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(短編集)
猛スピードで母は
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猛スピードで母はの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全63件 21~40 2/4ページ
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無色透明な主人公という鏡に映し出される、個性的な母の姿。狙いは分かるのだけど、自分には退屈に感じられた。特に何が起こるわけでもない淡々とした日々の生活に、余り魅力を感じなかったのだ。敢えて現実社会の残酷さや毒といったものを排除した書き方に共感が持てない。やはり、芥川賞というからには、自分の心に潜む暗い毒のようなものを片鱗でもいいので、作品に埋め込んで欲しかった。まあ、それは最終的には好みの問題だが。 | ||||
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文庫には、表題作「猛スピードで母は」と、「サイドカーに犬」の2編が収められています。 どちらの作品でも、描かれているのは子供の目線から見た大人の世界。それは父の愛人であったり、再婚へ向けてひた走る母であったりするのですが、そういう「自分とは違うもの」との接触を経て、一回り成長していく子どもたちの姿が瑞々しく描かれています。 最初のうちは、子供たちの感情が淡々と描かれていくのですが、最後に一気に臨界点に達する場面がすばらしいです。シーンそのものは決して大それたものではないのですが、今まで感情が押さえられていた分、なぜかとても心に残るんですよね。 とにかく、どちらの作品も、描かれる大人がすごくかっこよく、子供たちはそれにしびれて「自分とは違う大きな存在」をしっかり感じ、成長するんです。 基本的には日常的な細事が淡々と続くだけのお話なので、サラッと読めてしまい、深い感動も、胸踊る興奮もありませんが、不思議な読後感が残る作品でした。 あと、どちらもタイトルが秀逸! | ||||
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軽快な文体。導入部からストレスなく読み進めることができました。 最初は、少し淡々としすぎているような気がしてもう少し盛り上がる部分が欲しいなぁなどと思いもしましたが、まぁエンタメじゃありませんしね。 「サイドカーに犬」の洋子はとても魅力的だし、語り手の主人公の落ち着いた視点も心地良い。人間がしっかりと描かれている良作だと思います。 | ||||
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なんだか、初めて読んだ、こんな感じの小説。なんというか、まさに「小説」、これが文学っていうのか、という感覚だった。激しい感情に押し流されそうになったり、不幸から這い上がろうと必死でもがいたりするわけでもなく、ただ淡々と時が流れる。 この作品の主人公二人は、その流れの中でもただ流されているように見えながら、そうではなく、自分なりの流れを見つけようとしている途中なんだろうなと思う。表題作の母は、私個人は全く好感は持てないのだけれど、作者は男性でありながら、よくここまで女性の不器用さが描けるものだと感心した。 いろんな出来事がバタバタと起こるようなうるさい小説ではない。日々の孤独感、不器用な生き方、だけどそこに垣間見える愛情。そんなものが丁寧に描かれている作品だと思う。 | ||||
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本のタイトルのほうで、芥川賞を取った、とのこと。 「サイドカーに犬」は候補になったとのこと。 しかし、どちらも同じくらい面白いですね。 ストーリーが似てもいますが、微妙に違うところもあります。 大きくいえば、 大人と子供のかかわりを子供側の目線で書いています。 そこが同じ。 主人公と視線の対象となる脇役が男女入れ替わっている点が 異なります。それだけで大いに、世界が変わります。 そんな点も面白い視点であります。 つまり主人公が男の子か女の子か。 視線の対象が父親なのか母親なのか? 女の子対父親とその女が「サイドカーに犬」 男の子対母親とその男が「猛スピードで母は」となっています。 ユーモラスなタッチというのか、子供の癖に大人なクールさ。 その子供の視点=著者というところが印象深いです。 読みながら少年少女時代を読者は想起して引き込まれるのであった。 | ||||
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特段に大きな出来事が起きるわけでもなく、物語は淡々と進み、そして終わります。 エンターテイメント系の小説をよく呼んでいる人からしたら、どこか物足りないはず。 ですが、その物足りなさの中にイマジネーションを喚起する何かが潜んでいるのかもしれません。 その何かを読後にあれこれと想像させる作品が純文学というカテゴリーの小説なのでしょう。 | ||||
