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はつえ さんのレビュー一覧
はつえさんのページへ書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点6.94pt |
レビュー数144件
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港崎遊廓については知識がなかったので、その概要を知ることができてよかった…というのが感想です。
折しも吉原遊廓が舞台の大河も始まり、遊廓の物語として興味深く読みました。 ただ…残念なことに、いくら使命や目的があろうとも、いとも簡単に洋妾への道へ足を踏み入れてしまう女性たちに全く共感をできず、最後まで物語へ入り込むことができませんでした。無邪気に恋する乙女たちであろうと、こんなに軽い描きようでは…。 現代の若者には、女であることを武器にするお仕事も単なる飲食店従業員に過ぎないのかもしれませんが、私の世代では受け入れられる考えではないように思います。夜の街に働く女性はそれぞれに深い事情を抱え、最後の手段として流れ着く場、という思い込みは、今は通用しないのですね。 最後に証されるトリックも歴史的背景を絡め上手くできているとは思いますが、犯人も含めた登場人物の背景が描ききれていなかったせいか、愉しむことができませんでした。ちょっと残念です。 綿洋妾について歴史的背景に興味のある方にはオススメいたします。 |
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閉鎖的な旧態然とした村でのよそ者排除の構造と、コロナ禍初期の感染者忌避の心理を上手くリンクさせ、陰謀論やSNSでの誹謗中傷、デマ拡散の様子などを絡め、人間社会の負の側面を興味深く描いています。
でも、最終章が…あまりよろしくなく、ラストの展開も私には受け難いものでした。 私感ですが、中山七里氏の作品にはこのような感想を抱くことがよくあります。物語は面白い、なのに最後の謎明かしや意表を突こうとするどんでん返しが残念な作品、今回もそんな印象です。 そうは言っても、読み物としては楽しませていただきました。 麻宮&吹邑が裕也に語る言葉、思慮深さの欠ける人間の心理など興味深く一気読みしました。 |
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???ですが、読後は爽快!
1話め「地雷グリコ」、いきなり、頭の中がてんやわんや…。 一語一語読み直しても、どして? もう考えなくていいや。次行こうか! そんなこんなで、いつの間にか読了。 そして、何だか、とっても面白かったです。 数学センス皆無の私でも、楽しめたのは、まず第一に、主役から脇役、登場人物の魅力ですね。それぞれの個性をちょっとしたエピソードで描くのが、実に上手です。アニメチックな登場人物たちも、描ききらない引き算の手法で、鼻白まずに受け入れられます。 第二に、奢れるモノを打ち負かすお話は、文句なく気持ちいい。人間の本能に刺さります。 最後のエピソードは、ちょっとやり過ぎトリック?と感じましたが、ふか〜い心理戦術を描くためokですかね。 最近、奇を衒った進化型ミステリーいろいろありますが、 楽しく読めた作品でした。 |
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表題に惹かれて読みました。もちろん湊氏の作品ですからイヤミス好きとしては期待せずにはいられません。
しかし…中盤まで読み進め、挫折しそうになりました。 蝶や色彩についての考察は、とても興味深かったのですが、 ありきたりな言葉で表わされるイマドキ美少年、美少女への賛美が、同じ形で(これは意図的ですよね)繰り返され、何か癇に障ってきてしまいまして。加えて、微かに匂わされるゴシックホラー的な世界にも入って行けません…。 これは…親子の物語か?世代を超えた男女の恋愛か?はたまた人格障害者と芸術表現の追求なのか?もやもや〜 ですが、最後まで読みましたところ、ふふっ!やはり湊氏の手に陥ちました。 この手の作品が好みでない方にはオススメいたしませんが、湊氏ファンはどうぞ。根底にあるテーマはそのままです。 |
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読みやすいとの理由で、休日にのんびり読書で時間を過ごすのにおすすめします。
加賀シリーズはガリレオのような奇を衒ったトリックがあるわけでもないので、人間に焦点を当てた物語なのでしょうが、心を震わすような出来事もなく、登場人物も人間関係も会話も平凡で、全くドキドキ関係を感じることなく終わりました。ラストも想定内の範囲でしたし…。 何より加賀恭一郎の魅力が全く感じられなかったのが、一番の残念ポイントでした。 |
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クイズプレイヤーの脳内で何が起きているのか!
