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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数105件
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読む前と読了後ではかなり印象が変わった作品です。
読む前は「殉教カテリナ車輪」という意味不明なタイトルから、何か難しいものを想像していたんですけどね。 あるきっかけから某画家の事が気になり調査を始める美術館勤務の学芸員、その画家の手記、謎解きをする学芸員の同僚という3人の視点から描かれる三章構成は、物語の流れとしても非常にわかりやすく、またこの作者自身の文章も非常に読みやすく感じました。 まぁ全体を通して淡々としすぎていた感じはありましたが・・・ で、「(ほぼ)同時刻に発生した連続密室殺人。しかも犯人は一人。そして凶器も一つ」というコテコテのミステリーです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「ハサミ男」「鏡の中は日曜日」と読んだ私には、その普通さに若干驚かずにいれなかった。
ただそんな「普通」の中にも、この作者らしい趣向が凝らされており「やはりこの作者の作品は面白い」と思わせてくれる作品でした。 鍾乳洞、俳句、わらべ唄と横溝正史のオマージュ。 ただ、舞台は山奥の田舎であるものの閉鎖されている訳でもなく、村や家に受け継がれる風習や言い伝えだとか、それに伴うおどろおどろしい雰囲気もありません。 リゾート開発だったりバブル崩壊が介在してきて現代版横溝正史という感じです。 わらべ唄になぞらえたと思われた連続殺人も「誰も正確に覚えてもいない唄になぞらえても意味ねーだろ」と探偵役が一蹴するあたりも現代風。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「神様ゲーム」の続編。
で、不可謬な存在である神様はお馴染み鈴木太郎、小学校5年生で、何と今回はイケメンで降臨します。 鈴木は最初に犯人の名前を教えるだけで推理はしません。 推理をするのは鈴木の同級生達になります。変則的倒叙型と言えるでしょう。 彼らは探偵団を結成していますが、探偵団メンバは他の同級生と比べてその言動において抜けて大人びており「こんな小学生いねーよ」なレベル。 鈴木が不可謬な存在である事を前提として読むから無理くりつなげる事が出来ますが、作者はそこに「笑うしかないような偶然」を介入させています。 鈴木が指摘したゴールには、本来の推理小説の体では絶対にたどり着く事は出来ないように思う。 だから犯人だと分かっていても立証できるはずもなく告発もされない。そこに真実を知る者の葛藤が生じる。 これでもそれなりに面白いと感じていたのですが、そこはやはり麻耶雄嵩。 ここまで隠されてきた語り手の秘密が明らかにされ、そして事件そのものにも趣向を凝らした第4章。 私が「物足りないけどまぁ面白いかな」と感じていたこれまでが完全に前振りで、これまでの流れで読んでいるとミスリードを喰らってしまう。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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この作品をわかりやすく表現すると、
作者「ほ~ら、ほら、騙すぞ~、騙すぞ~」 読者「そう簡単に騙せると思うなよー。俺はハサミ男も読んでるんだぞ(キリッ)」 「ドーン」 ←穴ぼこに気をつけながら慎重に進んでいたが、当たり一面の床がまんま抜けた感じ。(ドリフのコント風) 読者「そりゃないだろ(涙)」 これを味わいたい人には是非お薦め。 名探偵石動戯作シリーズの3作目らしい。 しかし登場人物一覧を見ても石動の名はない。過去シリーズを読んでいない私にとってまずこの人誰?なのだ。 しかも、名探偵?と首を傾げたくなるくらい何もしていない。 そして唯一の推理は、思い切り外してるというか当事者に一瞬で覆されているし。 あの「ハサミ男」の作者でもあり、何か意図的なものを疑ってしまった。のっけから完全に本質とはズレたところへ嵌り込んでしまった感じだ。 過去シリーズを読んでおくにこした事はないのだが、それでもこの作品が強烈な作品である事は理解できる。