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iisan さんのレビュー一覧
iisanさんのページへレビュー数144件
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キャシー・マロリー・シリーズの第3弾。これまでの2作に比べるとミステリー要素が重視され、警察小説らしさが高まってきた作品だ。
ニューヨークの画廊でアーティストが殺害された事件が発生。市警には、12年前に同じオーナーの画廊で起きた猟奇殺人事件との関連を示唆する手紙が届いた。捜査を担当するマロリーとライカーのコンビは、12年前の事件を担当したマーコヴィッツが残した膨大なメモを手がかりに、美術界の裏側をこじ開けるように強引な捜査を進めていたが、なぜか警察上層部から捜査妨害を受けるようになった。壁が高くて厚いほど力を発揮するのが、マロリーの半分非合法な操作手法であり、嘘とはったりと度胸で関係者を揺さぶり、最後には美術界に横行する金儲け主義と芸術家一家の悲劇の真相を暴くことになる。 たぐいまれな美貌と天才的な頭脳と徹底的なモラルの欠如、というマロリー像は継続されているものの、本作では所々「マロリーらしからぬ」人間的感情をみせるシーンがあり、ライカーやチャールズとの関係、自分の過去への向き合い方などにも、これまでの「氷の女」一辺倒ではない変化の兆しが見て取れた。登場人物のキャラクターの変化が物語に深みを与えるという、シリーズものならではの楽しみが感じられた。 ミステリーとしての完成度はまだまだ今ひとつな印象だが、登場人物のキャラクターの変化を楽しむという意味でも、読み続けたいと思わせるシリーズである。 |
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スウェーデンで大人気の犯罪捜査官マリア・ヴェーンシリーズの第9作。邦訳では2作目である。
今回は、大自然の中での一週間のセラピーキャンプということで無人島に渡った7人の女性たちが次々に死体となって発見されるという、クリスティの「そして誰もいなくなった」みたいなお話。嵐に襲われた無人島という限られた空間、自分たち以外の人間がいるはずは無いのに次々と起きる不可解な現象、通信が途絶え、食料も無いなかでの相互不信。訳あって身分を隠したまま参加したマリアが、人格が崩壊しかけた6人を相手に壮絶なサバイバルゲームを乗り切って行く。 事件の背景には深刻な社会病理が隠されており、島に集まった7人のそれぞれの事情が現代の社会不安を象徴している、社会派ミステリーである。また、離婚を経て揺れるマリアの心境変化を追い掛けるロマンス小説でもある。 ただ、謎解きミステリーとしてはかなり弱い気がするので、オススメはしない。 |
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第12回「このミス」大賞の受賞した、梶永正史のデビュー作。いま大人気(?)らしい女性捜査官ものにニューヒロイン・郷間彩香の登場である。
銀行立てこもり事件が発生し犯人の要求により、なぜか詐欺犯担当の主任代理の郷間彩香が交渉人兼現場指揮官として派遣された。経験も権力もない三十路女は、現場の男たちと衝突したり、理解し合ったりしながら、度胸ひとつで人質の解放、事件の解決へと奮闘する・・・。 事件発生から終結まで丸一日という時間設定、人質を取った立てこもり事件、鼻っ柱の強い女性刑事、警察内部の権力争い、正義のためなら暴力も辞さないという謎の集団などなど、エンタメ・ミステリーを盛り上げる要素がてんこ盛りで、ヒロインを始めとする登場人物のキャラクターも色鮮やかなのだが、随所に挟み込まれるヒロインの心理描写が、ユーモラスといえばユーモラスなのだが、ライトノベルみたいで、急に緊張感が薄れ「味が幼稚」と言わざるを得ないのが残念。テレビドラマの原作としてなら、高い評価を受けるだろう。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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ダン・ブラウンの大ヒット作「ラングトン」シリーズの第3作。
