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禍根
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禍根の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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とても良い状態の本でした | ||||
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初めからずっと読んでいます 現実的な世界の変化もあり面白い | ||||
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いやはや。何年ぶりにこのシリーズを手に取ったことになるのだろうか。前作『烙印』が2018年刊行だから5年ぶりの続編シリーズ第25作ということになる。1992年に肝入りで発売された『検屍官』を手に取って以来実に32年目となる。長期シリーズは多いとは言えども、ここまで長いおつきあいとなるシリーズは滅多にない。かつてエド・マクベインの87分署シリーズやロバート・B・パーカーのスペンサーなどロング・シリーズを読破してきた経緯いはあるものの、現在まで続いている20作以上のロングシリーズはもうほとんどない。 なおかつそんなに気を入れて愛読しているわけでもなく、残念ながらすごく好きなシリーズであるとも言えない。本書を読み始めて、すぐに思い出した。相変わらず時間進行の遅さにじれったさを感じる。事件そのものより事件にとりかかる主人公の検屍官ケイ・スカーペッタによる一人称叙述のディテールが細かすぎて、リズミカルには程遠い神経質と言えるくらいのこの叙述が、ぼくには相変わらずとても苦手なのだ。ハーラン・コーベンみたいなジャズを思わせる読み易く簡潔な文体に慣れ切っている最近は富みに。 何しろ上下巻に分かれた本作の上巻を読み終えても未だ事件発生の一日目が終わっていないのである。こんな小説って他にありますか? ドン・ウィンズロウだったらこのくらいページを進めれば、もう3年くらい経過しているような気がする。重要な登場人物が20人くらい死んで、既に町が一つ破壊され終わっているんじゃないかと思う。でもここでは変死体が一つ。それを捜査に出かけるだけで、100ページは軽く費やす。なかなか事件現場に行き着かない。では何が書かれているのかと言うと、ヒロイン、ケイ・スカーペッタの職場や家族の現状である。どちらもなかなか複雑でデリケートで深淵なものとしてストーリーそのものよりも重要視されているかに見える。でもこれが今に始まったことではなく、本シリーズの特徴なのだとぼくは久々にこの作家の語り口を思い出す。 いつも人間関係で思い悩んでいるスカーペッタという主人公だが、良い味方にも恵まれている。恵まれすぎだろうと思われるくらい十分に。お馴染みの元刑事ピート・マリーノ。コンピューターもヘリも操りこなす超・天才な姪ルーシー。そしてスタイリッシュでクールで完璧すぎる夫ベントン。しかしケイ・スカーペッタの所属する検屍局という組織にはいつも誰かしら問題児がいて、ケイの心を逆撫でする。本作もそれは例外ではなく、いやそればかりかこちらがメイン・ストーリーではないかと思われるくらいに、嫌なキャラが数人いて、ケイや読者である我々の事件に対する好奇心を阻害し、逆撫でする。 さらにメイン・ストーリーにサンドイッチされたような宇宙での事件までが今回はエピソード的に登場する。有人人工衛星内で起こった殺人事件。無重力の世界に漂う死体が二つ。逃亡した宇宙飛行士。何故この事件が挿入されているのかわからないが、タイトルのAUTOPSY(『検屍』の意)は、現在ケイたちが巻き込まれている本事件とは別の通信機器を使った宇宙空間での検屍シーンが印象的である。個人的な感覚かもしれないが、この辺りが実は一番面白いところで、読書スピードが加速したのだが、メインストーリーの邪魔になっている気がする。 というよりメインストーリーを様々な要素が邪魔する小説作り、といった方が適切かもしれない。人間関係小説みたいに嫌なキャラクターが複数登場。捜査のノイズになるばかりか、こちらがメインストーリーに置き換わっている気もする。こうした複雑な人間関係はシリーズ中、相手は変わってもずっとあるものなので、これを含めてケイ・スカーペッタというヒロイン・シリーズの個性だと考えてしまった方が読むストレスは減少すると思う。 過剰なほどのディテールの積み重ねによって進行の遅いストーリー展開、さらに挿入される宇宙規模の派手な事件、メインの事件の呆気なさ、など小説作品としての全体のバランスが気にならないわけがないのだが、それでもリーダビリティの抜群さゆえに、デビュー作以降全作品を四半世紀にも及んで読まされてしまっているのが実情である。また三年後くらいに続編を読むことになるのだろう。そう思いながら巻を閉じました。 | ||||