問題作だ。 参考文献に綾辻館シリーズがずらっと並んでいる。こういうのも余り見た事がない。 あぁそう言えばと頭をよぎったのが「黒猫館」と「迷路館」 オマージュという事らしいが、私には作者の「俺ならこう料理する」的な遊び心とちょっとした自信のようなものを感じました。 「ハサミ男」のレビューを書いた時に、「ちょっと偶然にも程がある」点があるとして星1つ落とした経緯があったのですが、だったらこの作品はいったい星を何個落とさなければならないのか(笑) まぁ「ハサミ男」を超えるインパクトをという作者の意気込みは十分汲み取ることは出来る。 正直無茶苦茶だと思うが嫌いではない。 「アンフェアにも程がある」のですが、それをわざわざ補強するミスリードの数々。 ただ、アホにでも気付くようにプンプンと臭いを垂れ流し状態にしている、あの構成。 で、これだけ警戒していても騙される。 「登場人物全員グルでした(実際は違いますよ)」・・・的なちょっと衝撃的な騙され方でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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館シリーズ?の第2段。
前作同様、1つの物的証拠に徹底的に拘っての論理的消去法推理。 あくまでもロジックという姿勢は好感が持てるし、リーダビリティの高さも相まって好きだという人は多いだろう。 今作は、表紙の絵にもあるようにモップとバケツ。 事件発生現場が水族館という特殊な場所であるため、犯人の取った行動にも必然性という意味で納得できるものになっています。 別の可能性に対する推理抜けといった点でも前作のような粗さもなく、かなり進化しているように感じました。 難点を上げるとしたら容疑者の数が多いことか。 最後にあの動機を持ってくるのなら、もう少し容疑者の数を減らして、キャラの掘り下げをしたら良かったのではないかとも思います。 それとシリーズ化を意識しているのだろうが、事件と無関係な枝葉の話が多過ぎたようにも思われます。 柚乃の卓球の試合そして天馬と強豪校主将との関係や天馬の家族の登場、そして父親との確執。 そして、新聞部のイケメン副部長らの新キャラに、前作の関係者まで登場してくる。 容疑者が多い割に冗長な部分が多く、肝心な部分の描き込みが浅い。 そのため、動機と殺害方法が異様なまでにアンバランスに感じてしまいました。 でもまぁ続編が出たら是非読みたい。 という意味でもシリーズ化には成功しているのかなって思います。 |
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鮎川哲也賞受賞作である作者のデビュー作。
「エラリー・クイーンを彷彿とさせる論理展開+抜群のリーダビリティ」 まぁエラリー・クイーンは言い過ぎとしてもリーダビリティが高いことには同意。 アニメオタクの駄目人間の探偵役が時折発するオタクネタには全くついていけず少々うざかったが作品の邪魔になっているとも思えず許容範囲。 タイトルといい犯人の一人称によるプロローグといい綾辻館シリーズのパロディだと言う事はそれとなく分かったが、テンポはあるもののラノベかと勘違いしそうなくらい軽い。 個人的にその原因となっているのは、まるでいないのも同然となっている警察の描き方ではないかと思う。 主人公のキャラに全編支配されてしまっている。もっと素人探偵に反目し苦戦する警察を描いた方が、軽いながらも切れのある推理が際立ったのではないか。 ただ、1つの物的証拠に徹底的に拘り、そこから展開される消去法により犯人を絞り込んでいくという手法は正直好み。 他のレビュアーの方の指摘にもあるように、検討すらされず「抜け落ちて」て無視されてしまっている可能性があったのは少し残念でしたが・・・(まぁそういう作品多々あるんですけどね) ▼以下、ネタバレ感想 |
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(化け物)碓氷優佳シリーズの3作目にしてこのタイトルですから、読む前から否が応でも期待が膨らむわけです。