悪役のキャラクターが異様で面白かったが、フリーメイスンにも、陰謀論にも興味が無いので話が荒唐無稽過ぎて集中できなかった。 |
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はやらない雑貨店の老主人が始めた人生相談が、タイムスリップして、多くの人の人生を彩って行くというファンタジー小説。物語としては、それなりの面白さがあるが、ミステリーファン的には期待外れだった。
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「フィリップ・マーロウ」シリーズの第5作「かわいい女」の村上春樹氏による改題・新訳版。1949年の作品だが、村上氏の新訳により、さほど古臭い感じはしなかった。しかし本筋のストーリの展開がイマイチで、あまりすんなりと読み進めなかった。
カンザス州の田舎町から出てきた堅物の田舎娘に「ロサンゼルスで行方不明になった兄を探して欲しい」と依頼されたマーロウは、娘の態度への好奇心からわずか20ドルの報酬で引き受けた。ところが、調査に乗り出したとたん、行く先々でアイスピックを使った連続殺人事件に巻き込まれることになる。誰が、何のために殺害しているのか、行方不明の兄はどう関係しているのか? LAの貧しい裏通りと華やかなハリウッドを舞台に、映画界とギャングの欲望がぶつかり合い、醜い裏切りのドラマが繰り広げられて行く。 古典的ハードボイルドの王道・マーロウのシニカルで洒落たセリフは健在だが、肝心のストーリー展開が複雑かつ切れがなく、犯人探しに重点を置いて読むと物足りなく感じられる。 登場人物のキャラクターやセリフ、エピソードの細部など、いつもの「マーロウの世界」を楽しみたい読者にはオススメだ。 |
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名無しのオプ・シリーズの第7作。1982年、栄えある第一回シェイマス賞長編賞の受賞作である。
パルプ・マガジンの大会に参加するためにサンフランシスコに来た老作家ダンサーがオプのもとを訪ねてきた。ダンサーは盗作をタネにした脅迫状を見せ、大会に参加する昔の仲間5人に同じ脅迫状が届いているという。名無しのオプが脅迫の真相解明もかねて大会に参加すると、奇妙な密室殺人事件が発生し、容疑者としてダンサーが逮捕されてしまった。ダンサーの無実を信じるオプは調査に乗り出し、さらに新たな密室殺人に遭遇することになった。 ミステリーとしての本筋は「密室殺人」(しかも、連続して発生する)だが、ポイントとなる密室のトリックがやや拍子抜けなのが残念。私立探偵ものとしてはオールド作家や熱心なファンの世界を描くことに力が注がれており、シェイマス賞を受賞したのも、そちらの側面での評価ではないだろうか。 |
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名無しのオプ・シリーズの第6弾。イヤな咳と肺の腫瘍の影に悩まされていた主人公がすっぱりと禁煙し、過去の作品ほど自省して悩むことがなくなっていて、シリーズの転換点となる作品と言える。
殺害されて湖畔に遺棄されていた若い女性がオプの名刺を持っていた。さらに、新しい依頼を受けて身辺警護をし始めた対象の男性が殺人事件に巻き込まれてしまった。二つの謎を解くために、オプが懸命の聞き込みを続けてゆくうちに、関係者の間に起きた不可解な出来事が次々と見つかってきた。 従来の作品に比べてミステリー要素が前面に出てきて、ハードボイルドとしては面白くなっている。ただ、最後の最後、謎解きが偶然に頼る側面が強すぎて、やや白ける面があるのが残念だ。 |
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名無しのオプシリーズの第4弾。もともと自制的で悩む探偵だが本作ではさらに自省が加わり、ハードボイルドというより青春教養小説みたいになってきた。
かつての戦友に頼まれてサンフランシスコ郊外のキャンプ場で警備というか、トラブル防止の役割を果たそうとした名無しのオプだが、キャンプ場に到着した日に殺人事件が起きてしまう。事件にはキャンプ場の客が絡んでいるようで、容疑が全員に掛けられそうな状況だった。 今回は事件捜査そのものも重苦しいのだが、それ以上に、いやな咳の原因を確定するための喀痰検査の結果を待つ探偵の葛藤が全編を支配しており、ハードボイルドを読む爽快感から程遠いのが、ちょっと残念。シリーズ読者以外には、さほど面白くないだろう。 |
