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苦役列車
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苦役列車の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.84pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全54件 41~54 3/3ページ
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本書の著者である西村賢太氏は、芥川賞受賞作家としては異色な経歴の持ち主で、その個性的なキャラからも ニュースや文芸誌でも注目を浴びました。私もそんな彼がいったいどういった作風を醸し出すのかとても興味が 湧き、手に取った次第。まったく内容としては華々しさも、ハッピーな展開もあったものじゃない。ただあるのは、 中卒であり、父親が性犯罪者であり、日雇いで日銭を稼ぐ人足のありのままの姿。 主人公がなにが凄いわけではない。こんな奴だったら今の日本にでもいくらでもいる。この本では、そんな彼らの生活態を 如実に描き、心情や葛藤を代弁している。…「世の中には、自分より駄目な奴はいる」そう感じたのなら、この本の投げかける 意味を十二分に汲んだことになるでしょう。 | ||||
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読みやすく面白かったです。 ただラストが…。 ラストがただの説明文ってのは小説としてどうなんでしょう。もう少し含みを持たせて…というと、それはそれで臭くなるのかもしれませんが、もう少し考えて欲しかったです。主人公が19歳時点のまま終わっても良かったし、どうしてもその後を書きたいなら説明調にならないようそれなりにきちんと書いて欲しかったですね。 あと、あくまで私小説と銘打ってるんですから 文学だ映画だと語りながらも郵便屋止まりだった日下部〜〜的な文章に対し、寛多は日下部も羨むであろう一人前の作家になってるんですよね。底辺のならず者を描いているのであれば、あの部分は計算ミスだと思います。 面白かった分、残念な箇所が目について惜しいです。 | ||||
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薄いので2時間半ほどで読み終えました。 「こうはなりたくないなぁー、」と思っただけでした。('・ω・` ) 不景気な日本を中卒の人がたくましく生きていく話とばかり思い込んでました。 予約で10万部売れたそうですが私と同じ人が多かったのではないかと思います。 内容が悪いのではないですが、内容が『以外過ぎ』でした。(あくまで私見です。) この私のレビューを読んでから読むと先入感を持たずに読めて別の感想に至るかもです。 | ||||
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マスコミによる批評の数々を眺めれば、久々の本格的私小説といった評価が並んでいるようだ。同受賞作品を一読したところ、確かに際立って個人的な事柄を題材に、恥部や暗部をこれでもかというくらいにさらけ出し、独特の筆致で一編の物語りにまとめ上げている。 だがどうも、おいらが永い間受け入れてきた「私小説」とは異質なのだ。例えば太宰治、坂口安吾といった昭和の巨匠作家たちのような、芸術文学に殉ずるといった志向性を感じ取ることが出来ない。 西村氏の極私的生活の中でのあれやこれやは、派遣事業者によって搾取された貧困が故の困窮だったり、父親が猥褻罪で逮捕されたという身内的の恥的体験だったりと、特殊な環境に由来するのだが、それらを越えるテーマが皆目見当たらない。たぶん作家自身によって設定されることがないのではないかと思われるのだ。 私生活を越えるテーマを持ち得ない作家が芥川賞を受賞する意味は、はてな、如何なるものなのだろうか? 中上健次の再来と評する向きもあるようだが、残念ながら、それほどの凄みも感じさせることはない。 苛酷な労働環境に身を置きつつ「苦役列車」の旅を続ける作家の私生活は惨めで滑稽でさえある。この芥川賞作家は、これからどのような未来を描いてゆくのであろうか? 個人的にはどうでもよいことではあるが、少々の関心は持ち続けていきたいと思うのである。 | ||||
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購入して一気に読みました。描写的に苦手な表現が所々見られましたが苦痛に感じ、本を閉じる程では無かったので一気に読みました。諸方が内容について詳しく述べているので割愛致しますが、もう一度じっくり読みなおしてみたいと思ったのが本音です。主人公の(多分著者ご本人)その日暮らしから小説を書くに至るまでの移行が余りに唐突で「え?!」頭の中に疑問符が散らばってしまいました。芥川賞を受けられた小説なので興味本位で手に取りましたが、「引き込まれた」等、読み終えた充足感は残りませんでした。もう一度じっくり読んでみようと思っています。自分の感想が変わる事を願って・・・ | ||||
