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蟬しぐれ
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蟬しぐれの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全159件 101~120 6/8ページ
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そんなにたくさん本を読んでるわけではないので よくこの本は何度も読み返したくなる〜とか、擦り切れるまで読む〜とか 理解できなかったし、好きな本に対するお決まりのほめ言葉としか見てなかったけど この本を読んでその気持ちがよく分かりました。 もう何度も読み返してるし、きっとこれからも何度も手に取ると思います。 すごいよかった。 初めて時代物を読んだので最初はすごく読みづらい気がしたけど すぐなれました。 文四郎のまっすぐさや、闘うときの緊張感もすごくいい。 でも、何より言葉では表せない雰囲気や空気がありました。 しばらくするとその雰囲気が恋しくなって思わず読み返しちゃうんです。 こんな気持ちになれる本とは後にも先にもこの一冊だけだと思います。 読んでよかった。 | ||||
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時代小説好きな方はもちろん、敷居が高そうと感じて挑戦できない方や、これから読書を始めてみようという若い人にも読んで欲しい作品。 この作品には、様々な要素(恋、別れ、友情、戦い)が絶妙なバランスで折り重なっていき収束していく爽快感がある。この作品で、最後のシーンを確かめたときに感じた気持ちを、言葉に出来なくてもいいから大事にして欲しいと思う。心を豊かにしてくれる作品だ。 ただし、物語が急展開を迎えるまでにかなりのページ数を読む必要があるために、途中で挫折する人がいるかもしれない。それでも最後まで読んで欲しい。主人公と共に歩んでこそ、最後にこみ上げてくる思いに意味が生まれてくる。 | ||||
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純粋な少年剣士牧文四郎に突然、尊敬していた父の切腹、家禄の召し上げ、淡い想いを抱いていたおふくの奥入りと、少年に理不尽な不条理がつきつけられる。 藩内の人からも非難される中、剣に打ち込むことで心身ともに強くなっていく文四郎。 しかし、逞しく成長した文四郎だが、本人の意思とは別に権力闘争に巻き込まれていく・・・ いつもの海坂藩を舞台として、少年の成長のさまを描いた作品。 目の前に浮かぶような景色と少年から大人へと変わっていく繊細な心の動きの描写が読者をぐいぐいと引き込んでいきます。 著者の作品は重厚で玄人好みともいえるものが多いですが、これは比較的若い人にもお勧めしたい一品です。 | ||||
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風景描写が素晴らしい。精緻な文章とはこうゆう文章を言うのだと思えた。 純粋な文章の表現力に驚くことは少いが、GWに実家で父親の本棚にあったこの作品に驚いた。ファンが多いのは知っていたが、藤沢周平が優れた作家であると遅ればせながら知った。 主人公は江戸時代、北国のとある藩の下級武士の子である。当時の武士の子弟は儒学や剣術に励み、将来の官吏としての修行に励む。幼少から主人公は剣に抜群の才能をみせる。 藩の権力争いによる父親の横死などの困難に耐えながらも友情や剣術に励む姿が描かれる。その話の展開は無駄が無く、無理が無い。 奇抜な展開で構成された小説と対極に位置するような、丁寧な描写と無理の無い展開による構成は同時に強い説得力とリアリティを持つ。 主人公は平凡な半生を送るのではない。しかし、抜群の剣の腕前を持ちながらも、やはり主人公は普通の人間であり、藩という組織の内部抗争に翻弄される下級武士である。剣は主人公を助けるが、主人公を超人にはしない。 主人公は良い結末を迎えるが、読後に残るのはやはり切なさである。不幸な結末となった人々や藩という組織の非常さ、抗いようもない下級武士の悲哀、過ぎ行く少年期、それらに対する緻密な描写が主人公の活躍があっても心躍る物語ではなく、切ない物語にしている。 印象的な場面が多々ある。 冒頭の自然描写。 物静かな父が大声を上げて進言し、その確固たる良心に日頃の尊敬の念を深めた場面。 主人公が死罪となった父に思いを伝えられなかったことを悔やむ場面。 刑死した父の遺体を荷車に載せて牽く主人公の描写。 先輩の官吏に従って野山に分け入って農村を巡り、稲の作柄を相談する場面。 上げればきりがないが、精緻な文章がそれぞれの名場面を表現しており、それらが無理のない展開で連なっている。 それぞれの名場面の描写はおそらく、作者が相当の労力を掛けて書き上げた労作と思われる。そう思えるほど良く練られており、緻密である。 | ||||