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名無しのオプシリーズの第3作。今回も静かなストーリー展開に終始し、事の真相が明らかになっても、さほどのカタルシスが無いままに終わる。
前作「失踪」同様に、夫の素行調査という私立探偵ものの王道でスタートした物語は、主人公が監視していたモーテルで監視対象が殺害されるという意外な展開をみせ、さらに被害者の遺留品に古いミステリー小説のペーパーバックがあったことから、名無しのオプの得意分野であるパルプマガジン関連の知識を生かした推理が展開される。 依頼人の夫の殺人事件とペーパーバック関連の謎という二つの主題が絡み合って、風光明媚なカリフォルニアの豊かな街に秘められた暗部が明らかになっていくプロセスは、それなりに面白いがさほど目新しくもなく、サスペンスも無い。謎解きやサスペンスより、主人公の人間性に重点を置いて読んだ方が面白いだろう。 |
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一つの殺人を巡る、二つの中編を合わせて一冊の文庫にした意欲的な作品。「殺意」は刑期を終えた加害者・真垣の独白で、「鬼哭」は被害者・的場が刺されてから死ぬまでの意識の独白で、綴られている。
周りの誰もが「兄弟以上の仲」だと思っていた二人が、なぜ加害者と被害者にならなければいけなかったのか。それぞれの立場から事件に至るまでの出来事、人間関係を綴って行くのだが、二つの話は同じことを取り上げながら微妙に重なり合わず、「人間は結局、自分の都合に合わせて相手を理解しているだけなのではないのか?」という気にさせられる。 人間性の根源に迫る、ロシア文学みたいな重苦しさで、ミステリーとしての面白さを求めて読むと失望させられので、要注意。 |
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70年代始めのロサンゼルス。いつもドラッグでトリップしている私立探偵が、昔の恋人の依頼で大物不動産業者の行方不明事件を捜査することになった。ヒッピー文化が週末を迎えつつあるLA、ラスベガスでは、法執行機関やギャングが力を盛り返し、ハッピーなことは何も起こらなくなっていた・・・。
「トマス・ピンチョンにしては、読みやすい」と言われる作品だが、ストーリーを追うだけで四苦八苦。正直、読み切るには体力、気力が必要だった。 |
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ジョナサン&フェイのケラーマン夫妻を両親に持つ著者の実質的なデビュー作。表4の解説末尾に【本書には奇想天外な展開があることを警告しておきます】という、異例の説明文が付いているが、まさにその通り。「奇想天外」に納得するか否かで、評価は正反対になるだろう。私は残念ながら納得できなかった。
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デビュー作「暗殺者グラナダに死す」を含む、逢坂剛の初期のスペインもの短編集。5作品が集められているが、どれも冒険活劇と呼ぶにふさわしいアクション小説である。スペイン現代史に題材を取り、作者が大好きだという「西部劇、スパイもの」のテイストが濃い娯楽作品に仕上がっている。
どの作品も工夫やツイストが効いていて面白いのだが、やっぱり食い足りない部分があり、逢坂剛は長編作家でこそ真価を発揮すると感じた。 |
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それぞれに味わいが異なる6編を集めた短編集。主人公は皆、屈折を抱えていたり、ちょっと危険な性格を秘めていたり、一筋縄ではいかない人物ばかりで、物語としては面白い。しかし、桐野夏生でなければ、という毒気が感じられなかったのが物足りない。
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グレゴリウス症候群という難病で高校生の息子・時生が死期を迎えたとき、主人公は妻に「二十年以上前に、花やしきで息子にあった」という話を始めた。
