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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数236件
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音道貴子シリーズは「凍える牙」を既読なので2作目になります。
「凍える牙」の「動」な音道とは真逆の「静」な音道、といっても監禁される身分で身動きがとれない訳ですが・・・ この作品の音道はヒーローではない気がしました。寧ろ汚れ役と言っていい。 窮地に陥った時の人間の本音を主人公であり警察官である音道の口に語らせています。 正直格好良くないだけでなく、「音道ってこんな奴?」なのである。 そもそも元はと言えば彼女の軽率な行動が原因。 彼女の刑事としての今後のキャリアに大きなペナルティがあっても不思議ではない失態な気がします。 これが原因で、やはり最前線に女刑事を送り込むのは・・・となりかねないのでは。 このシリーズが、男社会の中に生きる女性の強さを描きたいものだとするなら・・・なんて感じながら読んでいました。 一人の女性としてはよく頑張った、耐えたという事になろうが、一人の女「刑事」としてはこれは合格なのだろうか。 もう1つ、犯人側に魅力がないという事があります。 行き当たりばったりで無計画または無知過ぎます。 音道の失態には、こんな間抜けな犯人達にというおまけまで付きますね。 |
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宮部みゆきさんのホントに初期の作品。
作者得意の超能力モノで登場するのは読心術と瞬間移動です。 相手の心が読めるとなれば色々なメリットがあることでしょう。 成功者となる事は容易。 当然そう考えてしまうのですが、作者はそこへ向かわず、ひたすら力を持つが故の苦悩を描きます。 確かに他人の本音が全て聞こえてしまえば辛いでしょうね。 ただ私ならそんな事は承知の上で、それを利用してズルい事を考えてしまいそうですが・・・ 物語には2人の超能力者が登場しますが、ベクトルの向きが異った方が面白かったんじゃないかな。 どうも私が期待するように動いてくれなくてもどかしいというか・・・まどろっこしい事するなーなんて感じました。 なので超能力を扱っている作品としては地味だしどこか流れにメリハリがなく緩いです。 登場人物の中に言葉を話せない女性が出てきます。 人より多く持っている主人公達に対して欠けている女性。 この設定には期待せざるを得なかったのですが、正直「あれっ?」で終わってしまいました。 |
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私の読書歴でかじってきた作家さんの数なんてたかが知れているのであるが、この作品を誰の作品か知らずに読み始めたとしても「恩田陸さんじゃないか」って思うんじゃないだろうか。私の知る限りでこんな作品を描くのは恩田陸さんしかいない。・・・そんな作品である。
エリザベスとエドワード。 この二人の時空を超えたラブストーリーなのだが、相当に難解であるので流し読みでは何のことやらサッパリ分からないはずである。 ラブストーリーの中でも恩田陸が描く少女漫画的ラブストーリーである。 普通男性が読むには厳しいモノがあるのだが、この設定の難解さを読み解くという意味で読む価値はあると思う。 5章立てなのですが、輪廻転生の繰り返しのなせる技か、年代や場所だけでなく二人の年齢、年齢差もバラバラ。 更に物語を複雑にしているのは、お互いにとっての初めての出会いの場所と時間が違うという設定。 第4章がキーで冒頭の出来事と繋がっているのではないかというのは何となく分からんではないのですが・・・ 兎に角難しい作品です。 |
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警察組織をあざ笑い叩き潰す。裏切り者は誰だ。
タイトルからはこういう内容を連想できないだろうか。 実際は「真逆」だった。誰一人笑ってる奴などいなかった。 作品のタイトルが「笑う警官」になった経緯は解説に描かれていたのですが、正直作品の内容と合っていない。 そんな気がします。 実話をモチーフにして描かれた作品という事で、リアル感こそあるものの正直ドラマ性には欠けますかね。 地味ですね。 「内部腐敗を証言させまいとする上層部VS仲間を無実から救おうとする同僚」 という構図ですが、その割には、その同僚たち、意外と自由にそしてトントン拍子に捜査を進めていきます。 上からの非合理な圧力を受けての苦悩といったものが感じられないですし、トンデモ人事異動によるド素人集団による捜査っていう設定も活かされていないですよ。 まぁタイムリミットまでが余りにも短いんで仕方ないのですが・・・ それにしてもいたって「普通」です。 解説には、各分野の一芸に秀でたエキスパート達が集い・・・なんて描かれていた気がしますが、正直「あの女性警官、ハッカーだったの!?」ってな感じ。 要するに人が描けてないって事なんじゃないかなと。 つまらなくはないのですが、全てにおいて中途半端だった気がしますね。 |
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当方仲間由紀恵の(元)ファンであり、この「顔」のドラマDVDを所有しており何回も見ている。
