■スポンサードリンク
迷路館の殺人
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
迷路館の殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
こういうミステリー小説には、出会い方(読む順番)があり、その幸不幸もある。 『迷路館の殺人』を読むためには、著者の第1作『十角館の殺人』と『水車館の殺人』は読んで おいた方がいい。読まなくても楽しくことはできるが、読んでおくと理解がスムース。それと著者の 師匠筋にあたる島田荘司の『占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)』も読んでおいた方がいい。 主人公の島田潔との指名の類似や、女性の怨念など、『占星術』の存在を想定して、これは書かれて いるように思えるから。それと東野圭吾の『ある閉ざされた雪の山荘で』も。建築図面に隠された トリックや、最後に二転三転していく構成は、この2つの小説の親近性を示している。 著者はデビュー作『十角館の殺人』で、日本ミステリー史上に残る傑作をものした。これはほぼ 完璧な作品で、そのトリックになんの予備知識もなくダイレクトにぶつかれた読者は幸福だ。 その後、『水車館』を書くが、これが江戸川乱歩的なダークファンタジー性はあるものの、 謎解き部分で破綻していた。 この手のミステリー小説は、謎解き部分も重要になるが、地の文章のテイスト、水準も気にかかる。 どうしても読む気にならない文章というものもある。その点、東野圭吾作品は、直木賞も受賞した だけあって、リーダビリティーが高い。綾辻作品もその点はクリアしている。 しかし『水車館』と『迷路館』には、トリック部分で納得できないところがあった(『十角館』と 『時計館』にその不満はなかった)。『占星術殺人事件』などはその最たるものだが、”トリックを 描くための小説”になっていて、ミステリーの「本格」ではあっても、「小説としての本格性」に乏しい。 それと犯人の”動機”が書き込まれていないので、事件に深みがなくなっている。 『迷路館』の内容は、「建築家・中村青司」設計の建物で、猟奇的な連続殺人が起きていくというもの。 だが、著者の意図は、むごたらしい殺人事件謎解きの先に、叙述トリックの嵐というような二重三重の 仕掛けを施すことにある(この辺の畳み掛けが、東野の『ある閉ざされた』に近い)。 読み終わった時点では、コミカルで明るい終わり方なので、よくできたエンターテイメント映画を 見終わった時のような爽快さ(騙された快感)があるが、時間経過とともに、これはどうもグレイで、 もしかするとブラックなダメ作品に近いのではないかと思えてくる。 ミステリー小説を書く上で守らなくてはならない基本として、「ヴァン・ダインの二十則」があるが、 それでは、”事件の謎を解く手がかりは、全て明白に記述されていなくてはならない”とあるし、それに 先立って書かれた「ノックスの十戒」では、”探偵は、読者に提示していない手がかりによって解決 してはならない”とされている。 *以下、内容や、ミステリーの核心部分に触れています。 著者は、冒頭から読者をミスリードする。この本の設定では、島田という人物が、自分に送られてきた 本『迷路館の殺人』を読む。そこから物語が始まる。読者は、この島田という人物が、後で出てくる 島田潔だと思って読み進めるが、実はその兄の方というのが、作品を形成する最も大きな枠になっている。 それを作者は、記述の表現上で「島田は」とすることで、苗字の後ろに2人の人物を重ね合わせ、 後にそのすり替えを行なっていく。 残念なのは、全体の鍵となる要素、真犯人の性別について。実際は女性なのに、その氏名を「鮫島智生」 とすることで、男性性を強めている。智実とかにしていれば、まだ灰色にはなったが、智生ではほぼ 完全に男性。 また『迷路館』では、各部屋に大きな鏡(姿見)があり、それが秘密の通路につながる扉になっている というのが最大の謎解きなのだが、部屋にそんなものがあるとは1行も書かれていない。”中村青司の 設計だから、どこかに秘密の通路があるかもしれない”というフレーズは何度か出てくるが、その ほのめかし程度にとどまっている。これではこの小説への信頼度は高くならないし、作家に対する 不信にもつながっていく。