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りーり さんのレビュー一覧
りーりさんのページへレビュー数424件
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石動戯作シリーズの1作目。 リゾート開発の計画が持ち上がった岐阜県の辺鄙「暮枝」。 癌をも治す奇跡の泉―――オカルトめいた伝説の取材に来た一同はこの土地の複雑な関係性に触れる。 やがて起きる連続殺人はわらべ歌のなぞりなのか、開発行為の利権によるものなのか、一族への復讐なのか。 技巧、メタ、幻想を兼ねた作者独特の雰囲気の一冊。 500ページ越えの大作ながら少しずつ事件の一端を明かしてゆく構成、短めに区切った多重視点で飽きずに読むことができました。 横溝正史を第一に既存のミステリーの轍を打ち破るようなメタ要素は非常に楽しい。 ハサミ男からの二作目のプレッシャー・ジンクスを完全に退けた殊能将之の遊び心、妙趣、趣味が詰まった作品になっています。 ★は7つ!! ▼以下、ネタバレ感想 |
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「坂口安吾盗難事件&坂口安吾探偵小説集」に収録
まだプロ野球の黎明期、球団経営の制度が整いきれていない時代に一人の大投手を複数の球団が狙っていた。 金絡み、恋愛絡みの思惑が渦巻く中その大投手は殺害されてしまう・・・。 坂口安吾の中編小説。 様々なミステリが出てしまった昨今としては驚きこそ少ないもののやはりこの時代のミステリも面白い。 トリックは面白いが人間関係が宙に浮いたままなのが残念。 |
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私は巷を騒がせた連続殺人鬼「ハサミ男」。 殺人への衝動と自殺への願望に苛まれながら日々を生きつつ、三人目の標的を定めていた。 しかし夜の公園で見つけたのは遺体となった標的、そして首に突き刺さったハサミ。 奇しくも模倣犯の犯行の第一発見者となった私は殺人鬼から探偵になるのだった。 殺人鬼側の猟奇的視点から描かれるミステリ。 冷酷な視点から世の中を俯瞰したインモラルさ、警察を煙に巻き調査を進めるロジカルが光ります。 「ハサミ男」の暗黒面に終始肉薄しつつ、犯人当ても兼ね揃えた殊能将之氏処女作にて最高傑作と言える作になっています。 ★は8つ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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大阪圭吉氏のデビュー作。創元推理文庫「とむらい機関車」に収録。 デパートに現れた不審死体、彼はなぜ絞刑に処せられたのか。 戦前も戦前、一切奇を衒うことのない論理的な筆致からあくまで事件だけを描く。 そしてパズル的に導かれる身近な解答はまさに推理させる短編ミステリ。 |
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「弥生を殺したのは俺だよ」 時効間近の宵、容疑者の一人は宣言する。 どうやって毒殺を成し遂げたのか、ハウダニットを意識した倒叙ミステリー。 雪の山荘、限られた人数、限られたアイテムで遂行された毒殺事件。 2010年代では中々見ないオールドな設定な感じですね、出来はともかくこういう作品は消えないでほしいです。 「毒」という強力なアイテムが出てくるわけですがその扱いがちょっと自由過ぎるかなぁ、トリックにツッコミたくなるような欠点も散見する気がします。 アガサ・クリスティーを意識したようなどんでん返しもこれでは栄えない。 ★は4つ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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天才探偵にも限度がある!? ワイン、デザイン、映像、工学、様々なスペシャリスト、でも謎解きは素人な人たちが日常の謎に挑んでいく短編集。