嫌いじゃなから何回も見ている訳だが、この平野瑞穂という主人公は好きではなかった。 正直「めんどくせー女」という印象だった。 「だから女は使えねえ!」 「疑惑の似顔絵」を書かされた似顔絵婦警の心理状態については正直理解不能ですし、そんな感情を持ち込んで良い職場ではない気がする。 はっきり浮いている。 頑張っているのは分かるので、応援はしたくなるとはいえ・・・どちらかというと「そういうスタンスじゃダメだよ」ってアドバイスしたくなる。 当然ですが男だって社会生活において傷は持っています。その数は女性の比じゃないでしょう。 でもそんなもの物語になりゃしないし誰も読まない。「甘ったれてんじゃねーよ」でおしまい。 男の職場で「男尊女卑と戦い成長する女性の話」というレビューも見られますが、私は逆な気がします。 こういう描かれ方をする事自体が、女性蔑視といえば大袈裟ですが、対等に評価されていないという感じがしてならないのですが・・・ まぁ中には女性特有の視点で解決できた事件もありましたけどね。 作者の他の警察小説とは明らかに異なった視点からの物語であるし、ひょっとしたらそれが狙いなのかとも考えますが、やっぱり面白味という意味ではイマイチですかね。 |
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これも15年ぶりの再読。
「リング」で始まるこのシリーズ、「呪い」から始まった謎に、この作品でしっかりとした(より現実的な)オチをつけています。 その代わり、多くの読者がこのシリーズを手に取るに至ったホラー色は薄くなり、というか完全に消え去り、最早完璧なSF作品になりました。 ここには賛否両論あるでしょうが、冷静に考えてみると、構成という意味で、これ程までに綺麗に嵌ったシリーズも珍しいのではないかと思います。 シリーズを追う毎に物語のスケールが飛躍的にアップしていきます。しかも舞台となるのは全く異なる分野です。 そんな中で、前作からの繋がりをしっかりと感じる事ができます。 時系列を考えてみても面白いですね。予想外の繋がりを見せてくれます。 この点は素晴らしいと思うのですが・・・正直この作品は面白くないんですよね。 まず作品の持つ「色」の違い。これまでの2作品とのギャップがでかすぎます。 知った名前も一切出てこず、一体何が始まったんだ・・・って感じでしたから。 続編を楽しみにしていた読み手をがっかりさせる効果は抜群でしょう。 蔓延しているガンウィルスってところに、繋がりのヒントを汲み取ることは出来ますが、正直もう少し何とかならんかったかという気持ちです。 まだあります。(ネタバレにて) ▼以下、ネタバレ感想 |
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既読ながらまだレビューを書いていなかったので15年ぶりくらいに再読。
原作を読まず映画だけ観た人にとっては「THEホラー」なのだろうが、実のところ原作はSF+ミステリって感じですね。 正直ホラーは好きではないのですが、この作品に関しては圧倒的に映画に軍配ですね。 山村貞子の出世作となる訳ですが、「あのように」映画化されていなければ、これだけ持ち上げられることもなかったでしょう。 15年ぶりとはいえ結末を完璧に覚えているという事もあり緊張感はイマイチ。 これはある程度しかたないにしても、結末まで紆余曲折もなく一直線ってのも気になりましたし、何より、謎を解く鍵はビデオの映像になるはずなのに、「こんな描写で読み手に伝わるのか?」という感じでしたね。 映像の描写だけでなく、その謎解きについても正直説明不足に思いました。 続編がある事を知らないで読み終えてしまうと、とてつもない消化不良感に襲われるのではないでしょうか。 |
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バラエティに富んだ?短篇集。
ただ特筆できるほど面白い作品はなかった。 う~ん、どこか作者のやる気が感じられないんだけどどうなのだろうか。 都筑道夫さんの作品の模倣が数作。都筑作品は読んだ事はないのですが(有名なんでしょうか)どこか既視感あり。 腹話術のやつは我孫子武丸の某シリーズを連想させるし(全然違うけど)、交換殺人のやつにしてもどこかで読んだ事のあるような・・・ オリジナリティという点で首を傾げざるを得ない。 あと意味不明なものが1作、そして全く意味不明なものが1作。 メインディッシュは表題作の「しらみつぶしの時計」と「盗まれた手紙」だと思いますが、どちらも完全なパズル。 短篇集ということで、余計なものを全て削ぎ落として・・・と言えば聞こえがいいが、落としすぎ。 パズルものでこれやったら、ホントにただのゲームになってますよ。 表題作に関して言えば、恐らく直ぐ答えがわかった人と最後まで分からなかった人に二分されるのではないでしょうか。 私は直ぐに分かったのですが、分からなかった人は、答えに行き着くまでの過程も流し読みだったんじゃないかな。 分かった人が読んでてもぐずぐずだと思ったもん。 完全にまず答えありきのパズルですね。 それとどこか読み応えを感じないのはシリアスな作品が無い事ではないだろうか。 シリアスな作品がパロディより上だとは言いませんが、シリアスに仕上げられそうな題材まで軽くまとめる事はないでしょう。 どこか投げやりに感じられたのは、こういうところではないだろうか。 これも作者のやる気を感じられなかった理由の1つですね。 |
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「時と人三部作」三作目。
