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はつえ さんのレビュー一覧
はつえさんのページへレビュー数56件
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港崎遊廓については知識がなかったので、その概要を知ることができてよかった…というのが感想です。
折しも吉原遊廓が舞台の大河も始まり、遊廓の物語として興味深く読みました。 ただ…残念なことに、いくら使命や目的があろうとも、いとも簡単に洋妾への道へ足を踏み入れてしまう女性たちに全く共感をできず、最後まで物語へ入り込むことができませんでした。無邪気に恋する乙女たちであろうと、こんなに軽い描きようでは…。 現代の若者には、女であることを武器にするお仕事も単なる飲食店従業員に過ぎないのかもしれませんが、私の世代では受け入れられる考えではないように思います。夜の街に働く女性はそれぞれに深い事情を抱え、最後の手段として流れ着く場、という思い込みは、今は通用しないのですね。 最後に証されるトリックも歴史的背景を絡め上手くできているとは思いますが、犯人も含めた登場人物の背景が描ききれていなかったせいか、愉しむことができませんでした。ちょっと残念です。 綿洋妾について歴史的背景に興味のある方にはオススメいたします。 |
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閉鎖的な旧態然とした村でのよそ者排除の構造と、コロナ禍初期の感染者忌避の心理を上手くリンクさせ、陰謀論やSNSでの誹謗中傷、デマ拡散の様子などを絡め、人間社会の負の側面を興味深く描いています。
でも、最終章が…あまりよろしくなく、ラストの展開も私には受け難いものでした。 私感ですが、中山七里氏の作品にはこのような感想を抱くことがよくあります。物語は面白い、なのに最後の謎明かしや意表を突こうとするどんでん返しが残念な作品、今回もそんな印象です。 そうは言っても、読み物としては楽しませていただきました。 麻宮&吹邑が裕也に語る言葉、思慮深さの欠ける人間の心理など興味深く一気読みしました。 |
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表題に惹かれて読みました。もちろん湊氏の作品ですからイヤミス好きとしては期待せずにはいられません。
しかし…中盤まで読み進め、挫折しそうになりました。 蝶や色彩についての考察は、とても興味深かったのですが、 ありきたりな言葉で表わされるイマドキ美少年、美少女への賛美が、同じ形で(これは意図的ですよね)繰り返され、何か癇に障ってきてしまいまして。加えて、微かに匂わされるゴシックホラー的な世界にも入って行けません…。 これは…親子の物語か?世代を超えた男女の恋愛か?はたまた人格障害者と芸術表現の追求なのか?もやもや〜 ですが、最後まで読みましたところ、ふふっ!やはり湊氏の手に陥ちました。 この手の作品が好みでない方にはオススメいたしませんが、湊氏ファンはどうぞ。根底にあるテーマはそのままです。 |
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読みやすいとの理由で、休日にのんびり読書で時間を過ごすのにおすすめします。
加賀シリーズはガリレオのような奇を衒ったトリックがあるわけでもないので、人間に焦点を当てた物語なのでしょうが、心を震わすような出来事もなく、登場人物も人間関係も会話も平凡で、全くドキドキ関係を感じることなく終わりました。ラストも想定内の範囲でしたし…。 何より加賀恭一郎の魅力が全く感じられなかったのが、一番の残念ポイントでした。 |
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早坂氏、ルイス・キャロルへ挑戦!ですね。
「不思議の国のアリス」をモチーフにしたミステリーをいくつか読みましたが、かなり楽しめた作品です。早坂流ウィットに富んだ言葉遊びが秀逸で、ルイスへの畏敬と挑戦を感じます。タダのアリスファンではなく、小説「不思議の〜」ファンこそ面白さがわかるはずです。 もちろん、原作読んでいることはマストです。 |
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ハードボイルド好きの方は楽しめるのでしょうか。私には…ダメでした。特にラストの抗争場面は、誰が敵か味方か、何が何だか全くわからず、やたらキザっぽいシーンだけが鼻に付き、放り出しそうになったほどです。自らの読解力不足のせいかと読み直すも、やはり「これだれ?」「こんなことあり?」でした…。
