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本好き! さんのレビュー一覧
本好き!さんのページへレビュー数145件
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最近の乱歩賞受賞作の中では楽しく読めた。初応募で初受賞ということだが、女性作家ならではの丁寧さと、初応募とは思えないほどの巧みさが窺える。産業翻訳家としての技量がモノを言っているか。選評では文章が下手とか読みにくいとか言われていたけど、さほど気にならなかった。次回作以降はテーマしだいでリピーターになるかも。
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なるほど〜!と感嘆詞がもれるほど仕掛けが見事な小説です。禁止シリーズならではの仕掛けに騙された、というか見事にハマリました。ここに出てくる「伝承」が実際にあっても不思議ではない、ある意味実際にあってほしいとまで思ってしまいました。確かに二度読みしたくなるというのもわかります。ここまで来たら次の禁止シリーズはどうなるのか。恐ろしいです。人の命と恨み・哀しみについて考えさせられもしました。
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2004年の球界再編問題も記憶に新しい中、その上をいく日米球界合併問題。国内の再編問題も収束したわけではなく、いつ再燃してもおかしくない昨今、実際に起きてもおかしくない騒動を見事に描いてくれました。この小説どおりになって、野球界が人気を吹き返すかはわからないが、着眼点がいいし、登場人物には東都新聞の京極や牛島をはじめ、いけ好かないヤツらが彩を添えて一気に読ませてくれました。(俊太郎はカッコいいし、岩城の人間性はバツグンだし、、、球団や選手だけでなく、審判員も同様に不安を抱えているところを描くなどは抜かりないなと感服)
未だ反対論も多いCSや、メジャー流出など懸案絶えない中、日本球界の今後が明るいものであってほしいとの願いをこめて本作を読み進めると作者のメッセージが色濃く感じ取れるのではないでしょうか。 |
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JR貨物による輸送を題材にするあたり、真保さんらしさがよく出てる。鉄ヲタが喜びそうなテーマと原発問題を絡めたシリアスなサスペンス。確かに映像的には地味だろうが、社会派ミステリとしては、政治家の心の奥をまさぐる読み応えのある作品だった。現実にあってもおかしくないリアリティさを前面に、地味でいいから心にグッと楔を打つような重厚感あふれる作品を今後も期待したい。
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麻薬密売や臓器売買といえばミステリには今や定番化しているだろうが、佐藤氏の手にかかれば一筋縄ではいかない重厚な物語になる。
残虐なシーンがたびたび現れるが、独特な文体で淡々と進んでいくとページをめくる手が止まらないというのもわかる気がする。 登場人物が人間的なようでいて、なんだか残虐なだけの殺戮マシンになっているようで、怖さが募る。でもかといって残念さはない。 特に印象に残っているのは、コシモのいろんな意味での異常さと、リベルタのやさしさかな。 本作を読んでいる最中に直木賞受賞の朗報。とにもかくにも、いろいろ意見が取りざたされているようですが、受賞おめでとうございます。 初ノミネートで受賞も勲章です。 |
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昭和を代表する社会派ミステリの金字塔ともいうべき、傑作。といえるのは、昭和30年代にこれだけのミステリ作品が描かれ、今なお読み継がれる傑作となっていること。
今西刑事の執念の捜査、方言学、音響学、政界のウラ側までも上手く取り入れて、読み応え十分の作品に仕上げられたこと。上下巻に分かれる超長編になったのは、それだけ現実的には世の中簡単じゃないよ、と紆余曲折を繰り返す捜査やそれを攪乱する犯人のやり口を細かく描いた結果なのでしょう。採用されているトリックがどうのこうのと取りざたされることもあるようだけど、別に気にならなかった。 松本氏を代表する作品であるだけに、何度もドラマ化・映画化されているが、そのどれもが到底及ばない原作の力をよくわからせてくれた”昭和の社会派ミステリの最高峰”なのです。 追伸:「男の爆発」には笑いました(笑) |
