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朱色の化身
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朱色の化身の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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福井県芦原温泉。ここは戦時中の激しい空襲、戦後の震災と大火災と災難が続いた場所である。 ここで生まれ育った女性珠緒。現在失踪していると思われるこの女性の過去を調べることに なったライターの大路亨。彼女は類稀なる優秀な女性で、京都大学を卒業後、大手銀行に総合職で 入行、退職後もゲームクリエーターとして才能を開花させる。だが、取材を重ねるうちに彼女の苦難の 歴史が浮き彫りになってくる。そして、何故彼女の過去を調べなければならなかったのか、という 大路自身の個人史も浮かび上がってくる。珠緒とその母、そして祖母の三代にわたる過酷な過去。 そして、大路の父、祖父母との関係。犯罪も絡んでくるが、これは推理小説でも、刑事小説でもない。 一般論では取り上げられることのない人それぞれの大切な個人史の物語である。事件性を追った 筋書を期待している、私を含めた読者には些か肩すかしの感のあるエンディングではあるが、作者が 追いたかった個人史というテーマからするとこういう終わり方になるのだろう。 | ||||
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予定より早く到着して ありがとうございました。 刑事小説を多く読んでいたので 事件に対する アプローチが新聞記者の目線が読めて面白いです。 | ||||
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どんどん引き込まれて、あっと言う間に読了しました。主人公2人に、それだけ魅力があったのだと思います。 ただ、時間を掛けて思い出すにつれ、主人公の1人には違和感を感じ始めました。 「真実」という章がありますが、ここは「それぞれにとっての真実」というのが、作者の真意かと思いました。 引き込まれて、いろいろ考えさせられただけに、星5個を4個にしたのかもしれません。 | ||||
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登場人物が多く一気読みをお勧めする。一気読みに充分耐え得る。 そして、何度読み返しても昭和中期がいかに混沌として、なんでも起こる時代だったと腑に落ちる。失踪した主人公と同じ世代ゆえ、余計引き込まれた。 | ||||
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よくここまで複雑な人間関係を構築したとは思う。 ただシンプルに小説としては、塩田武士の作品の中では一番面白くなかった。個人的に感情移入できる登場人物がいなかった。 | ||||
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塩田武士の作品はこれまで何作も読みました。毎回違うテーマで書くことのできる筆力の確かさは証明済みです。元神戸新聞社の記者だった塩田武士のマスコミ関係者の描き方の深さが本ストーリーの記者姿のリアリティに結び付いていました。 昭和31年の芦原温泉での大火事を題材の背景として見事に描きながら、主人公を取り巻く人々の半世紀以上の生き方を「取材」を元に浮かび上がらせる手法を使った意欲的な「ミステリ」でした。福井県に親戚がいますので、当時の火事の話や空襲、そして登場人物たちの会話に混じる福井の言葉にリアリティを覚えながら通読しました。 塩田さんのストーリーテラーとしての上手さが光る小説だと思いました。 「雪の音が 誘う雄島 朱の化身」の句の情景描写の良さが本書を引き締めています。ある重要な舞台背景にもなっていますし、雄島が大切な思い出の地になっていました。個人的には複数回訪れた雄島ですので、このような舞台となって再会できるのは嬉しい限りでした。 ただ、苦言を呈しますと、登場人物の多さがネックとなるでしょうね。常に最初の登場人物一覧に戻りながら人間関係を整理する必要があります。また本文には登場しますが、この一覧に書かれていない人も重要な役割を担っていますので、分かりづらさは確かにありました。意欲作であると同時に、一般受けの難しい小説になっていると思っています。 本作品が悪いと言っているのではありませんが、塩田武士はこれまで魅力的なテーマを題材に選んで書き進めてきたわけですが、作家としての筆力が問われている時期かもしれません。これまで力作を数点愛読してきた者ですから、それらに匹敵するような魅力的な作品と再び出会いたいものです。 | ||||
