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なおひろ さんのレビュー一覧

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レビュー数119

全119件 41~60 3/6ページ

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No.79: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

祈りの幕が下りる時の感想

第48回吉川英治文学賞受賞作。新参者(日本橋)シリーズ最終章として相応しい、哀しい家族の物語でした。少々プロットが複雑で途中分かり辛かった所が有りましたが、見事な着地を決めた流石の筆力には脱帽です。「白夜行」、「容疑者X」を思い出させる読後感で、エンタメ方向では無く悲劇方向に振れた東野作品は深い余韻が残り、面白かった、と簡単に一言では言いたくない。加賀シリーズの初期作品はもう記憶に無いので再読して見たいですが、勿論今後も新作を書き続けて欲しい。本作が加賀シリーズの最終章では無いと信じてます。
祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)
東野圭吾祈りの幕が下りる時 についてのレビュー
No.78: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

土漠の花の感想

のっけからノンストップで続く戦闘シーンに圧倒される。ほんの数十キロに過ぎない脱出行、何人生き延びる事が出来るのか一気読みの面白さでした。男達の友情、連帯、そして自己犠牲と別れ、胸が熱くなる場面に出会える冒険小説の佳作。ソマリアの貧しさ、悲惨さがもう一つ伝わって来なかった所、ヒロインがスーパーウーマン過ぎた所、主人公にとって都合良すぎる流れ等の不満点があり名作、傑作とまでは言いませんが、この位のエンタメだと楽しく読める。だって船戸与一とかだと、しばらく読後のダメージが抜けないでしょ?
土漠の花 (幻冬舎文庫)
月村了衛土漠の花 についてのレビュー
No.77: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

犯罪者 クリミナルの感想


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犯罪者 上 (角川文庫)
太田愛犯罪者 クリミナル についてのレビュー
No.76: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

慟哭の感想

18年ぶりの再読なのかな?メインとなる仕掛けは未だに忘れられず、初読の驚きは得られなかったですが、再読上等の素晴らしい作品でした。連続誘拐殺人事件を捜査する刑事の視点と、新興宗教にのめり込んで行く男の視点が交互に描かれますが、双方共に、こうとしか生きられない、と言う背負った運命の哀しみに圧倒されました。普段は子供が被害者の作品は嫌悪感が先に立つのですが、本作は突き放した文体のせいか、作中の人物に取り込まれてしまったのか、乾いた気分で読めました。しかし本作がデビュー作であり、若干25歳で書かれたとは、凄い。
慟哭 (創元推理文庫)
貫井徳郎慟哭 についてのレビュー
No.75: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

砂漠の感想

今まで読んだ伊坂作品の中では、一番好きな話になった。内容は大学生5人の青春小説で、大きな事件や小さな事件のエピソードが、春夏秋冬の4章に分かれて綴られています。色々な伏線がその後効いてくる所も上手いですが、やはり5人+鳩麦さんのキャラクターが気に入ったからでしょうね。大学時代こんな仲間は出来なかった、後悔しても遅いけど残念だなぁ。甘くて苦い、滅多に読まない青春物ですが、読後感が良かったです。読んでる間BGMはラモーンズとクラッシュでしたが、最後にまさかの新型セドリック!、ルースターズ!、最後までパンク。
砂漠 (実業之日本社文庫)
伊坂幸太郎砂漠 についてのレビュー
No.74:
(8pt)

野獣死すべしの感想

著者初読み。余りにも格好良い表紙とタイトルに一目ぼれ購入。裏表紙の紹介文、解説は読んで無かったので、ハードボイルドかバイオレンスだろう、と思ってましたが、名探偵物の完全な本格ミステリーでした。前半は交通事故で息子を亡くした父親が、犯人に復讐しようとする中で書かれた手記で始まります。この辺は緊迫感が有って好きな感じ。後半探偵登場からは、犯人特定までの理論的な推理の過程が楽しめました。時代の違いによる違和感は少々有るが、サスペンス、ロジック、伏線の妙、何れも素晴らしく面白かった。
野獣死すべし (ハヤカワ・ミステリ文庫 17-1)
ニコラス・ブレイク野獣死すべし についてのレビュー
No.73: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

マスカレード・ホテルの感想

とにかく面白かった。変な表現ですが、作者の凄みを感じました。東京の一流ホテルにおけるお仕事小説であり、連続殺人事件の推理と捜査を描くミステリーでもあります。ホテルで働く方々の覚悟とか想い、刑事たちのプライドや執念を感じるエピソードが詰まった分厚い本なのですが、異常な程読み易い。そのエピソードに散りばめられた伏線が回収されて行く気持ち良さ、男女二人の主人公の関係性が変化して行く心地よさ、何とリーダビリティに優れている事か。犯人の動機、犯行方法は、突っ込もうと思えば微妙なんだけど、物語としての面白さが上回る。
マスカレード・ホテル
東野圭吾マスカレード・ホテル についてのレビュー
No.72: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