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表題作『猛スピードで母は』と『サイドカーに犬』 の2つを収録。どちらも親と向き合う子どもの話。 子どもって、親が思っている程、何も知らない訳じゃない、親って子どもが思っている程、大人じゃない。そんな親子の関係が描かれている。大爆笑する訳でも、すごく感動する訳でもないが、そこにはある家族の形があって、自分の親の事を少し思い出してしまった。 | ||||
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力強い父性のある母(女)、頼りないおぼろげな父(男)の対比が、ひとつのテーマになっている。確かに、あとがきにあるように、性差を感じさせないニュートラルな雰囲気が、作品にも作者にも感じる。表題作は芥川賞作品だが、難解なほうのそれではない。時代と共に言葉使いが変わるように、文学という芸術も、簡潔な中に奥行きを持った物が現れるのか。しかしながら、この平易で透徹した文章は、かつて僕が20代の頃に、“そうそう、なるほど”と読んだ、村上春樹のような新鮮さがある。長く閉塞していた心の襞を、外気に晒したような解放感を感じた。 ただ些末ながら、表題作で、“母は…”という人称ならば、主人公は“僕は…”でもよかったのではないか、とも思った。 | ||||
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2作品とも離婚した家庭の日常を描いてる。 時代背景は25年以上前と思われる(作者と同年代なので懐かしかった)。 内容はほのぼのとした感覚がない一方で、ガツンといったインパクトもなく最近の小説では不思議な感触を得た。 作者の伝えたかったことも解釈は多様に可能な感じである。 他の作品も読んでみたい。 | ||||
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読み始めると、最後まですっと読めてしまう文章の巧さを感じました。2篇収まっていますが、どちらも似た感じのする物語です。シャキッとした女性が印象に残る内容です。どちらも、その女性のある一瞬を捉えたものです。それ故にでしょうけど、想像を掻き立てられるようになっています。これも作者の狙いどおりなのでしょうけど。さすがは、芥川賞、でしょうか。 | ||||
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映画にもなっている【サイドカーに犬】と芥川賞受賞作【猛スピードで母は】の 中篇2つで出来ている本。長嶋さんの作品は初めて読んだのだけれど、 全体にとても良質な児童文学の匂いがして好感が持てました。 破天荒な父親と大喧嘩して出ていった生真面目な母親。そこに突然現れた謎の女性洋子さんと 薫とのヘンテコな夏の友情が描かれた、サイドカー。職業も付き合う男性も、 どんどん変わっていく母と小学六年生の慎の暮らしぶりが淡々と書かれている、猛スピードで。 共通して出て来るのは、どこか欠落してるハグレ大人。と、彼や彼女らに振り回されながらも、 「大人にも色々な大人がいて、それぞれに事情があるんだ」って事がわかっている子供。 両者の不思議な信頼関係の質感が凄くリアルで好きだった。サイドカーでの、 洋子さんと薫が子供と大人の関係だけじゃなく、女同士で友情を育んでる感じ、 もらったテープの思い出を大切にしてる点。猛スピードの母が、 女手一つで息子を育てる為に選んだ仕事。その職種ならでは、の嫌な場面を見てしまった後 ドキマギする慎と、サバサバした母の対比。さらりとした文体の中に 子供と大人の向き合い方の核心書けてるのに驚きました。今度長編も読んでみたいと思います。 | ||||
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短編集2作で構成されている。 『猛スピードで母は』 『サイドカーに犬』 映画鑑賞後に読みましたが、 映画でわかりづらかったことも、全て解決。 「こんなことなら、先に本を読んでおけばよかった」と後悔。 前作は少年、後作は少女が主役。 ともに、結婚をした男女に、 不倫であったり、離婚であったりが 絡むので、湿っぽくなりそうなんですが、 作品の世界は、とてもあたたかい。 『サイドカーに犬』 洋子さんなんて、愛人なのに、 いやらしさが全くなく、むしろ愛らしくて逞しい。 両作とも、非常に読者の 想像力をかきたてる良作になっています。 | ||||
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日常にありそうでない話です。でもそんな話をここまでの物語に昇華させてしまう作者の力量にひれ伏すしかありません。2編とも魅力的な女性が登場します。「サイドカー〜」の洋子さん、「猛スピード〜」の母。両編ともこの魅力的な女性の登場が物語の奥行きを広げる大きな要因となっています。こんな女性憧れてしまいます。 それにしても、何ともいい話です。両作品とも子供も目線から大人の行動を見つめています。その子供達はまるで「大人」のように静かに大人達の行動を見ています。逆に大人たちは「子供」のような行動をとるのです。そんな逆転の視座も物語の良さを高めているのでしょう。 | ||||