ジュリー(沢田研二)の「TOKIO」が街に流れていた時代、どうしようもない負け犬の日々を送っていた23歳の主人公は、トキオと名乗る青年と出会い、同居することになる。同じ頃、恋人が書き置きを残して失踪し、恋人を探そうとし始めた主人公の周辺に胡散臭い人物が出没するようになった。恋人は何やら訳ありの男と大阪に逃走したらしいという情報をつかんだ主人公とトキオは、正体不明のグループを相手に恋人奪還作戦を繰り広げ、その後の人生を決定づける出来事に出会うことになる・・・。 トキオの正体は時生が20年タイムスリップした若者という設定で、どうしようもない父親を叩き直すというのがメインテーマ。過去にタイムトラベルした人物は歴史に手を加えてはいけないというのが鉄則のようだが(このジャンルには詳しくないので不明だが)、トキオは大胆に歴史を変えてしまう。このあたり、作者の主眼がタイムスリップより成長物語の方にあることを明かしているのだろう。 東野作品のミステリーとしてはあまりいい出来だとは思わないが、青春物や家族物のバリエーションとしてはよく出来ていると思う。 |
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チリでは大人気という探偵カジョタノ・シリーズの中でも、アメリカやドイツでも好評を博したという話題作である。南米のミステリーというのは、今まで読んだことが無かったので興味津々だったが、ミステリーとしてはさほど感心する作品ではなかった。
1973年、アジェンデ政権が危機を迎えていたチリで、社会主義指導者であり、ノーベル賞を受賞した国民的詩人と称えられていたパブロ・ネルーダと出会ったカジョタノは、極秘にある医師を探して欲しいという以来を受けた。それまで探偵の経験など皆無だったカジョタノは、シムノンの「メグレ・シリーズ」を参考に、メキシコ、キューバ、東ベルリンを訪ねて手探りでの人捜しを続けるが、ネルーダの依頼には全く別の目的が隠されていた・・・。 当時の社会状況が混乱しているいる上に、依頼人のネルーダが相当に矛盾だらけの人物で、読んでいる途中で物語の方向性がまったく見えなくなってくる。読み終えるのに、かなりの忍耐を必要とする作品だった。 |
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ミステリー業界の裏側をテーマにした、ブラックなユーモア連作短編集。東野圭吾の多才さを証明する一冊である。
非常に面白い。ただし、ミステリーではない。 |
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それぞれに不思議な能力(いわゆる超能力)を持って生まれてきた3人の女性を主人公にした3本の中編集。物語の構成、話の運び方、キャラクターなどはさすがに宮部みゆき、一級品です。
スティーブン・キングなどが好きな方にはオススメだが、私的には魅力的ではなかった。 |
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著者ストロングの名前は聞いたことがなかったが、戦前から戦後にかけて活躍したイギリスの作家で、日本で長編が翻訳されたのは、本作が初めてだという。40〜50年代にエリス・マッケイ警部シリーズを4作、発表しており、本作はその3作目にあたる。
主人公のマッケイ警部は、自分の本質は作曲家であり、ロンドン警視庁の警部は生きるための稼業と考えている芸術家気質の探偵というユニークな設定。したがって、その捜査も危険なアクションや地道な聞き込みなどとは無縁で、どちらかといえば、アームチェアディテクティブ。相棒となる、地方警察勤務のブラッドストリート警部とのコンビで、優雅に推理を進めていく。 本作では、若い女性の連続失踪事件と諜報機関からの情報漏えいがストーリーの二本柱となって展開されるのだが、犯人は? 動機は? というミステリーの本質より、登場人物たちの人間ドラマの方に力点が置かれているようで、物語はゆったりと流れていく。作中で重要な役割を果たす死体の謎が、最後まで解明されなかったり・・・。でも、そんなことは気にしないで、ゆるくておだやかなミステリーの世界を楽しんだ方がいいだろう。 |
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