その正答は実力?予見?魔法? クイズ好きだけでなく、脳の仕組みや思考や心理学に興味のある方にも趣深い作品だと思います。 問い…が始まる前から脳内にある未知数の答え、問い…が発せられた瞬間からシナプス間に駆け巡る電流、一瞬でも早く「確定ポイント」を見極め、ボタンを押す。問い…が止まっても、脳内活動は続き、知識✕経験+心理戦、そして回答、それは運か実力か。凄いです。 直木賞受賞作家さんだけあり、文章も読み易く、サクサク展開も小気味好く、手軽に読める作品です。 真偽はともかく、クイズ番組やプレイヤー業界の裏側も垣間見れて面白いので、休日のお愉しみなどにもいかがでしょうか。 |
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面白い、読み易い、読み始めたらやめられない!作品です。
容疑者、被害者、警察と検察、マスコミ、事件記者、表裏の双方の社会に生きる人たちが、10年越しの事件の真相に向い、集約されていく様が描かれています。数多の登場人物それぞれに家族や友があり、生活があり、人生があることも上手く書かれており、ややもすると混乱を招くほどの人物の動きが、簡潔に平易な言葉で語られています。物語の流れもわかり易く、分厚い本ながら、あっと言う間に読了でした。 敢えて残念なところを挙げるとしたら、 ①直截的で誰でもわかり易言葉や表現を意識しているのか、同じ言い回しが多く使われており、文学的な愉しみを味わうことが出来なかったこと、 ②興味深い登場人物…特に容疑者たちの、細かい心理描写がなされていなかったこと、です。これは、読み進めなかわら、わざと容疑者たちへの先入観を持たないようにしているのではと思い、最終章を期待していました。というわけでラストが幾らか物足りないを感じを受けました。 そうは言いましても、間違いなく面白いです。ぜひ、お読みになることをオススメします。 |
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いきな高ランク獲得の話題作品、タイトルも興味を惹きます。よって、手にとってみました。
密室からのサバイバル、よくある展開です。ところどころ散りばめられた叙述トリックを匂わせる一節を記憶に留めながら読み進めます。文体は読み易く、最新機器に関する知識も老齢の私にも解る範囲のもの。可もなく不可もなく…そんな筈はない…?そしてラストへ…、まさかの放心状態で読み終えました。新手のトリック?にやられました。 他の方の感想にもありましたが、いささか過剰評価の感はありますが、お読みになることをオススメします。 ところで、深読みした叙述トリック匂わせ表現箇所が私にはいくぶん反則っぽく感じてしまいましたので、この評価点とさせていただきました。 |
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早坂氏、ルイス・キャロルへ挑戦!ですね。
「不思議の国のアリス」をモチーフにしたミステリーをいくつか読みましたが、かなり楽しめた作品です。早坂流ウィットに富んだ言葉遊びが秀逸で、ルイスへの畏敬と挑戦を感じます。タダのアリスファンではなく、小説「不思議の〜」ファンこそ面白さがわかるはずです。 もちろん、原作読んでいることはマストです。 |
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表題作の「悪魔を憐れむ」は西澤氏の代表作の一つ言えるほどの作品だと、思いました。複雑で重層的な人間の心理をよくぞここまで描くものだと、圧倒されました。
このような感動的ともいえる人間心理を味わいたくて、西澤氏の作品を手にとらずにはいられません。特にこのシリーズは魔的な秘薬です。 |
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まずこのシリーズは必ず順番に読むべし!です。
作家、西澤保彦氏とは何者?…私は基本、作品が全てのミステリー読者ですが、ミステリー小説に嵌ったこの数年で、作家自身に興味を持ち惹かれた3名のうちのお一人が、西澤氏です。 匠千暁シリーズでは、登場人物たちが、ある事件の犯人と看做される人間の行動について、そこにある事象をもとに「推理合戦」を繰り広げます。時には、まさか?…の深読み、こじつけに至るも、奇なる事実が真相であったりなかったり、と読者を翻弄しまくりです。その「推理」の深さといったら…半端ではありません。私など、時には「ここまで〜?もういいや!」と、本を閉じてしまうこともありました。 特にこの『依存』では、前作の『スコッチゲーム』からの流れで、主たる登場人物の深層心理から生い立ちを深く掘り下げ、心理学や社会学、人間行動学を駆使して分析し、偶然と運命まで絡め、その人間そのものを紐解き、物語が進んでいきます。 このシリーズは、もはや、ミステリー小説ではありません。『人間』好きな方へオススメいたします。 |
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ある過去の事件を巡り、被害者の怨恨と加害者の懺悔、双方の無念を「償い」を通じて描いています。過去の呪縛から、逃げ、挑み、解そうと奔走する主人公の心理描写を興味深く読みました。
ただ…ラストが…。真犯人と事件の真相、出来すぎ感が否めず、残念でした。 それでも作者の得意とする、犯罪に関する人間の業と運命を深く考える作品として、読ませていただきました。 |
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映画が話題になったようですが、原作とは幾分異なる設定のようですね。私は基本、まず小説ですので、映画は少し残念な気がします。
福祉を受ける側と執行する側、双方の現実を描き、そこにある問題の本質に目を向けさせてくれる深みのある作品です。社会福祉制度だけでなく、人間とは何か、人生とは運命とは、考えさせられました。 |
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注意!
