ネルーダ事件



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    初公開日(参考)2014年04月
    分類

    長編小説

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    ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

    2014年04月30日 ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

    南米チリで探偵をしているカジェタノはカフェで、この稼業を始めるきっかけとなった事件を思い出していた。それは1973年、アジェンデ大統領の樹立した社会主義政権が崩壊の危機を迎えていた時のことだった。キューバからチリにやって来たカジェタノは、革命の指導者でノーベル賞を受賞した国民的詩人ネルーダと出会い、ある医師を捜してほしいと依頼される。彼は捜索を始めるが、ネルーダの依頼には別の目的が隠されていた。メキシコ、キューバ、東ドイツ、ボリビアへと続く波瀾の調査行。チリの人気作家が放つ話題作。 (「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.00pt

    ネルーダ事件の総合評価:6.86/10点レビュー 7件。Dランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (6pt)

    ラテン的混とん?

    チリでは大人気という探偵カジョタノ・シリーズの中でも、アメリカやドイツでも好評を博したという話題作である。南米のミステリーというのは、今まで読んだことが無かったので興味津々だったが、ミステリーとしてはさほど感心する作品ではなかった。
    1973年、アジェンデ政権が危機を迎えていたチリで、社会主義指導者であり、ノーベル賞を受賞した国民的詩人と称えられていたパブロ・ネルーダと出会ったカジョタノは、極秘にある医師を探して欲しいという以来を受けた。それまで探偵の経験など皆無だったカジョタノは、シムノンの「メグレ・シリーズ」を参考に、メキシコ、キューバ、東ベルリンを訪ねて手探りでの人捜しを続けるが、ネルーダの依頼には全く別の目的が隠されていた・・・。
    当時の社会状況が混乱しているいる上に、依頼人のネルーダが相当に矛盾だらけの人物で、読んでいる途中で物語の方向性がまったく見えなくなってくる。読み終えるのに、かなりの忍耐を必要とする作品だった。

    iisan
    927253Y1
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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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    No.6:
    (2pt)

    思っていたほどでは

    思っていた読み物ではなかった
    ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
    4150018839
    No.5:
    (1pt)

    知らない人を騙される歴史修正主義

    読み始めて、すぐに違和感を感じた。この作家は、本当に中南米の人間なのかと。

     主人公のカジェタノは、アメリカ出身のキューバ人。しかし、反革命派というわけではなく、たまたま著名音楽家ベニー・モレの楽団員だった父が、ベニーとともにニューヨークで働いているときに生まれ、その音楽家の父が死んだため、革命のキューバに戻ることができず、そのままニューヨークで育ったという、知らない人なら信じそうな設定になっている。しかし、当時、一楽団員が家族まで伴って公演地で暮らすということはあり得ないし、そもそも、ベニー・モレはニューヨークに住んだ事実はなく、さらに言えば、彼は革命支持派で、海外公演中に革命を知るや、すみやかにハバナに戻っている。
     つまりそこから、史実との大きな乖離が始まっている。
     これは意図的なのだろうか?

     読み進めるとともに、その疑問はさらに膨らんでいった。
     作者は、主人公を「右でも左でもない、アメリカ在住(アメリカのパスポートを持つ)キューバ人」という設定にしておけば、ラテンアメリカや東ドイツを自由に行き来する探偵として、説得力があると考えたのだろうが、これは、あまりに、当時の世界情勢を無視している。
     すなわち、米軍によるキューバ侵攻事件が起こり、さらにキューバ危機直後という、アメリカとキューバの関係がもっとも緊張している時代なのだから、そこにアメリカ国籍のキューバ人が、のこのことキューバに行ったりすれば、米国に戻ることはできない。当時の米国は国民のキューバ渡航を禁止していたので、カジェタノは、米国に足を踏み入れよう者なら、FBI にスパイ容疑で逮捕される。東ドイツなどにも行っていたら、それはほぼ確実だろう。つまり、この「一見自由に見える」主人公の人物設定も、現実離れしているのだ。
     物語は、そのカジェタノが、チリのノーベル賞作家自邸の豪華なパーティーに招かれ、その軽薄な人混みを避けて、ひっそりと抜け出して書斎で休んでいるときに、大詩人と邂逅し、なぜか気に入られて、探偵として最初の「依頼」を受けることになる。
     いかにも、アメリカのテレビドラマあたりに出てきそうなシーンだが、しかし、これも完全にあり得ない。