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野球や競馬のミステリを読んできた本城氏の新境地か、ミュージシャンの世界を見事に描いた人間ドラマに仕上がっている。仲違いやドラッグなど、ミュージシャンあるあるな部分もあり、実際のミュージシャンたちも味わっている部分もあるのでは?とリアリティも窺える。
音楽を奏でるシーンも堂に入ってるんじゃないかな。歌詞もドラマチックな仕上がりですよ。音楽好きな私にも納得。 でもやはり本城氏の作品はスポーツモノがいいな、というのもホントのところ。 |
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これまでの「戦場のコックたち」や「ベルリンは晴れているか」等とは全く異なる作風で、まさにジブリ映画を思わせる幻想的ファンタジー。本の世界に入り込むというリアリティとは真逆の世界を体験する少女がとても健気で好感度↑↑。
元来、私自身はこういった作品はやや守備範囲外だけど、いつしか物語世界にどっぷりハマって、自分も”本”の世界に入り込んでしまっているのに気づくことも。 基本的には普段の読書にリアリティを求める私ですが、たまにはこういう幻想空間を体験するのもいい、と感じさせてくれた。 しかし、ひるね伯母ちゃんは気持ち悪いな。。。 |
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巷では猫ブームとやらで猫番組も多いが、やはり犬好きには犬小説。前作「ソウルメイト」と比して「命」に重きをおいたお話が多いです。
特に障碍をもった犬をテーマにしたものは、かつて私も脚の不自由な犬を飼っていたので感傷に浸っていました。 最後の章では、そんな彼らに逢ってみたくなる作品。あっちの世界で元気に走り回ってるかな。 |
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落語にはサゲが大事。破楽師匠が教えてくれたとおりに、見事に最後が決まっています。創作落語の「千歳飴」や刑務所の慰問など読みどころ満載で、まさに名人芸を堪能した気分。電撃文庫大賞の奨励賞を受賞したのも頷けます。「猫の恩返し」で涙腺崩壊です。
弟子入り志願する願もさることながら、破楽師匠の生き様に拍手! |
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認知症を題材にした前半、テロリストの暗躍の中盤、そして警察組織の闇をえぐった終盤。
この展開はミステリとして迫力あり。乱歩賞作としてはレベル高い。地味な前半から派手な中盤〜後半の様変わりには読み応えがあった。 選考委員が指摘するように、警察組織を勘違いしているには同意するが、フィクションだからいいか。 |
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生産者の立場から見た競馬を、リアリティ豊かに描いた感動作。さすがは元スポーツ紙記者、どこをとっても臨場感豊かに読ませてもらえた。生産者のみならず、調教師、騎手、馬主も実際こういうやり取りをしているんだろうなと思わせるし、結末はわかりながらも、感動に誘ってくれるのは競馬ファンならずとも納得の作品です。
帯に「ダービーのスタンドがファンで埋め尽くされる日が戻りますように」とあるように、1日も早く大勢のファンが生のレース観戦ができるようになるよう心から願っています。 |
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輪廻転生を題材にしたものは数々あれど、本作は著者のセンスのよさと読みやすさで感動的な一作。前世の記憶があるということがこれほどまでに不幸なことなのか、というのが全体に漂い、純愛ミステリといった風合いで、なるほど直木賞を獲ったのも頷けると感じた。輪廻転生は肯定も否定もしないがきっとそういう子供は実際いるのだろう、ただ上手く人に伝えられないまま大人になるにつれて忘れていくんだろうな、と思ったしだいです。
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「人の心を理解し、人に寄り添ってくれる。こんな動物は他にはいない。」本作を読むとそれがよ〜くわかる。いい人間、悪い人間の違いなんか当然わかってるんだろうな。犬を飼っていたことのある私も、これを読んで改めて犬が人間に対してもっている感情がどれだけレベルの高いものかを感じ取ることができました。私も感じたことがあるのですが、やけに飼っていたのと同じ犬種に出くわすな、と思っていたら当の犬が実は亡くなったと聞かされ、きっとありがとうを言いに来てたのでは?なんて言われたことがあります。本作は現実感はイマイチかもしれないが、そんな犬の想像以上の賢さを思い知らされる作品でした。直木賞受賞おめでとうございます^_^
