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本好き! さんのレビュー一覧
本好き!さんのページへレビュー数159件
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久しぶりの貫井徳郎。罪を犯すとはどういうことか、貫井さんのわかりやすい筆致で淡々と進んでいく。わかりやすいのはいいのだが、貫井作品特有のユーモラスさ(私はそういうイメージをもっている)は影を潜め、重苦しさだけが全体を覆っていて締め付けられる思い。また意外さもないので読後感はイマイチ。確かに巧妙なタッチで貫井ワールドからは逸脱してはいないけれど……要は誘拐ミステリの要素が大半を湿るが、それ自体は普通の誘拐モノ。昭和天皇の大喪の礼とリンクさせたところは社会派ミステリ好きにとってはポイント高いか。
次回作ではもう少し明るく笑いの漏れてくるような、ホッとするのをお願いします。 |
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天保の改革ののち、歌舞音曲などを厳しく取り締まり市民を苦しめ「妖怪」とまで呼ばれた鳥居耀蔵。幽閉を終えて帰って来た江戸は東京と変わっていた…
一新を経て世の中の変化に戸惑っていたのは鳥居のみならず、彼を取り巻く能役者も同じ。彼らの境遇がよく描かれており、当時を忍ばせる時代背景もよくわかる。 できれば、鳥居耀蔵が幽閉に至った取り締まりぶりが詳細に描いてあるとさらにその時代の混乱がわかったかも。 鳥居耀蔵を取り巻く能役者たちの奮闘ぶりはよかったが、耀蔵の「妖怪」ぶりに期待していたので、そのへんは物足りなさを感じた。 |
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私にミステリの面白さを教えてくれた横溝正史、彼が生み出した名探偵・金田一耕助。日本を代表する名探偵をめぐる9人の作家によるアンソロジー。それぞれに特徴があって面白かったが、飄々としていてユーモラスなキャラクターからか、思わずクスッと笑ってしまう話が金田一のキャラと合っているようで、特に男性作家の作品が面白かった。近田一や金・田・一トリオも変化球で良かったけど、トリを飾る赤川さんのはさすが。
ちなみに私の好きな横溝作品は、ミステリにめざめるきっかけとなった「犬神家の一族」。(メジャーすぎてスミマセン!) |
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小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」収録。
収録作品の中では最も乱歩からは離れた印象が残った。 冒頭に出てくる帝銀事件とストーリー全体とどう関係してくるのか?読み進めるうち、以外なところでつながってきたが… 「QJKJQ」や「Ank」に見られるような著者独特の世界観は他には見られないものであると改めてかんじた。 |
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小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」収録の短編。
町中で拾った不思議な機械が繰り広げる不思議な世界。 SFミステリというか、アニメチックな作品。妖しい場面は乱歩らしさも感じられた。私自身、この機械を手に入れたら奈落の底に落ちて行くんだろうなぁ…… |
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小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」収録。
もろ「屋根裏の散歩者」。小説誌の企画で描かれた乱歩へのオマージュといったところだが、いい意味でも悪い意味でも、乱歩の世界をどっぷり表現している。個人的には嫌いではないし、この妖しい乱歩ワールドを著者なりに表したらこうなったということなんでしょう。 |
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小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」掲載の短編。
タイトルは「心理試験」の意。著者ならではのロシアを舞台に乱歩の世界を融合したSFチックな作品となっている。 ロシアと乱歩がどこでどうつながるか?と考えながら読んだが、なるほどそう来るか、と納得。逆にいうとそうせざるをえなかった、ともいえる。 |
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「盤上のアルファ」と比して、幾分シリアスかと思うが、セリフは充分に関西人のノリで期待どおり。いわゆる人探しミステリと言えるが、対局のシーンを期待するとやや残念なところも。最終盤に準備されているが、途中は将棋をテーマにしていることを忘れてしまう場面もあった。でも、前述のシリアスさというのは、☗将棋☖を通じて"昭和"を描いたと思しき作りになっている点は評価↑↑
文庫版の石橋蓮司さんとの対談は、ドラマ版を見ていないのでなんとも…(ドラマ版は、舞台を関西から首都圏に変えている点でアウト。なので見る気起こらず。) |
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ハードボイルド界を代表する6名の作家によるアンソロジー。
それぞれの特徴が出ていて、ここからお気に入りの作家を見つけるのもいいでしょう。 真保裕一「再会」は短編集「盗聴」で既読で、ハードボイルド感はなく、一種の友情物語といったところですが、心の動きがよく伝わってきます。他の5作品はともすれば同じ匂いが漂っていますが、さすがは協会賞受賞者、短編でも読ませる力を感じます。このシリーズの他の作品集も読んでみる価値は十分ありですね。 |
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お待ちかねの佐方貞人シリーズ。彼が検事4〜5年目頃の活躍ぶりを描く。短編集の体裁だが、彼の検事としての"信義"が丁寧な筆致で展開されていく。罪は真っ当に裁かれるべき、という彼のセリフが印象的です。どの章もグッとくるストーリーで、柚月さんの骨太で丁寧、確かな表現で佐方がその存在感をしっかり示されている。こなシリーズのさらなる続編を楽しみにしています。
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新潮文庫版。日本美術史にその名を残す十名の芸術家を清張さんなりの解釈で編んだ短編集。
