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船に乗れ! I 合奏と協奏
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船に乗れ! I 合奏と協奏の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.23pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 21~28 2/2ページ
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高校生のドタバタミュージックライフが展開するのかな?と思って読み始めましたが、冒頭の序文・・・しょぼくれたオッサンが過去を懐かしむ回顧録風・・・を読んで戸惑ってしまいました。そして始まる第一章は主人公サトルの中学卒業までの生い立ちが・・・。 育ちの良さから来る傲慢と根拠のない自信、何の努力もせず、それでも明るい未来を疑わない脳天気な性格。分かりもせずに小難しい本(ニーチェ!)を読みクラシック音楽を聴く。周囲を見下して交わろうとしない、いや交わるすべを知らない可哀相な奴・・・・途中で何度も投げ出そうかと思いました。ろくに勉強もしないくせに、意味もなく「自分は特別」と思い込み、結局、失意の高校生活に突入するが、そこで出会った仲間たちと過す内、素晴らしい音楽と恋の世界を知っていく・・・というのが第一巻のお話。 辛いのは第1章だけで以降最後の第9章までは軽快に展開されていきますのでご安心を。 ラ イトノベル風の軽いものを予想していると、近寄りがたい祖父や表紙にあるドイツ語の書名のように哲学の話が出てきたりと、意外と重厚で「深い」部分もあって引き込まれます。ピアノからチェロに転向し、高校入学後は音楽仲間との交流を重ねて行く様子も丁寧に書き込まれていてGOOD!! 印象的だったのは最後の方で描かれたエピソード。厳格だった祖父が弾いたバッハのオルガン曲、その曲名に隠された孫への「祝福」のエピソード・・・泣かせるお話をサラリと書いていて秀逸です! 音楽が流れる場面の表現は実に細かく具体的で、演奏者だけが知る、評論家もかなわない高度な内容と感じます。クラシック好きな人だったら絶対に楽しめますね。副題の「合奏と協奏」もクライマックスでは意味のある形で表現されていて感心します。ただ、結末では冒頭同様に何やら悲しい未来を予感させる表現が現れます。 これは・・・何だ!??と思いながら・・・続くのですね。(笑) | ||||
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今まで知らなかった芸術人の青春時代を本書は忠実に辿ることができる。快作である。目からウロコが飛び出るくらい魅了されました。素晴らしい出来上がりです。感動しました。 | ||||
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久しぶりに青春期に於ける等身大の物語に出逢えた気がした。幼少期の傲慢ぶりも、初めての恋愛、その胸のときめきと心掻き乱す感情も、自己嫌悪に陥るような挫折感も、誰もが、かってどこかで思い当たる節があるであろう高校時代の心の揺らめきばかりだ。 一人称、自分目線で“自己にとっての真理”が語られる。ニーチェ、サルトル、ゲーテを愛読し、唯我独尊だった思春期の少年。嫌味なヤツだなと読み進めるうち、これって自分じゃないか、と思えてきた(苦笑)。 高校の音楽科が舞台なだけに、専門用語が多数出てくるが、楽器やクラシックをかじってなくても楽しめるし、主人公たちが、ひとつの楽曲を合奏、協奏していく過程に於いての混乱、動揺、焦燥と奮闘、躍動ぶりは、音楽的素養のない者にも、まるで自分たちが当事者としてその場に居合わせているような臨場感と充足感を感じる。 「僕たちの人生の主役は音楽で、音楽の、この絶対的な美しさの前では、僕らの喜びや悲しみ、怒りや苛立ちなんて、ほとんど意味がない」、なんてフレーズを臆面もなく語らせてしまう無垢の尊大さと、夢中に打ち込める対象を持てる純粋さ。せめぎ合いの協奏が、いつしか恋愛表現に転じていく高揚感と幸福感。 そして、僅かながら場面をさらう金窪先生。そうだ、確かに倫社なんてウチの学校でも何もやらなかった。教科書だけ配布されて、何の関心も抱かなかった教科だが、でも、こんなコンセプトで授業を受けられたら、どんなに楽しかった事だろう。 期待を以て、PART2へと進みたい。 | ||||
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「アンダンテ・モッツァレラ・チーズ」の藤谷治が書いた「船に乗れ!」(ジャイブ)がいい。 高校生チェリストが主人公の珠玉の青春音楽小説です。 音楽を愛すること、人を愛すること、裏切ること。人生を生きること。 誰にもあることが深々と描かれている。 書評家の北上次郎も書いていたが、 つまりこれは「僕らの」小説なのだ。 僕はクラシックについてほとんど知識がないけれど、 主人公のもがきや恐れや畏怖はひしひしと伝わってくる。 生きることの多くは悲しくて、失うことばかり。 だけど、やはり美しいのだと読後しみじみ思うことができる。 良い青春小説だ。 | ||||
