八日目の蝉

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八日目の蝉の評価:

4.06/5点 レビュー 425件。 A ランク

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平均点4.06pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全735件 721〜735 37/37ページ
No.15
(5pt)

入り口を間違えたピュアネス

 1章が切ない。犯罪者に共感してはいけないと思いながら、希和子と薫のきずなの深さにグッと涙がこみ上げる。どう考えてもゴールが幸せであるはずがないからこそ、今この瞬間の幸せを引き延ばしてあげたい。
 そしてその極限状況の中で出会う、底辺の人々の奇異さを、かえって自然に感じる。同病相哀れむというか、社会に背を向ける人たちは、それはそれで引き合うのだなあ、と思う。薫がけなげでいとおしい。
 2章はまた恵里菜の皮肉な生活が描かれる。希和子そっくりの不倫は、読者を含めた全ての人を傷つける。
 希和子と恵里菜の絆は、入り口を間違えた。でも、その純粋さ・美しさは否定されるべきではない。ラストに救われる気がした。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.14
(5pt)

どうか皆が幸せに

角田さんのラストにはいつも気持ちが救われる。人物全員の先に見える光が、私自身にも見えた気がした。それほど読後感の爽やかな本だった。
不倫相手の子を連れ去り、血のつながりもないその子を全力で愛する。本来なら許されない犯罪者である彼女に、なぜか心が動いた。私自身思いっきり入り込んでしまったのだろう。薫が、またあの島に戻ろうとひとりでアパートを出たことがあったが、薫があの島での女との生活を愛しく感じたかと思うと、その事実に、なぜか安堵感がこみ上げてきた。
毎日、ニュースで見る様々な犯罪の背後にも、そんなドラマがあるのかと思う。もちろん犯罪は許されることではないのだが。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.13
(5pt)

すべてを捨てても、だた一つ大切なものを守りたい強さ

不倫相手の赤ん坊を誘拐して逃げる女。
どうしようもない男のために人生棒に振ってバカだな・・・と、どこか冷めた視点で読んでいたのですが。
中盤、追い詰められて、迷うことなくなにもかも捨てて逃げ出そうとするところでなぜか、不意に泣けてきました。ほんと突然に、何かが私の中で弾けたように。
その後も、ずっと、心を揺さぶられるというか。(陳腐な表現しかでない自分がもどかしい)
もしかしたら私が今現在、女で、小さな子供がいて、夫がいて、住むところがあって、平穏に暮らしていられるからかもしれません。
そんな平凡な日常を、どんなに願っても手に入れることのできない主人公の、「ただこの子と一緒にいられるだけでいい」という強い思いと行動は、私に何かを訴えてくるのです。
主人公は犯罪を犯し、身勝手な行動で周りを不幸に巻き込んでいるのだとしても、とりあえずそれは置いといて、今この瞬間の、二人の幸せが続いたらいいのに、と思わせます。
捨てられないものだらけなのに、持っているものの大切さも理解していない。そんな自分に気づかされた一冊です。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.12
(4pt)

血のつながりも、恋愛を超えた愛

著者はじめての長編サスペンス。
実際にあった事件の小説化なのかな?って思ってしまうほど
リアリティがありました。
揺るがないあたたかい愛情に包まれた作品だから重さや暗さがない。
角田さんだからこそ成せる技です。
血のつながりってなんなんだろう・・・。
薫ちゃんへの希和子の愛情はまさに母親そのもので、
2人の中間に不倫相手の男性なんてもはや存在しないほどに強固なものになっていた。
果たして薫ちゃんにとって、実の両親と暮らすことが幸せだったのか、
それともあの島で希和子と暮らすことが幸せだったのか・・・。
でも、「なぜ私だけが」と思ってきた被害者意識を、
「なぜ私たち家族が」と広く感じられるようになれば、
壊れていた家族はきっと再生する。
この家族はこれから新しい家族を迎え、
やっとこれから本当の家族になっていくのだな、と
光を感じるラストがすがすがしかった。
できれば希和子のために、
サスペンスではなく、親子の愛情を描いた作品として読んであげてほしいです。
住民票も保険証もないのに、
若い女が赤ん坊を抱えて知らない土地で生きていけるなんて不可能な話。
でもこの都合の良さにはあえて目をつむります。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.11
(3pt)

