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サウスバウンド
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サウスバウンドの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.23pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全64件 61~64 4/4ページ
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2006年本屋大賞第2位ランクインと裏表紙に書いてあるので、とりあえず買ってみました。 上原家の子供たちは3人ともキャラが立っていて、特に主人公の二郎は素直で好感が持てるので (おばあちゃんの家で出されたスペアリブがあまりにおいしくて5本食べちゃって気まずい思いをするとか)、 没頭して読みました。楽しかったです。 展開が結構読めない小説で、著者もどこまで先を見据えて書いているのかな?とか不思議に思ったりもしますが、 それが読者を引きつける要素の一つなのかも知れません。 キーパーソンである主人公の父は、上巻ではたまにいいことを言うが基本的には困った親父 なのですが、下巻になると大爆発して好感度急上昇・ストップ高という感じです。 買って損をした気にはならない本だと思います。 | ||||
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読み始めたときは「なんて物騒な話なんだ」と思いましたが、途中から話の流れが一気に変わり、そのギャップに驚かされました。タイトルの意味もそこでようやく分かりました。 何が正しいとか間違っているとか、それは誰にも分かりませんが、正しいと信じたことを貫く、それが大事なんですね。それをしっかりと学んだ主人公の二郎くんの成長ぶり、そして家族の絆。素晴らしいです。普通の人にはまず真似できません。 いい意味で裏切られました。さすがは奥田英朗だと思わず唸ってしまいました。 | ||||
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元過激派の型破りな父に翻弄される家族を、小学校六年生の長男・二郎の視点から描いた物語。年金は払わず、学校に乗り込み、警察とやり合い、騒動ばかり巻き起こす父・一郎。 論争好きで弁が立つ。いかにも過激派らしい演説で相手を煙に巻き、はったりをかます。腕力のある大男ゆえ、最後は敵を投げ飛ばす。二郎は二郎で子どもなりの悩み〜不良中学生に目をつけられたり〜を抱えていて大変なのに、父親が厄介ごとを引き起こすものだからたまらない。挙句、東京を捨てて南の島に移住することになり・・・そこでもまたまた大騒動。 元過激派の父をもつ家族の物語といっても、コミカルであたたかいタッチ。『邪魔』『最悪』とは違います。もうちょっと過激に壊れてもいいのでは(特に、元女闘士だった母親など)・・・と期待してしまったぐらい。二郎をはじめ子どもたちが、しだいに父親を理解していき、家族の結束が固まって、という予定調和といえば言える展開だが、ついついこちらも一郎のファンになってしまう。でもラストは・・・予定調和じゃなかった。やっぱり奥田さんの小説はふつうじゃない。二郎の小学生生活や気持ちが丁寧に書かれていて好感がもてた。どんな世代を描いてもリアリティがあるのはさすがだなあと思う。 わたしが買った巻は、映画公開を控え、帯も栞も映画仕様。おかげで「一郎=トヨエツ」になってしまい、ちょっと損をしたかな・・・トヨエツは好きだけど、自由なイメージで一郎を眺めてみたかった。 | ||||
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相変わらず埼玉と東京と横浜を行ったり来たりしているので、電車に乗っている時間がそこそこある。DSばっかりやっていたのだけれど、最近ちょっと読書欲が出てきたのでとりあえず奥田英朗の「サウス・バウンド」を読んでみた。 まず読んで思ったのは、中島みゆきの新譜(といっても、今となってはもう半年ぐらい前なわけだけど)を聞いたとき、もっと具体的には「宙船」を聞いたときと同じような感想なのだけれど、「この本を読んでも、共感できる日本人というのは実はほんのわずかだよな」ということ。作者はラスト近くで主人公に次のように語らせている。 警察や企業に楯突く一人の男を、痛快に感じ、面白がりはするものの、 我が身に置き換えたりはしない。テレビの前の大人たちは、一度も戦っ たことがないし、この先も戦う気はない。戦う人間を、安全な場所から見 物し、したり顔で論評する。そして最後には冷笑する。それが父以外の、 大多数の大人だ。 この言葉はこの本を読む読者自身にも向けられている。でも、多くの読者はそのあたりの皮肉にはあんまり気がつかないんだろう。あぁ、面白い本を読んだな、でおしまい。 僕は中島みゆきの新譜が出たときはその歌についてブログで全曲感想を書こうと思っていたのだけれど、この間の『ララバイSINGER』ではそれを見送った。なぜかといえば、「宙船」がたとえ高校野球の行進曲になろうとも、すべての港が灯りを消して黙り込んでも その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな という歌詞を、自分で漕いで行く立場で歌うことができる人間、自分の我が身に置き換えることのできる人間がどの程度いるのか、甚だ疑問だと思ったからである。「メロディが好き」「歌詞が好き」と、この曲を評価する人の考えはいくつかあると思うのだけれど、「一人で自分で自分の道を進んで行ける人間」がその中にどの程度いるのかといえば、僕はほとんどいないと思っている。そういう中で、この曲を論評しても意味がないよな、と思ったわけだ。 冒頭に書いたように、同じようなことをこの本を読んだあとにも感じた。しかしまぁ、こち亀の両さんや、ゴルゴ13に自分を置き換える人はいないわけで、その程度のものかもね、とも思う。 以下、いくつか「!」と思ったフレーズ。 嫉妬深くて極端な同質社会である日本には、誰かに犠牲になっていた だいても、嫉妬しきれない、手の届かない存在が必要だと思います。そ れが皇室です。 日本の学校って人それぞれっていう考え方が通用しないから、やりにく くって おれは、あんたらみたいな運動屋にはもうシンパシーを抱いていない。 左翼運動が先細りして、活路を見出したのが環境と人権だ。つまり運動 のための運動だ。ポスト冷戦以降、アメリカが必死になって敵を探して いるのと同じ構造だろう もしも疑問に感じたり、これはおかしいと思うようなことがあったら、それ を忘れないでいてください。そして、大人になったとき、自分の頭で判 断し、正義の側につける人間になってください 人の物を盗まない、騙さない、嫉妬しない、威張らない、悪に加担しな い、そういうの、すべて守ってきたつもり。唯一常識から外れたことがあ るとしたら、それは、世間と合わせなかったってことだけでしょう これらのせりふを、さまざまな登場人物にさらっと言わせているところが楽しい(上の引用は同一人物が語っているものが一組だけあるけれど)。 ところで、この本は第一部と第二部がほぼ完全に独立した別の話になっている。第一部では親父はただのぐうたらで、主人公の学校生活が中心で進んでいく。一方の第二部は親父は北の国からの五郎さんみたいな感じでかなりの働き者になる。話も大人の世界がかなりの割合を占める。どちらが楽しいかと言われると主人公がご飯ばかり食べている前者だが、台詞に赤線を引いたのは後編の方が多い。 個人的なこの本の評価は☆3つ。それにしても奥田氏の書く文章のリズムが好きだ。こういう相性の良さを感じる作家はあまり見つけられない(東野圭吾、宮部みゆき、夏目漱石、宮本輝、野田秀樹、村上春樹、殊能将之、真保裕一くらい?)なので、これからもがんばって欲しい。 | ||||
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