登場人物や事件に繋がる出来事の描き込みが、いまひとつであるような気がします。加えて文体や表現も私の感性にしっくり来なかったということもあるかと思います。 唯一楽しく読めたのは、主人公と犬との交流でした。 ドンパチ、スパイ、ハードボイルド〜お好きな方はどうぞ。 |
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中山氏が生み出したサイコパス総出演ですね。ファンなら「カエル男」「御子柴礼司」シリーズはお読みになってるかと思いますが、未読ならぜひ。これは陰謀でしょうか。
中山氏の描くサイコパスは魅力的ですね。「猟奇殺人者を肯定してはいけない、いけない」と言い聞かせながらも、何だか愛おしく感じてしまいます。 作品の出来は…微妙ですが、ファンならでのお愉しみと次作への期待を膨らませて下さったので、この評価点です。 |
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あらゆる表現を駆使し嫌悪感を呼び覚まそうとしています。読者を選ぶ作品ですのでお気をつけ下さい。
グロテスクもカニバリズムも、ここまで来ると嫌悪通り越して滑稽さすら感じてしまいました。 作品の根底にある哲学的思想は響くものがありましたが、如何にせん生理的嫌悪感>心理的嫌悪であるため、せっかくのラストを迎え深い思索を入りぞわり感を悦しむことができず、残念な想いをいたしました。 それが作者の狙いかもしれませんが…。 |
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結局ワクワクでしたのは第一話の怪異伝承…ちょっと悲しい思いで読み終えました。
せっかくの刀城言耶登場なれど、怪しさも妖しさも感じられない作品で、とても残念でした。 編集者の祖父江偲女史が苦手です。現実的過ぎる彼女の存在が、作品の魅力を台無しにしています。言耶と彼女の漫画的やり取りが多すぎて、このシリーズに潜む怪奇と荘厳な雰囲気を壊してしまっていました。 加えて謎ときにも神秘的策がなく、「果たして真相は…?」の余韻すら楽しむことできません。 シリーズを順番に読み進めているのですが、次作に期待してもいいでしょうか? |
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奥田英朗氏の高い文章力のなせる技ですね。一気読みです。
題材は至って安直な殺人事件、事件の背景も単純であるがため、複雑な心理描写もありませんが、「嫌なことはなかったことに」的な心理は人間の防衛本能なのだと感心し、予想できる展開なのに読むことを止められません。 物語は終止、女性特有のオプトティミスティックな感覚で進み、最後は…、良心との葛藤(笑)のラストで爽快感すら覚えました。 |
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読み易い、そして適度に楽しめる、そんな作品でした。
嫌みのない文体に時おりちりばめられた「読めても書けない熟語」が面白く、私としては一風変わったお楽しみもありましたが。 内容は可もなく不可もなく…です。失礼な表現ですみません。ある時点で事件の真相が見えてしまったので、後は謎ときのきっかけやラストのまとめ方を楽しむだけになってしまいました。 もうひとつ欲を言えば、大手新聞社の幹部たちがこぞって詣でる誘拐犯の娘の人材としての価値を、もっと説得力あるものに描いていただきたかったです。まるで魅力的な女子大生に入れあげるおじ様集団のようで…残念でした。 休日に軽く読書を、といった場面にオススメしたい作品です。 |
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濃くて複雑怪奇な作品を続けて読んでいたので、閑話休題のように手軽に楽しみました。ハードボイルドは好みではないのに手にした理由は「代償」の作者の別作品を読んでみたかったからですかね。「代償」は少し前に読みましたが、読後に様々な想いが心に渦巻き今でも感想すら書けずにいます。
さて、こちらは題名通りハートウォームな作品です。ダサいのにかっこよく、粗野なのに厚情なわけあり過去を背負ったタフガイの主人公が、正&反社会的組織の中で立ち回る!テキスト通りの作品です。何も考えない読書もたまにはよいかな。 |
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つまりファンタジーなんですね…。