「多分半ばホラーだな」とか「犯人カワイソス」などなど色々想像していたのですが、期待していたものとは違いました。 タイトルにある「彼女」とは(怪物)碓氷優佳の事ではなかったからです。 序盤は「もしかしてイマイチ」と思って読んでいましたが、やはり(モンスター)碓氷優佳は期待を裏切らない。 彼女とは被害者の女性の事だったのですが、(悪魔)碓氷優佳の存在によって加害者が被害者に追われているような錯覚に陥るといった感じでしょうか。 読了後はこのタイトルもしっくりするものになります。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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複数の父親に一人の息子。この設定はどこかで見た事があるのだがそこは伊坂流。
博才のある男、運動神経抜群の男、頭脳明晰な男、女性の扱いはお手の物の男。 単に4倍の愛情を受けてという単純なものではない。 四者四様の発言、行動の違いが面白いが、この4人が一つの目的に向かってタッグを組んだ時は最早無敵。 この作品、ゴールデンスランバーの1つ前の作品だそうで、作者曰く、この作品が第一期最後の作品だという。 何となく納得できるかなと。 散りばめられた伏線とその一気回収というスタイルは第一期、第二期とも同じだが、第二期の作品に多く見られる「重さ」がこの作品にはない。 単純に作者の繰り出すユーモアを楽しむ作品かと思う。面白くて一気に読めてしまった。 ただ軽すぎて、作者がこの作品を通して何を訴えたかったのかがイマイチ分からなかったかも。 血が全てではないと言いたかったのかな。 それと、富田林や鱒二の父親といったせっかくの個性的なキャラの扱いが中途半端に終ってしまったかなという印象はあります。 |
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正直ハードボイルドものは余り好きではありません。
登場人物の心理描写がなされないので、口数少ない主人公のセリフや何気ない所作から色々察する必要があります。 作品に没頭するには主人公に感情移入できる事が必要不可欠と考えます。 特にセリフに味わいがあるはずなのですが、訳によっては「キザ」「ダサい」で片付けられてしまい、こうなってしまっては最早「無味乾燥」 何も残らない作品として読み終えてしまうことが多いです。 分厚いけれど文字が大きいので読了までそれ程時間はかからないかなと思っていましたが、読み始めてみると改行が少なく字がびっしり、予想外に時間がかかってしまいました。 ただ、可読性が悪かったわけではなく寧ろすこぶる良好でした。 可読性が良いのに読了時間を要してしまったのは、それだけ苦手なはずのホードボイルドの世界に没頭できたからでしょう。 私が読んだのは村上春樹訳です。 村上春樹とハードボイルドっていまいちピンと来ないのですが、粋でウイットに富んだ文章を堪能させてもらいました。 清水訳は読んでいないのですが、本来ストーリーテラーであるはずの訳者により、違った価値観が付加されているように感じました。 いい意味での「軽さ」ですかね。 主人公を単なる「キザで鼻持ちならない奴」に終わらせず、ハードボイルド苦手な読み手にも好感を持たせる事に成功している訳者村上春樹のこの作品、この主人公に対する愛を感じることが出来ました。 ミステリっぽい部分もあるのですが、推理しながら読むような作品でもないでしょう。 世界観を楽しむ作品かなと思いますので。 最後、この作品一番の真相が明らかになる某セリフに「おっ」と驚かされる事でしょう。 これで十分、こんな事まで期待していなかったって分、感動は2倍って感じでしょうか。 私は知らなかったのですが、かなり有名なセリフだったようです。 後はタイトルの意味をどう解釈するか、ですかね。 面白かったです。 |
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この作品では「お客様相談室」となっているリストラ部屋だが、今のご時世どこの会社にもそのような部署やそういう扱いを受けている社員さんが山のようにいるはずである。