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西村さんの小説初めて読みました!芥川賞がどのこうのって言われてますが、候補にならなければ手に取らなかった小説がいくつもあり、その中には素晴らしいものがいくつもあったので、やっぱり必要な賞だと思っています。父親のことも本格的にこれから書いていくとインタビューでおっしゃってましたし、これからもっともっと書いていかれると思います。はっきり言って、こんなものじゃないだろうという思いもありますので、これからに期待です。過去の著書を見ていないので何とも言えませんが、もっともっと壊れて、吐きだして、人間の黒い部分をもっと出してほしいです。でも、この方、お父さんの件で人生一変しただけであって、根底にある部分は優しく、文学少年ぽいし、悪ではないのでしょうね。どちらかというと癒し系?すっとぼけた部分があると思う。 | ||||
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とことん落ち込みたいときに読むとよいかもしれません。なんかだ出口がないままに終わってしまった印象です。すごくごつごつとした感じの文体であり、重苦しい。実際に、このような生活をしている人は多そうな気がします。アングラな横町のイメージで、昔の肉体労働者=立ち飲み屋(コップ酒)のイメージが浮かび、なんとも言えないやるせなさとコンプレックスの塊を投げつけられたような感じでした。(今は立ち飲み屋が割とお洒落となっている様子ですが…)常にトラブルの中に身を置き、イライラしている様子が伝わってきます。 | ||||
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性犯罪者の父親を持つ人間の私小説であるということを知っていて読むと、より物凄さを感じます。主人公の貫多に対しては、「こういう人間とは付き合いたくない」という感情が湧きます。友人の借金も返せず、家賃も踏み倒すとんでもない人物で、「それでも憎めないところ」というものが全く存在しない、おぞましさというか、嫌な付き纏われ感が残ります。その次に、絶望感とか、寂寥感とか、無力感とか、そういったことを感じさせます。貫多のような人間を切り捨てる訳にもいかず(少なくとも表面的には)、国政を担っていかなければならない政治家や官僚というのは何なんだろうとも思います。 私にとって小説というのは、主人公が一連の人との繋がりなどを通じて、何らかの形で「成長」することに、その価値というか、読む楽しさを見出すものだと思っており、それからすると、本書は本当に全く異質な衝撃的な作品であり、ずっと気持ち悪さが残っています。それだけ、文学的にはレベルの高い作品というか、受賞には値する作品ということになるのでしょう。 こういう作品もあるということです。 | ||||
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土埃、泥、汗、体臭と”ぬめり”を強烈に感じるような小説。 難を言えば、文体は、ところどころ古めかしい言葉を用いて、ダラダラと妙に長い一文が続く。 男っぽい、力強い言葉を使い、猛々しいかと思うと「おそば」「お菜」など、不意に丁寧な言葉で表現されるので、少しとまどった。 性犯罪加害者の父親を持つ青年、貫多が主人公。 貫多が、やがて親しくなるのは、学生アルバイトの日下部。 初めは、貫多が優越感を持って付き合うが、やがてあることがきっかけで逆転が起きる。 この心理描写と展開はわかりやすい。 誰もが、こういう心理状態に陥ることがあるからだ。 このねじれた心は、加害者を親に持つ青年だけが持つ特有の感情ではない。 誰もが、今まで自分の方が優れているという思い上がった気持ちがあれば、真実を知り、相手の方が恵まれている、優れていると感じた時、プライドが傷ついた時のダメージは大きい。 友情が、ひがみ、ねたみ、劣等感、憎悪に切り替わる時の反動はすさまじく、負のエネルギーが爆発する。 貫多は「どうしようもない男、哀れな男」でもある。 だが、この世の中、誰もがどうしようもない人間であり、悲しみを抱えていると思う。 その事に気付いているか、気付いていないだけの差なのかもしれない。 人生自体が、苦役とも言える。 日下部達に毒舌を吐きながらも、自分自身にも唾を吐いている事を自覚している悲しさが、こちらにも伝わってきた。 格差社会、持って生まれた運命、甘っちょろい生き方への、憤りの挑戦状とも感じられる。 文体は粗いし、好みは分かれると思う。 特に若い女性には、苦手な部類に入りそうな作品。 だが、メッセージは力強い。 性表現が露骨で荒々しく、独特の古い言い回しも多いので、どちらかと言えば、男性向けの小説だと思う。 ★は3・5 | ||||
