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(アンソロジー)

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神様の罠



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【この小説が収録されている参考書籍】
神様の罠 (文春文庫 つ 18-50)

神様の罠の評価: 3.29/5点 レビュー 7件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.29pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(2pt)

通常のミステリ・ファンにはお薦め出来ない、玉石混淆のブレ幅が大き過ぎる拙劣なアンソロジー

乾くるみ氏「夫の余命」、米澤穂信氏「崖の下」、芦沢央氏「投了図」、大山誠一郎氏「孤独な容疑者」、有栖川有栖氏「推理研vsパズル研」及び辻村深月氏「2020年のロマンス詐欺」6つの短編から構成される豪華(?)競演陣に依る短篇ミステリ・アンソロジー。

「夫の余命」は、作者の常で"書き方"だけでミステリとなると勘違いしている愚作。特に、本編では日付を明記している辺り、悪評高いバリンジャー「消された時間」を想起させ、作者のお里が知れる。「崖の下」は、雪山で遭難した複数名中の殺人を扱った短編で「"血液が混入している"消えた凶器」の謎がテーマだが、人間関係を中心とする全体の創りがシッカリしている上に、伏線を上手く回収している佳作(特に、「***」というヒントが巧妙)。「投了図」は、新型コロナのために廃業寸前の古本屋を営む元奨励会員の夫を、妻が自粛警察ではないかと疑うという短編だが、単なる人情譚で何処がミステリなのか皆目不明。読者にある程度の「観る将」を要求する姿勢も手前勝手過ぎる。「孤独な容疑者」は、作者得意のアリバイ・トリックと見せ掛けて、「***」という犯人の狂気を浮き彫りにした着想が光るが、アリバイ・トリックを期待するファンにとってはやや肩透かしの感を免れない。「推理研vsパズル研」は、クイーン好きらしい作者らしい短編でアリスも江神も登場するが、マリアの心情を除けば、全編机上の空論で"遊び"だけが目立つ稚拙な出来。「2020年のロマンス詐欺」もコロナ禍を扱った短編で、そのためにバイト先が見つからない経済的窮状にある大学の新入生が主人公。主人公がSNSを使った特殊詐欺、果ては傷害事件に巻き込まれて行く顛末をDV、アカウント成り済まし等の社会問題を織り込みながら、最後まで芥川「藪の中」の様な雰囲気を醸し出していて、大きな仕掛けこそ無いものの読ませる。

結局、ミステリという冠なしに通用する米澤氏と辻村氏の短編だけが水準以上という玉石混淆のブレ幅が大き過ぎる拙劣なアンソロジー。通常のミステリ・ファンにはお薦め出来ないアンソロジーだと思った。
神様の罠 (文春文庫 つ 18-50)Amazon書評・レビュー:神様の罠 (文春文庫 つ 18-50)より
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