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梁山泊 さんのレビュー一覧

梁山泊さんのページへ

レビュー数105

全105件 81~100 5/6ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.25:
(8pt)

聖なる黒夜の感想

刑事モノでありハードボイルドでもありミステリでもあり恋愛モノ(?)でもあります。

大筋としては、殺人事件と冤罪事件の二本立てとなっていますが、
殺人事件、つまり誰が犯人かといったミステリの部分に間しては正直どうでもいいという印象です。
それは、主要登場人物(山内、麻生、韮崎、及川)の個性と人間関係が、それらを全て吹き飛ばしてしまうためです。
従って、冤罪事件を中心とした人間ドラマと言った方が良いのかも知れません。


▼以下、ネタバレ感想
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聖なる黒夜〈上〉 (角川文庫)
柴田よしき聖なる黒夜 についてのレビュー
No.24: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

阪急電車の感想

阪急電車今津線を舞台にした連作短編集で、各章のタイトルは駅名になっており、10ページ程度の長さで非常に読みやすくなっています。
誰もが、電車の中で一度は見た事のあるような、また勝手に観察して勝手に想像していそうな、そんな些細な出来事をベースにしていて、それが各章数珠つなぎにリンクしています。
伊坂幸太郎さんの作品によく見る手法ですが、普遍的である分、そこに必然性や共感を感じる事ができました。

物語を動かすのが女性ばかりだなと思っていたら作者は女性なんですね。
まぁ確かに男性は、事なかれ主義というか、見て見ぬふりする人が多そうですもんね。 中々リアリティがあるように思いました。

また、行きの電車で描かれた出来事が、戻りの電車で進行しているのが面白いですね。
主人公達は全て前向きな人物ばかりだったので、それは進展・成長した形で戻ってきます。
ストレスを感じる事なく読めますね。
当然なんですが、乗客一人一人に物語があるんだと実感しました。

ミステリ要素は皆無ですが、たまにはこういう作品もいいですね。

阪急電車 (幻冬舎文庫)
有川浩阪急電車 についてのレビュー
No.23: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

分身の感想

作者の真骨頂とも言える理系ネタものであり、クローン技術がテーマになっています。
20年も前の作品であり、当時と比べて現在では既に絵空事ではなくなっているのですが、これを賞味期限切れなどと評価するのはおかしいだろう。
この作品は、技術的な部分をどうこう言っているのではなく、進歩する科学・医療に対する、人間の倫理や尊厳といったものを主眼としています。
そして、そのタブーに足を踏み入れてしまった者達の葛藤や苦悩が描かれた作品です。

鞠子と双葉という二人の女性が主人公で、章毎に交互に登場する構成になっています。
視点の切り替わりは、非常に先が気になるタイミングに設定されており、読み手の「読む意欲」を掻き立て非常に効果的です。
二人は、お互いにその存在を知る事なく、それぞれがそれぞれの方法で真相に近づいていきます。
真相に対する近づき度合いもその時時で両者異なるのですが、それだけでなく、ワンステップ先に進めるための手掛かりも二人で異なっているのです。
違った切り口からのトライが、交互に描かれるのです。
おかげで、読み手には全く息をつく暇がありません。


▼以下、ネタバレ感想
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分身 (集英社文庫)
東野圭吾分身 についてのレビュー
No.22: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

理由(わけ)あって冬に出るの感想

高校を舞台にした怪談ミステリ。
雰囲気としては、米澤穂信氏の古典部シリーズに近いですが、登場人物のキャラ設定などには、明らかに有栖川有栖氏の学生アリスシリーズを意識していると思える部分があります。
そのキャラ設定も、探偵役を除いて強烈なキャラこそいないですが、しっかりキャラ立ちして描かれており、互いに領空侵犯する事なく、役割分担がしっかりなされている印象で、非常に読みやすいです。


▼以下、ネタバレ感想
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理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)
似鳥鶏理由(わけ)あって冬に出る についてのレビュー
No.21: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

蒲生邸事件の感想

主人公が、まさに二・二六事件が起ころうとしている帝都東京へタイムトラベルしてしまい、そこで発生した殺人事件に巻き込まれるという物語です。


▼以下、ネタバレ感想
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蒲生邸事件 上 (文春文庫 み)
宮部みゆき蒲生邸事件 についてのレビュー
No.20: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