     なぜなら、ネルーダのセバスティアーナ邸に一度でも、実際に行ったことがあればすぐにわかることだが、セバスティアーナ邸は、いわゆるハリウッドセレブが住むような豪邸ではないからだ。ここで頻繁に宴会が行われていたことは史実だが、それはせいぜい数人の気心知れた友人と酒を酌み交わすというものであり、不特定多数が押しかけるような派手なものではなかった。(ネルーダはむしろ、そのようなパーティーを嫌っていた)。
     そして、セバスティアーナは、四階建てではあるが、狭い敷地の斜面沿いに建てられている雑居ビルのような構造で、一フロアに一部屋。それもせいぜい45平米。ダイニングのテーブルも8人掛けという素朴な家で、書斎は別の階だ。物理的に、大人数が集まって華やかな宴会などは不可能だし、そこをこっそり(笑)抜け出して、書斎に入るのも無理なら、詩人本人もパーティーを抜け出して、そこに来る、ということもありえない。
     この作家は、バルパライソに住んでいたことがあるという触れ込みだが、本当に実地の現場取材をしたのだろうか?
     それとも、知っていた上で、あえて、なんらかの必然性で大嘘を書いたのだろうか。

     こういった、「ありえない」設定や行動はさらに続いていく。
     当時のアジェンデ政権の末期で、大統領の盟友であり、凄腕の外交官であり、元上院議員のネルーダが、上記のようなややこしい立ち位置のキューバ人と知り合ったとして、そういう人物を信頼するようなことも、常識的にあり得ない。
     なぜなら、ここで現在のベネズエラに起こっている経済危機を思わせるアジェンデ政権末期の経済混乱は、アメリカ合衆国が、政権転覆のために意図的に引き起こしたものであり、その妨害工作は、当時から知られていただけではなく、その後、公文書開示などによって明らかになっている歴史的事実だからだ。
     つまり、米国が自国の国益に反するという理由で、民主的に成立したチリの政権を転覆させようとしている、まさにその最中、チリ政権側の大物に、得体の知れないアメリカ人が近づいてきたら、よほどの間抜けでもない限り、そんな人間を家に招いたり、親しく付き合ったりしないだろう(笑)

     それなのに、物語では、ネルーダはあっさりとカジェタノを信頼し、多額の金を渡し、さらに、自分の秘密を次々に打ち明ける。このご都合主義は、しかも、さらにとんでもない方向に転がっていく。
     メキシコに向かったカジェタノは、レストランでテキーラとサングリアをオーダーする。しかも、わざわざ注釈付きで。これは作家が、メキシコに取材することなく、観光ガイドブックか何かで読んだ知識を勘違いしたまま、知ったかぶりで披露したのだろう。
     残念だが、メキシコでテキーラと甘ったるいサングリアが一緒に飲まれることはない。テキーラと一緒に飲むのは、サングリータという、まったく別のスパイシーな飲み物だ。そして、この時代には、描写されているようなスタイルのタコス屋は時代的に存在しない。エクセルシオールという大新聞社が、ふらっと訪ねていった一個人に、無料で数十年前の小さな社交欄の記事の写真の人物を調べ上げて教えてくれるようなお人好しなサービスなども、もちろん存在しない。
     先に述べたような理由で、米国籍のカジェタノが、あの時代のキューバを訪れることも、そもそも不可能なのだが、作家が一生懸命、「抑圧された独裁国家」として描こうとしているわりに、そのキューバで、なぜか、外国人があっさり「反政府派」のアジトみたいなところに行けてしまったりする安易すぎる展開には、正直、失笑するほかはない。賄賂がキャバレー・トロピカーナのチケットって、観光名所をそこしか知らないのか......(笑)
     もちろん、ハバナに富裕層や特権階級や外国の犯罪者が隠れ住んで、人民とかけ離れた豪華な暮らしをしているような地区はない。フィデル・カストロがスイスの銀行に莫大な秘密資産を蓄えているという、米国が必死で拡散していた有名なデマを当のスイス銀行が公式に否定した、というようなレベルの与太話だ。
     ハバナは、首都とはいえ、小さな街だ。そんな特殊地区があったら秘密を保てるわけがないし、一万歩譲ってあったとしても、そんなところに外国人(それもアメリカ人)がのこのこ問題なく行けるわけもないだろう。とにかく、一事が万事、設定も出鱈目なら、展開も安直すぎるのだ。
     むろん、ネルーダとフィデル・カストロが仲が悪いという史実もない。ネルーダがUNEAC総裁だった詩人のニコラス・ギジェンと大げんかして、キューバの作家連名の抗議文を送られたのは事実だが、この件には、カストロはなんの関係もない。
     こういった、フィクションだからと言うには、あまりにお粗末で、かつ、明らかに意図的な史実の歪曲は、物語が進むにつれて、さらに、どんどんエスカレートしていく。

