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iisan さんのレビュー一覧

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レビュー数1167

全1167件 1161~1167 59/59ページ

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No.7: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

真打ちの噺を堪能するような

加賀刑事シリーズの最高傑作かどうかは別にして、「いよ、名人芸!」と掛け声をかけたくなるような、上手くて楽しめる作品だ。
メインの犯罪とその背景はまったく奇をてらったものではなく、加賀刑事の犯行解明の筋道も適度に論理的で、適度に予定調和的で、サイコパスものや鑑識もの(リンカーン・ライムなど)に疲れた心を優しくいたわってくれる“人情推理”が冴えわたり、読後感がすこぶる良い。
犯人および犯行動機に全面的に納得できない部分を感じたが、これは人それぞれの受け止め方で、十分に納得できると言う方も大勢いるだろうし、この作品の欠点というほどのものではない。
日本橋、人形町周辺に土地鑑が無い方は地図をご覧になりながら読まれると、一段と興趣が深まるだろう。前作「新参者」を先にお読みになった方がベターである。
麒麟の翼 (講談社文庫)
東野圭吾麒麟の翼 についてのレビュー
No.6:
(8pt)

暗殺を阻止するために暗殺者を暗殺者が暗殺する

下手な回文みたいな見出しですが、そういう内容なんです。ただし、暗殺者同士がお互いに自分自身の投影を見るところが、小説として新しいかな。
恐ろしく腕の立つ現暗殺者の行動を推理するために、FBIが同じような経歴を持つ元暗殺者を連れてきて、大統領計画を推理させ、先回りしようとするという、謀略国家・米国ならではのストーリーです。これが他の国であれば、「ありえない話」になって、一気に読む気が薄れるのですが、中南米、アフリカ、中東での歴史から考えてリアリティのある話になっています。ただし、大統領を暗殺しようとする動機などはあくまでもミステリーの筋立てで、リアルな政治的な小説ではないですね。
しかし、ヨーロッパを舞台にした時代の暗殺者に比べて、こちらの暗殺者たちは強靭な体力のサバイバリストですね。
硝子の暗殺者 (扶桑社ミステリー)
ジョー・ゴアズ硝子の暗殺者 についてのレビュー
No.5: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

音道の成長か、滝沢の円熟か

音道貴子シリーズの長編第3作。実は、長編第2作の「鎖」を未読なため、いきなり音道が所轄の刑事になっていたので驚いたが、音道は音道、音道ならではの道をしっかり疾走していました。
今回は何と言っても、あの滝沢刑事とコンビを組むところが見もの。相変わらずの小競り合いを続けながらでも、お互いに無くてはならない相棒として認めるところまで、二人の関係が深化していく。といっても、けっして二人で居酒屋でしんみり酌み交わすなどという関係にならないところが、またニヤリとさせる巧さだ。この二人の関係性の変化は、音道が成長したのか、滝沢が円熟してきたのか? さまざまな解釈が成り立つところに、筆者の人物造形のうまさが感じられた。
ミステリーとしてのストーリー立てもよくできていて面白いが、それ以上に、江戸人情捕り物帳のような味わい深い人間物語として面白かった。
風の墓碑銘(エピタフ)〈上〉―女刑事 音道貴子 (新潮文庫)
乃南アサ風の墓碑銘 についてのレビュー
No.4:
(8pt)

頑張れ! キゼツ

札幌方面中央警察署南支署シリーズの第二弾。北海道全体を覆うような利権構造に立ち向かう、気概と気骨にあふれた「枝」のメンバーの意地が、読みどころ。前作で「キゼツ」という不名誉なニックネームをもらった梅津巡査の成長物語としても面白い。鬼教官役の早矢仕警部補の人情味がよく描かれているのも、好感度を高める。
ストーリーは、著者お得意の北海道の警察、行政、ヤクザの暗闘で、最初から最後まで、ダレルことなく読むことができた。
しかし、東直己作品を読むといつも思うのだが、著者は「テイノーを罵倒する天才」だ。馬鹿に対する観察眼の鋭さ、適切な比喩、厳しいユーモア・・いやまったく笑わせてくれる。
札幌方面中央警察署 南支署 誇りあれ (双葉文庫)
No.3:
(7pt)
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重い本でした

高校教師が不倫相手である主婦(生徒の母親)を殺害した事件(前作の「風紋」)から7年後、加害者、被害者双方の遺児と家族のその後を描いた大河小説。お話の中身も重いし、本自体も上下2巻で約1400ページの重量級で、久しぶりに力技で読み通した感じです。
「殺人は、加害者(犯人)以外の関係者全員が被害者」という作者の視点がよく表現されている。ミステリーとして見れば、前作「風紋」の方がよくできているが、哀しみや憎しみから逃れられない人間性の悲劇としては、こちらの方が面白い。
ぜひ「風紋」を読んでから読むことをオススメします。決して、逆の順番にならないように。
晩鐘〈上〉 (双葉文庫)
乃南アサ晩鐘 についてのレビュー
No.2:
(7pt)

音道シリーズのガイドブック

刑事・音道貴子シリーズの短編集の表題作。これ一作だけだと、オススメにはならないが、音道シリーズ、なかでも音道貴子のキャラクターを知るという点では、オススメ作だと思う。
ストーリーはありがちというか、通俗的な人情小説の趣だし、半分ほど読み進めば結論が見えてしまう。謎解き、サスペンスの面白さはない。しかし、ところどころにちりばめられたエピソードが主人公・音道のキャラクター作りに貢献していて興味深い。
女刑事音道貴子 花散る頃の殺人 (新潮文庫)
乃南アサ花散る頃の殺人 についてのレビュー
No.1: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

日本のヒロインもかっこいい

ファミレスで突然、人間が発火するというプロローグもすごいが、狼犬の連続殺人というストーリーも破天荒で、途中から「どうなることやら・・・」と心配したのは、私の杞憂でした。見事な小説に仕上がっていました。
狼犬に感情移入し過ぎるところは、確かに?な部分もありましたが、刑事という男社会に立ち向かうヒロインが印象的かつ魅力的なキャラで引き込まれました。
アメリカの女性ディテクティブには魅力的なヒロインが多くいますが、日本のヒロインもなかなかやりますね。
凍える牙
乃南アサ凍える牙 についてのレビュー