「運慶」から「小堀遠州」までは、同じような調子の文体だが、「光悦」以降はがらりと雰囲気が変わる。「写楽」ファンの私には、「写楽」の軽妙なタッチがよかったし、(止利仏師」に至っては、"伊村"は清張自身なのでは、と思うほどのアイデアで描かれている。解説にも触れられているとおり、芸術家の作品ではなく、芸術家の"人間"を描くのは困難であり、それに挑戦したところが評価ポイント。 |
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長江氏の小説家デビュー作「ゴーストシステム」を加筆・修正のうえ改題。元作品からは大幅に変わっているようです。
氏の「禁止」シリーズの元となった作品らしく、死後の世界、死とは何かを考えさせてくれるある意味奥深い作品。あぁ、この世界観から「禁止」シリーズが生まれて来たのかと、感慨深いものが感じられます。 ホラーとSFが融合したミステリといった内容で、特に後半はSFの要素が濃くなってきます。そういう意味では「禁止」シリーズのようなリアリティはゼロ。恐怖とともに死というものを考えよう、とテーマを与えてくれたような気がします。 可能であれば「ゴーストシステム」との違いも体感してみたいと思いました。 |
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平成によく読んだ井上夢人、貫井徳郎の短編が収録されているので手にとった。いろんな意味で「平成的」なアンソロジー。
平成時代に起きた事件・事故、文化、そして災害、それらをテーマに描かれたものだが、それぞれに特徴が出ていて面白い。 上記の井上氏・貫井氏は安定感がある。その他ではJR福知山線事故をテーマにした青崎有吾、消費税騒動をユーモラスに描いた乾くるみがオススメ。 若い作家ほど典型的に「平成」を表現していて、きっと「令和」でも大活躍するんだろうなぁ、と感じさせる。 |
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元新聞記者ならではのリアリティ溢れる内容で、実際にあっても不思議でない、というか似たようなことがあるだろうと言わせる説得力と緊迫感が伝わってくる。メディアというのはこういうものなのだ、とともに現在のメディアのあり方へのメッセージも感じられる。
これまで読んだ塩田作品はコミカルなものが多かったが、本作はその色合いは薄め。できたら塩田さんの特徴でもあるコミカルさを継承してほしい気もしたが、テーマ的には妥当なところか。 |
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元記者の著書ならではのスポーツ紙記者モノ、記者たちの鬼気迫る仕事ぶりがヒシヒシと伝わってくる。そして「とりあえずニュース出せ」のトリダシこと鳥飼のキャラ。このストーリーは著書でないとここまでの作品は書けないでしょう。記者たちの戦場の様子が十分に伝わる快作です。
実際の取材現場も、デスクを担当する記者もきっとこんな感じなんでしょうね。鳥飼のようなベテラン記者も実在したかも、ですね。 |
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完結したかに思ったシリーズ、まだ続いていますね。扉子という新たな登場人物も加わってますます楽しみが増えてきました。今回は北原白秋、佐々木丸美、内田百閒といった作品が出てきますが、このシリーズのいいところはこういう過去の作品を読んでみたいと思わせるところ、佐々木丸美は初めて聞いた作家だし(恥ずかしながら…)、内田百閒も古書店で探してみたくなりました。
あとがきによると、まだまだ続きがあるようです。楽しみが続きます。 |
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南極を舞台にした乱歩賞随一のスケール感、SFや恋愛の要素も絡めて読みやすい作品。終戦間際の時代と現代の話が交互に語られ、それが繋がるストーリーはミステリーの定石みたいなところがあるが、緻密なつくりは大したもの。
ただ、70年程の時代を経ている割にはその期間を感じなかったのは残念。昭和20年感がないなと感じた。でもこのスケール感は大事にして個性的な作品を今後も期待します。 |
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2つの大震災とテロを織り交ぜて、展開の読めないサスペンスを描けるあたりはさすが七里さん。そして”人を護る”というテーマも入れられていて読み応えはあった。
けど、他の作品にあったユーモラスさ・面白みに欠けていたような気が…シリアスさが前面に出過ぎているのか、七里作品を読んでいる気がしなかった。これも新境地ということか。 それと気になったこと。前半で小学生の主人公たちが森の中に入っていくシーンがあるが、そこで「禁止された場所に行くこと、禁忌に背くことには背徳の悦びがある。」の表現。小学生が背徳の悦び?大人ならまだしも、小学生が背徳の悦びって… 七里作品には妙に堅い熟語が出てくることがあるが、シーンによっては柔らかい言葉でもいいのでは?と思う瞬間だった。 |
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大人の恋愛小説という触れ込みにまさしくピッタリ、荒野さんならではの奥ゆかしい心の動きが感じ取れる。九州の離島に赴任してきた少々変わった教師・石和。彼になぜか心をとらわれる主人公・セイ。ストレートに何かを仕掛けるわけでなく、遠目で観察しているか、近づいてもそっけない態度をとるか。
現実的にはこの辺がリアルなんでしょうね。 特に何が起こるわけでない離島の日常にちょっとした恋愛劇があった、というホンのひと幕。殺伐としたミステリーの合間にちょうどいい息抜きになりました。 |
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マティス、ドガ、セザンヌ、モネを題材にした原田マハさんならではの美しい短編集。原田作品をいくつか読んで興味をもった西洋画家たちの名作に隠されたエピソード(フィクションもあるけど)を読みたくて手にとった本作。彼らのそばに仕える人たちによって(あるいは原田マハさんによって)浮き彫りにされる彼らの人生、美しくも哀しい物語がまるで実際に起きたことのように(ある意味、実際に近いかもしれない)語られる4編は、心を落ち着かせ21世紀の喧噪を忘れさせてくれる。
もう一度彼らの名作をじっと鑑賞したくなった。 |
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