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怪奇小説という題名の怪奇小説
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怪奇小説という題名の怪奇小説の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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この作家さんを読むのは「なめくじ長屋」に続いてまだ2作目です。1929年(昭和4年)生まれで、編集者や作家として2001年まで活躍されたそうで、かなりのベテラン作家さんなのですね。アイデア、構成、文章どれをとってもとてもうまいと思います。 話は、締め切りに追い立てられている作家が、少しもアイデアがわかず書けなくて、海外無名作家の作品を適当に日本にプロットを移していわば盗作しようとするところから始まります。その作品の内容、自分が書いた文章、自分の日常の行動、それらが区切りなく続けて書かれるので、どこからが創作でどこからが実際にあったことなのか、混沌として不思議な酩酊感をおぼえます。 作中に挿入されるジョン・スタインベックの「蛇」という小説は実在するもので、これが丸々全部入っているのですが、こんなのアリか?とか、雰囲気作りのためか?とかページ数稼ぎじゃないかとかいろんな考えが頭を横切るのですが(苦笑)これも読者の混乱を誘うためのものなのかも。またこの作品がかなり薄気味悪いもので、蛇嫌いの人はダメかもしれません。 その後、死んだはずの従姉妹にそっくりの女性を見かけて、その正体を探る話がメインになり、このあたりはミステリかサスペンス的な展開になっていきます。ネタばれするのであまり書けませんが、最後まで読み終わってみれば、ミステリでもホラーでもなく、むしろ「マタンゴ」や「怪奇○○人間」のような特撮映画、または香山滋の怪奇、伝奇、探検小説のような荒唐無稽な作品に近いような気がします。1980年作なので、世間でもまだウルトラ・シリーズとかそのあたりのドラマや映画の名残があったためかもしれません。 あとがきで道尾秀介氏が、自分が作家への道をめざすに当たって運命的な出会いになった作品と絶賛されています。かといって道尾氏と作風が似ているわけではありませんが。 個性的で奇怪な作品ですが、個人的にはそこまでのものかなあ・・というのが正直な感想です。 | ||||
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道尾秀介が直木賞を受賞し、それに絡めて、彼がとても好きな作家の好きな作品ということで、彼の解説をつけて再版された。 わたし自身は、道尾のデビュー作を読んだ時に、そのあざとさが大変印象悪く、以後道尾の作品は読んでいない。しかし、都築が巧い作家だということはミステリファンの間では有名であり、薄い本でもあったので、手にした。 一般に奇書と呼ばれる作品である。 しかし、奇書と呼ばれるたぐいの、とっちらかった奇妙な作品、純文学的な読者にめまいを起こさせることを目的としたような作品が苦手な方は、安心されると良い。そういった作品ではない。 極めて理性的で、おちついた筆致から入り、超自然的なものごとを、推理小説的な解釈をしようとしながら進行する。後半、人物がややご都合主義的に動き、論理が破綻してくるが、描写にはごまかしがなく、安心できる。 面白い本である。 しかし都築の作品の中で、出来の良い物ではなく、絶版だった理由もそこはかとなくわかる。 読んだ人の少ない本なのかと思っていたが、実際に読んでみて、この本に言及したエッセイ(誰の作品かわからない)を読んだことがあることを思い出した。つまり、結構有名な本だったのである。 確かに、出来はともかくも、印象に残る本である。 | ||||
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今はあまり小説は読まないのですが、若いときに怪奇小説を良く読んだので、新聞広告に触発されて買って見ました。 なんとなく、やる気のなさそうな出だしですが、段々盛り上がってきます。よく映画や芝居に「劇中劇」という分野がありますが、ここでは昔読んだペーパーバックを読み返しているうちに、主人公がその小説の中に入り込んだり、現実の世界に舞い戻ったり、現実と小説の間を行ったり来たりしながら話しが進んで行くことに新味を感じました。 最期は,怪奇小説というよりも、南洋一郎の冒険小説、角田喜久雄の伝奇小説、海野十三の空想科学小説などのクライマックスを思い出します。 その意味で、身の毛もよだつ怪奇小説を期待していると当てが外れるかもしれません。 | ||||
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