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装丁やタイトルの感じ、著者のキャラクターなどなどから、何となく好きになれないかも……と思っていたのだが、読んでみると、とてもすばらしかった。肩の力の抜けた(ような)文章がどこを取ってもいい。「サイドカー」も「猛スピード」も、語り手が本当に好感が持てる。好きになってしまった。「猛スピード」のほうが作品(構成?)として広がりがあるような感じはするが、「サイドカー」には洋子さんというすばらしいキャラクターが出てくるので、後者のほうが好きだな。どちらも、ただの小説(ためにする小説? 小説を書くために書いた小説というか……)という感じがしない。書くことによって世界をひねくりだしたんじゃなくて、この世界がさきにあってそれをすくいとった感じというか……。でもなんでこんな装丁にしたのかな。好きな人は好きなのか? | ||||
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何年か前の、芥川賞作品で、 もう1つの短編が、 去年映画になった『サイドカーに犬』。 後者の方は、 だいぶ映画が膨らまして作られたんだな、と思った。 どちらも違って、おもしろかった。 映画は出演者のキャラで良かったけど、 原作は、内面がきちっと書かれていて、 その部分が楽しめた。 視点は同じ少女なのだが、 原作にある、ノスタルジックな部分は、 なかなか映像に載せるのは、 難しいんだなぁと思った。 で、表題作は、 少年の視点で描かれる。 こんな大人びた子どもがいるのか、 ということをのぞけば、 そのシニカルな目線はおもしろい。 子どもの不思議は、 大人の世界の常識であり、 そこからはみ出した大人は、 どうも社会では生きにくいらしい。 そのことは、でも、 大人になってわかればいいんじゃないかな、 とも思う。 | ||||
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短編2作であるが、どちらの作品もホームドラマに出てくるようなホノボノとした家庭ではなく、母子家庭や家庭不和な状態である。 主人公はどちらも小学生の子供であり、そういった家庭環境でもグレずに生きている。教訓めいた話ではなく、子供心をうまく描写した作品。 スルメのようにジワジワと味が出るような作品である。 | ||||
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子どもの感性ってこんな感じなのかなといったリアリティがすなおに共感できる。子どものほうが案外常識的な暮らしをしているのかなとも思った。読んでいて、その温度感が伝わってくるような描写が心地よく、とても好きな作品になった。他の作品も読んでみようと思った。 | ||||
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『猛スピードで母は』です。文學界新人賞を受賞したデビュー作の『サイドカーに犬』と芥川賞受賞作の表題作が収録されています。 でも本は薄いですし、内容も読みやすいです。 両作品とも、子供の視点から大人を描いたものです。 子供が主人公だと、難しい表現が使えないなど制約も多いのですが、上手く料理しています。大人が読んで、充分に楽しめるものです。 子供視点から大人を見る、という場合、どうしても皮肉る要素が強くなりがちですが、本書では、もちろん皮肉要素もあるのですが、かなりクールな子供ですね。どこか哀しい笑いと軽さを含んだ文章で、この子供が大人になったらどうなるのだろうな、と思わせます。 多分、子供の時に見ていた大人像とほとんど同じ大人になるのでしょう。それが分かっているからこそ、痛烈に皮肉るのではなく、静かに見守っているのでしょうか。 | ||||
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「猛スピードで母は」と「サイドカーに犬」、どちらも好きだ。 子供がけなげでかわいいし、母親や母親代わりの女性との心の交流がしみじみとする。 生きるって大変だよな、って。 竹内結子さんには「猛スピードで母は」のお母さん役をやってほしかったな。 | ||||
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切ない。なにか切ない。読み進めてゆくなかで、「あーこの子はどこまでかわいそうになっていっちゃうんだろうか」とぐんぐん不安になる。近くに行って抱きしめてやりたくなってしまう。僕が男親だからだろうか、あまり母親のことは見えない。この子だけが脳裏に浮かぶ。ただ本当はおそらく僕が見えない「母親」の気持ちの流れとか変化がすごく重要なんだろう。「男」の視点と「女」の視点を意識しながら読むとおもしろいかもしれない。 この小説は芥川賞を取ったとのこと。僕にとっては、繰り返しになるけれど、非常に頼りない母親に、それでも寄りかかっている子どもの、支えようのない「不安定さ」をすごく感じて、読みながらずっと不安で、かなしくて、さびしくて、切なかった。 | ||||
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