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ワトスンの選択
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ワトスンの選択の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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黄金時代の英国ミステリー界を代表する巨匠ミッチェル女史の1955年発表の中期代表作の翻訳刊行です。最初に女史の創造した名探偵の心理学者ミセス・ブラッドリーの魅力は、オカルト趣味や女装趣味や残酷さ奇抜さといった当時の上流階級が思わず眉をひそめるような嫌らしさにあるといわれておりますが、残念ながら本書には前述の要素が皆無で、極めてオーソドックスでまともに過ぎる印象を持ちました。その理由は本書のテーマが「シャーロック・ホームズ生誕百周年記念」という健全で穏やかな物である事が影響しているのでしょう。冒頭で富豪のブーン卿が仮装パーティーを開催し、親類縁者を招いてホームズの手掛り探しの余興等を交えて愉快に時が流れますが、途中で予定にないバスカヴィル家の犬が登場するハプニングもあり、何やら不穏な空気が醸成されて来ます。そして何かが起こりそうな緊迫感を孕みつつ、中盤で遂に殺人事件が発生します。 強いて不気味な所を探せば、危険を承知していながらミセス・ブラッドリーが殺人が起きるまで積極的に動こうとしない態度や、死体が発見された章ですぐに犯人の正体を突き止めたと宣言するが以後は終章まで明かそうとしない所です。本書で面白いのは、ミセス・ブラッドリーの秘書のローラが楽しみながら素人探偵として調査聞き込みをする内に、本筋に直接関係してもしなくても、人それぞれの性格や秘密が次第に浮かび上がって来る所でしょう。推理自体は細かい事にはこだわらず、えいやっ!と力技で一本取るような豪快な代物ではあります。一向に答を出せない警察を尻目に簡単に犯人を指摘する姿は小気味良いですが、何故かミセス・Bがブーン邸を訪れた時に都合良く犯人が馬脚をあらわすのはちょっと不自然ではあります。めでたしめでたしで幸福に幕を閉じるのも結構ではあるのですが、次の機会には著者の本領である‘無秩序で、えげつない傑作’を読みたいと望みます。 | ||||
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