クラインの壷の感想

岡嶋二人の合作最後の作品ですね。
バーチャルリアリティをテーマにした作品です。
この作品が発表されたのは89年だそうですが、何ら色褪せておらず20年以上経った今読んでも全く違和感がありません。
五感の内、視覚と聴覚なら現在も相当なレベルの再現技術があるように思いますが、他はまだまだ再現するに至っていないのではないでしょうか。
つまり、今読んでも、近未来SF小説として成り立っており、作者の先見性の高さには驚かされます。


▼以下、ネタバレ感想
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クラインの壺 (講談社文庫)
岡嶋二人クラインの壷 についてのレビュー
No.19: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

弥勒の掌の感想

失踪した妻を探す教師と、妻を殺された刑事が、それぞれ真相を解明しようとする中で、新興宗教団体の存在とお互いの事件の関連性に気付き、協力して捜査を進めるという物語です。
更に、章毎に交互に視点を変えながら、真相に少しづつ迫っていく構成になっており、読み手の興味をそそる上手い見せ方だと思いました。


▼以下、ネタバレ感想
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弥勒の掌 (文春文庫)
我孫子武丸弥勒の掌 についてのレビュー
No.18: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
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子供たちは夜と遊ぶの感想

前作「冷たい校舎の~」がSFファンタジー的な作品であったのに対して、この作品は完全に本格ミステリである。
6人が殺され、1人重症という、無差別連続殺人事件である。
しかし何故かミステリという感じもしないし、読後感が爽快なのである。 辻村深月、不思議な作家さんである。


▼以下、ネタバレ感想
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子どもたちは夜と遊ぶ 下 (3) (講談社文庫 つ 28-4)
辻村深月子どもたちは夜と遊ぶ についてのレビュー
No.17: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

6時間後に君は死ぬの感想

山葉圭史という主人公の名前を見た時「翔んだカップル」を思い出すようなら相当のおっさんでしょう(笑)

連作になっている短篇集で、「幽霊人名救助隊」と同路線の作品かなと思います。
伊坂幸太郎氏の「死神の精度」に似ている、というレビューをよく見かけます。
私も、伊坂さんを意識して描かれたのではないかなぁという印象を少し持ちました。
作品を通して語られる「未来予知」というシュールなテーマも、どことなく伊坂作品に似た印象を与えてしまいます。
実際作者にそういう意図があったのかは定かではありませんが、ただ、読み手に伊坂さんを連想させたら「負け」でしょう。
幾重もの伏線が張られていて・・・といった趣向の作品ではないと思います。
「伊坂と比べると・・・」的な評価をされてしまうのではないかと危惧します。
「似て非なるもの」として読むべきだと思うのですがどうでしょうか。


▼以下、ネタバレ感想
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6時間後に君は死ぬ (講談社文庫)
高野和明6時間後に君は死ぬ についてのレビュー
No.16: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

流星ワゴンの感想

「僕らは友だちになれるだろうか」
同い歳の父親に出逢えたら友だちになれるかなんて考えた事もなかったけど・・・なれないような気がするなぁ(笑)

主人公と危篤状態の父、主人公とそのひきこもりの息子、そして不思議なワゴンを運転する事故死したはずの父子。
この三組の父子がそれぞれ抱える「後悔」を描いた物語です。
不思議なワゴンに乗り、現在と過去を行き来し後悔をやり直していくのですが、面白いのは、やり直しが現在に反映されないという点です。
現在の自分のターニングポイントとなった地点に降り立ち、それを目の当たりにする事により、何がいけなかったのかを確認します。
現在に戻っても状況に変わりはないのですが、それを打破すべく新しい一歩を踏み出すという、希望の予感に満ちたまとめ方で、非常に爽やかな読後感です。
昔、これに似た設定の映画がありましたが、こちらの方が日本人の感性に合っているように思います。

主人公と妻のくだりも描かれますが、ここが18禁風味で残念。
ここさえなければ、学校の推薦図書にもなりそうな良作です。 惜しい。

流星ワゴン (講談社文庫)
重松清流星ワゴン についてのレビュー
No.15: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

冷たい校舎の時は止まるの感想

途中まで、ジュブナイル青春小説という印象を持ちながら読み進めたのですが、なんのなんの。
上下巻合わせて千頁超えのかなりの長編小説であり、中だるみするかと思ってすらいたが、なんのなんの。
気がついたら、この世界観にどっぷり浸かっていた、そんな感じでした。

