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裂けて海峡
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裂けて海峡の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.62pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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最後まで、読みごたえがありました。 | ||||
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※削除申請(1件)
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歳末である。 スーパーや地元唯一のデパートへ行くと、ジングルベルの音楽が流れる。 な~んか、すごく久しぶりに聞いた。 テレビでは、ラストクリスマスやマライア・キャリーの『All i want for christmas is you』、山下達郎のクリスマス・イブのクリスマスソングが流れ、映画では、ウィンター・ワンダーランドが流れる時代が続いていた。 ボクの子供の頃だと、この季節はジングルベル一色になった。あとは、ホワイト・クリスマスだった。 ハードボイルドという語源は、固ゆで卵からだったと思う。 半熟が美味で、消化にも良いとされているけれど、ボクの好みは、お湯がグラングランになるくらいまで茹でた、黄身がカチンカチンになるくらいがちょうどよい。 いつのころからか、ハードボイルド小説が好きになった。 ミステリの読書の順番だと、クイーン、カー、クリスティーの順だった。 もちろん、その前に、松本清張や乱歩を読み、その前に黒岩重吾のような風俗小説風の都会派ピカレスクロマンにも、どっぷり浸った。 一人の作家にはまると、その作家の作品を読み漁るという行き当たりばったりの読み方だったので、ジグザグ模様の読書遍歴である。 海外本格ミステリもそうだったが、ハードボイルド小説も、ハメット、チャンドラー、ロスマクの順番を守って読んだ。 なぜだろう。 さて、固ゆで卵の茹で加減の固さなら、やはりハメットがその代表になるだろう。 ボクは、ロスマクの小笠原 豊樹さん訳の『ウィチャリー家の女』や『縞模様の霊柩車』の端正な作風が、好きだった。 もちろん、訳者の文章が滑らかで、素敵だったこともある。 チャンドラーは、カリフォルニアの陽光の中で、気障なセリフが飛び交い、あまり乾いているとはいえない感傷が揺曳する物語が、彼の作風だった。 妙に余韻が残ることに、抵抗があった。 たぶん、自分の感性への近親憎悪というヤツだろう。 あるべき姿としては、ハメットがハードボイルド小説の王道だと思っている。 鎧の下からチョロリどころか、メランコリックな描写が散見されるチャンドラーは、やはり、とても気になる作家だった。 時系列に読み進むと、『長いお別れ』が、後期チャンドラーの憂愁の頂点だろう。 和風チャンドラーといえば、生島治郎さんの『追いつめる』や三浦浩さんの『薔薇の眠り』を思い出す。 結城昌治さんの私立探偵真木シリーズは、ロスマクのイメージだった。『暗い落日』など、透明なタッチの乾いた文章が大好きだった。 河野典生さんも、ハメット、チャンドラー、ロスマクの系譜の人だった。 そんな中で、冒険ミステリとハードボイルド小説がクロスオーバーするときがある。 日本でも、そんな作品に、アラ還のころに出逢った。 志水辰夫さんの『裂けて海峡』だ。代表作といわれる『行きずりの街』よりも好きだ。 終章にかけてのパセティックで、破調の文体だが、思うがまま一気呵成に書き上げた迫力に、初老に差し掛かったボクは、打ちのめされた。 な、なんなんだ。この過剰な感傷が気持ちよいのは、なぜ? やはり、ハードボイルド小説のエッセンスは、都会の夜の闇を無鉄砲に生きることを志しながら、タフにはなり切れない心情を、誰かに向かって伝えたいという一点にあるのではないか。 人生の残りを意識するのはさみしいことだけれど、映画を見て、読書し、そして楽しく酒が飲め、ゆっくりとまったりと、何事もなく生きていけるのは、とても幸せなことだ。(2020.12.14) | ||||
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古い作品ですが、気がつくと没入して読んでいます。地の文が上手い、ととある作家の方が言っており、手に取りました。良いです。一読をオススメします。 | ||||
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話の筋も立っているし、キャラクターもいいですね。 この時代背景とキャラクターの生活様式、行動様式はこの時代を生きた人しか書けないのかもしれない。リアリティも十分で、なかなかの傑作だと思いますが、少し、逃走シーンがくどいかなぁ。 | ||||
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闇の社会の恐ろしさをまざまざと見せ付けられた作品でした。 主人公である長尾は ある男のトラブルがきっかけで闇社会から 目をつけられてしまい、結果的に長尾は殺人を 冒してしまいます。 出所した彼に突きつけられたのは 彼の弟の怪死と 彼が乗っていた船の失踪でした。 確かに後半の部分は 闇社会の連中に 果敢と立ち向かっていきます。 でも、決断が余りにも遅すぎたのです。 最後まで不満要素ばかりで 余り爽快とはいえませんでした。 | ||||