あくまでブァン目線の評価です。 久しぶりに真梨作品はこうでなくちゃという出来でした。 登場人物たちの生きた時代を現代の世相に映して、その行動と思考パタンを練り込み、ゾワゾワのイヤミスに仕立てあげる…真梨氏の真骨頂ですね。 一日あれば十分ですので、GWの一日お愉しみ下さい。 万人受けする作品ではありませんので、責任は負い兼ねますよ。 |
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このシリーズ、作を重ねるごとに単純でわかり易くなってきます。私としては初期の頃の複雑怪奇な作品のほうが断然好みです。
しかし、今作はいつもちょっと煩わし過ぎる祖父江忍氏や阿武隈川烏氏が本筋に登場しなかったり、閉ざされた村に蔓延る旧家のしがらみが明解だったり、残存する風習や儀式や言い伝えが解りやすかったりで、余計なものがなくとても読みやすくなっています。加えて、真犯人が特定されない刀城言耶の謎解きや民族学研究者としての興味深い蘊蓄など、シリーズ作品の魅力は楽しむことができます。前作品を読まずとも、刀城言耶入門編でもいけるのではないでしょうか。 願わくば、ミステリとして事件の背景にもう少し緻密なストーリーが欲しかったです。双子の出生等一般の知識で直ぐに気づく謎があったり、トリックに関わるのではと着眼した箇所が誤植だったりと気抜けしてしまうこともありました。旧家の謎などはもっと深掘りしていただきたかったです。また、ミステリ以上にホラー的要素が強い作品だったので少々残念でもありました。三津田氏のホラー作品も好きですが、刀城言耶シリーズはやはりミステリであって欲しかったですね。 そうはいっても、ファンには楽しめると思います。オススメします。 |
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イヤミスですね。特にイヤミス好き女子にオススメします。
タイトルの意味するものを考えながらも素直に読み進め、最後に「あ〜…」となりました。深読みしながら読んでも、楽しいかもしれません。 女は生まれた時から強かな生き物です。根っこが善人か悪人かで、その人となりが異ってきます…こういう作品に触れると、そんなことつくづく思います。 |
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期待以上の作品でした。「美」とは、「美の基準」とは…考えさせられます。
かつては女子高校生であった私ですので、視覚的な美がどれほどの価値を持ち、生死さえ左右するほど重要な事であるかは理解できるものでした。ましてや「映え」重視、「盛り」当たり前のSNSの世界で生きる現代の女子たちが、劣等感から自らを守るために「呪い」の世界へ堕ちて行く構造は共感にも価するものでした。彼女たちの心の叫びが突き刺ささります。 男性には理解し難いかもしれません。また非現実的な「呪詛」を題材にしていますので、馴染めない方も多いと思います。私も読む前はは少し引いてましたので…。 渦中に生きる女子の皆さん、そしてこの年代の女子心理を理解したいと思っている方たちにはオススメいたします。 見た目重視で本来の姿や価値を見失ってしまいかちな現代社会のあり方に一石を投じている作品かもしれませんね。 |
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「精神鑑定」が引き起こす事件を通じ、社会がどう向き合っていけばよいのか深く考えさせられる作品でした。
社会を混乱させるほどの重い犯罪であるにもかかわらず、「判断能力がない」と言う理由で無罪や刑の軽減がなされる判決が下りる事例は確かにあるようです。しかし、反発を恐れず書きますが、詐病ではなく、本当に無意識のうちに犯した罪であっても、その罪を背負い償うこと、償わしてあげることこそ、その人が人間らしく生きる方法ではないかと思ってしまいました。それは被害者だけでなく、その家族にとってもよいことのような気がします。 これは精神の病の本質を知らぬ人間の、視野の狭いつぶやきでしょうか。 何れにせよ、難しい問題と向き合う機会を与えてくれます。予定調和のようなラストが少々気になりましたが、オススメできる作品です。 |
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ハードボイルド好きの方は楽しめるのでしょうか。私には…ダメでした。特にラストの抗争場面は、誰が敵か味方か、何が何だか全くわからず、やたらキザっぽいシーンだけが鼻に付き、放り出しそうになったほどです。自らの読解力不足のせいかと読み直すも、やはり「これだれ?」「こんなことあり?」でした…。
登場人物や事件に繋がる出来事の描き込みが、いまひとつであるような気がします。加えて文体や表現も私の感性にしっくり来なかったということもあるかと思います。 唯一楽しく読めたのは、主人公と犬との交流でした。 ドンパチ、スパイ、ハードボイルド〜お好きな方はどうぞ。 |
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「親ガチャ」という言葉を最近知りました。どんな家庭に生まれるかで人生が決まる…。哀しいかな、このような小説を読むとつくづくそう思います。登場する子どもたちそれぞれの人生模様に心が揺さぶられました。誰もが知るこの事件ですが、巻き込まれた子ども達という視点は脱帽ものです。
関東圏でしか生活したことのない私には、この事件がこれほど大きなインパクトがあったとは知らなかったので、事件当時の捜査の様子などはとても興味深く読みましたし、真相を探る二人の男の動向はわくわくの連続でした。それもまた作者の文筆力とテンポ良い筆運びのなせる技で、ページを捲る手を止められないほどでした。 多くの方々にオススメしたい作品です。 |
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