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逃亡者
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逃亡者の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.32pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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ウィキペディアで調べたら、面白いなぁ。昔の音色を色々想像する時間が、この本のおかげできて楽しい一日でした。 戦争にて失ひし命 時間 トランペットの高く貴い命の響きよ | ||||
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かつてのキリシタン弾圧と現在の外国人ヘイト、第二次大戦下の総動員体制と現在の政治状況、大戦中の国柱会と現在の某団体、などなど、日本の過去と現在の様々なことがらを重ね合わせた本作。伝説のトランペット奏者である「鈴木」を通して描く南方戦線の破滅に将来の日本人を、やたら各所で不自然に強調される「吠える犬」に社会に危機が迫っているという警鐘が象徴されているのだろう。 僕は主人公たちが代弁する作家の政治意識について特にアレルギー反応を起こす者ではないが、星付けが渋い理由は単純に小説としてのデキが不満だからである。まず、主人公の命を追いつめ、もて遊ぶ謎の男「B」の存在が観念的で効いていない。また、ヒロインとのラブストーリーも深みがなくて、下手なラブレターを読まされているような気分だ。 また、織豊期および徳川初期におけるキリシタン宣教師達が担っていた武器取引や諜報活動については歴史研究がかなり進んでいて、明や日本の植民地支配のための尖兵としての役割を担っていたことが分かっている。高山右近などは領地である高槻の寺社仏閣を打ち壊すなどの宗教弾圧も行っており、往時の日本でキリシタンが一方的に迫害されていた訳ではないので、この作品のプロットは個人的に少し違和感があった。 最も気になった点としては、登場人物達の台詞や手紙の多くは作家の考えの代弁で構成されているのだが、エッセイのような長文の日本語は、会話や手紙としてはかなり不自然である。そう。社会派エッセイを無理やり小説に仕立て直したような一冊になってしまっているのだ。 以上のような欠点が目に付いて、中々読み進みにくい作品ではあったが、リベラル派の言論人として名の売れた主人公(小説家)が人々から攻撃される前半は、多分、作家自身のことを描いているのではないかと想像させられる。このパートの不快感とリアリティから作家の漲る覚悟だけは伝わってきたが、「書かなくてはならないことは書く」という作家の信念については、僕は認めたい。 | ||||
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前半は読者を惑わせながらも引き付ける著者ならではの力量を感じさせる内容。 ただ読み進めていっても、登場人物達の立ち位置がイマイチだし、肝心のトランペットの役割が響かない。 エピソード要素が多すぎて、バラバラすぎて、結果的にどれもうまく本筋にハマっていない。 もう少し絞って展開してあれば、読者も置いてきぼりにならないのに。 現代社会の危険性へのメッセージを伝えたいんだろうなとは感じるが、ストーリーとしてはもうひとつ。 大作ではあるけど、無駄な展開を絞って中身が濃いほうが良かった。 | ||||
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超大作であることは間違いない。キリスト教徒の弾圧や従軍慰安婦問題など、歴史的事実が詳しく織り込まれていて、トランペットをバトンに話が展開していく。黒服から逃げていく作者がどうなるのかワクワクして読み進めていくのだが、頭の弱い自分には難しかった。ただ、戦争の悲惨さや宗教の信じる人達の強さなどは伝わってきた。 | ||||
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伝説のトランペット“ファナティシズム”、謎の黒服の男、ヴェトナム人のキャバ嬢、新興宗教の教祖、「公正世界仮説」、キリシタン、軍楽隊員のフランス語混じりの遺稿、フィリピン密林での消耗戦…。いろいろと期待させる大道具小道具をこれでもかというほど用意しているものの、それらのつながりが不徹底で、紙幅と文章の強度のわりに読後に何も残らない小説だった。突然送られてくる手紙やメール、著者が断片的に綴る原稿、唐突に差し込まれているヴェトナムの歴史、教祖が突然くれたトランペット奏者の手記等が長いト書きのように場面転換に使われている。入れ子構造の小説とだとしても、それぞれの挿入部分の独立性が高すぎて成功していない。とくにトランペット奏者の従軍手記の部分はそこだけでこの作家の筆力を証明する読み応えのあるものだが、この部分だけインパクトがありすぎて浮いてしまっている。著者は戦争の悲惨さや不条理さを書きたかったわけではないだろう。では何が伝えたかったのかというと最後まで不明だった。いくら読み進めても主人公が像を結ばないのだ。読み終わってみて考えるに、その原因はヴェトナム人の恋人の存在だ。彼女はこの小説において何の役割を果たしているのかまったくわからなかった。ドラマや映画だったら「事務所のごり押し?」かと勘繰るところだ。この女性を引き算して書いたなら彼女を登場させるための無理なプロットや不必要な登場人物なども取り除かれて、主人公とトランペットと黒服の男という、この本の基底部にある関係性の上に構築されるストーリーはより堅固で普遍的なものになったように思える。 | ||||
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GWのステイホームで本書を読んだ。読みごたえはあり。でも、なにか物足りない。 隠れキリスタンのくだり、フィリピンでの日本軍の戦いのくだり、は非常に読みごたえがあった。匂いさえ漂ってくるような、臨場感があった。 でも、なにか物足りない。それは、たぶん、服装、髪型、靴、持ち物、声、部屋、音楽、物音、時刻、季節 などの細部の描写に乏しいからではないだろうか。もっと長くてもっと厚い作品になったらよかったのではないだろうか。 | ||||
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この本のストーリーは「聞いたもの熱狂的に駆り立てる楽器をもって逃亡する男の愛の物語。そこに隠れキリシタンの受難や太平洋戦争の南方戦線などの歴史に関わるエピソードがからむ」という感じでしょうか。 タイトルや帯に載ってるあらすじから連想されるような、逃亡のスリルやサスペンスはほとんどないので、それを期待する人にはおすすめしません。 一読して感じるのは著者の危機感です。物語の前半は有り体に言えばネトウヨ批判にページがさかれており、それがストーリーにも絡んできます。この国の右傾にかなり危機感があるようです。とはいえ著者のネトウヨ批判は客観性にかけるように思え「そりゃ偏見でしょう」「陰謀論をさも既成事実のように語られても」と評者は何度か思いました。この部分を読んで頭に来る人が一定数いそうですし、すごい共感する人も一定数いると思います。 (せっかく欧州を舞台にしている箇所があるのに諸外国の右傾についてあまり触れてないのは片手落ちかなとも思います) ですが、現代社会を考える上で独自の視点を提供するという点で本書には価値があると思います。 もっともこの本が小説として面白いかと言われると首肯できません。最初の方に書きましたが、逃亡劇的なスリリングさや面白さにかけ、主人公と敵対する悪役も「カリスマ的悪人」として描写したいようですが、やたら冗長にしゃべっていてリアリティーがなく、人によっては失笑しそうな造形です。恋愛部分も「なんか都合いいなあ」と思うところあります。部分部分読ませるエピソード(キリシタン弾圧下のある人物の受難、あるネトウヨの描写、戦場に行った軍楽隊員の手記)もありますが、それもエンターテイメント読みたい人には単にしんどいだけでしょう。 以上を勘案し、星3にしました。 長文失礼しました。 | ||||
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