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時にはユーモラスに時にはシリアスに綿密な文章構成によって物語が展開していくさまは圧巻である。 個々の人の運命を国家というものにおしつぶされようとして戦う主人公たちの生き様に共感がもてる。 | ||||
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ハードボイルド・サスペンス小説でしょうか。弟が船長をしていた貨物船が忽然と遭難。疑念をいだいた兄が、鹿児島まで、謎解きに来る。そこで知りあう旧日本兵。国家的陰謀のにおいを感じながらの前半部分で、かなり面白さを予感させてくれます。その後は、追っ手と逃げ手の死に物狂いの追いかけっこで、猛然としたスピードで話が超現実的な感じで進んでいきます。設定等面白いのですが、後半部は、ぶっ壊れた感じで、ついていけない部分も感じます。400ページ超の長い小説ですが、それほど飽きさせません。 | ||||
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【書評】 歳月を費やしようやく向かいあえた男女を、圧し潰そうとする“国家”。 運命の夜、閃光が海を裂き、人びとの横顔をくっきりと照らし出す。 【感想】 いい、いいよ〜!志辰節! SF⇒冒険小説との変遷で出会った作家。 文体がいい。 何十回と読み直しているが毎回いい! 男はつらい、女は悲しいのよね。 ラストの1行が超有名。 『天に星。地に憎悪。南溟。八月。私の死。』 | ||||
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私をシミタツファンにした一冊。 志水辰夫の不朽の名作である。 出来るなら、講談社文庫版を手に入れて、最後の一行どちらがいいか 読み比べて欲しい。 ちなみに私は、講談社版のほうが好きです。 | ||||
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主人公は、双葉海運の社長「長岡知巳」。 実弟の乗り組んだ船の沈没に疑問を感じ、その謎を解明しようとし、国家権力に追われる身となります。 特攻艇震洋の基地跡に暮らし慰霊碑の墓守をする「花岡康四郎」、恋人「理恵」と共に闘う様子がテンポ良くスリリングに描かれており、途中で読むのを止められなくなります。 月並みな表現になりますが、状況設定・人物描写・物語の展開・心理描写どれをとっても傑作だと思います。 逃れるチャンスがあったにも関わらず、それを潔しとせずに立ち向かった「長尾知巳」が拘った人間の価値とは何だったのでしょう? 人生には幾つかの岐路があり、人それぞれ、自分の価値観に鑑み方向を決めていると思います。 多分、決断した大部分については人生の終焉を迎えてみないと正解だったのか否かは分らないのでしょうが、自分の価値観に対する拘りは持ち続けたいですね。 本作品を読んで色々と考えさせられました。 | ||||
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一気に読んで,スッパリ忘れた。面白くて,ワクワクして,寝る間も惜しんで読んだのは覚えている。 なぜスッパリ忘れたか。まずストーリーに破綻がないこと。細かいことは私でなくてもすぐ忘れるので放っておくとして,大枠で納得のいく展開だった。そして全体的に楽観的であったこと。登場人物の会話に軽妙なやり取りがあり,スイスイ読めてトラウマにならない。 トラウマと言えば「飢えて狼」。ヒロインがキタナラシイ男にレイプされた場面が忘れられない。本作では,水面下でどんなことが起こっていようとも主人公は前向きで,ヒロインはたくましいのである。 スッパリ忘れたはずだったが・・・。 | ||||
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主人公長尾は、自分の弟の乗った船の沈没の原因に不審を持ったことから、目に見えない集団に追われる。最初が鹿児島県 次に熊本、福岡、北九州 徳山と追われ、逃げる。その間に感じる緊張感が、読むのをやめられない。主人公と共に、体に力が入る。 | ||||
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沖合いで沈んだ船の謎を探るうちに、強大な権力を相手に回すことになった男の物語。時にスリリングに、時にユーモラスに話は進んでゆく。そしてすべてがカオスとなってなだれ込むクライマックスが圧巻。読み手の感情をも喚起させずにはおかない文体で描かれる最後の数十頁のために、この物語があると言っても過言ではない。数年ぶり、ことによると十数年ぶりに新装版で読み返してみたが、読み手に与える衝撃力は不変であった。この本が絶版となった後、再び刊行されたことを喜びたい。しかし、社会不安を喧伝する国家に煽られて、誰もが国家を無条件に信頼しているように感じられる現在、主人公が内に持つ行動規範を理解できる人も少なくなっているだろう、とも思う。近代は遠くなりにけり。ちなみに、新装版では最後の1文が著者自らの手によって改変されている。 | ||||
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