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畏れ入谷の彼女の柘榴



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【この小説が収録されている参考書籍】
畏れ入谷の彼女の柘榴
畏れ入谷の彼女の柘榴 (講談社文庫)

畏れ入谷の彼女の柘榴の評価: 5.00/5点 レビュー 3件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(5pt)

ただこれだけ

舞城さんは機微の言語化が本当にずば抜けてると思います。言葉にするのが容易ではないから機微なんて単語でまとめてしまうというのに。
心の奥底では気づいてるけど見て見ぬふりしてることを、文章で突きつけられる。
でもそれと向き合うことは、私の心の中のキラキラした部分を守ってくれます。
長年舞城さんの小説を読んできて、何度救われたかわからない。
小説を書いてくれて、本当にありがとうございます。
畏れ入谷の彼女の柘榴Amazon書評・レビュー:畏れ入谷の彼女の柘榴より
4065251478
No.2:
(5pt)

異譚である理由

正しいものが正しいものとして現実にとどまっていられなくなったとき、人の想いや行動がほんの少し純粋な愛とずれてしまったとき、その捌け口や位相のずれのような存在として〝異〟なるものは作品内に登場しているのではないだろうか。
当然、〝異〟なるものは状況の混乱に拍車をかけて現実をさらに無茶苦茶にしてしまう。それは単純にお話として面白い。
だが、単に奇天烈な面白さにとどまらないのが作者の唯一無二のところだ。
気がつくと、その〝異〟なるものこそが不思議なことに、純粋な愛の形を浮き彫りにして照らし出してくれているのである。
「鮮やか!」とも「うまい!」とも違う、小説技術うんぬんとは別の、いまだ衰えない、言うなれば「舞城マジック」とでも表現するしかない、著者特有の〝味〟を存分に堪能できる短編集である。
畏れ入谷の彼女の柘榴Amazon書評・レビュー:畏れ入谷の彼女の柘榴より
4065251478
No.1:
(5pt)

一番不思議なのはやっぱり人間だ

『果実は花托の発達したもので、球状を呈する。果皮は厚く、秋に熟すと赤く硬い外皮が不規則に裂け、赤く透明な多汁性の果肉(仮種皮)の粒が多数現れる。果肉1粒ずつの中心に種子が存在する』(wikipedia『柘榴』の記載、「形態・生態」より抜粋)

明確なコンセプトが打ち出された舞城による短編集の三作目。テーマは恋愛、家族、そして「異端」ときた。
『淵の王』や『深夜百太郎』を読めば分る通り、こちらの方向も守備範囲の作者ではあるが、作中三作で描かれるのは異端や不思議さよりも、むしろその傍にいる人々の姿だ。

「自分を」大事にできない、「言葉しか」大事にできない、「後悔しないことしか」優先できない、そんな登場人物たちが不思議な出来事や存在を通じて、改めて自己の在り方を見直すことになる。

妻の隠れていた秘密と対峙する「畏れ入谷の彼女の柘榴」、自分の欠陥/性質と向き合うことになる「裏山の凄い猿」、すぐそばで不思議なことが起こっていたせいで、逆に自分たちの価値観がどれだけ歪んでしまっていたか気付かされる兄姉弟たちと性的マイノリティの邂逅「うちの玄関に座るため息」……タイトルを並べるだけでなんかフィーリングが自然と伝わるのではないだろうか。

どちらかというと短い時間軸を描いている作品だが、そこには明確な変化がある。衝突と対話、そして壊れてしまった関係性の中で、確かに歩みを進めようとする人々を描いた短編集である。
畏れ入谷の彼女の柘榴Amazon書評・レビュー:畏れ入谷の彼女の柘榴より
4065251478

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