     作家は全力をあげて、女にだらしなく、骨の髄までエゴイストである、碌でもない男としてのネルーダ像を描きあげる。

     確かに、ネルーダは三度の結婚をしている。その前の領事時代にジャワ人の恋人がいたことも記している。そして、最初の妻との間に障害児の子供が生まれ、その妻と別れて、20歳年上の貴族出身の女性デリアと結婚したのも史実だ。
     しかし、ネルーダ外交官時代の最初の妻でオランダ人のマルカは、ヨーロッパ赴任時代こそうまくいっていたが、南米に帰国後、ラテンアメリカを馬鹿にして、スペイン語を一言も覚えようとせず、領事館員たちから外務省に、あの領事の妻をどうにかして欲しいという抗議文が出されたような人物であった「史実」には、作家は触れない。
     そして、ネルーダは、その妻と別れ、20歳年上のデリアと結婚した。
     この結婚に関して、作者は、登場人物の言葉を借りて、執拗に、「金と人脈目当てに、糟糠の妻と醜い障害児の子供を無残に捨てて、20歳も年上のババアと結婚するような男」と描写する。さらに、ネルーダの「独白」であるかのような文章までつけて、そのストーリーを補強する。
     しかし、ネルーダがマルカと離婚し、デリアと結婚したのは、障害児の子供マルバの死後のことだし、そもそも写真を見れば一目でわかるが、水頭症とはいっても、その単語から連想されるような不気味な奇形の子供ではなく、ごく軽度の水頭症で、見た目ではまったくわからない、かわいらしい少女だ。
     そして、デリアも、これまた写真を見れば一目瞭然だが、いわゆる、たいへんな若見え美女で、老け顔系のネルーダと並んだところは、とても年の差があるとは思えないカップルだった。そして彼女は、富豪の貴族出身だったが、実際には、家を飛び出していたリベラルな自由人のアーティストで、そのデリアと知り合ったときには、すでにネルーダ自身が、大ベストセラー詩人で、しかも外交官という、確固とした社会的地位を築いていたという史実(だから、金と人脈目当てということ自体があり得ない)にも、もちろん作家はあえて触れない。
     三人目の妻マティルデとの出会いは、ネルーダが政治的理由で国を追われ、長期の逃亡生活を続け(したがって、デリアとも完全に長期間の別居状態になっていた)ていた時代のことで、不倫には違いないが、これも「正妻のデリアの目を盗んで、若い女とデキた」というような話ではない。そもそも、金と人脈目当てにデリアと結婚したというのが本当なら、若い愛人ができたところで、その年上妻と離婚するわけがないだろう。
     ちなみに、マティルデは人権活動家で、ネルーダの死後、軍事政権下で、ネルーダの家やコレクションを守り抜き、財団設立に奔走した人物である。