これからの彼女が幸せでありますように。

不倫相手の家に忍び込み、生後6ヶ月の赤ん坊を連れ去った希和子。
自分の子供が生まれていればつけるはずだった「薫」という名前を
その子につけ、二人で生きる決心をする。何も知らずに育った薫
だったが、やがて自分の本当の名前を知る日が・・・。
子は親を選べない。育つ環境も選べない。与えられたものの中で
生きるということが子供にどんな影響を及ぼすのか、考えると
ぞっとする。本当の両親のもとから連れ去られ、「薫」として育て
られた恵理菜。希和子との生活は、本当の母と娘の生活のようだった。
それに比べると、実の父母や妹とのギクシャクした関係は、恵理菜には
耐えられないもとなる。彼女の心につけられた傷の深さは計り知れない。
大人の身勝手な行動が引き起こした悲劇。「八日目の蝉」のタイトルの
意味が見えたとき、とても切ない気持ちになった。これからの恵理菜の
人生が、幸せなものでありますように・・・。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.10
(5pt)

子供が愛しい。

ここに出てくる誘拐された子供は、私が忘れていた我が子と接した当時を思い出せるほど、丁寧な描写がたくさん出てきます。
どうして、ここまで、小さな子供のしぐさまで描けるのだろう。
読んでいて、わが子が小さかった頃を一つ一つ思い出して、懐かしくて涙が出てきました。
ストーリー自体もはらはらどきどきでおもしろかったのですが、もう一人の主人公の誘拐された子供が愛しくて読んでいて胸が締め付けられる思いでした。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.9
(5pt)

泣ける

この本を読み終えた時、泣いていた。べつにどの登場人物に共感するわけでもないし
同じような体験をした人もいない。妊娠もしていないし、堕胎もしていない。
内容的には辛辣な部分が多くある。しかし何故だが、読み終えた時とても優しく
せつない気持ちになるのだ。
角田光代さんは、全作品通して言いたい事は同じような事に思える。
女同士の友情、母親への懸念、めぐりくる立場の変化、家庭、主婦、そういったものだ。
この作者の作品で「彼女のこんだて帖」という、ほぼ自分のエッセイも混じっているのかも
しれないと思わしき母親への気持ちを、料理という題材を使って書いたものがある。
それと同じように、この八日目の蝉でも、「家庭の味」「料理」といったものが
リアルに描かれている。
彼女の書く文章や人と人とのやりとりには温度があるのだ。じめっとした、女同士の
閉ざされた世界で守る永遠の処女性のようなもの。それを尊く思う気持ちと
毛嫌いする気持ちが混在するのは何も少女に限った事ではない。
大人になってもなお、それをひきずったまま殻から出られない女性を書かせたら
この人の右に出る者はいない。
この本はミステリー仕立て(謎はないのだが)になっていて、先が気になり
どんどん読み進めていく事ができる。そして最後にはやりきれないせつなさと
ほっこりした優しさ暖かさ、そして失ってしまったものへの憧れなどを感じられるだろう。
みんなが未来に向かって歩き出そうとしている終わり方もいい。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.8
(2pt)