主要登場人物が8人と多目。
彼らは、優等生であり受験を控えた高校3年生という事もあり個性的とまでは言えませんが、それぞれに背負わなければならない過去や悩みを抱えています。
忘れていた誰かの事を思い出す度に一人ずつ消えていくのですが、そこに無慈悲さはありません。
自分の番を迎えた時、彼らは自身の悔やむべき過去や内面の弱さと対峙します。
この時、彼らは主人公なのです。
作者は全ての各登場人物をとても大事に丁寧に描いていますね。
作品の構成上、次に消えてしまうのは彼(彼女)だなと分かってしまうのですが、何か寂しい気持ちになって読んでいたのが印象的です。
これだけ多くの登場人物に感情移入できた作品も珍しい。
正直、ミステリだという事も忘れて没頭していました。
ミステリの部分も、仮想現実の世界という非現実的な前提こそあるものの、そこにさえ納得できれば、数多く散りばめられた伏線もその回収の方法もお見事。
何より、中後半までの流れから、これだけ読後感のよい作品にまとめあげているのはさすがです。


▼以下、ネタバレ感想
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冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)
辻村深月冷たい校舎の時は止まる についてのレビュー
No.14: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

ジョーカー・ゲームの感想

戦時下の日本において秘密裏に設立された、魔王・結城中佐率いるスパイ養成機関(D機関)の暗躍を描いた短篇集です。
その結城中佐だが、帝都物語・加藤保憲(というか嶋田久作)を彷彿とさせる表紙のイラストが何とも魔王という表現にイメージぴったりです。

最初の作品である「ジョーカー・ゲーム」を読めば、結城中佐及びD機関の異様さが朧気にも理解できるようになっていますが、D機関の色々な側面を見せるために短編集という構成は非常に効果的だったと思います。
メンバは「見えない存在」である事に徹するため、心理描写が殆ど無いのですが、それが独特の緊迫感を生んでいます。
人物造形が弱いとも言えますが、それがかえって魔王・結城中佐の存在を際立たせていると言えます。

面白かったですが、シリーズの第1発目という事で、導入部という意味合いもあるのでしょう、その分意外性は少なく、読後カタルシスを得られるかと聞かれると疑問です。
ただ設定自体非常に好みなので続編への期待は大きいです。
続編も短編のようですが、最終的には、結城中佐が窮地に追い込まれるプロットで、是非長編で読んでみたいですね。

ジョーカー・ゲーム (角川文庫)
柳広司ジョーカー・ゲーム についてのレビュー
No.13: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

ドミノの感想

冒頭の「登場人物より一言」(27人+1匹)にはいきなり仰け反りました。
ドミノ牌は28枚1組と55枚1組の2種類あるみたいで、そこから来ているのでしょうね。
自分を含め、登場人物の多い作品は苦手という方は多いと思います。
如何に読み手を混乱させず、しっかりキャラ立てしつつも描き分けた上で、ストーリーに惹きつけたままでいられるか。
頁数的に言うと、どちらかというと短い方に分類される作品ですし、非常に難しいのでは・・・と半信半疑で読み出したのですが、全く無問題でしたね。


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ドミノ (角川文庫)
恩田陸ドミノ についてのレビュー
No.12: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

アヒルと鴨のコインロッカーの感想

伊坂氏の作品としては、ミステリ色が強い上に、珍しくしっかり真相解明までします。
謎解きの部分にも面白い仕掛けがありますが、作品の主眼はその謎解きではないと思います。
この作品のキーパーソンは日本人とは異なる死生観を持つ一人の外国人です。
テーマは「死」ではないでしょうか。 少々重目のテーマです。
そのせいでしょうか、いつものような機知に富んだ会話やセリフが少なく、伊坂氏の作品の中では少々異質という印象を受けます。


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アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
伊坂幸太郎アヒルと鴨のコインロッカー についてのレビュー
No.11: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

赤い指の感想

少年犯罪、いじめ問題、引きこもり、認知症。
複数の社会問題を一つの物語に取り込んで、関わる人間の辛さ、厳しさ、心の葛藤を描いており、短いが少々「重い」作品になっている。
「レイクサイド」が同系の作品としてあげられると思うが、加害者サイドの苦悩を考えると、この作品の方が、より複雑でより重い。


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赤い指 (講談社文庫)
東野圭吾赤い指 についてのレビュー
No.10: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