     と、ここまで読めばおわかりだろう。
     この小説は、明白な悪意を込めて、南米ではゲバラと並ぶ左派のヒーローである、詩人ネルーダとその周辺を徹底的に貶めるために書かれているのだ。
     そして、背景に流れるのは、アジェンデ政権末期の経済混乱極まるチリ。さすがに軍事クーデターをまともに礼賛はしないものの、この状態ではクーデターが起こっても仕方なかったと言わんばかりの描写で、その経済混乱の原因も、アジェンデ大統領の指導力のなさや、一部の過激派学生の暴走として描かれる。史実であり、最大の要因である米国の経済介入には一言も触れられない。

     つまりこれは、フィクションであることに名を借りた、歴史修正主義小説なのだ。

     そこを置いておいて、では、ミステリとしてはどうなのか。主人公の設定や、メキシコ体験やキューバ潜入の嘘っぽさについてはすでに書いたが、そういったディテールは抜きにしても、そこがメキシコであり、キューバであり、東ドイツであっても、ただ、カジェタノは、紹介された人のところに行き、わりとあっさり次の人を教えてもらい、次の人を訪ねる、ということの単なる繰り返しで、なにか謎を解くわけでもなければ、頭をひねって危機を脱するわけでもない。散々じらした結末もアレだ。出て来る国の目新しさを除けば、ミステリのストーリーとしても破綻しているだろう。そして、肝心のその国々の描写とて、明らかに現地取材せず、ガイドブックや Wikipedia に書いてあることをしかも誤読している、まさに「知らない人なら騙せる」レベルときているのだ。

     こんな悪意に満ちた、突っ込み放題の小説がなぜ、チリと米国でベストセラーになったのか。その答えは単純明快だ。「日本国紀」がベストセラーになった理由と同じである。右派の新聞とテレビが大宣伝を繰り広げた。まことしやかな嘘を並べるにあたって、あくまでフィクションと銘打ったところは、利口である。そして、その「功績」で、この作家は、現在のチリの極右ピニェラ政権の閣僚に大抜擢された。百田氏が文部大臣になるようなものだろう。
     これは、そういう物語である。
    ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
    4150018839
    No.4:
    (5pt)

    もっと翻訳お願い。

    久しぶりに充実した読書体験にひたれました。
    ロベルト アンリコ他書も翻訳をお願いしたいです。
    ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
    4150018839
    No.3:
    (3pt)

    カジェタノは魅力的でしたが・・・

    チリが主な舞台のミステリということで、珍しいと思い買ってみました。
    ネルーダという実在の国民的詩人が依頼主という設定でストーリーが進んでいきます。
    ネルーダは、知り合いの医師を探してほしいを頼んできます。
    しかし、その人探しはカジェタノが思った理由とは別の理由が隠されていました。
    理由については、途中で明らかになります。
    本当の理由を知ったカジェタノは更に調査を進めます。
    カジェタノは魅力的なキャラクターでしたが、ネルーダという人がどうにも。
    人気詩人であり、政治的にも国の重要人物であり、尊敬されている人ですが、
    女性にとにかくだらしない。しかも、無責任です。(自分の子供からも逃げ出しています。)
    恋多き男の人は嫌いじゃありませんが、無責任な人が個人的に苦手なので、読むのがしんどいところもありました。
    ただ、ほかのストーリーでのカジェタノは読んでみたいと思いましたので、次の翻訳が出たら買うと思います。
    ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
    4150018839
    No.2:
    (5pt)

    映画化して欲しい!

    探偵カジェタノが、自身が探偵になる契機となった出来事を回想していく物語。 その回想の舞台は1970年代のチリ。 ほぼ失業状態の主人公が、 あの詩人パブロ・ネルーダからの依頼を受け、ペルー、キューバ、東ドイツ、ボリビアを奔走するハメに。 世界中を駆け巡り、そしてネルーダとの交際を通し、図らずも探偵らしくなっていく様が スピード感をもって描かれています。 また、自分自身がそこに放り込まれたかのように、当時の各国の雰囲気が想像できる描写も素晴らしい。 映画で見たいと思う作品でした。
    ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
    4150018839



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