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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数239件
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日本推理作家協会賞受賞作ではありますが、ミステリの要素は低いです。
絵画であれば、この絵にはどんな美が存在するのだろうか。と言った謎を提示するところが、 ミステリっぽいと言えばそうなのですが、本作は美に関わる人々の気持ちに触れて相手を思う。そんな作品でした。 芸術、音楽など、文章中に扱われる単語の多くが心地よいものなので、物語だけでなく文章作りの美も感じます。 頭を使わず雰囲気に触れている様な作品で、そこが求めている好みと違った点でした。 |
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バカミスから著者の本を読むようになった為、昔の本書を読むにあたってはその手の先入観を感じながら読みました。
シリーズ3作目ですが、本書が初めての読書です。 話は、死なない吸血鬼の主人公が時間を持て余しているので5万枚のミステリーを書こうと思い、何を書こうかと、つらつら述べていく所から始まります。 序盤から『この事件は時が解決してくれる!』それ、探偵の名前が(とき)さんって人じゃないですよね?とか、 『密室は嘆いていた』それ、(ひそかむろ)って名前の男がいる叙述じゃないですよね?とか、 ユーモアなやりとりでクスっとさせられながら、昔からこんな話を書いてたんだと感じていました。 ですが、作中作「青い館の追憶」が現れた辺りは、氷の館に住む女王と7色の氷人である賢者の幻想小説になり、その本を書いた人を調べていく中で、顔の溶けた幽霊が現れる現実のマンションに出くわし、ホラーテイストから話が繋がっていくミステリへ変容していきます。 吸血鬼が主人公なので、氷の女王やら幽霊やら不思議な現象も作品の設定として感じてしまう所ですが、結末へはそれらを必然的にうまく繋げていくんだなと思いました。 バカミスに特化、ホラーに特化。と、1ジャンルに洗練させているのではなく、色々な持ち味を混ぜ込んでいる所に今と昔の作風の変化を感じられました。 |
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いやはや。久々に頭使って読みました。かなり重厚です。
久々の翻訳物を読んだ為か名前や人物の把握に苦労しました。 中盤までは登場人物ページをいったりきたりしていました。 ピア警部に至っては、最初勝手に"警部"だからと、男の印象で読み進めてしまっていて、 女性警部と把握した時は、日本の警察小説で女性の階級が高いものって少ないな。と、国の違いを感じていました。 著者に関しても男性作家だと思っていたのですが、 読書後に著者を調べたら女性作家だった事に驚き、 それで、女性のキャラが生き生きしていたのかと合点。 などなど、名前に然り、ドイツの事をまったくもって把握していない自分を改めていました。 そんな自分に対して、本書がドイツのご当地物といいますか、情景・歴史がよく描かれているのでかなり学ばされた本でした。ミステリを通して他国を感じられるのは良いです。 かなり緻密な構成でストーリー展開は良い意味で混乱。 全容が分かる後半は、もうなんか凄い事になってるな。と感じるしかなかったです。 オリヴァー とピアの関係も素敵で好み。人物把握が慣れた所で、他のシリーズを読もうと思いました。 個人的には本書はシリーズの雰囲気・下地を把握する魅力的な体験版と言った感じでした。 |
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久々の大ボユームな本を読書しました。
1000年後を舞台に描くSF作品ですが呪力の存在が空想世界のファンタジーを醸し出し、普通ではない世界を体験できました。 新世界の未来においても止む事のない戦争と平和の模様が印象に残ります。 定番のSFなら人間vs宇宙人。ファンタジーならvsモンスター。 本作の1つのジャンルに属さない世界での表現に面白さを感じました。 ただ、個人的な問題でこの大ボリュームを読むタイミングが悪かったかもしれません。 どこも苦手だったり悪い所がないのですが、作品に没頭できない自分がいました。 世界観を把握したうえでもう一度読むと様々なテーマを考えながら感じられそうです。 |
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消失物のミステリ。
刊行後、出版社が倒産してしまって本書自体も消失しかねた面白い曰くがある作品。 読後に"バカミス"扱いになっている事を知りましたが、 列車消失、出現する奇妙な死体など、本格思考の魅力的な要素が いくつも散りばめられていて面白い作品でした。 ただ、文章内容や人のセリフ、事件が起きた時の感情や説明など総じて軽く、 笑いに変えているセンスなどが相まってバカミスとなっていると思います。 本書で扱われている事件や真相について、 例えば島田荘司が描いたら、かなりの作品になりそうな事を勝手に想像しました。 何故、島田荘司が浮かんだのかと言うと、似たようなトンデモトリックでも 事件背景が色濃く描かれ、不思議な納得と魅力で壮大に感じられるのですが、 本書の傾向はその反対側にあると思ったからでした。 ちょっとセンスが合わなかったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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TVで話題の人気霊媒師の仕組みは、裏で情報を収集する調査チームによるものだった。
