■スポンサードリンク
梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数105件
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
阪急電車今津線を舞台にした連作短編集で、各章のタイトルは駅名になっており、10ページ程度の長さで非常に読みやすくなっています。
誰もが、電車の中で一度は見た事のあるような、また勝手に観察して勝手に想像していそうな、そんな些細な出来事をベースにしていて、それが各章数珠つなぎにリンクしています。 伊坂幸太郎さんの作品によく見る手法ですが、普遍的である分、そこに必然性や共感を感じる事ができました。 物語を動かすのが女性ばかりだなと思っていたら作者は女性なんですね。 まぁ確かに男性は、事なかれ主義というか、見て見ぬふりする人が多そうですもんね。 中々リアリティがあるように思いました。 また、行きの電車で描かれた出来事が、戻りの電車で進行しているのが面白いですね。 主人公達は全て前向きな人物ばかりだったので、それは進展・成長した形で戻ってきます。 ストレスを感じる事なく読めますね。 当然なんですが、乗客一人一人に物語があるんだと実感しました。 ミステリ要素は皆無ですが、たまにはこういう作品もいいですね。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
作者の真骨頂とも言える理系ネタものであり、クローン技術がテーマになっています。
20年も前の作品であり、当時と比べて現在では既に絵空事ではなくなっているのですが、これを賞味期限切れなどと評価するのはおかしいだろう。 この作品は、技術的な部分をどうこう言っているのではなく、進歩する科学・医療に対する、人間の倫理や尊厳といったものを主眼としています。 そして、そのタブーに足を踏み入れてしまった者達の葛藤や苦悩が描かれた作品です。 鞠子と双葉という二人の女性が主人公で、章毎に交互に登場する構成になっています。 視点の切り替わりは、非常に先が気になるタイミングに設定されており、読み手の「読む意欲」を掻き立て非常に効果的です。 二人は、お互いにその存在を知る事なく、それぞれがそれぞれの方法で真相に近づいていきます。 真相に対する近づき度合いもその時時で両者異なるのですが、それだけでなく、ワンステップ先に進めるための手掛かりも二人で異なっているのです。 違った切り口からのトライが、交互に描かれるのです。 おかげで、読み手には全く息をつく暇がありません。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
山葉圭史という主人公の名前を見た時「翔んだカップル」を思い出すようなら相当のおっさんでしょう(笑)
連作になっている短篇集で、「幽霊人名救助隊」と同路線の作品かなと思います。 伊坂幸太郎氏の「死神の精度」に似ている、というレビューをよく見かけます。 私も、伊坂さんを意識して描かれたのではないかなぁという印象を少し持ちました。 作品を通して語られる「未来予知」というシュールなテーマも、どことなく伊坂作品に似た印象を与えてしまいます。 実際作者にそういう意図があったのかは定かではありませんが、ただ、読み手に伊坂さんを連想させたら「負け」でしょう。 幾重もの伏線が張られていて・・・といった趣向の作品ではないと思います。 「伊坂と比べると・・・」的な評価をされてしまうのではないかと危惧します。 「似て非なるもの」として読むべきだと思うのですがどうでしょうか。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
「僕らは友だちになれるだろうか」
同い歳の父親に出逢えたら友だちになれるかなんて考えた事もなかったけど・・・なれないような気がするなぁ(笑) 主人公と危篤状態の父、主人公とそのひきこもりの息子、そして不思議なワゴンを運転する事故死したはずの父子。 この三組の父子がそれぞれ抱える「後悔」を描いた物語です。 不思議なワゴンに乗り、現在と過去を行き来し後悔をやり直していくのですが、面白いのは、やり直しが現在に反映されないという点です。 現在の自分のターニングポイントとなった地点に降り立ち、それを目の当たりにする事により、何がいけなかったのかを確認します。 現在に戻っても状況に変わりはないのですが、それを打破すべく新しい一歩を踏み出すという、希望の予感に満ちたまとめ方で、非常に爽やかな読後感です。 昔、これに似た設定の映画がありましたが、こちらの方が日本人の感性に合っているように思います。 主人公と妻のくだりも描かれますが、ここが18禁風味で残念。 ここさえなければ、学校の推薦図書にもなりそうな良作です。 惜しい。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
途中まで、ジュブナイル青春小説という印象を持ちながら読み進めたのですが、なんのなんの。
