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なおひろ さんのレビュー一覧

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レビュー数318

全318件 181~200 10/16ページ

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No.138: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

乱反射の感想

救いが無く、やるせない話。沢山の人物の日常を細切れに描きながら、それぞれの内面が丁寧に書かれている。人の心が読める能力者になった様な感じ?後半は、子供を亡くした主人公が責任の所在を探して歩くのですが、これがまた読んでいて辛い。確かにそれぞれが身勝手には違いないが、そこまでの悪人では無いからね。後、妙に印象に残ったのは、奥さんの事が急に分からなくなる旦那達の事。分かってるつもりがそもそもの間違いやし(笑)。テーマが重いので楽しめないが、良く出来ており読むのを途中で止められない。作者の能力の高さを感じた傑作。
乱反射 (朝日文庫)
貫井徳郎乱反射 についてのレビュー
No.137:
(7pt)

少女外道の感想

以前読んだ皆川作品は、過去の外国が舞台でした。本作は、戦前から戦後にかけての日本が舞台になっており、随分感じが違います。どの作品も冒頭の一文が素晴らしく、すっと引き込まれて行きます。しかし、それからが手強い。耽美的で、幻想的で、変態的。そして、魅力的なのに共感出来ない辛さ。時代が違えば決して、「外道」とまでは呼ばれなかったであろう、「少女」達の悲劇。いや、本人達にとっては、悲劇では無いのか?自身の、表には出せなかった「魂」に殉じた当然の帰着か。どの作品にも哀しさは感じ無かった、多分それで良かったのだろう。
少女外道 (文春文庫)
皆川博子少女外道 についてのレビュー
No.136: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

名探偵に薔薇をの感想

著者初読み。読み始めて見ると、文体や使う漢字が独特で、物語全体に妙な違和感がある。「小人地獄」と言う毒薬の非現実感もあり、キャラクターも全て作り物めいて見えてしまう。「名探偵を呼びます。」なんてセリフは、ねぇ?第一部を読んだ時点では、割とあっさりしてるな、という印象でした。第二部になると、物語の視点が別の人物に変わります。そしてここからが本番でした。展開は二転三転で、最後は何がどうなって、結局誰が、なぜやったの?何も信じられずに怒涛のラストへ。面白かった。
名探偵に薔薇を (創元推理文庫)
城平京名探偵に薔薇を についてのレビュー
No.135: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

シンデレラの罠の感想

わたしは探偵で犯人で被害者で証人なのだ――。The Beatlesのデビューした年でもある、1962年のフランスミステリーです。「わたし」は記憶を失っており、その為冒頭に有る様な大混乱な状況が生まれてしまいました。いやー、何が何だか、とにかく読んで見て欲しい。新訳版は、創元とは思えない大きな活字で、凄く読み易い。翻訳物の読み辛さはまず感じませんが、作風のせいでクラクラします。結局最後はどっちなんだ!って、あとがきに煽られそうですが、私は普通にラスト2ページを受け入れたいと思います。逆じゃないと思うなぁ。
シンデレラの罠【新訳版】 (創元推理文庫)
No.134: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

星を継ぐものの感想

SF素人で翻訳もの苦手な私が読了するには、時間が掛かりました。高評価の作品ですので、面白いに違いない、と何とか頑張りましたが、読んで良かったです。これは本格ミステリーとして考えて良いでしょうね。論理的に謎を解き、どんでん返しの末たどり着く結末には、大いなるカタルシスが待っています。そしてエピローグの皮肉なラストシーン。途中は分かり辛い内容が続いてやや飛ばし読みになりましたが、本格好きで未読の方には、是非おススメですよ。
星を継ぐもの【新版】 (創元SF文庫)
ジェイムズ・P・ホーガン星を継ぐもの についてのレビュー
No.133: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

64(ロクヨン)の感想

三上の視点に固定された三人称なので、これだけ長いと疲れる。誰が何処で何考えて何してるか、全然分からんからね。まあそれが緊張感となり、真相が明らかになった時の衝撃に繋がるんですが。下巻前半までは三上の気持ちが揺れてますので、何がしたいのか少々イライラします。誘拐事件発生からは、ストーリー展開のスピードが上がり、三上の腹も座ったんで読み応えが有りました。疑問の全ては解決はしないので、いつか続編が読めるのを期待したい。しかし、松岡参事官はカッコ良かったねぇ。二渡もそうだけど、ブレない凄みが眩しい。
64(ロクヨン) 上 (文春文庫)
横山秀夫64(ロクヨン) についてのレビュー
No.132:
(7pt)

イマジンの感想

著者初読み。あんまり分厚いんで3年以上積んでましたが、急に気になって読む事に。タイムスリップして自分の父親に会う、と言う有りがちなSFですが、ジョン・レノンを救いに行くっていうのは面白い設定ですね。サスペンスな部分も有りますが、ハートウォーミングな物語で、楽しかったです。サツバツとした本が続いてたんで、とても癒されました。やさしい気分になりたい方、ぜひおススメします!
イマジン (集英社文庫)
清水義範イマジン についてのレビュー
No.131: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