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ある一点を突破できれば全て理詰めで正しく答えに辿り着けること、また明示的な作中作から知る過去の事件の顛末という設計などを始め、(ネタバレ防止で名前は伏せるが)同シリーズの某後続作品と構造が似ている。ただそちらは割と洗練されている一方で、こちらは荒削りでダイナミックなカラクリを仕掛けている。 作中作の方は読者が自力で解けるよう、ヒントがエサのように撒かれている。やたらと地の文に現れるオブジェクトは自然に頭に残るし、館の迷路の方もそれほど大きくなく、地味に無駄の少ない作りになっているので、眺めていて自然に勘繰りが働くものである。作中作で予想を当てさせて読者の溜飲を下げたところで続けてエピローグを読むよう意図してるのだろう。 その非常に重点が置かれたエピローグだが、賛否が分かれるのは仕方のないことだろう。人によっては作中作で下がった溜飲が胃の底から噴火して終わるかもしれない。自分としては犯人が外道すぎて受け入れ難い。エピローグで却って理解不能になった。犠牲者に対して何のフォローもないし、特に犯人が自分の親族に関して巡らした(と島田が推測する)思案には心底不愉快になった。復讐対象も大概だが、犯人はそれ以上の大概である。ここまで人命をどうとも思わぬ狂人をピンポイントで挑発するような作品を出す鹿谷門実も、また何を考えてるのかと言いたくなる。自分が消されるリスクはないと見たのだろうか。 また作品の構造としても、エピローグで判明する事実が作中作のトリックにあまり影響を与えないのが微妙と感じた。事件の全体像が変わるのは事実であり、十角館と同種のカタルシスを覚える人もいるのだろうが、自分の解いた謎は概ね正解で、犯人がより外道になっただけというのはどうにも後味悪さが残った。最初に触れた似た構造の某後続作は、突破すべき一点の先に作中作の謎を据えていたところが鮮やかに感じたものだった。迷路館は、突破すべき一点と犯人のとった行動が僅かしか対応してないのである。 とはいえ十角館の奇抜さと水車館の硬派さ両方の持ち味を継いでおり、メタ構造を活かす著者の試みは大変面白い。シリーズ愛読者は間違いなく読むべきだと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
平日はミステリーに限る。 十角館でハマった作者の作品ということで。体感は短かった。軽くてまあまあ楽しめました | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作中作の設定と、それを活かした装丁が面白い。本編は勘の鈍い私でもおおよそ推理が当たっていてあっさり終わり。しかしエピローグで真相が明らかになるという凝った仕掛け。 …ですが「そうか!」というよりは「うーん…」という気持ち。凝りすぎて逆効果になってしまった印象。動機も本編を含めて「そんなんかい?」という感じ。 いっそ本編ですべて終わりになるような展開にしてほしかったです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
館シリーズ2作目。ハラハラさせられておもしろかった。 さすがに十角館の殺人の衝撃には勝てないし、反則くさい技を使われたりしたけども、 途中のドキドキ感や最後に2重にだまされたりして、よかった。 他の館館シリーズも読んでみたいと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「十角館の殺人」が面白かったので特に順番を気にせず同じ館シリーズというだけで購入。シリーズでは3作目に当たるようで。 有名作家の自殺を皮切りに、地下迷路のような内装になっている館が本作の連続殺人事件の舞台。一応一部のトリックに噛んでくるこの内装なのですが、欲を言えば一部だけと言わずもっとその舞台を効果的に活かしたミステリーが読みたかった。 中だるみを感じさせず畳み掛けるように事件は起こるので退屈はしませんが、ミステリーとしてはどうなんだろう。前置きやフォローがあるとはいえ、密室トリックとしては重大な反則技を使っているような…。「推理小説じゃあるまいし現実に起こってることに反則とかないから(意訳)」的なセリフが作中にありますが、いやいや、それを言っちゃう?それがありならなんでもありにならない?とモヤモヤし、密室に関するあれこれに対しては最後まで納得いきませんでした。 それを除けばこまごまとしたトリックはよく凝っていて面白いです。文章もサクサクと読みやすい。