この調査チームの人々を視点に依頼者の悩みや素性を調べるうちに意外な真実を発見していく短編集。 霊媒師として、人々を嘘や詐欺で騙してはいるものの、 依頼主達の悩みを解消する事で家族や人間関係に暖かさが宿り、 結果として幸せになる様子は気持ちがよいものでした。 謎や推理や意外な展開は見られなず、淡々と進みますが、 手軽に読む分には楽しめました。 |
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経済状況の悪化により、死者はそのまま火葬すべく直送が一般的となり、
葬式が行われなくなった世界を舞台にしている。 この導入は起こりえる未来を暗示していて面白いです。 また、葬式という舞台はよくあるミステリの事件のその後なので、 遺言の意味はなんだったのか?何故葬儀を行いたくないのか? と言った、あまり見られない謎が面白く読めました。 ただ、非常にあっさりに感じられたのと、 葬式が行われない世界が、社会的メッセージなだけで ミステリに活かせていなかったと思うのが残念です。 ミステリ作品としてインパクトを与えようとしたラストも正直な所、勿体ないと感じました。 好みによると思いますが。。 感情的に『父の葬式』。謎解きで『妻の葬式』が好みです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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終盤の真相の落とし所はとても気持ち良かったです。
ただ、作中のアニメキャラやそのネタ色が強すぎて意味が分からないのと、 過去作の「アムリタ」を読んでいる人への要素もあるので、 本作単品としてはちょっと辛い。 仕掛けを味わうなら「アムリタ」は必読。 未読の場合は本作の友達のテーマが楽しみ所と言った印象です。 学ぶ為に学校へ行く必要がないと述べる小学生の天才数学者が、 学校で経験する友達とはなんなのか?に興味を持ち学校へ通うようになる。 人をパラメータ化して解釈したり哲学チックに持論を述べる様は、 著者の描く天才の不気味さが、かもし出ていて面白い。 不安定な展開ながらも終盤の力技のようなまとめ方は好みが分かれる所。 著者の作品傾向を踏まえて読んでいるので、そんなに悪くはないと思う次第でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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タイトルのゴシックに沿う雰囲気とキャラが馴染みなく新鮮で、
たまに出てきた古典ミステリの小ネタ遊びもよいです。 アニメっぽく、とても軽い流れなので、 ミステリを読み始める中高生には、とてもハマると思いました。 著者の作品傾向のイメージが良い意味で変わりました。多彩ですね。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
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"探偵"という単語がでてきますが、いわゆる謎とき本ではなくて、
その探偵の奇特さの設定を生かして世のニートや若者の代弁を描いた話でした。 キャラクターが魅力的で、クスっとくるセリフ回しなど明るくてよいですが、 物語を占める根底が結構重いテーマでして、それの反動表現とも感じました。 普段と違った読書ができたのでこれはこれで良かったです。 哀愁漂い、しんみりしました。 |
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読む時期が遅かった心境です。
美女たちの活躍、妖しい洋館、麻薬事件など時代を感じられました。 また、緻密な展開というよりは感情的に各々が活躍している印象を受けました。 これだけ皆が動きまわり複雑な真相を設けた中で、 ページ数がこのボリュームで読みやすくまとまっているのが良かったです。 ただ、物語に没入できなかったというか、 客観的に離れた位置から物語を眺めたような印象でした。 |
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日本推理作家協会賞を受賞していた先入観から
推理物を期待してしまったのが間違えだと読後に感じました。 女三代にわたる歴史絵巻を見た印象です。 現代編の瞳子が感じたように、その時代に存在しなかったにも関わらず、 戦後からの高度経済成長やバブルの世の中を まるで体験したように情景が浮かぶ物語でした 万葉の時代設定がなんとなく平安時代というか 大昔の物語の非現実世界を漂っていた感覚で読んでました。 (なんとなく竹取物語のかぐや姫と万葉集を連想していたからだと思う。) そんな中、要所要所で1970年、1980年代とリアルな時事も描かれた事によって、 本当にあった激動の日本の物語なんだなと年号によって意識が現実に引き戻される 不思議な体験を得ました。 この作品はミステリを意識して読まないで、 この物語を単純に楽しむのが良いと思います。 その時代毎の人々の思考、世代が変わった時のずれなど、 色々と印象的でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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