キングを探せの感想

法月氏が「密室殺人ゲーム」を始めたのかといきなり唖然とさせられました(笑

倒叙っぽく描かれてはいますが、4人による交換殺人であり、警察側では容疑者は本名で記述されますが、お互いニックネームで呼び合っているため、実際誰が誰を殺そうとしているのか、読み手にははっきりしません。
その点で、見方によっては、倒叙モノながらもフーダニット作品と捕らえることも出来、変わった趣向の作品だと思いました。


▼以下、ネタバレ感想
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キングを探せ (講談社文庫)
法月綸太郎キングを探せ についてのレビュー
No.9: 7人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

そして扉が閉ざされたの感想

限定された容疑者と舞台における、フーダニット特化の推理小説。
無駄は一切排除されており、その単純さが、テンポや緊迫感を演出しているように感じました。
容疑者は4人しかいないにも関わらず、種明かしされるまで犯人に気づきませんでしたから「まいった」って感じですね。


▼以下、ネタバレ感想
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そして扉が閉ざされた 新装版 (講談社文庫)
岡嶋二人そして扉が閉ざされた についてのレビュー
No.8: 7人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

七回死んだ男の感想

SFミステリーのリピートもの。
「反復落とし穴」という体質を持つ主人公・大庭久太郎。
SFチックという事で、掟破りのハチャメチャトリックを懸念したが、そのルールを予め読み手にしっかりと説明している点はフェアで、「同じ日を9回反復する」というシンプルな設定なのでイメージしやすいと思います。
ただ、最後そのルールの盲点を突かれる訳だが、アンフェアとは言えないでしょう。
ただ「やられたっ」っていうより「やりやがったな(苦笑い)」ですが・・・

主人公の一人称で話は進みますが、この主人公、名前が「オバQ」って言うくらいなので、そこにシリアスな要素は皆無で、当然知的な印象を全く受けない。
また、他の登場人物も、一癖も二癖もある面白キャラに描かれており、全編を通してノリが軽く、コメディタッチで描かれている。
何せ、同じ一日の繰り返しが9回も続けて描写される訳なので、冗長になったり、いい加減鬱陶しくなったりもしそうだが、その辺を考慮して工夫されていると言える。


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新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)
西澤保彦七回死んだ男 についてのレビュー
No.7: 12人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

そして誰もいなくなったの感想

この作品における、ほぼ全ての犯行のトリックは緻密なものとは到底言えず、唯一のトリックらしいトリックといえる、例の肝の部分の叙述トリックも、当時の読者をさぞかし驚かせたであろうと想像できますが、今読むとありきたりです。
所詮古典?
古さを感じてしまうのは、この作品に登場した様々な手法が、後の推理小説や漫画でよく使い回されており、一度ならず目にした事があるからそう思うのだろう。
それだけ、後世の作品に与えた影響が大きかったと言う事だ。
古典は、現在の作品の土台となっている訳だから、現在の作品を超えるはずがない・・・はず・・・なのだが・・・
実際この作品をモチーフにしたなと思われる作品は、石を投げれば当たるというくらい多いが、この作品を超えていると言える作品は殆ど無いように思える。
この作品の既読者に、下手な先入観を持たせてミスリードを誘うという作品の多いこと。
あと、更に趣向を凝らしたつもりが冗長になっただけだったり・・・
この作品には無駄な部分がなく、贅肉を削ぎ落した感じで隙がない。
70年以上前に発表された作品とは思えぬ完成度の高さで、衆目一致で超えたと認められる作品は今後も登場しないのではないか。


▼以下、ネタバレ感想
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そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
No.6: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

『アリス・ミラー城』殺人事件の感想

定番とも言える孤島、城に、密室殺人、バラバラ殺人。
最後の数十ページまではよくある本格物ミステリーです。

私がこの作品を読んだのは、ミステリーを読み出して初期の頃でして、当時この手のトリックに全く免疫がなかったため、最初読み終えた時には何が何だかさっぱり分からず、まさに「はぁ?」状態で、ネタバレサイトのお世話になった後は、暫く「怒り笑い」が止まりませんでした。
しかし、更にえげつない同系のトリックを使った作品に数多く出会うにつれ、現在では評価が変わっています。
限りなくアンフェアに近いんだけど、まぎれもなくフェアですね。


▼以下、ネタバレ感想
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『アリス・ミラー城』殺人事件 (講談社文庫)
北山猛邦『アリス・ミラー城』殺人事件 についてのレビュー