殺人症候群の感想

三部作読了。とても重いテーマの社会派ミステリーです。こう言う救いが無い話を読むと、読書とは何の為にしているのか?と考えてしまう。心を揺さぶられるのは間違い無い。しかし、楽しんで読めるストーリーではなく、少年犯罪等の知識欲が満たされた充足感も無く、最後には前2作で馴染みになったメンバーの、それぞれの選択に気持ちは塞ぐ事になるのです。ハッピーエンドの有り得ない設定は、読まん事だな。シリーズこれで終わりではイカンでしょう。「環」って何だったの?どちらとも取れるラストシーン、見間違いじゃ無い方を自分は望んでます。
殺人症候群 <新装版> (双葉文庫)
貫井徳郎殺人症候群 についてのレビュー
No.130:
(7pt)

誘拐症候群の感想

シリーズ2作目を続けて読了。前作より断然面白かった。事件は誘拐なので、前作よりもっと卑劣な犯罪です。その割には穏やかだった序盤から急展開して、終盤は一気に盛り上がって行きます。気持ちはどんどん落ちて行きますが。特殊工作チームについては、連携した活躍が見られると言うよりは、各人のキャラが少し見えて来る事が興味深かったですね。しかし「環」は今作で更に謎が深まった気がする。何なんでしょうこの人は。いずれにしてもこのシリーズは、順番通りに読まないと絶対ダメですね。数年置きに発表された作品を、一気に読めるのは幸せ。
誘拐症候群 <新装版> (双葉文庫)
貫井徳郎誘拐症候群 についてのレビュー
No.129: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

失踪症候群の感想

読み終わった感想としては、結構面白かったです。途中までは不満が満載で、嫌になってました。まず設定として、特殊任務チームが地味過ぎ。今野敏「ST」を見習え!って感じでした。普通に淡々と捜査しているだけで、チームのメンバーの個性や能力も良く分からんしね。原田の娘も、高3にもなって拗ねて親に反抗してグレるなよ、中2か(笑)。しかし、ゼックが出て来て、馬橋が出て来たあたりから、終盤まで一気に面白くなって行きました。ただ、元々シリーズ構想だったのか、今作ではメンバー全員の正体が見えない(特に環)。続き読んで確認だ!
失踪症候群 新装版 (双葉文庫)
貫井徳郎失踪症候群 についてのレビュー
No.128: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

キングを探せの感想

色んな意味ですっかり騙されました。本格推理を、真剣にトリックや犯人を見極めるべく読んではいないので、素直に楽しみましたけど。良く考えられているのは間違い無いんですが、全体的に地味で盛り上がりに欠けるかな?探偵役が父親の後ろに隠れたアドバイザーになっていて、失敗の責任もリスクも苦悩も無いのが、緊張感が出ない理由かも。犯人側の必死感と探偵側の他人事感、特に魅力的な犯人でも無いんですが、そちらを応援したくなる不思議な風味の作品でした。
キングを探せ (講談社文庫)
法月綸太郎キングを探せ についてのレビュー
No.127: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

叫びと祈りの感想

著者初読み。別々の国で起きた事件5編が収められた短編集。1話目で驚き、2話目で呆れて2か月放置。気を取り直して再開したが、3話目で目が点になり、4話目はゾッとした。ただ、5話目の必要性があまり理解出来なかった。ミステリーとしては動機を推理するタイプの作品で、全て意外な理由で良かったと思う。クローズドサークル的設定なので容疑者が少なく、犯人当てに良いかな。文章も凝っていて面白いんだけど、美文と言うよりは読み辛い文だと感じた。力作でしたが、自分の好みとは方向性が違ったんでしょう。向きが合う方は痺れると思うよ。
叫びと祈り (創元推理文庫)
梓崎優叫びと祈り についてのレビュー
No.126: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

完全恋愛の感想

第9回本格ミステリ大賞受賞作。辻真先と言えば、30年くらい前に「迷犬ルパン・シリーズ」とか、「トラベル・ライター瓜生慎シリーズ」等、随分夢中になって読んだもんです。久しぶりでしたが、老先生の力作に感服でございます。戦中から現代に至るまでの大河ドラマで、主人公は作者の分身の様に各時代を懸命に生きている。そのストーリーを楽しめば良い、そう思います。ミステリーとしては、まあトンデモな感じですが。「作者は読者に嘘をついてはならない。だがすべての事実を明かすこともない」「フェアプレーであればいいんだ」だ、そうです。
完全恋愛
牧薩次完全恋愛 についてのレビュー
No.125: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