湘南ダディは読みました。

それなりに各紙でも取り上げられていたので読んだのですが、ウーン、まあ、どちらかといえばお薦めしない本です。かって堕胎させられた不倫相手の家から乳幼児を誘拐し全国を逃亡しながら4歳まで育てる女の話と、誘拐犯に育てられた子として好奇の目にさらされながら成長した娘が自分とその女、実の親達との関係を見つめ直す話の2代にわたる輪廻を描いたものですが、このようなテーマなので当然のことながらどうにも暗いのです。 私は読書の楽しみは基本的には作中でよい人や格好いい人に出会えることだと思っているのですが、この作品には会ってみたいと思うような人は誰も登場しません。
7年間地中で時を過ごしてきた蝉の幼虫が、羽化して精一杯鳴き続けて7日目には死ぬ一生ははかないが、もし8日目に生きている蝉がいたら取り残されてもっと哀しいという寓意も、この物語のタイトルとしては読者には腑に落ちないのではないでしょうか。ラスト近くには8日目に生きる意味を主人公達に語らせますが、それがこの物語の登場人物たちの様々な生き方の何を暗示しているかも不明瞭です。
それと ――の頭の中できいんと金属音が響く。赤ん坊の泣き声が高まると、金属音も同時に大きく響いた。それらは混じり合い、ぎゃわん、ぎゃわん、ぎゃわんと響く赤ん坊の声が ――というような擬音語や擬態語を使われると、私はもうそれだけで書き手のセンスを疑ってしまうのです。劇画ではないのですから、形容することによって状況を読者に想像せしめるのが小説家でしょう。これじゃ小学生の作文などにある、スーと戸が開いたとかゴーンと鐘がなったと変わらないじゃないですか。スタイルとしてこれらを多用するのならまだ許せますが。
そんなことからもお薦めしない訳です。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.7
(4pt)

子供に与えられた試練の大きさ

ひな鳥は、最初に見たものを親鳥と思って慕うという話を聞いたことがあります。時として親を失った異種の動物の子供を育てたというエピソードで語られる動物もいます。物ごころつく前に一番愛情を育ててくれたもの=親という式はちっとやそっとでは崩れないだろうけど、最初の親(と思っていたもの)が断りなしに消去されて、次候補というものが補充されたとき、すぐにそれを<=親>と認めるのはどんなに大変な作業だろう。と、同時に、自分ではない誰かが愛情を注いできたものを、突然=わが子と認識することも非常に難しいことであろうと思う。その子供の目の中には、きっとまだひとつ前の愛情記号が色濃く残っているだろうから。
本書のテーマとは少しずれているのだけれど、一番強く想起したのは、そういうことでした。血のつながった親子でも、子=親という絆がしっかり組めない親は増えつづけていると思うけれど、(実際、本書は、実の親よりも、仮の親のほうが、子どもとの関係は自然なのだが)そういう子供が、これから成長して、世の中に増えて、親というフィルターを通さずに、どういう世界観を持つのか、自分と世の中のつながりをどう考えるのか、とても気になる。
ミステリーなので、内容は伏せます。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.6
(3pt)

この本はサスペンスではありません

本の帯に「角田光代が全力で挑む長編サスペンス」とあるが、これはそのつもりで読むと肩透かしにあう。サスペンスは読者が謎を探るものだが、この本は誘拐事件が元になっているだけで、読み進めていくと焦点がサスペンスとはずれてくる。
赤ちゃんを誘拐した女の逃走より、育児に不安定な母親の内面を描いているような展開だからだ。
自分が産みもしてないのに自分が産む筈だった子供と摩り替えて誘拐した子を育てていこうとする女は、一度失っただけに子どもに自分の人生を捧げて育てる。自分の全財産も、将来も、何もかも棄てて、この子と少しでも長く一緒にいたい献身な育児の反面、このままでは小学校にさえ行けない子どもの将来を気に病む。
子どもが産めないと思った女の逃走劇は、生後6ヶ月から3才までの一番可愛いときを両親から奪う。
第1章でその女を、第2章でその誘拐された女の子を描いたこの本は、人に感想を聞かれたら、人の人生を滅茶苦茶にした女の利己主義に共感出来るならいいんちゃうと逃げてしまうと思う。
それは、赤ちゃんは可愛いし3才までなら子育てをしてみたいのが気持ちでは分かるのだが、人として親としての責任を背負わなくてもいい3才までの時間だけを奪う女の心理に嫌悪が走るからだ。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.5
(4pt)