博学探偵を否定し、専門的素人探偵を押し出した意欲作。 専門的知識を扱うミステリが増えた昨今、あらゆる視点から事件を俯瞰すれば解けない謎なんて無いのだと思うことも屡々。 蘊蓄満載の日常ミステリーになってます。 コンセプト、キャラクターは良しだが全体的に起伏不足な感じ、短編集はもっと大袈裟でいいと思います。★は5つ。 |
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小学六年生の「僕」は眠りに就くと黒猫のジェニィになれる。 巷の野良猫に意識を乗り移せるのだ。 この力を使って犯人に近づけないだろうか、クラスメイトの女子が襲われた恐ろしい事件の―――。 事件を通して描かれる少年の初めての大冒険。 西澤保彦氏のティーンエイジャー向けに書かれたSFミステリ。 あくまで主人公の少年の動向に重きが置かれています。 でも難解な苗字はいつものままでした、私都(きさいち)って何だ。 猫と化した少年のちょっと切なく温かいストーリー、それでいてミステリの芯も素晴らしい。 ★は8つ。 |
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復讐を企み犯罪組織に潜入した「鈴木」は復讐の相手を何者かに横取りされてしまう。 存在不確かな殺し屋「押し屋」の仕業? 後に引けなくなった鈴木は押し屋の正体に迫ろうとする。 その他方で、押し屋の存在を嗅ぎ付けた殺し屋「鯨」と「蝉」もそれぞれの思惑を持って動き始めた。 3人の男の視点で描かれ、幻想的要素も綯交ぜにした殺し屋エンターテイメント。 復讐、殺し屋そして裏社会とアンダーグラウンドな世界を舞台にしながら、暗い雰囲気はほとんど搔き消されてます。 鈴木の行き当たりばったりの行動や蝉と岩西の掛け合いは笑ってしまうような愉快さを持ち合わせ、3つの視点で流れるように展開される物語は殺し屋小説ながら非常に軽快です。 しかし「押し屋」に迫る群像劇、完全に消化されないまま尻すぼみに終わった感じは否めないです。 ★は6つ |
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人間の暗黒面を全面に滲ませた乙一さんらしい作品。 残酷な一面を持つ高校生二人と短編ならではの大胆なトリックが光る。 自分としては「犬」や「リストカット事件」、物語としては本筋外の作品の方が楽しめました。 乙一作品の雰囲気を味わいたい人なら読んで損は無いんじゃないでしょうか、★は6つ |
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鯉ヶ窪学園シリーズ1作目。 「探偵部」を舞台にしたユーモラス学園ミステリー。 メイントリックは大分自由でユーモアミステリだから許される範囲です。 細かな謎解きは身近で楽しい。 最大の欠点は女の子が足りない!! 東川篤哉氏の作品にはやはり女性キャラは欲しい、★は6つ それにしても広島カープ強くなったなぁ。 |
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半年程前に富士の樹海に消えた作家志望の男「小松原」、かつて神童とまで呼ばれた才能の持ち主であった彼に何が起こっていたのか? 同じく作家志望の「島崎」は彼の母親から依頼を受け彼の伝記を書くことに、調べるうち明かされていく小松原家の歪んだ過去と彼の周りに巣食う謎の「異人」。 そして島崎の周りにも「異人」の影が現れ・・・。 過去、現在、手記、インタビュー、数多の断章で構成された謎の記録。
多重視点ながらインタビューと現在の視点はきっちり交互に展開されむしろ読みやすかったです。 序盤は主人公と共に過去の詮索を行っていき、徐々に主人公は事件の渦中に巻き込まれ、終盤は読者に大きな謎を投げかける。 全容の見えないホラーでもあり、主人公が災禍に追われるサスペンスであり、ラストに衝撃を控えるミステリーに仕上がっています。 折原さんの作品では古い部類に入るのですが、集大成と言って良いと思います。 技巧はもちろんですが、樹海に作家主人公に現実の事件をモチーフにしたり得意な事を詰め込んでみた感じ、それでいてストーリーの破綻もなく600pの大作ながら綺麗にまとまっています。 読み終わると「異人たちの館」を書いた作者の想いがぐっと伝わる。 文句無しで折原氏の傑作と呼べますね、★は8つ!! ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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東京都西多摩の山道で発見されたバラバラ遺体の一部。 不自然な損壊を成された腕、そして食い違う死亡時刻。 僻陬の地には前科者とその家族、不釣り合いな一家に赤堀と話の通じる調香師、誰が殺し誰が殺されたのか、法医昆虫学捜査官シリーズ4作品目。 次々明かされていく登場人物たちの裏の一面、この動機の余地が残されてたかと想像を遥かに超えてきました。 赤堀先生と岩楯警部の仲も健在、時代は虫女ですよ虫女! ★は8つ |
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舞台は岩手県の奥地鷲尻村。 数か月前に村唯一の医師が事故死を遂げていたこの場所に後継の医師としてやって来たのは「滝本志門」。 凶暴な熊、血生臭い昔話、村の財政難、不穏な雰囲気漂う鷲尻村にて連続殺人の影が・・。 誰が言ったか21世紀の横溝正史、私の中の横溝正史のイメージと言えば金田一耕助を主人公とする探偵小説家で飄々とした探偵とおどろおどろしい舞台、戦争後昭和の日本が本人が生きてきただけあって当然に刻まれているといった感じでこの作品とは特に結びつかないです。 単に独特の因習残る怪しい村が舞台というなら別に横溝正史の特権では無いかと。 物語の方ですが色々と話を広げた割には特に相互的に絡まり合うこともなく、人物の描写もいまいちです。 賞の選評としては桐野氏と坂東氏に同調したい。★は5つ ▼以下、ネタバレ感想 |
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「私」は京都大学の3回生。 バラ色のキャンパスライフを夢見、それを得んとするに様々な選択肢を前にする。 映画サークルに入り人の恋路を邪魔することに興じるのか、師を仰ぎ無意味な戦争に身を窶すのか、人形と生を共にするのか、秘密組織に入るか、四畳半の部屋でその生涯を終えるのか。 幸せな大学生活・・・初恋の乙女「明石さん」との恋の成就は叶うのか、それとも悪友とともに海淵に沈んでゆくのか。 大学生活の数多ある選択肢を描いた平衡世界のファンタジー。 ちょっとおかしなキャラクターと四畳半に果てしなく広がる物語を味わおう。 ★は7つ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「黒髪の乙女」の後輩に思いを寄せる「先輩」は京都諸所にアンテナを張り偶発的な出会いを演出し続ける。 そんな多発する出会いにも天然乙女は”奇遇ですね”と躱し続ける。 巻き起こる不思議な事件で進まない二人の関係は・・・。 四畳半のキャラも巻き込み個性的な面子で送る恋愛ファンタジー、迂遠すぎる計画で空回りする「先輩」と不自然な出会いにも一切動じない「後輩」ちゃんが楽しすぎるぞ!! |
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埼玉県某所で2ヵ月前に起こった一家失踪事件―― 不可思議な神隠しの裏には5年前の殺人事件が関係しているのか、失踪事件の調査を始めたライターの五十嵐みどりは関係者を通じて事件の闇を追っていく・・・。 一方、また別の埼玉県某所では連続通り魔事件が進行していた。 ある因縁から通り魔の「君」を突き詰めた「僕」は仕事のネタにしようと通り魔事件を追い始める。 3つの事件は如何に終結するのか・・・。 主人公の五十嵐みどりは「冤罪者」の被害者の妹、五十嵐友也の妻でこのシリーズでは珍しい信頼できる語り手になります。 必然ではないにしろ「冤罪者」を読んでおいた方が飲み込めると思います。 さて内容の方は相も変らぬ複雑な多重視点。 時系列、関連性、一人称が隠されたプロットをいったいどのようにまとめあげるのか見物です。 ○○者シリーズとしてはぼちぼちの出来。 この作品の直近の沈黙者や冤罪者と比べるとかなり劣るのが否めないです。 それでも折原さんの作品は推理する楽しさがあって面白い、★は6つ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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