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駄目人間の仲間の僕としてもすんなりと共感できないほどの駄目さ加減がいい。しかし、その文章表現はとってつけたような・・・昔の小説家やガロ系漫画家達からの影響をつぎはぎしたような“なかなかリズムにノレない”ギクシャク感があって、読むうちに不快感に襲われる。普通に書きゃいいのに・・・と素直に思う。その言い回しというかノレない小栗虫太郎のような底の浅い虚飾に満ちあふれた文章は、秋葉オタク系のような作者の見た目のようではある。 文芸春秋に掲載されている、ある芥川賞選者の選評に「現代のピカレスク」とあるが、果たしてそうだろうか? 裕福な家に生まれた選者の、自身とは真逆の汚さへの憧れというか、もしかしたら内心は侮蔑の様な感想である。裕福なる選者には決して西村氏の様な人間やその精神世界など理解できるはずがない。ものは言いようだが奔放・・・で貞操感のない奇をてらっただけのくだらない性交渉や恋愛にうつつを抜かす物語ばかり受賞する様なイメージがあって芥川賞受賞作なんて読まないのだが、今回は魔が差したのだとため息ばかり。ま、夜読むのはインスマスがいいと言う同受賞のもうひとりの女性作家による「きことわ」を読んでいる途中で、今回の受賞作は2つともこれまでのものとは違うのだな? と少し安心したのです。 | ||||
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「話題の本」を読むのはほぼ初めて。 どれだけ重いテーマが…と期待して読み始めると、裏切られる。 非常に軽い。テーマも軽いし、読後感も軽い。 つまらないわけではない。読んで損はない。 「中卒+日雇い」というまったく違う世界の19歳の日常に、「なるほど、こういう生き方もあるんだ。ふーん」くらいの感想は得られる。 しかし、まったく共感はできない。境遇が違いすぎる。 その割には、主人公の背負うものが軽すぎるし、あまりにも低俗な「酒、タバコ、風俗」の生き方に感情移入さえもできない。 出張中の時間つぶしには良かったので後悔はない。 しかし、これで芥川賞はちょっと…。 自宅に戻り「人間失格」を開き、その格差のあまりの大きさに愕然とする。 「文学」というものが、現在の日本では切実な存在ではなく、せいぜい「やや高尚な暇つぶし」程度の位置付けということなんだろう、と自分を納得させるしかない。 | ||||
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十数年ぶりに文藝春秋を購入してこの作品を読んでみましたが、「えっ、この程度で芥川賞?」というのが率直な感想。 漫画の福本 伸行の「最強伝説 黒沢」に、つげ義春の「無能の人」を混ぜて「畢竟」だの、「陥穽」だのの死語すれすれの言葉を添えてあるだけの作品に思えた。 ま、これが日本の文学の新人賞のであることは間違いないのだから、文学ってこんなものなんでしよう。 | ||||
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口語的に気軽に読めるような文体でありながら、いつの時代の言葉なのというような熟語が現れるという摩訶不思議な文章。そこに綴られた内容は人生を早々に諦めた人間の青春の記録?私小説ということですが、自分をここまで客観的に見つめていられることに著者の力強さを感じます。 ただ、個人的には朗読できるような文体の小説が好きなので、ちょっと苦手な作風した。 | ||||
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芥川賞発表の報で、西村氏を初めて知った。 記者会見やその後のインタビューで垣間見える非常に奥深いキャラクターに興味がわいたので購入。 彼の書いた作品はすべて私小説とのこと。 本作で描かれている事も大部分が事実に基づいているだろうから、 様々な屈辱的な体験や、辛い思いをされたのだろうと察する。 ただ、両親がいて、大学や専門学校に通っている「普通の」学生に対し、 異常な嫉妬心を抱いたり、罵倒するシーンがあったが、これには些か嫌悪感を覚えた。 昔、長淵剛が主人公のドラマなどで特徴的だったが、人気大学や大企業に所属しているだけで、 そこの人間達はエリート意識に凝り固まっているという固定観念を前提にしている作品があるが、 こういったものは表現すべきでないと思う。 そんなことは前時代的でリアリティが欠如しているし、ただの言い掛かりに近いからだ。 こういった主人公やモチーフへの共感の欠如が災いしたのか、 正直、この作品だけでは心に残るものは全く無かった。 ただ、西村氏の作品はすべて私小説ということだから、 他作品を読んで、主人公・貫太を別角度で見てみると味わいも出てくるかもしれない。 文体は非常に特徴的で好みの作家なので、色々と試してみようと思う。 | ||||
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