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藤沢作品を初めて読んだ。 文章の流れがきれい、剣での戦い場面はグイグイ引き込まれるような表現、主人公とその周りの人たちの言葉、ストーリーの進め方 脇目もせず、どっしりとして大河小説のような安心して読める歴史小説ですね。 これまで、有名な歴史上の人物の歴史小説を読んできたが、蝉しぐれのような歴史小説もとても面白いのですね。 落ち着いて読むには、藤沢作品はとても良いと思います。 | ||||
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この小説を表現できる言葉が見つかりません。 何度も何度も、繰り返し読んでいますが、そのたびに新たな感情が涌き起こってきます。 ただストーリーのおもしろさに酔うのではなく、語られる言葉のひとつひとつを、 味わってみたくなる。 まだ読んだことのない方は幸せかもしれません。 これから素晴らしい世界を味わうことができるのですから。 | ||||
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「単純」という言葉はあまりよい意味では使われないが、単純であることを、私は男の美しさと思っている。単純さは一途さであり信念である。決して華やかではないが、雑音に惑わされずに立っていることのできる男を、藤沢周平は好んで書いた。私もまたそういう男を美しいと思う。 | ||||
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東北の小藩を舞台に、文四郎と言う若き藩士を中心に、青年達の友情と成長物語、藩の中の権力争い、剣の道、そして藩の点描を大河が流れるように悠揚迫らぬ筆致で描き切った傑作。藤沢文学の代表作と言っても良い。 冒頭で藩の地理が繊細に描かれ、読者を自然に物語に引き込む。剣豪の道を歩む事になる文四郎の幼友達として、調子が良いだけに見えるが実はしっかり者の逸平、学問に秀でた予之助を配しているのも巧み。三人の友情物語が話を支える一本の柱である。冒頭では三人は15才程度。ここで、聞こえる「蝉しぐれ」は読者に子供の頃の夏の日を思い出させる。藩の勢力争いのせいで文四郎の父が切腹、文四郎の家の禄も減って苦難の道を歩く文四郎。また、文四郎を慕う隣家の娘"ふく"が江戸に旅立つ際、会えなかった事を後悔する文四郎。物語は名誉回復と"ふく"への想いを確かめるための文四郎の生き様を描いたものとも言える。不遇の文四郎は剣の道に励み、遂には道場対抗の試合に出るようにまでなる。この辺の対決シーンの迫力は凄い。「秘剣村雨」などどんな技かワクワクする。そうかと思えば、逸平に誘われて行く色街の居酒屋の酌女や文四郎が村回りで会う農民なども活き活きと描かれている。雨、風、田の様子など自然描写も物語に溶け込んでいる。まさに硬軟自在である。そして、"ふく"が藩主の側室になり、"お福さま"となる。これをキッカケに藩の権力争いが再発し、文四郎は...。 結末で壮年となった文四郎は再び「蝉しぐれ」を聞く。あの日を思い出す「蝉しぐれ」でもあり、来し方行く末の長さを噛み締める「蝉しぐれ」であろう。時代小説と言う枠を超え、大河小説と呼ぶべき藤沢文学の傑作。 | ||||
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とにかく,文四郎の芯の強さに心打たれます。 最初にそれが現れるのが,家禄を減せられてから狂ったように剣に打ち込んで行くさま。この頃はそうするより道が無かった感があるけれども,安定した生活に戻ったあとの山場で取った彼の行動は,完全なる自由意志の現れ。 事件の首謀者に相対する文四郎の立ち回りには,読んでいるだけで身震いが来ます。そこには,運命に翻弄された積年の思いを感じずにはいられません。(ちと奥さんが可哀想だけどね・・・) 「あの日,文四郎が兵馬と打ち合いをせずに家に戻っていたら」と当然誰もが思うだろうけど,それは野暮な空想というもの。 想う男と女が同じ場所に会うのも運命,会わないのもまた運命。その結果に従って生きなければならないことがあるのは,いつの時代も変わらないこと。それをはっきりと認識させてくれます。ラストシーンで,その感傷がまた際立ちました。 | ||||