チルドレンの感想

「サブマリン」を読む予定は無いですが、何となく積読本から手にしました。純粋に面白かったです。ミステリーとは少し違いますが、分類不能な娯楽小説?で良いのでしょう。最初は陣内がウザすぎて読むのが辛かったですが、慣れてしまうと周りが許しているのが分かる気がしたりして(笑)。各話それぞれ語り部の視点が違うのですが、陣内の視点は有りません。その為「陣内」とは、本当は実在して無くて、みんなの夢に出て来る想像上の人物みたいに思えました。それ位むちゃくちゃで、結果オーライな人です。この人の話は確かにもっと読みたくなるな。
チルドレン (講談社文庫)
伊坂幸太郎チルドレン についてのレビュー
No.124: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

贖罪の奏鳴曲の感想

著者初読み。かなり面白かったですね、もっと早く読めば良かった。テーマは重いし、主人公の過去の犯罪は決して許せないので満点とは言えませんが、途中で読むのが止められない作品でした。冒頭のシーンからラストの真相まで予想の範囲で、驚きはあまり有りませんでしたが、リーダビリティに優れていると思います。第三章は秀逸ですし、法廷場面も引き込まれました。キャラ造形が上手いんでしょうね、印象に残る人が多くて、他の作品が凄い読みたくなりました。
贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)
中山七里贖罪の奏鳴曲 についてのレビュー
No.123:
(8pt)

怪物の感想

著者初読み。特殊能力ものですが、前半は普通の警察小説でした。序盤すごい面白かったのですが、中盤からぐっと様相が変わって来ます。どう決着を付けるのか?一気に読まされました。結構皆さん評価は分かれていますが、私は面白かったと思いますよ。登場人物の行動が少々不自然に感じるのは確かですが、先を読ませる筆力はあると思いますし、ラストも許容範囲だと思います。この小説が終わったその先のその先が知りたい。気になる作家さんがまた増えてしまいました。
怪物
福田和代怪物 についてのレビュー
No.122:
(7pt)

6時間後に君は死ぬの感想

予知能力者が出て来るSF味の連作短編集です。各話の主人公は未来有る若い女性達で、そこに予知能力者が絡んでくると言う訳ですね。軽く読めて、ハートウォーミングなストーリーで、とても面白かったです。たまには、優しい気持ちになれたり、切なくてグッとくる様な話も良いですよ。最後の話は、結構サスペンスの緊張感が有りましたから、ゆるゆるだけでも無いし。エロとかグロとか後ろから殴られた様なトリックとか、そう言うの要らない時におススメします。箸休め的佳作。
6時間後に君は死ぬ (講談社文庫)
高野和明6時間後に君は死ぬ についてのレビュー
No.121:
(7pt)

白樫の樹の下での感想

著者初読み。第18回松本清張賞受賞作です。時代小説は普段全く読まないので、本作が有りがちなのか、異端なのかは分かりません。ただ、余りにも重く、余りにも切なく、本当に悲しいお話でした。予備知識無しに読み始めたので、どんな事が起きるか全然知らなかったのですが、青春小説だったんですね。ミステリー要素も有りますが、エンターテイメントとして面白かったとか、楽しめたとは言えず、息が詰まる様な作品でした。秀作。蛇足ですが、文庫で読まれる方は、巻末解説先に読まない方が良いですよ。作品内容が最後まで全部書いてありますから。
白樫の樹の下で
青山文平白樫の樹の下で についてのレビュー
No.120: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

リロ・グラ・シスタの感想

著者初読み。読了後しばらく茫然として、やっと正気に戻った。最初の印象は、面倒くさい、です。一人称ハードボイルドで、高校生が主人公では違和感が有りすぎに感じました。その上友人達も随分個性的で、リアル感が無かったし。しかし人間は何にでも慣れるもので、段々とストーリーに引き込まれて、面白くなって来たな、と思ったんですが。ラス前のシーンでの会話が、何を言ってるのか良く分からなかったんですね。ラストでその理由は理解できましたが、面白かったと言っても良いが、アンフェアじゃないか?と思えて複雑な読後感でした。
リロ・グラ・シスタ―the little glass sister (カッパ・ノベルス)
詠坂雄二リロ・グラ・シスタ についてのレビュー
No.119: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

すべてがFになるの感想

著者初読み。発売当時は新本格ブームをずっと追いかけていましたが、本作は何か違う気がして外してたんですね。「理系」と言うだけでまず自分の圏外に置きますし、何せ新作刊行のスピードが凄くて、コレは付いて行けないなと。それが20年経った今、知り合いに勧められついに手に取る事に。そして感想は、「とても面白かった!」です。ここまで不可能状況を設定されると、そりゃ真相が気になりますよ。数学的な話はほぼ理解出来ませんでしたが、まあ何となく分かったんで良しとします。後、コーヒーに煙草は必須です。超共感。
すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫)
森博嗣すべてがFになる についてのレビュー