「迷路館の殺人」自体が作中作になっているのも面白い演出ですね。 そしておそらく本作の目玉はエピローグだと思うのですが、個人的にこれはない方がよかったかな。ここで真相が明かされるわけですがなんだかミステリーとしては蛇足なような気がします。複雑すぎ、無理やりすぎ、読者の裏をかこうとしすぎて十角館に比べかなりアンフェア寄りのどんでん返しになってしまってます。この真相に辿り着くために必要な情報が圧倒的に少ない。これはミステリーとしてちょっとずるいです。 良い点悪い点差し引き☆3。ミステリーとしては正直どうかと思いますが、ミステリー小説ではなくエンタメ小説として読むならそこそこ楽しめますよ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
全体の評価としては微妙。 綾辻さんとしては勝負どころは最後のエピローグなんでしょうが 正直、そこまでが長すぎて事件解決したあとに語られても…って気がしました。 全体として先が読めちゃうのは、似たような作品がいっぱいある今だからなんでしょうか。 とにかく、なんだかなーという感じです。 驚愕のラストっていうか、これは後付って気がします。 先が読めるといったけど、このラストは読めませんでした。 でも驚きよりも、「は?」と思ってしまう率の方が高かったかな。 多分新人がやったら怒られる書き方だと思います。 あと、十角館の殺人を読んだ時も思いましたが とにかくキャラが弱い。 全体的にあんまり書き分けが出来てないので キャラが記号になってるだけなのが残念です。 パズラーとしての作品でもキャラは重要だと思います。 トリックがキモの作者でこういうトリックだと 魅力がないと言われても仕方ない気がします…。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
選りすぐりの推理小説家や評論家が何人も集まってんのに、なぜあんな簡単なトリックに気がつかないのか?不自然なところがありまくり。 なぜ○○氏の○○をよく確認しなかったのか。 確認されたらどうするつもりだったのか。なぜ部屋の○が○○○○だとピンとくる人がいないのか。 なぜ○○はあらかじめ用意されたものだと○○○○○を拾うまで誰も気づかないのか。 なぜあんな簡単なダイイングメッセージがすぐに解けないのか。 「彼の性格からして○○の部屋には寄らないだろう」って、 むしろ彼の性格なら寄るのではないか。 元医師といっても耳鼻咽喉科なのになぜあんなに無理をさせるのか。夫婦でしかも奥さん身重なのになぜ部屋が別々なのか。 宇多山の視点で書く必要はあったのか。最初は主人公かと思ったけど何にも活躍してないよね。奥さんのほうが存在感があったり。あと、 他の方も書いてますが、最後のほうのあの描写は現実にはまずありえません。男性にはわからないと思いますが、女性が読んだら99%の方が「ないわー(笑)いかにも男が書いた小説だわー」って思うと思います。女性の編集者のチェックはなかったのでしょうか 。 クローズドサークルものが好きなので期待していましたが、最初のほうからトリックや犯人が見え見えで正直つまらなかったです。島田のキャラクターはまずまず好きなので、それだけで最後まで読んでみようと思いました。 最後のどんでん返しみたいなところがあったのは良かった。が、「いや、○○は男女とも使う○○か?」とか「あんな風にはっきりと描写しといて"どっちにもとれる"って、それはアリなのか?」とモヤモヤしました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
"新本格"ファンを自認する人ではなく、これより前の作品を読んでいない人は、やめておいた方が良い気がする。ま、たとえ読んでいたとしても「そこまで求めるか?」と言いたくなる作品だと思う。 まず、この小説に関する感想は書きづらい。何かを書けば、即ネタバレにつながりかねないからだ。 しかし一番に思ったのは「叙述トリックも、やりすぎるとペテンになる」という事。 叙述トリックは元々読者を騙すペテンの要素を持っていると思う。しかしここ一番で効かせれば、心地よい騙しとして響くものだ。しかしこの作品には、その心地よさがない。嫌な言い方をすれば、詐欺が後で被害者や捜査当局に追求されないよう、巧みに作成した契約書のようなイメージを持ってしまう。 特にプロローグとエピローグに関しては、読者、特に前シリーズを読んでいない読者に十分な情報を与えない前提で書かれていて、とても納得が出来るものではない。 