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この物語には日本人の持つ美しさ、力強さが描かれていると思います。 今も昔も変わらぬ人間の欲深さ。それに翻弄される主人公。 悲しくも力強く生き抜いていきます。その姿が何とも清々しい。 日本人の理想型でもなんでもなく、日本人の本来あるべき姿を現しています。 | ||||
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イージーマネーがジャブジャブしていたあの頃、「根拠なき熱狂」が支配していたあの頃、日本人が物欲と西欧かぶれの二重苦を抱えて醜悪化の一途を辿ったバブル期に地方紙に連載(1986〜87年)された時代小説。バブルは死んだがこの小説は残った。残って日本人に美しい男女の恋の物語を語り続けている。映画化は顰蹙を買ったが(少なくとも私の周囲では)、テレビシリーズは名品で、外国で賞を取ったりしている。 お隣さん同士の少年と少女が成長し、お互いを意識する年齢になる。若竹のような少年と可憐で楚々とした少女。二人は理想の男女の型に沿って作られたキャラだが、この「型」に込められた人間の希求というのがある。清く存在したい、という願い。作者の哀切もまた窺える。おそらく作者は当時の日本人の姿に傷ついていた。 結ばれるのが当然のような男女が世の理不尽に流されていく三十年弱の歳月を追う中で、若竹の少年は忍苦の中で悪声を放たず、他人と争わず、泣く時は一人で泣く。少女は権力者の寵を得てなお清楚な心を失わず、少年を愛し続け、おそらく彼女もまた一人で泣いている。この物語の人々は秘め事を秘め事のままにしておける。現代人は秘密を守るのが苦手だ。「理解される」ことに餓えているから。本書の男女は「きちんとした振る舞い」に重きを置く世界に生きている。 ラブストーリーを描くには実はこれほどの物語の厚みと段取りが必要なのだと、これほど的確な描写の分量と筆の調子の高さが必要なのだと、痛いほど実感させてもらえる一冊。超一流の技というのは気持ちの良いものです。 | ||||
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本当に久しぶりにこんなにおもしろい本に出会った。 この時代に生きた事があるわけではないのに、なぜか《懐かしみ》を覚える、 そんな本である。 また、すべてのシーンの情景が鮮明に頭に浮かび本の中へ吸い込まれる感覚。 自分が二つの世界を生きる人間のように思えた。 藤沢周平は、非常に情景描写が上手で、 言葉の表現もその場面その場面にマッチした言葉を巧みに使い 読み手をわくわくさせる作者である。 そして、はかない恋のラストシーンは切ない中に温かみを感じた。 藤沢周平の作品を読んだのは、今作品が初めてだが他にも読ませて頂きたいと思う。 | ||||
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初出は故郷山形の山形新聞夕刊昭和61年7月9日より62年4月13日。おそらく藤沢作品で最も人気があるのはこの作品だろう。 主人公牧文四郎は典型的な藤沢作品の主人公らしい人物で、武術に長け、義に篤い。自らが予想もしないような運命の流れや、権力抗争に巻き込まれていく。その中でさげすまれたり、持ち上げられたり・・・・正に現代社会と同じだ。自ら思うようには生きられない。その中でいかに自分が自分らしさを失わずに生きるかを自らに問う。そこに惹き付けられる。 最終章に作者の優しさが出ている。忘れられない作品だ。 | ||||
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噂どおりの良作です。映画より支持します。事情が許さなかった愛。時を経ても互いに胸に秘めていた気持ちが切なくてやるせません。 汚名を着せられた父を恥じることなく、己の矜持にかけてふくを守る文四郎の心持はいかに。遠い日の矢場の坂、二人に聞こえていたのは互いの声と蝉しぐれ。そんなふたりだったのです。" 清左衛門残日録 DVD-BOX 用心棒日月抄 (新潮文庫) | ||||