火車の感想

第6回山本周五郎賞受賞作。20数年振りの再読です。とても素晴らしい文章とリーダビリティで、明らかになって行く真相が気になり一気に読み終えました。それぞれの人物が持つ背景の重さと、カードによる破産、親の借金、と言う社会派テーマの為、やり切れない(救いが無い)気持ちにもなりました。ラストシーンの後はどうなったんだろうか、このエンディングを書ける所が作者の才能なんでしょうね。さて、作中の本間は当時42歳、まだお元気なら現在67歳です。自分も同じだけ歳を取った訳で、それを突き付けられたのが一番の衝撃だったかもね。
火車 (新潮文庫)
宮部みゆき火車 についてのレビュー
No.71:
(8pt)

初陣 隠蔽捜査3.5の感想

隠蔽捜査シリーズの短編集。長編シリーズでは脇役の伊丹刑事部長が主人公であります。シリーズ各作の裏側や側面に肉付けした様な感じであり、ファンにはたまらない面白さでした。竜崎の安楽椅子探偵振りが頼もしい所ですが、伊丹の人間味もとても好ましい。この二人の関係を友達と呼ぶかどうかは微妙ですが(笑)。
初陣: 隠蔽捜査3.5 (新潮文庫)
今野敏初陣 隠蔽捜査3.5 についてのレビュー
No.70:
(8pt)

依頼人は死んだの感想

前作を読んだ時点では、私は葉村の良い読者では無かった。正直微妙な評価で、それほどのもんかな?と言う感じ。しかし本作はすこぶる面白かった。各話は結構短めで、それぞれ最後は突き放される様に、ぶった切られる様に唐突に終わる。しかも後味は悪く、嫌な気分になる。なのに、何故かそれが癖になる。事件の内容はやり切れない物が多いのですが、葉村のキャラクターに寄る物か、作者の文体に寄る物か、クールでシニカル、そしてダークでビターな探偵物語になってると思います。次作もとても楽しみですね。

依頼人は死んだ (文春文庫)
若竹七海依頼人は死んだ についてのレビュー
No.69: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
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迷路館の殺人の感想

二十数年振りの再読。鹿谷門美の正体が最後まで分からないほど、すっかり初読状態で読んでいました。しかし本作は面白かったですねぇ。こんな建物が有る訳無い、この設定が出て来た時点で、現実世界からはぶっ飛ばされる訳です。その為、作中作パートラストの謎解きも、こう言う動機も有りなんだ、と納得していました。しかし、エピローグで世界がひっくり返る様な衝撃。なるほどねー。スピード感のある展開と、二転三転のどんでん返しで楽しませてもらいました。リアリティは求めずパズルに徹する、こう言う作品も良いな、と改めて思いましたね。

迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)
綾辻行人迷路館の殺人 についてのレビュー
No.68:
(8pt)

教場の感想

著者初読み。文春ミステリー1位、このミス2位の作品ですので、期待値はかなり高かったですが、流石の面白さでした。高評価の理由には、警察学校と言う馴染みの薄い題材を取り上げた点が大きいのでしょうが。実際にこんな犯罪者集団では無いと思いますが、あまりに強いストレスの中で生活していると歪は出て来るのかも、と思わされるのが上手い所。警察官には高いモラルや強い精神力が求められる、様々な技術や体の強さも。本作には結構批判的な感想も見かけますが、私は警察官に対する見方が多少変わったかな、と思わされた良書でした。おススメ。350冊目。
教場 (小学館文庫)
長岡弘樹教場 についてのレビュー
No.67:
(8pt)

夜市の感想

著者初読み。第12回日本ホラー小説大賞受賞作。ホラーと言うよりは、異世界迷い込み系のファンタジーでした。シンプルな文章で淡々と物語は進むのですが、途中で大きく事情が変わる出来事があり、急に先が見えなくなってしまう。そしてラストにたどり着いた私達は、切なさに胸を締め付けられる事になるのです。迷い込み系+切ない系ファンタジーでした。主人公があんまり怖がらないから、何か安心感は感じるんですがね。それと、異世界なのに、現世の現金を要求されるシーンがあるのが、妙に印象に残ったな。2編共、しんみりしたけど面白かった。
夜市 (角川ホラー文庫)
恒川光太郎夜市 についてのレビュー
No.66:
(8pt)