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【ネタバレかも!?】
(2件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
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深海調査船を舞台にしたスリル満点海洋ミステリ。
さすが真保さん、この手のサスペンスは外しません。閉ざされた空間で繰り広げられる展開は「ホワイトアウト」を彷彿させるが、また違った世界を見せてくれます。そして全編にちりばめられた蘊蓄(こういうと否定的に感じるかも知れないが)も真保さんらしさが活きていて、名手健在を印象づけてくれました。 |
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万年最下位球団を引き受けることになった新米監督の奮闘ぶりがコミカルに感動的に描かれた、野球好きにもってこいの作品。監督と曲者のコーチ陣、選手との葛藤が、実際もこうなんだろうなぁと思わせてくれながら、強豪チームに立ち向かうチームの奮闘が、笑いとともに伝わってくる。私も野球好きなので、現場の泣き笑いがよくわかる。
好きな場面のひとつとして、監督が電話で奥さんと話したチームを率いていくヒントを得るところ。各章に用意されているが、ちょっとしたポイント。 でも第5章の美人広報のエピソードはなくてもよかったかなぁと思った。 野球好き、特に弱い球団のファンなら最後はウルッときますねよ。 |
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ミュージシャンであり小説家である黒木さんの処女小説、当初はCDアルバムの付録となっていた連作短篇。しかし、あなどるなかれ、その完成度はハンパない!
鹿の剥製と話ができる主人公たち。それだけ聞くとファンタジーそのものだが、荒唐無稽というなかれ。初めはファンタジーとして読み進めていくが、終盤からミステリー、ホラー色が濃くなり、人生を見つめ直していくストーリー展開。そのポイントポイントで話ができる鹿の剥製が重要な位置を占める。 初めての小説でこれだけの作品が書ける著者。彼女が生み出す音楽とともに小説も大いに期待できる。 |
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孤高のミュージシャン、そして小説家。
音楽好きで本好きな私にとって、これ以上ないものを提供してくれる黒木さんの作品をまずは最新作を読んでみた。 「父」という存在がこれほどまでに主人公・栞に影響を与えていたのか。父を亡くしてそれほど経っていない私にも父とは?家族とは?と考えさせてくれる問題作です。冒頭のエピソードが結構エグく迫ってくるし、ヤなやつが次々出てくるので、全編こんな感じ?と思ったが以外に軽く進むし、途中、黒木さんの曲の歌詞も出てきて思わずニヤリとしたりして読みやすかった。次は作家デビュー作を読んでみよう。 |
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毎度おなじみのストーリーながら、食堂を訪れる依頼客のエピソードと、こいしの京女ぽさ、流の食に対する取り組み方はいつもほっこりさせられる。「たらこスパゲティ」の元アイドルのエピソードでは、グループにいるときはチヤホヤされて有頂天になっていても、いざ年をとって人気が下降線になってみると何も取り柄がなくなってしまった哀れな姿をまざまざと感じてしまった。現実にもほら…
「カツ弁」、「かやく御飯」の章も感慨深く、これまでの5巻以上に「家族」をテーマに胸を打つエピソードが多かったように思う。 さて、「まんぷく」となったからにはもう終わり?それともまだ続くのかな?だとしたらなんという副題が? |
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女性主人公はお手の物(?)の著者ならでは、西澤奈美がかっこいい。ステレオタイプという意見もあるが、ミステリに登場する女性はこうでなきゃ、という感想を持った。AIやフェイクニュースなど最近のトレンドをもりこんだのは賞を意識した面もあろうが、さすがうまい作家だと思った。乱歩賞も令和になり様変わりしてきたか。
欲を言えば、もっと大掛かりな捕物帳でもあれば読み応えも増したかもしれない。次回作に注目。 |
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