自分のキャリアが無視され畑違いの部署に配属、嫌になって自分から辞めると言い出すように仕向ける。 会社も(辞めさせようと)必死、でもこっちはもっと必死だわな。大人の責任ってもんがある。会社の思惑なんて知ったこっちゃない。 我慢して、新天地でこつこつと或いは懸命に取り組んだとしてもフィードバックゼロ。つまり社内における存在価値ゼロ。やってられない。 まぁ実際のところ辞めたら負け(20代は除く)だけどそれじゃ物語にならない。 「会社や仕事なんかのために死ぬな」 勿論そうだけど、そんな上手くそして格好良くはいかないよ。 実際リアリティはないんだけど、上手くコメディドラマ風にまとめてそこまで現実と乖離してるようには感じさせないですね。 経営陣の時代錯誤も甚だしいマヌケなところなんて、どこの企業でも同じでしょう。この作品のような同族会社なんて特にね。 半沢直樹の場合は、東大、早稲田、慶応卒で尚且つその中の競争に勝ち残ったものにしか行き着けない世界での話だけど、この作品の場合はサラリーマンなら大半の人間が遅かれ早かれ経験できますよ。脅しじゃないよ。 おでんの具の喩え話は面白かったなぁ。 主役になりたいのか脇役に徹するのが向いているのか。 人間誰しも適材適所、または得意分野ってもんがある。 見栄や欲より「やりたい事」 結局そういう選択をした奴の方が人生成功してる気がする。 こういう事をしっかり考えた上で就職活動ってやるべきなんですけどね。 学生の時って気づかないんだよねー。 辛い思いをしているサラリーマン諸氏へ。 神の御加護があらんことを。負けるな!!ファイト!! |
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【ネタバレかも!?】
(3件の連絡あり)[?]
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古典部シリーズ第三弾となるはずであった作品らしい。
この事は読了後に知ったわけですが、なる程序盤は古典部シリーズそのものですし、登場人物のキャラもかなりかぶってますよね。 古典部シリーズにしても小市民シリーズにしても、この作者の「日常の謎」モノが、私には少々軽すぎて「7点の壁」がありました。 この作品が、これまで読んだ作品と違うと感じるのは、その背景にユーゴスラビア紛争がある事が大きいのかもしれません。 多民族国家であるユーゴスラビアを構成する(5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字を有する)6つの共和国の内、マーヤの祖国はどこかが最大の謎解きテーマになります。 伏線を拾い集めそれを推理するスタイルがこれまでの作品にないミステリらしさがあって好きですね。 無論謎解きだけではなくて、作品全体を通したテーマがあるのですが、 何事にも打ち込むことのなかった視点人物となる男性が本気になって円の外の世界に目を向けるようになる姿であるとか、この年齢にありがちな「自分は万能」という幻想が崩壊していく様子が描かれていたりします。 登場人物達の年齢に則したテーマといえ好意的というか感情移入しやすい描写ができているように思いました。 視点人物の男性を中心とした二人の女性との淡い恋心というか想いのすれ違いも描かれています。 この作品に恋愛描写など必要ないと思いますが、二人の女性の対応が非常に大人であり、作品をピリッと引き締めていますね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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子供向けレーベルとして発刊されるもノベライズされたという事で大人でも楽しめる作品という事なのだろう。
小中学生向けにしてはかなり内容が残酷で推奨できる書物でないことは確か。 それに最後真相が明らかになってもまず「はぁ?」だろう。小中学生にこの面白さが伝わるとは到底思えない。 「エッチな事」という表現。さすがに作者も気を使ったのか、そこは子供向けレーベルらしい。 殺害トリックなどに主眼が置かれた作品ではないと思いますが、それ自体はトリックと呼べるシロモノではないです。 麻耶雄嵩らしい作品、まぁプチ麻耶雄嵩ですが、それでも子供には残酷で難しく、大人にはやはり物足りない、そんな作品かなと思います。 探偵役が言う事が必ずしも正しいという保証はないというのが「隻眼の少女」であり、その対極にあたるのがメルカトル鮎シリーズ。 「不可謬にして無謬」なメルさんに相当するのが、この作品における鈴木太郎。 「神様なんているわけ無いじゃん」などという余計な邪推はこの作品には不要なはず。