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いやはや。何年ぶりにこのシリーズを手に取ったことになるのだろうか。前作『烙印』が2018年刊行だから5年ぶりの続編シリーズ第25作ということになる。1992年に肝入りで発売された『検屍官』を手に取って以来実に32年目となる。長期シリーズは多いとは言えども、ここまで長いおつきあいとなるシリーズは滅多にない。かつてエド・マクベインの87分署シリーズやロバート・B・パーカーのスペンサーなどロング・シリーズを読破してきた経緯いはあるものの、現在まで続いている20作以上のロングシリーズはもうほとんどない。 なおかつそんなに気を入れて愛読しているわけでもなく、残念ながらすごく好きなシリーズであるとも言えない。本書を読み始めて、すぐに思い出した。相変わらず時間進行の遅さにじれったさを感じる。事件そのものより事件にとりかかる主人公の検屍官ケイ・スカーペッタによる一人称叙述のディテールが細かすぎて、リズミカルには程遠い神経質と言えるくらいのこの叙述が、ぼくには相変わらずとても苦手なのだ。ハーラン・コーベンみたいなジャズを思わせる読み易く簡潔な文体に慣れ切っている最近は富みに。 何しろ上下巻に分かれた本作の上巻を読み終えても未だ事件発生の一日目が終わっていないのである。こんな小説って他にありますか? ドン・ウィンズロウだったらこのくらいページを進めれば、もう3年くらい経過しているような気がする。重要な登場人物が20人くらい死んで、既に町が一つ破壊され終わっているんじゃないかと思う。でもここでは変死体が一つ。それを捜査に出かけるだけで、100ページは軽く費やす。なかなか事件現場に行き着かない。では何が書かれているのかと言うと、ヒロイン、ケイ・スカーペッタの職場や家族の現状である。どちらもなかなか複雑でデリケートで深淵なものとしてストーリーそのものよりも重要視されているかに見える。でもこれが今に始まったことではなく、本シリーズの特徴なのだとぼくは久々にこの作家の語り口を思い出す。 いつも人間関係で思い悩んでいるスカーペッタという主人公だが、良い味方にも恵まれている。恵まれすぎだろうと思われるくらい十分に。お馴染みの元刑事ピート・マリーノ。コンピューターもヘリも操りこなす超・天才な姪ルーシー。そしてスタイリッシュでクールで完璧すぎる夫ベントン。しかしケイ・スカーペッタの所属する検屍局という組織にはいつも誰かしら問題児がいて、ケイの心を逆撫でする。本作もそれは例外ではなく、いやそればかりかこちらがメイン・ストーリーではないかと思われるくらいに、嫌なキャラが数人いて、ケイや読者である我々の事件に対する好奇心を阻害し、逆撫でする。 さらにメイン・ストーリーにサンドイッチされたような宇宙での事件までが今回はエピソード的に登場する。有人人工衛星内で起こった殺人事件。無重力の世界に漂う死体が二つ。逃亡した宇宙飛行士。何故この事件が挿入されているのかわからないが、タイトルのAUTOPSY(『検屍』の意)は、現在ケイたちが巻き込まれている本事件とは別の通信機器を使った宇宙空間での検屍シーンが印象的である。個人的な感覚かもしれないが、この辺りが実は一番面白いところで、読書スピードが加速したのだが、メインストーリーの邪魔になっている気がする。 というよりメインストーリーを様々な要素が邪魔する小説作り、といった方が適切かもしれない。人間関係小説みたいに嫌なキャラクターが複数登場。捜査のノイズになるばかりか、こちらがメインストーリーに置き換わっている気もする。こうした複雑な人間関係はシリーズ中、相手は変わってもずっとあるものなので、これを含めてケイ・スカーペッタというヒロイン・シリーズの個性だと考えてしまった方が読むストレスは減少すると思う。 過剰なほどのディテールの積み重ねによって進行の遅いストーリー展開、さらに挿入される宇宙規模の派手な事件、メインの事件の呆気なさ、など小説作品としての全体のバランスが気にならないわけがないのだが、それでもリーダビリティの抜群さゆえに、デビュー作以降全作品を四半世紀にも及んで読まされてしまっているのが実情である。また三年後くらいに続編を読むことになるのだろう。そう思いながら巻を閉じました。 | ||||
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