早く先が読みたいと思える本

不倫相手の赤ちゃんを誘拐してしまう女と
誘拐された子供の話。
前半は犯罪者になった女の視点からの逃亡生活。
後半はさらわれた子供が成人し、その視点からの
なぜ他の誰でもなく自分がさらわれたのか?という憤りや
さらわれたから変わってしまった家族との距離、
女がなぜ犯罪に走ったのか、さらわれた子供の
両親が女に対してどのような苦しみを与えたのか。
が書かれている。
久しぶりに先が読みたくて、途中で中々やめられなかった作品。
細かく考えてしまうと、頻繁に熱を出したり病気になる
赤ちゃんが保険証もない女に子供になるまで無事に
育てられるのはおかしいだろうと指摘したくなるけど
これは物語なのでそれもありと思って読んだ。
前半の逃亡生活のほうが、ハラハラしてミステリー
じみていて面白く読めるかな。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.4
(5pt)

引き込まれました。

最近では「薄闇シルエット」も良かったのですが、これはさらに良かったです。
ぐいぐいと引き込まれ、つい最後まで読まされる本。
一つひとつの事件の背景にあるそれぞれの事情や思いについても考えさせられます。
誰が、何が正しいのかはわかりませんが、そんなもどかしさも丁寧に描かれていて満足しました。
大変読みやすい構成で、テンポも良くオススメです。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.3
(5pt)

どこからでも生きてゆける

赤ん坊をさらって育てる。それは社会的にみて、当然犯罪です。
だけど、その赤ん坊を心から愛して育てていても
それはやはり罪なのでしょうか。
この本を読んで、そんなことを考えました。
流転する人生を生きる主人公の印象は、なぜかいさぎよい。
そして感じたのは、人はどこからでも生きていけるということでした。
ヘコんでも、なぎ倒されても、放り出されても。
読後は爽やかです。
世間からみた幸せ、という幻想にふりまわされなければ
どんなところでだって幸せを感じることができるのだということを
あらためて感じさせられました。
瀬戸内海をずっとみつめていたい、そんな本です。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.2
(4pt)

素敵な小説!

角田光代「八日目の蝉」
別れた不倫相手の夫婦にできた赤ちゃんを、
誘拐してしまった女性とそれに関わる人々の物語。
本の紹介にはサスペンスと書いてあったが
これがサスペンスにあたるかどうかは疑問かな。
あえていうと最初から犯人が分かっている倒叙もの。
しかし、誘拐した女性がどうなるか、誘拐された子供や
子供を誘拐された夫婦がどうなっていくのか、そして・・・
と、はらはらするという意味ではサスペンスの一ジャンルか?
小説「空中庭園」で家族の絆の意外なほどのもろさと人間性の
不条理を描いた作者が、別の形で提示する家族や人間の絆。
そんな一般論は別にしても、ストーリーテラーとしての
作者の本領が発揮されていて、とても面白い小説だった。
登場人物が、ぽろっと口にする言葉に味わいがある。
この小説の中心的な物語とはずれて、子供の時に感じたこと、
大人になって振り返る子供の頃、親と子供の間で抱く思いの
違い、子供時代から大人への独立心、そのようなものも
あわせて感じることができるのも、この小説の楽しみかも。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.1
(5pt)

読書の楽しさを教えてくれる一冊

不倫していた相手の家庭に忍び込み、生まれたばかりの赤ん坊を盗み出し、その子と一緒にいたいがために逃げ続ける女性…
安定した文章、テンポのよさ、最後まで維持される高いテンション、ここのところのダントツ一番、角田光代ってこんな感じのも書くんだ、読書の楽しさを教えてくれる一冊って皆に言いたくなります
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165