密室トリックはどれも現実味がなく偶然や、運命の悪戯を利用したものばかりです。直ぐに緻密なトリックを楽しむ作品でないことがわかり、作者の世界観を感じることに…方向転換をしました。最終章の三好達治の詩への解説など、心に響くものは多々ありました。 結論として、読後に気づいたのですが、これが作者の狙いであり、だから「密室蒐集家」なのでしょうか。作家について知識がありませんので、罠に嵌まったのかすらわからずにおります。 |
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中編会話劇を見終わったような気分です。ログハウスのリビング、4組の夫婦が出たり入ったりしながら、探り合いの会話を交わす、そんなシーンが繋がっていく、頭の中で舞台を一本楽しませていただきました。ラストの作り方も戯曲らしいし…。
後で知りましたが、実際に映画化されたようですね。知識不足でした。 そんな観点から観ると、面白いといえば面白いかもしれません。直ぐに読める長さですので、休日のちょっとしたお楽しみにオススメです。 |
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何故、改題したのでしょう。読後に「彼女はもういない」の方が意味深くてしっくりすると感じました。
西澤保彦氏の重層的な心理描写に脱帽です。気づく気づかないに関わらず、人は心中に自らも認めたくないような邪悪なる目的が生じると、それを都合の良い目的とすり替えてしまい、他人のみならず自分自身すら騙そうとするのですね。深層に潜む真の目的を探りだし白日のもとに曝して実現化する…「狂」への誘いです。 この「狂う」別な意味もあるかもしれません。いつのまにか目的が狂ってしまうという。 特に女性読者には受け入れがたい描写がありますが、その不快感を差し引いても、読んでいただたきたい作品かと思います。 |
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アラブのとある小国での物語です。読みやすい文体なのですが固有名詞が覚えづらく、残念ながら物語に没入出来ずに終わってしまいました。最終章のみ、生死と砂時計の砂の表現が哲学的で興味をひかれたものの、狙ったラストで一気に醒めてしまうという、ちょっと残念な結果に。醒めたのは私だけかもしれませんが…。
そうはいっても、架空の国の不可思議な物語…お好きな方にはおもしろいかもしれません。 |
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生理的ゾワゾワ感がじわじわと来る作品でした。こんな人たちには関わらずに生き抜きたい…と願わずにはいられないのですが、大なり小なり「この人、人格障害…?」とおぼしき方はいますよね。で、読後に背すじがゾクッというわけです。
イヤミス好きな方はぜひご一読を。 |
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真梨幸子ファンは必読ですね。ある意味マニアックです。初めての方もよいのでしょうが、ファンでないと楽しめない角度が数倍です。真梨氏もさぞ楽しんでいるかと思います。
私にとって真梨氏作品はミステリ読書生活の閑話休題、なくてはならない存在です。 |
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このシリーズの特徴…面白さ…は刀城言耶が小説家という設定であることだとつくづく感じさせられました。つまるところ、謎が解明されなくても真犯人がだれであっても構わないし、トリックが真実である必要もないのです。登場人物がそれで良しとすれば小説家刀城言耶の役割りはおしまいです。読書がそこで納得すれば作品自体もおわるのですが、三津田氏はちゃんと種明かし?という、魅力的なおまけをつけてくれたりします。それとて真実かどうか…。最後は読書が良しとして、完結となるわけですね。真実は闇のなかなんて、人生そのものです。
この作品は少し前に読んだのですが、シリーズ次作を読もうと思っておりますので、感想を記しておきました、 |
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あまり話題にはなりませんが、イヤミス好きにオススメの作品でした。
他人を踏み台にして生き延びようとするのは本能のひとつだと思います。もちろんその人を思いやる気持ちやモラルが勝るので、実際そんな考えは意識の表層まで浮かび上がって来ないのかもしれませんし、例え一片を感じても否定するのが普通の人間です。そこを意図も簡単にやってのけられる人は存在します、隠れサイコパス怖いです。 |
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