上下巻合わせて千頁超えのかなりの長編小説であり、中だるみするかと思ってすらいたが、なんのなんの。 気がついたら、この世界観にどっぷり浸かっていた、そんな感じでした。 主要登場人物が8人と多目。 彼らは、優等生であり受験を控えた高校3年生という事もあり個性的とまでは言えませんが、それぞれに背負わなければならない過去や悩みを抱えています。 忘れていた誰かの事を思い出す度に一人ずつ消えていくのですが、そこに無慈悲さはありません。 自分の番を迎えた時、彼らは自身の悔やむべき過去や内面の弱さと対峙します。 この時、彼らは主人公なのです。 作者は全ての各登場人物をとても大事に丁寧に描いていますね。 作品の構成上、次に消えてしまうのは彼(彼女)だなと分かってしまうのですが、何か寂しい気持ちになって読んでいたのが印象的です。 これだけ多くの登場人物に感情移入できた作品も珍しい。 正直、ミステリだという事も忘れて没頭していました。 ミステリの部分も、仮想現実の世界という非現実的な前提こそあるものの、そこにさえ納得できれば、数多く散りばめられた伏線もその回収の方法もお見事。 何より、中後半までの流れから、これだけ読後感のよい作品にまとめあげているのはさすがです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
戦時下の日本において秘密裏に設立された、魔王・結城中佐率いるスパイ養成機関(D機関)の暗躍を描いた短篇集です。
その結城中佐だが、帝都物語・加藤保憲(というか嶋田久作)を彷彿とさせる表紙のイラストが何とも魔王という表現にイメージぴったりです。 最初の作品である「ジョーカー・ゲーム」を読めば、結城中佐及びD機関の異様さが朧気にも理解できるようになっていますが、D機関の色々な側面を見せるために短編集という構成は非常に効果的だったと思います。 メンバは「見えない存在」である事に徹するため、心理描写が殆ど無いのですが、それが独特の緊迫感を生んでいます。 人物造形が弱いとも言えますが、それがかえって魔王・結城中佐の存在を際立たせていると言えます。 面白かったですが、シリーズの第1発目という事で、導入部という意味合いもあるのでしょう、その分意外性は少なく、読後カタルシスを得られるかと聞かれると疑問です。 ただ設定自体非常に好みなので続編への期待は大きいです。 続編も短編のようですが、最終的には、結城中佐が窮地に追い込まれるプロットで、是非長編で読んでみたいですね。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
SFミステリーのリピートもの。
「反復落とし穴」という体質を持つ主人公・大庭久太郎。 SFチックという事で、掟破りのハチャメチャトリックを懸念したが、そのルールを予め読み手にしっかりと説明している点はフェアで、「同じ日を9回反復する」というシンプルな設定なのでイメージしやすいと思います。 ただ、最後そのルールの盲点を突かれる訳だが、アンフェアとは言えないでしょう。 ただ「やられたっ」っていうより「やりやがったな(苦笑い)」ですが・・・ 主人公の一人称で話は進みますが、この主人公、名前が「オバQ」って言うくらいなので、そこにシリアスな要素は皆無で、当然知的な印象を全く受けない。 また、他の登場人物も、一癖も二癖もある面白キャラに描かれており、全編を通してノリが軽く、コメディタッチで描かれている。 何せ、同じ一日の繰り返しが9回も続けて描写される訳なので、冗長になったり、いい加減鬱陶しくなったりもしそうだが、その辺を考慮して工夫されていると言える。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
この作品における、ほぼ全ての犯行のトリックは緻密なものとは到底言えず、唯一のトリックらしいトリックといえる、例の肝の部分の叙述トリックも、当時の読者をさぞかし驚かせたであろうと想像できますが、今読むとありきたりです。
所詮古典? 古さを感じてしまうのは、この作品に登場した様々な手法が、後の推理小説や漫画でよく使い回されており、一度ならず目にした事があるからそう思うのだろう。 それだけ、後世の作品に与えた影響が大きかったと言う事だ。 古典は、現在の作品の土台となっている訳だから、現在の作品を超えるはずがない・・・はず・・・なのだが・・・ 実際この作品をモチーフにしたなと思われる作品は、石を投げれば当たるというくらい多いが、この作品を超えていると言える作品は殆ど無いように思える。 この作品の既読者に、下手な先入観を持たせてミスリードを誘うという作品の多いこと。 あと、更に趣向を凝らしたつもりが冗長になっただけだったり・・・ この作品には無駄な部分がなく、贅肉を削ぎ落した感じで隙がない。 70年以上前に発表された作品とは思えぬ完成度の高さで、衆目一致で超えたと認められる作品は今後も登場しないのではないか。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
定番とも言える孤島、城に、密室殺人、バラバラ殺人。
最後の数十ページまではよくある本格物ミステリーです。 私がこの作品を読んだのは、ミステリーを読み出して初期の頃でして、当時この手のトリックに全く免疫がなかったため、最初読み終えた時には何が何だかさっぱり分からず、まさに「はぁ?」状態で、ネタバレサイトのお世話になった後は、暫く「怒り笑い」が止まりませんでした。 しかし、更にえげつない同系のトリックを使った作品に数多く出会うにつれ、現在では評価が変わっています。 限りなくアンフェアに近いんだけど、まぎれもなくフェアですね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|