デルタの羊
- SF (392)
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冒頭のワクワクさせる「アルカディアの翼」の話の魅力に惹かれて読み進めましたが、あのワクワク感が戻ることは無かったです。かろうじて第7章の描写に冒頭のスピード感が戻ってきて読み進める気持ちが戻りましたが、途中の展開はだれてしまい、投げだしそうになったくらいです。 多分、アニメ業界の実像に関心が無かったせいかもしれません。過酷な職場環境は虫プロの創成期から語り継がれてきた話で、新鮮味はありません。「やりがい搾取」の典型的な業界です。若者の夢に支えられて今日まで高い評価を得てきたわけですが、早晩息詰まるのは本書で描かれた通りです。 映像を文章で語る限界が露呈したのかもしれません。読者の脳裏の想像力をかき立てる必要があるテーマですから、筆力の確かさが必要になります。その意味でもテーマに関心のない読者も魅了する展開や文章が今後は必要になるのでしょう。 塩田武士はこれまで魅力的なテーマを題材に選んで書き進めてきたわけですが、作家としての筆力が問われている時期かもしれません。これまで力作を数点愛読してきた者ですから、それらに匹敵するような魅力的な作品と再び出会いたいものです。 | ||||
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前半読みづらいところもありましたが、後半にかけて一気に楽しんで読めました。 | ||||
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既に書いている人もいるがエンタメとして面白い。だが、ポンズの取材から何を学んだのか知らないが、アニメ界の実像を描くという点では失敗している。特に気になるのは1,動画マンの低賃金構造の問題をラブロマンスのネタにしてしまっている。そこでは二重の問題が見られる。日本の現代の階層分化は50年代の労働運動において企業側は男性従業員には職種に関わらず賃金は平等に企業内にて年功序列とするが(これは配置転換自由を意味する)そこからは女性や若者は排除とするという秩序を作り労組は暗黙の裡にこれを黙認した。(それが日本株式会社の基本的秩序と化した)その中では女性は腰掛で一定の年齢でやめて行く存在で男性従業員をつなぎ留める見合い相手と化した。この物語では暗黙裡にこの構造を肯定してしまっている、さらにはこの構造をきっかけとしてバブル破壊後、非正規職の拡大という形で正規雇用の外に大量の外部が作り出されて行ったこと、動画マンの安月給をこの問題の枠内で語ることで動画マンとは女子供の職だと言ってしまっている。(だから低賃金でも仕方がない?) それと中国の問題に丸投げしているが後払い、口約束、賃金の未払いは業界体質そのものじゃないか。 | ||||
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日本のアニメ業界が苦境に立っているのは既知のことですが、そんな中で苦闘する業界人やアニオタ達の群像劇を描いた小説です。 前半は何となく胡散臭い雰囲気があって読み進めるのが辛いんですが、後半になると次第に歯車が噛み合い始め、予想外の展開もあって引き込まれます。現在進行形のコロナ禍の影響も描かれていますが、ちょと中途半端なのが残念かな。 東京から都落ちした主人公達が、次第に息を吹き返して、下町ロケット風に走り始める感触は、良質のアニメに通じるものもあって、上手い構成だと思います。外資に翻弄されるアニメ業界の描写も現実に起こっているのであろうと想像できますので、業界の事情の一端がわかる面もあって良いと思います。 アニメ業界が舞台のエンタメ小説、という以上の物ではありませんが、お勧めです。 | ||||
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本編そのものは、入れ子の構造、叙述トリック、個性的なキャラクター、作者はアニメ関係者かと思うような詳細な描写、などなど読み応えがあり面白いです。登場人物たちがさまざまな苦難を乗り越え、憧れの作品をアニメ化に漕ぎ着ける熱い物語です。なので、「お話」としては星5評価とします。 ただ、これは、作品のレビューに加えて良いものかどうか迷うものですが、とにかくジェンダー観が古いです。 母、同僚、恋人、あらゆる立場の女性の登場人物全てが、男性キャラをサポートするための都合の良いシステムでしかなく、アニメーターとして、チームとして切磋琢磨したり、熱い思想をぶつけ合う「同志」にはなり得ないのがこの物語です。 作中、男性声優が女性声優を四股かけてたことがバレて炎上するんですが、それについて、ネームドキャラが、四股かけてた男性声優を非難するようなセリフは殆どありませんが、その男性声優に騙され、四股かけられてた女性声優に対しては、ちらりとですが皮肉めいた言葉が投げかけられています。 スキャンダルで炎上した四股男性声優は最終的に「善人」「被害者」めいた描写とともにカムバックさえしますが、四股かけられていた女性声優のその後は特に描かれません。 男性の不貞行為は甲斐性だが、された女は尻軽なだけ、という、男尊女卑としか言いようのない価値観が、そこら中に満遍なく散りばめられています。これはもう、この作家さんの不治の病なんでしょう。また、こういった作者の古い固定観念が作品そのものの価値を左右するかというと、それはそれ、これはこれ、と分ける必要はあると思います。 ただ、このような昭和なジェンダー観で、「これが今の、最新のアニメ事情!」と謳い、コロナ事情なども絡めて「令和以降」の未来を描いてしまうと、食い合わせが悪いなあ、と思います。 作中、ネームドのアニメーターの女性は一人しかいないんですが、主人公やその盟友の男性キャラより格下の、「動画」の立場から一つも昇進しません。 現実には、動画より格上の、原画、作画監督、キャラクターデザインで活躍する女性アニメーターは何十年も前からいるので、これは作者の「女は男より格上の役職に就いてはいけない」という、無意識レベルでの差別意識の成せる業でしょう。 ここまで根深い男尊女卑を抱えて離さない作者さんであるのなら、昭和のアニメスタジオ事情を徹底的に調べて「昭和のリアルなアニメスタジオ」の話を描いてくれたほうが、全体として違和感なく読めたかなあ、と思います。 もしくは、女性の登場人物を1人も出さないくらいにしないと、「現代」「令和以降」の物語として読むには、「古臭さ」がノイズになり、読書体験にいくばくかの不快感を残す形になりました。 もしも映像化などの企画があるのなら、昭和なジェンダー観に基づいたノイズをうまいこと消してくれる脚本家さんにお願いして、物語の本筋に集中できるようにしてほしいな、と思います。 | ||||
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