熱帯夜の感想

著者初読み。第62回日本推理作家協会賞受賞作。読友さんからのおススメで探していたところ発見、即購入、即読了。凄いね、この人。始まりからは全く予想出来ない所へ進む展開ですが、解説にも有った様に、とにかく底意地が悪い。途中はブラックユーモアに溢れているが、ラストは救いの無い残酷さ。最後にひっくり返す為にコツコツエピソードを積み上げる手腕には、技術と情念を感じた。叙述的な記述やどんでん返し等、ミステリーの素養もありますよね。と言う事で、ホラー苦手ミステリー好きの私のベストは「熱帯夜」。薄いけど、濃い本だった。
熱帯夜 (角川ホラー文庫)
曽根圭介熱帯夜 についてのレビュー
No.65:
(8pt)

誰もわたしを倒せないの感想

著者初読み。2017年最初に読んだのは、何とも言えない不思議な作品でした。まず前提として、私はプロレス、総合格闘技、両方のファンであります。なので、本作はもんの凄く面白かったです。連作短編集ですが、特に動機の面がマニア受けする感じじゃ無いですかね。本格ミステリーとしては、トリックが弱いかな。また、警察や刑事の描き方がいい加減過ぎませんか?こんなに適当では無いと思いますけどね。まあ幅広くは勧めませんが、往年のプロレスファンなら絶対読むべき!全体を覆う物悲しくて、胡散臭い雰囲気。コレがプロレスの空気だよなぁ。
誰もわたしを倒せない (創元推理文庫)
伯方雪日誰もわたしを倒せない についてのレビュー
No.64: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

邂逅の森の感想

著者初読み。第131回直木賞、第17回山本周五郎賞受賞作。明治から昭和初期に至る、一人のマタギの人生を描いた作品。序盤は東北弁に馴染めず、また好きでは無い性愛描写に馴染めず、じりじりとしか読めなかった。しかし中盤からは主人公の人生の決断や、人々との出会いと別れに心を揺さぶられ、一気に物語に取り込まれてしまいました。冬山での狩猟の厳しさは描かれますが、あくまでも狩る者と狩られるものには一線が引かれた感があります。それだけに最終章は凄まじく、最後まで続く緊張感は素晴らしかった。重厚長大、読むなら冬、つまり今!
邂逅の森 (文春文庫)
熊谷達也邂逅の森 についてのレビュー
No.63: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

チェインギャングは忘れないの感想

凄く面白かった。と言うか、とにかく好きな感じの作品でした。荒唐無稽な話なので、細かい整合性とか精密なロジックとか求めてはいけません。勢いやスピード感、登場人物のキャラ、そして何より暖かい読後感を求めて読んで欲しい。「愛だな、愛」ってセリフが出てきます、まあそんな事が言える世界観です。残念ながら登録数少ないよねぇ、短時間で読めると思いますし、是非みなさんおススメします。
チェインギャングは忘れない (講談社文庫)
横関大チェインギャングは忘れない についてのレビュー
No.62: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

闇に香る嘘の感想

著者初読み。第60回江戸川乱歩賞受賞作。かなり面白かったです。主人公が全盲の老人な訳ですが、その為か偏狭な性格で感情移入が難しい。その上腎移植、障碍者介護、密入国と重いテーマを複数ぶち込んでいますので、そこを捉えると苦しい読み心地に感じます。ただ、目が見えないが為の不安、恐怖が良く書けており、誰が信用できるのか?全てが混迷する状況にぐいぐい引き込まれた。最後は丁寧に伏線回収を説明され、納得の読後感。注文を付ければ、老人の描き方(特に言葉遣い)に少し違和感を覚えた所かな。とは言え良作でした、おススメします。
闇に香る嘘 (講談社文庫)
下村敦史闇に香る嘘 についてのレビュー

No.61:

噂 (新潮文庫)

荻原浩

No.61: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
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噂の感想

著者初読み。前から気になっていてやっと読めましたが、素晴らしかったです。本作発表から15年後の今年、著者は直木賞作家となりました。当時から才能は溢れてます、面白い本読みたい方は是非。後はネタバレにて。

▼以下、ネタバレ感想
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噂 (新潮文庫)
荻原浩 についてのレビュー
No.60:
(8pt)

花の下にて春死なむの感想

第52回日本推理作家協会賞受賞作。安楽椅子探偵物かつ日常の謎物だと思って読み始めましたが、結構重い犯罪も出て来るので、物悲しい雰囲気の終わり方が多かったですね。今さらの初読ですが、本作の事はかなり気に入りました。とにかく文体が素晴らしい。読み始めてから、何がこんなに気持ち良いのか?と思っていましたが、文体が好みだった訳です。で、最後に解説を読んで、「短編独自に要求される純度の高い文体の持ち主」と書いてある事に深く納得。謎と推理の出来栄えも悪く無いですが、バーの雰囲気と世界観を楽しむ作品じゃ無いでしょうか。
花の下にて春死なむ 香菜里屋シリーズ1〈新装版〉 (講談社文庫)
北森鴻花の下にて春死なむ についてのレビュー