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幼い日からチェロを引き続けていた主人公の少年が、音楽高校に入る。 そこで出会う、フルート吹きの美少年や、ヴァイオリンを弾く少女など、 音楽を志す仲間でありライバルである同級生たち…そして学内オーケストラ! 青春物に欠かせない、恋、情熱、自意識の高まり、その反動の落ち込みなどなど、 全ての要素が音楽学校というハコに詰め込まれた、なんて贅沢な青春小説! マンガや小説で「音楽」を表現するのって、簡単じゃないはず。 だけど、この小説は、それに成功してると思う。 音楽を演奏する者の心情、理想の音が出た時の喜び、上手い人の 音を聞いた時の感動と動揺、そして愛する人が奏でるメロディに 魂を奪われる感じ… 作中に出てくるさまざまなクラシックの曲が聞いてみたくなってきました。 | ||||
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タイトルからだとどんな話か分かりません。その代わりに表紙が中身を代弁。 「大人」になった主人公が、過去を振り返る形で話は進みます。 舞台は音楽大学の付属高校。ちょっと尖がった主人公(チェロ弾き)と、その 主人公が仄かに憧れる女の子(ヴァイオンリン弾き)との関係を軸に、友人や 学校行事(音楽系の学校らしく、文化祭でオーケストラの演奏会や個々人の発表 会が行われる)を絡めて、話が進んで行きます。 ちょっと尖った主人公の気持ちは良く分かります。自分に自信があると、周り がお馬鹿に見えてくるところなんて、人間一度は抱いた感情では無いかと。 特にこの主人公のようにニーチェとかを中高時代に読んでしまう・・・(笑)。 逆に気になる女の子の気持ちが分からない点もね。 ただ、前述したような色恋の絡む青春小説なのに、女の子の気持ちが分から なくて一喜一憂する、という点が正直弱い。一般小説とコバルト系を比べる (男女が逆転しているところも含め)のがどうか?という問題は有るでしょう が、「想い」の表現としてはちょっと弱いと言わざるを得ません。チェロと想い への間で揺れ動く描写もあるが、やっぱり少し弱い感を受けたのです。 なので、終盤までの評価は星3つだったのですが・・・最後50pの筆運びが 琴線に触れました。 本書の最後では或るイベントが行われます。そこで主人公の祖父が主人公に 寄せる秘めた気持ちが明らかになるところ(それまでは主人公から祖父への視点 のみ)と、主人公と女の子の間の関係に・・・という2か所のまとめ方が良いの です。特に2人の関係はベタな展開と言えば、それまでですが、やっぱりこういう 気持ちは分かるのです。そこを評価して星4つとした次第です。 青春ものが好きな方、クラシックが好きな方、双方にお勧め出来る佳作です。 最後が気になるところで終わっているので、早期刊行が望まれます。 附:冒頭だけ読むと「ノルウェーの森」へのオマージュも含まれているのかとも 思えました。 | ||||
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今、半分ちょいまで読んだところ。続編はネットで連載しているとカバーに書いてあったけど。ネットじゃ見る気がしない。本で、一気に読みたいのだ。 いつもは速読っぽく筋を追ってしまいがちなんですが、これはそうならない。物語の隅々まで意味が感じられる。登場人物のキャラもストーリーもまるでノンフィクションのように生き生きとしている。 乞う、続編! | ||||
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この著者はとても好きなんだけど、なんとなくパロディ、ユーモア、エンターテインメントといっイメージがあった。ストーリーテラーとして「うまい」と思っていた。だけど本書は本格的青春小説だった。『下北沢』よりもさらに。まいった。全部読んでいる訳じゃないのに言うもなんだけど、著者の最高傑作と言い切ってしまいたい。音楽家の一家に育った主人公、中学生にしてニーチェやマルクスを読んで(ページをめくっただけ)孤高感にひたるも実は凡庸。受験に失敗して挫折するところから本筋に入る。音楽科の高校が舞台になっている。ふつうの高校生とは違って友達同士でも音楽の話ばかり。音楽の用語もわんさか出てくるが、わからなくてもまったく読める。結局の所、人との出会いがあり、恋があって、情熱をかたむける何かがある、という青春小説なのであり、音楽小説と考えて身構えて読まないのはもったいない。演奏シーンなんか、ちんぷんかんぷんな音楽用語がたくさん出てくるのに状況が手に取るようにわかり、緊張感や感動が伝わってくるんだからすごい。続きもあるようだが(小出しに何かあることを臭わせている)、本書だけでも完結しているともいえるので、読後はすっきり。鮎川のような女の子の魅力はなんとなくオヤジになってから気づくなーと思った。 | ||||
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