。
長篇も短篇もやはり面白い作品揃いです。
なぜ「星図」が開いていたか (新潮文庫)
松本清張なぜ「星図」が開いていたか についてのレビュー
No.145: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

教誨の感想

テーマがテーマなだけに、非常に重いものが全体的に漂う。「約束」の真相はともかく、重苦しさに終始しても、最後は救われる。また、田舎町の閉鎖的な風土もよく出ていると思う。
東北を舞台にした著作が多い著者であるが、書くのがつらかったというのがよくわかった。

教誨
柚月裕子教誨 についてのレビュー
No.144: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

残照の感想

やはり本城さんの競馬ミステリは面白い。
前半は競馬サークルの人たちの馬、競馬に対する思いが詰まったお仕事小説的な意味合いが強いが、後半になるにつれてミステリ色が濃くなっていく。
ミステリの部分は極オーソドックスだが、競馬に係る部分であの独特な世界の内面がよくわかってくる。馬という動物を扱うだけい、どんな社会よりも苦労が多い世界なんだなと思い知らされた。そして、あのラスト。ドラマチック。まさに残照。
残照
本城雅人残照 についてのレビュー