というかしてはいけないと思う。 神様の存在なんて信じる必要はないけど、鈴木太郎を仮にメルカトル鮎の幼少期の姿だと思って読めばいいのだ。 何の抵抗もなくすんなり受け入れられる。麻耶作品に絶対神はいるのだ。 麻耶雄嵩の作品が初めてだという人には出きっこないけど・・・ ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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相変わらず複雑なプロットだが、他の作品のような「こねくり回しすぎだろ」という印象はないです。
この作品の主人公は、探偵法月綸太郎というよりも、被害者の父親である山倉史朗という人物であると言っていいでしょう。 タイトルにある「一」は、一人称叙述形式の「一」であり、山倉史朗の一人称視点で語られます。 単なる誘拐事件ではなく、その裏には山倉史朗を中心とした複雑な人間模様が背景としてあります。 その複雑な人間関係、少なくとも山倉史朗本人には初めっから全て分かっています。 読者には物語の進行に従い徐々に明らかになっていきますが、それにより何故山倉史朗がこれ程までに必死なのかも分かってきます。 登場人物は多くはないのですが、その殆どの人物を一度は容疑者へと浮かび上がらせるプロット、そして殆どの登場人物が不幸になるという悲劇、そして最終的に山倉史朗にとっては最も悲惨であろうと思われる結末が待ち構えてちます。これぞ「悲劇」 その山倉史朗の視点で語られる物語は全編緊迫感に満ちています。引き込まれます。 いつものような、綸太郎の悶々とした苦悩、二転三転の推理に付き合わされイライラする事がありません。テンポもいいです。 山倉史朗以外の視点で語られたなら、こんな緊迫感は絶対に生まれていませんからね。 というか、この作品は法月綸太郎シリーズですが、倫太郎がいなくても十分良質の誘拐モノとして成り立っています。寧ろ邪魔かも。 でも皮肉な事に、個人的にこの作者の作品では一番かな。 |
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正直「あれっ!?」って思えます。
高野和明さんって事で手にしたこの本でしたが、もしかして新境地??って思える程、美しい物語でした。 坂上仁志さんという方との共著だったんですね。ストーリーは坂上さんの方? ミステリ色は薄くて、寧ろ恋愛小説って言ってしまってもよいでしょう。 主人公は、他人の夢の中に入る事ができる女性心理カウンセラー、ファンタジーな世界観です。 相手の(夢の中を覗かれる)男性が刑事さんってのも理にかなってるのかもしれません。 私の夢なんて覗き見された日にゃ、嫁なんか発狂しそうですもんね。「離婚よ~」ってな感じに・・・ 冗談はさておき、この作品にいたく感動したのは、こういう超能力的な力を扱っていながら、リアリティの枠を外さずに描き切っている点です。 たまには、こんな作品もいいなぁって心から思えるあったかい作品。 |
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扱われる作品テーマといい、それをここまで広げて描き切ることといい、これぞ宮部みゆきという作品。
模倣犯のような疲れるような長さもない、火車と違ってそれなりに話に起伏があって退屈さを感じない。 ならこれがベストかと聞かれるとノーなのだ。やっぱ模倣犯や火車の方がいいのだ。 何故だろう?不思議だ。宮部みゆきの社会派作品は、読了時にどっぷり疲れていないと読んだ気がしないのかも知れない。 現代社会の毒を上手く描いています。 人間の持つ怒りや嫉妬、不安、不満、孤独や憎しみなどなど、そんな「暗」の部分の根深さ、恐ろしさ。 誰しもが身に覚えのあるそんな感情の爆発が産む恐怖、そんな「名もなき毒」を誰しもが持っているという事なのだろう。 原田いずみのようなモンスターは確かにいますね。特に最近の若い世代に多い気がします。(ゴメンネ、若い人) 携帯やゲーム機の普及といった時代背景も大いに影響しているようには思いますが、我々親世代にも責任の一端はあると感じています。 「普通に生きることが立派」この言葉、かなりグッと来ましたね。 |
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