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本の内容は、いきなり昭和31年の芦原温泉街の大火から始まります。 映画を見ているような感じになる描写が素晴らしくどんどん引き込まれる。 一人の失踪した女性を見つけるために様々な人へのインタビューが折り合わ さって小説が綴られます。 ゲーム依存症の凄まじさ、男女雇用機会均等法が制定された後、銀行に入行 したけど、根深く残るジェンダー。 などなど現代の問題も描きながらも、男運のなさすぎる昭和テイスト満載の 女性3代の人生。 登場人物もたくさんいて、途中でしんどくなったけど、時間がいっぱいある ので最後まで読み切りました。 最後のシーンは、ドラマチックな冒頭のシーンとうって代わり、ちょいサスペンス劇場っぽかったけれど、かもめや雪の情景が美しく描かれ好きな場面でした。 この地にしばらくいたせいか、余計に感情移入してしまったかな? 新聞記者出身の塩田さんらしくメディア報道のあり方など含め、色々考えさせらる小説でした。 | ||||
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著者の取材が大規模で綿密なために話にすごいリアリティがあって没入できる。思い描いてた人物像が、読み進めていくうちにどんどん変化していくダイナミックな感じが面白かった。登場人物が多いのは確かにそうだけど、Kindleの本内検索機能使えば問題なし。 | ||||
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「グリコ・森永事件」をモデルにした傑作小説「罪の声」で知られる小説家・塩田武士さんの最新作。 今回の題材となったのは、1956年(昭和31年)に福井県の芦原温泉で起きた大火事。実際の出来事を下地にする手法は「罪の声」と共通するが、その構成は、まったく類例のない斬新なものだった。 序章ではリアルに再現された大火事のシーンが描かれ、続いて「事実」と題した第一部は唐突に証言集となる。頭上に「?」のマークが浮かんだまま読み進めると、後になるほどその仕掛けの意味が分かって来る。 この証言を集めたのは、主人公の元新聞記者でライターの大路享。癌と闘病中の父親に頼まれ、京大卒の元銀行員でゲーム開発に携わった失踪中の才女・辻珠緒を探すことになったのだ。 大路は記者として培った取材力を駆使して辻珠緒の捜索を進める。この女性の輪郭が徐々に浮かび上がる数々の証言集は、大路の取材成果である「事実」の積み重ねだ。 続く第二部は「真実」。ここを読む頃には頭上の「?」は消え去り、この世界に惹き込まれたまま終章を迎えた。 「事実」の先にある「真実」にどう近づいていくか。ジャーナリズムの根源とも言えるテーマに、圧倒的なリアリズムをもったフィクションで切り込んだ手法は圧巻だ。これはガルシア=マルケスとは違った意味での新しい「マジック・リアリズム」と言うべきなのではないだろうか。 玉石混交のネットメディアが乱立し、信頼できるメディアを見抜く力が必要とされるようになった今、この大きなテーマの中に「女性の働き方」「ゲーム依存症」などの各論的なテーマを盛り込んだ精巧さには驚かされる。 ひょっとしたらこの作品の大きなテーマに気がつかない読者にとっては、読みづらいミステリーになってしまうかもしれない。だが、氾濫する情報の中で、生きる私たちは、何を信じて行動すべきなのか。その問いかけに気づけば、この力作の虜となるに違いない。 | ||||
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物語の構成が人への取材がメインのためか、登場人物が多く読み進めていく上ではやや混乱しました。 時代ごとの社会背景や制度、社会問題を取り上げつつ、女性の半生を浮かび上がらせ物語を作り上げていった感じがありました。 ただ、事件を追う訳ではなく推理するものではありませんので、ミステリーとありますがその要素はあまりありません。 | ||||
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昭和、平成、令和と、時代は行きつ戻りつしつつ、人間関係は複雑に絡み合う。 ”化身”とは、”世の人を救うために人の姿となって姿を現した仏”とのこと。 終始ベールに包まれたままのひととのつながりを探っていく。 地道にコツコツと関係人物への聞き込みを繰り返し、事実を積み上げて真相に迫っていく。 登場人物はすさまじく多く、そのシチュエーションも多岐に亘っている。 背負ってきた人生の深さが描かれていく。 まさしく本書は、”人一人がこの世に生まれ落ち、旅立つまでを綴る再現不能の物語”だ。 | ||||
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またえらくたくさんの要素を盛り込んで、かつ、たくさんのミステリーのテクニックを駆使しましたね。 半世紀前の福井大火と、バブル前夜の男女雇用機会均等法にバブル期の銀行、近代のゲーム依存症問題。複雑な親子関係、男女関係に、ヤクザものの介入。そこに殺人事件。 加えて、たくさんの関係者に取材して事態を徐々に明らかにしていく手法、第三者的に取材していた主人公が徐々に当事者になっていく展開、昭和と令和、都会と地方というコントラスト。 これだけたくさんの要素を綻びなく一つのミステリーにまとめ上げる取材力と筆力には舌を巻くしかない。人気作家の渾身作なのでテレビ化や映画化もされるのでしょう。 ただ、盛込みすぎて全てについていけない人も少なからずいるのでは?ゲームに疎い私はゲームのクリエーターや依存症部分に没入できませんでした。 | ||||
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