読了後まず不思議に思うのはそのタイトルである。 何故「リセット」なのか?未だに分かっていなかったりする。 所謂輪廻転生モノだが、「やり直す」と言う程、後悔の残る人生を送っていたようにも思えない。 そして一番大切なものはリセットされていないのに・・・ たとえ時に翻弄されようが大切なモノに気付いている人は強いという事が主題だと思っているのですが・・・ 真逆かと思えるタイトルに少し戸惑っています。 二部構成になっていて、 太平洋戦争という「死」が身近にあった時代に翻弄される一人の少女を描いた第一部。 入院中の父親が自身の不思議な体験談を娘に聞かせるため、(彼自身が書いた)日記を元にしてテープに録音するという独白形式の第二部。 さすが国語教師の作者だけあって、第一部は、多くの文献を元に時代背景を非常に丁寧にそして克明に描いています。 ただ上流階級に育った少女の日常という事もあって、戦中でありながら起伏が少なくどこかまったりしている。 どこか入っていきづらい。しかも長い。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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私は共感覚という言葉の存在は知っていましたが詳しいわけではないです。
そして「ホントにあるんですね」といったレビューも散見されています。 それを考えると特殊能力の設定に対して、もう少し掘り下げた解説が必要だったかもしれませんね。 殺害現場となった廃工場の隠し部屋を発見するなど特殊能力有効活用。 ラノベっぽさをちらつかせながら意外と本格方向かと期待したが、終盤に向けてとんでもない方向へ。 何かと話題の動機も含め、ここまでぶっ飛んでというかぶっ壊れてれば・・・ まぁ中途半端よりはいいか(笑) しかし、深く考えてもいなかった被害者の共通項まで炙りだしちゃった訳だから、この作品意外と侮れないのかも。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ミステリだった「ドビュッシー」、音楽は人間を救う「ラフマニノフ」、そして音楽は世界を救う「ショパン」
スケールが大きくなるにつれてミステリ色は薄くなり、今作は最早ミステリとは呼べないかなぁ。 ただ、専門知識がなくとも、その迫力を感じさせる演奏シーンは相も変わらず健在。 というか、これまで以上に演奏シーンのオンパレードなので、過去の作品で(演奏シーンを)読み流しているような人には向かないかも。 主人公はポーランド人でコンテストの優勝を狙う男性であり、作品の見どころは、紆余曲折を経ての彼の成長&覚醒といったところか。 岬洋介は登場し事件の解決に(見えないところで)地味に活躍。 探偵役というよりほぼコンクールのコンテスタントであり、主人公のライバルであり、彼の覚醒に一役買うといった役どころ。 最後にちょっとあるんだけど、あれは蛇足だったかな。爆弾テロだけにとどめておいても良かった気がします。 読了後表紙を見た時に少しぐっときたかな。 |
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「ボトルネックの感動ふたたび!」
との事らしいが、ボトルネックって感動するような作品だったのか?・・・なんて事思いながら読了。 リカーシブルとは、プログラマには馴染みの言葉で「再帰呼び出し」 上級テクとも言えるがある意味禁じ手でもある。 1つ間違えば全てを破壊してしまうわけで・・・ 複雑で危なっかしくて、そしてスケールの大きい・・・そんな物語を想像していたのだが、地味で淡々とした米穂ワールドだった。 ただ「日常の謎」的な雰囲気とは少し違う。暗い。確かにボトルネック風味。 それにしてもボトルネックのパラレルワールドに対して今回は繰り返し・・・某氏真似して「時と人三部作」でもやるつもりか。 まぁ「再帰」っていうより「デジャヴ」って方がしっくりきますけどね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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初平山夢明。
高評価な作品という前認識を持って読み始めたものの、のっけからのノリに正直不安になりました。 確かにグロい。 グロけりゃグロでも別にいいんだけど、読んでいてどこか陳腐さを感じて仕方なかった。 上手く言えないけど「意味なくグロい」という感じなのである。 物語は冒頭から(主人公の女性に感情移入する間もなく)急激に立ち上がるが、めまぐるしいほどのグロの押し売りで、なかなか入っていけない。 兎に角現実離れし過ぎていて、主人公の女性にしても、一歩間違えば一気に奈落の底まで落ちていきそうな状況に立たされているはずが、読んでいてそれを感じる事ができない。 正直読むのを止めようかと思ったくらいです。 この物語を読んで無性にハンバーガーが食べたくなったなどとお世辞を言うつもりも毛頭ない。 人の命を蔑ろしているかのように、死んでいくのが当たり前のような登場人物達。そして当たり前のように死んでいく。 そんな現場が、人が生きていくために必要な、そして死んでいった(味など分かりそうもない)連中には不相応な美味なる食事(ジャンクフードって点がが何かを示唆しているようで面白い)を提供する場所であるという対比がなかなか興味深いのだが、それならもう少し「食」と「命」の関連を深く描いて欲しかった。 強さを手に入れた一人の女性の成長の物語なのか、或いは、某氏の言うように不器用な男女の愛の物語なのか。 最後ここに着地させたいという作者の意図は何となく伝わるのだが、全体を通して薄かった。 |
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