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この作品を読んだのは、もう10年以上前になるでしょうか。作者が亡くなって週刊誌で特集が組まれていたのがきっかけで、藤沢周平を読みまくりました。全体としては、勧善懲悪系の時代活劇ですが、切腹した父の亡骸を自宅に連れ帰るシーンが痛々しくて忘れられません。まだ年端も行かない少年が、罪人となった父の亡骸を貰い受けに行く。世間の冷たい視線を一身に受けながら、うだるような暑さの中、尊敬していた父親を一人必死で連れ帰るシーンに目頭が熱くなり、読むのを何度も中断してしまいました。普通なら絶望してもおかしくない中で彼が信じていたものは・・・。 細かいあらすじは忘れてしまいましたが、このシーンだけでも、一読の価値のある作品です。 <追記> 先日、この作品のことで気づいたことがありました。普通、悲しみや寂しさなどの感情を表現するときの背景は夕暮れだったり、雨が降っていて、主人公はずぶ濡れになったりします。かんかん照りの夏の日中を選んだりしないものです。この状況の中で主人公の絶望的な孤独感を描き、しかも、孤独ではなかったことの安堵感(主人公は安心していないかもしれないが、われわれ読者は確実に救われている)を鮮やかに描いてみせることに感心しました。著者の非凡さに改めて敬意を表します。 | ||||
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かなり切ない話だったのですが、読み終えたとき、「こんな風に恋をして、こんな風に生きてみたい」と思いました。いまのように恋愛が自由ではなかった時代、流されながらも流しきれなかった想い。そういう気持ちを持ち続けることは大事なのではないだろうか。 結ばれる機会はあったかもしれない。しかし人生とはかくも儚く、淡いものなのか。不器用と一言では片づけられない武士の生き様と、誰もが恋するであろう美しい女性の物語。あぁ蝉しぐれが懐かしい… | ||||
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恋愛もの時代劇です。 とはいっても、藤沢周平作品らしく全体を通じて剣、武士道がバックボーンにあります。 恋愛はあくまでもほのかに描かれており、最後の2,3章でそれがクライマックスに達し、最終章で静かに幕を閉じます。 単なる時代劇ではなく、ぎとぎとの恋愛小説でもありません。 風景描写の美しさやストーリーの物悲しさが絶品です。誰にでも楽しめる、女性でも楽しめる作品ではないでしょうか? | ||||
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ミーハーな私は、テレビの時代劇に感動して「蝉しぐれ」を読みました。テレビもよかったですが、小説のほうがもっと素晴らしかった!少年期から青年期までの一人の若者の成長を描いて、人間どう生きるべきか?美しい日本人の姿とは?人を愛するということは?などなど。いろいろな深い内容が静かに語られている小説です。余りに感動して、もう3度くらい読み返していますが、まだまだ読み続けることでしょう。特に、文四郎とおふくとの恋には、清らかな無私の愛が輝いています。これは一種のラブストーリーでもありました。 | ||||
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夏の頃、父の実家に泊まったとき、早朝、蚊帳の中から這い出して、朝靄の中、川沿いを歩いたときに田園を見た景色が1ページ開くたびにあるように感じ、懐かしい思い出があふれてくるようだった。 実際に主人公牧文四郎が遭遇するようなことはありえないだろうが、男の子だったら、初恋の人を守るためならば・・・、と、共感を得る題材です。 映画はつまらなかったけど、イメージソングの「かざぐるま」は原作にあっていて、頭の中でリフレインしながら一気に読んでしまった。 | ||||
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友達に時代小説を読みたいと言ったら貸してくれたのがこの本でした。 藤沢周平といえば有名人、蝉しぐれといえば名作。 どんなものかと思い読んでみたのですが… とりあえず一言。 「よかった。」 特に剣の試合シーンは本当にはらはらドキドキしました。 最後にほっと息つける所もいいです。 これはぜひ読んで欲しい1冊です。 | ||||
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