■スポンサードリンク
鳥の歌いまは絶え
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
鳥の歌いまは絶えの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一定数の人がディストピアに惹かれるのは何故でしょうか。全体の話の流れは予想通りだし、まあそうなるよねという話なのに、何故か惹かれる。続きが気になる。難しく考えないで気軽に読んだ方が楽しい作品。難しく考えないで最後まで楽しく読了しました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
均等のみ指向する社会が創造性を失う経緯が見事に描かれている。また、その中で個の可能性に由来する芸術の力がいかに重要であるかも示されていてすばらしい。「あなたの中にあるもう一人の自分は、粘土の中にどんな形があるか知っているのよ」「時を超越した世界では、生活自体が目標となり、過去の再生や、未来の入念な組織化は目標ではなくなった」。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本文380頁で三世代の年代記をやるので。 近年の分冊多めな、軽め描写のSFより展開が早い。 いま初読だと物足りない質・量かもしれないが面白かった。 原書は半世紀近く昔で、書かれた時代が時代だからか、いま読むとゴリゴリのハードSFじゃないのも良い。 明るい未来ではなく、悲しい未来の話です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1970年代に流行したクローンテーマの代表格であり、人類滅亡ものでもあります。舞台は執筆時点頃のアメリカ合衆国で、とある一族が飢餓や汚染による人類滅亡を予測して山奥に避難し、クローニングにより子孫を残すというお話です。中核となるストーリーは、通常の生殖で出産した母子がクローンたちから迫害を受けるというものですが、これが泣けます。舞台は、歌や映画で有名なバージニア州シェナンドアですが(「故郷へかえりたい」ジョン・デンバー,etc.)、クローンたちがカヌーで川を下って廃墟ワシントンDCに向かう描写がなんとも美しく、滅亡テーマとの対比が鮮やかです。今回の創元版の出版が2020年のコロナ騒ぎと重なり、一層神妙な気持ちで読みました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
今を去ること40年ほど前、サンリオSF文庫は画期的なSFのシリーズを出版していました。 最初は友人から誕生日にプレゼントされた「猿とエッセンス」で、P・K・ディックやサキにもはまりました。出版予告を見るだけでも楽しかったのですが、文庫が無くなったために、題名だけで読めなかった作品もたくさんありました。本作もそのうちの一つで、この度、創元社から復刊されたことを喜んでおります。 2021年現在、世界中がコロナ禍におびえる世の中で著者の先見性にも驚かされますが、3部構成の妙、美しい自然描写、人間の精神への洞察及びそれに対する希望など、心が洗われるようでした。 ぜひ萩尾望都先生に漫画化してほしいです。萩尾先生の絵を思い浮かべながら読んでいました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
アーシュラ・K・ル・グゥインやジェイムズ・ティプトリー・ジュニアなどが大好きで、ほぼ全部読んでいたのに、なぜかこのケイト・ウィルヘルムさんは知りませんでした。本書の発表は1976年。日本語版は1982年に出版されていたが、長らく絶版になっていたのが、2020年に復刻(というのかな?)されたとのことです。 翻訳も(たぶん)1982年当時のままのようで、読むと少し古臭い感じがしないでもありませんが、それがまた繊細な感じで良かったです。 お話は、1976年頃から100年間くらい(?)にわたる3世代の、3部構成となっています。放射能汚染で人類が不妊になり、クローン技術によってほそぼそと存続しているという、いわゆる「ディストピアもの」です。 放射能によって人類、ほ乳類、鳥類はもちろん昆虫類も、陸上生物は不妊化してほとんど滅んでしまったのに、植物は樹木も含めて正常に存在しているようだとか、コンピュータはあるのにデジタル通信は存在していないとか、カメラがなくて人間が「スケッチ」して記録しているとか、電気はあるのに自動車とか重機がないようだとか、いろいろ突っ込みたくなるところも多々ありましたが、「SF」としてというよりも、「人間とはなにか」「自分とは何か」といった、哲学あるいは倫理学的な内容として、面白く読むことができました。 特に第2部で、自我に目覚めてしまい、周囲から浮いてしまうモリーの処遇について、コミュニティのリーダーが「・・組織の中の個人をではなく、組織そのものの安寧を守ることこそがわれわれの義務である(中略)どちらかを選ばなければならない場合には、われわれは個人を捨てなければならない」と発言するのですが、これって、現実の私たちの世界でも、油断すると出てくる考え方。それがどれだけ非人間的なことか、なのに、容易にそのような考え方になってしまいがちということを、物語を通じて語りかけてきます。 【以下、ネタバレを含みます】 そうして異分子を排除し続けた結果、クローン社会はしばらくのあいだ繁栄しますが、みな自分の頭で考えることを止めてしまうようになった結果、機器の老朽化、技術の消失が進みます。このままではいずれ全滅が不可避なのにもかかわらず、彼らはしあわせで満足しきっています。それは将来を見越すだけの想像力がないから。危険があると彼らに告げようとする者は共同体の敵あり排除の対象なのです。 これもまた、私たちの現実社会でもしばしば起こっていることのように思います。 個と集団の関係など、今読んでも、ほとんど古さを感じさせない、というよりむしろ今の方がより切実なテーマだと思います。 おすすめです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
女流三大作家の中で、個人的には一番すきな作家です。 落ち着いた筆致で人間の本質に向き合う作風です。SFらしさは薄いかもしれませんが、人間性の深い部分を抉り出すための極限的な状況を作り出すためにSFを使っています。 受賞歴から見て本作が代表作に間違いありませんが、その代表作が長くアクセスできない状態から脱出したのは大きな意義を感じます。 できれば、「クルーイストン実験」の再版や、新規の翻訳も期待したいです。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!