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(短編集)
東京物語
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東京物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全69件 61~69 4/4ページ
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どこにでもいる、ごく平凡な青年「久雄」の青春が6つの短編で綴られた力作。舞台は激動の80年代、東京。青春というテーマのもとに、誰もが共感しえ、そして共感したくなるなにかを、奥田氏の感性を通して淡々とたどっていく。楽しく、切なく、あまずっぱい1冊。 全編にわたり、1978年‾89年という久雄の11年間が描かれているのだが、本の中では1短編は主人公の各時代を象徴する「ある1日」の出来事のみを扱っており、全6編(都合6日分)を読めば、久雄の成長から当時の時代背景に至るまでを共感しながら知りえる。この構造が非常によく出来ており、読ませる。 | ||||
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80年代の時代を背景に、名古屋から上京した田村久雄の20代を描く連作短編集。他の作品同様「笑い」「しみじみ」「泣かせ」のツボを押さえた作品である。作者自身は岐阜県の出身であるが、その後のコピーライター、雑誌編集者という職歴をみると、半自伝的な部分はあるのかもしれない。作者の作品は、「最悪」「邪魔」の路線と、「マドンナ」「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」に代表される路線に大別されると思うが、本作品集は、後者のカテゴリーに入る。 | ||||
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大都会に自ら飛び込んでいった主人公が、けものみちを行くがごとくの中で、無意識に取捨選択していったときに見えてきたもの。その芯なるものを、露悪的に、スカトロジックやノスタルジックで、照れ隠しのように、蔦で覆うがごとく隠しているようであるが、読む側に、そこはかとなく伝わってきて、実は、とても品位のある本だった。なかなかの骨太小説である。 | ||||
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地方から東京に出たことのある人ならこんな感覚わかるでしょう。読んだとき、そのときの感覚が湧き上がってきて、一人恥ずかしくなって身悶えてしまいました。そうです、なんかわからないけど未熟な自尊心といってしまえばそれまでですが、かっこわるいカッコツケをしてたなー。後半は就職して30を迎えるまでの物語となっています。しかし秀逸なのは前半です。青春物を愛する人は必読です。 | ||||
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文庫新刊の本作を早速読んでみたがこんなに人を描くのがユニークな存在だったか?と。「最悪」でも町工場社長の憂鬱を、「邪魔」でも主婦の細かい心情の移り変わりを書いてきたがそれこそ本当に一変している。というより、改めてその器用さを発揮した、そういう感じかも知れない。 主人公は田村久雄。大学中退でコピーライターに。80年代を東京で生きてきた中で彼がみたもの、感じたものは。文庫解説にある主人公≒奥田英朗でなく≠なのだという誤読を誘う要因とその理由は?そこから何を感じ取っただろう。個人的には感慨無量の連作短編集だと思う。全部読ませて初めて別の読後感を誘う連作という要素を上手についている。 本作は時制はばらばらだが1978年~1989年の話でその時の社会と照らし合わせながら書いている。だからこそ余韻を誘うのか、それは作家が上手いのか。作家と似ているからと言って上に書いたようにあくまでもイコールじゃないんだな。 最後のベルリンの壁崩壊も含めて話は始まりだったり終わりだったりすることが多い。どちらからも得る物は多いと思う。激しくも速く移り変わりゆく時代を生きてきた中で久雄が得てきたもの。 文庫解説で「川の深さは」の解説も書いていた豊崎由美は“小説において過去を活写するというこころみは、読み手に現状を寄り深く認識させるという意味でも有意義なんである”と述べている。更には大きな主題より、細部の積み重ね。魅力のある一行が小説には求められる、と。多分、色んな人にもたらしてくれるものがこれにはある。感じ方は別だとしてもあー、っとさせられる文章が詰まったもの。思い入れが残るものだ。それは時代を書いてきたからでもあるだろうが作家の上手下手で変わる。だから奥田英朗というのは希有な作家なんだと俺自身認識した。いい読み物をありがとう。 | ||||
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奥田氏と私は、誤差範囲でしか年が違わないということもあって、この作品の80年代の空気が、読み始めて一気に押しよせてきました。どこかくすぐったいような、照れくさいような、ちょっと目が泳いでしまうような気持ちにさせられました。男子と女子の違いはあるのですが、同時代を同じような物を見、聞いてすごしたのか、と思うと奥田氏に親近感を覚えました。親元を離れて、学生下宿で始めた一人暮らし。楽しいことも寂しいこともあったし、テレビを部屋に持っている者は稀だったし、ケータイもメールもなかった時代の青春かあ・・・・・・と、感慨しばし。私は東京ではない都市に出たけれど、流行りとしての東京のあれこれは、雑誌などで、キャッチしていたなあ。貧乏学生としては、流行りに乗ることはできなかったけれど。途中で大学をやめて、懸命に働いてきた奥田氏の、作家としての立つまでの芯の部分が、ここにはあると思いました。上司やクライアントの年上の人から、叱られたり文句ばかり言われたりしている日常の中で、ふと彼らが見せる気遣いや諭すような物言いが、全く、そう、私が育ってきた時代の、大人たちの物の言い方そのもので、リアルでした。ちょっと気恥ずかしいような気持ちにさせられながら読了しました。 | ||||
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奥田氏は1959年生まれ。私はその3年後に生まれ、81年に東京の大学に進学し、独り暮らしを始めた。同時代を生きた人たちにとっては、まるで20数年前にタイムスリップしたかのように、甘酸っぱい気持ちを思い起こさせてくれる一冊。思い出のスナップ写真といっしょに、自分の子どもが18歳になるころにもう一度、読み返してみようと思う。 | ||||
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この作品を一言で表現するとするならば、「みずみずしい」という言葉になるのではないだろうか。80年代の若者の、等身大の姿がイキイキと描かれ、青春時代の甘酸っぱさやほろ苦さが色鮮やかに蘇ってくる。プランナー、コピーライターを経た作者自身の体験だろうか、仕事の場面でのディテールがしっかりしている。さらに登場人物同士の小気味いい掛け合いが絶品で、先へ先へとテンポ良くページをめくらせる。とにかくおもしろい。お薦めの作品である。 | ||||
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『あの日、聴いた歌』は大学を辞め広告会社に入社した頃ジョンレノンが死んだ、『春本番』は浪人して上京した日キャンディーズが解散した、『レモン』は大学1年生演劇部時代、『名古屋オリンピック』は入社2年目でちょっと天狗になっていた頃、『彼女のハイヒール』は同郷の洋子とお見合いをした時、『バチュラー・パーティー』は友人達と3人で事務所を持ったバブル時代ベルリンの壁が崩壊した。どれもこれも青春時代のキュンとなる思い出、永倉萬治的世界に独特のパニック的ドライブ感がミックスされて大変面白かった | ||||
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