たとえば、シマウマしか縞のある動物を知らない者に「体に縞のある動物は何だ?」とクイズを出し、答えは虎と言うようなものに近いと思う。 読者が十分に気づく余地があるのに、気づかせない所が叙述トリックの「腕前」なのではないか。ショートショートならば、それでもいいのかもしれないが、延々と読まされた挙げ句にこれでは爽快感のかけらもない。 では以下、具体的に。 ○ 館シリーズおなじみとはいえ、「"アレ"と"アレ"があれば、何でもアリか?」と思わせる。 ○ 十角館、水車館に続き、真犯人が大量殺人をする動機が弱い。 ○ 犯人と思われていた人物が、なぜ真犯人の思惑通りに動いたのか、起きている事を理解しなかったのかが明確には描かれていない。確かに一連の流れや設定からすると、そうならなかった事も理解出来なくはないのだが、ある意味一番の肝なので、しっかり描いて欲しかった。その犯人と思われていた人物の性格からすると、途中で気づくチャンスはあったと思われるのだから。 ○ ラストは精神的に納得のいく人といかない人が出ると思う。十角館では、真の解決を示唆するような最後であったが、こちらはそれすら無いに等しい。別にメデタシ、メデタシで終わる必要はないのだけれど、真犯人の動機、被害者達の殺された理由などを考えると、私としては疑問符がつく。 以上、前述したようにあまり書くとネタバレになってしまうので、ここら辺でやめておく。最後まで読ませる文章力は流石なので、☆三つ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
館シリーズ3作目。 作中作という試みは、面白かったと思います。 でも、「鹿屋 門美」が誰かというトリックは・・・ う〜ん。あまり好きではありません。そこまでして騙す必要があるのかと。 犯人について、大きなどんでん返しがあるのだから、そこまでやるとちょっとくどいのでは?と感じてしまいました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
事件そのものはなかなかでした。ただ、作中作以外のアノ人物…館シリーズを読んだことのある人にはバレバレじゃないでしょうか?あの部分はいらなかったと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この話に関する予備知識を持たずに読み始めたら、衝撃度はけっこうなものだと思います。ただ、あの名探偵が今回も登場し、これまで同様曰く付きの館が舞台となるので、前作まで読んでおく事を強くおすすめします。内容はといえば、作中作である事が今回の大きな特徴となっています。かなり凝ってます。読後は、いささか食傷気味になってしまう程の凝り様です。でも内容が濃いので、久しぶりに読み返してみても楽しめました。そして問題のどんでん返し。確かにウソは書かれていません。・・・いませんが、どうもスッキリしない印象を持ちました。言ってしまえば「ずるい」というか。けれどこれは、人によるかもしれません。まんまと罠にはまり、真相が示された時には嬉しい衝撃を食らう人もいると思います。何にせよ、綾辻さんの筆致にはいつも感嘆させられます。読み始めて数行で、重厚かつミステリアスな世界へするりと引き込まれていきます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
綾辻行人氏の館シリーズ第三弾。 相変わらずクラシカルな雰囲気で、いかにもといった舞台が整えられています。 この作品には全く同じタイトルの作中作があって、その中で殺人事件が起こっていきます。 シリーズ三作目ともなるともうおなじみの事柄が増えてきて、読者を驚かせるのも一苦労だと思うのですが、今回は逆にそれを上手く利用しています。最後の一ひねりには驚かされました。 この館シリーズはそれぞれ違ったタイプのトリックが使われていて、本格ミステリーを読む上でのお手本、教科書のようになっている感じがします。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本を開くと本が出てくるというネバーエンディングストーリーみたいな仕掛けの小説(たとえになっていないが)今回の建物はいくら何でもむちゃくちゃのような気がするが凝った仕掛けには凝った建物でという意気込みが伝わります | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!