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(短編集)
インスマスの影: クトゥルー神話傑作選
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インスマスの影: クトゥルー神話傑作選の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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「ラヴクラフトならこれ」という作品が並んで、作品のチョイスに異論のある人は殆どいないだろう。「インスマスの影」を初めて読んだときは、確かにちと怖かった。気味の悪さでそれに次ぐのが「闇にささやくもの」。 にも拘わらず星3つにしたのは、邪神や架空の地名・書名の訳語に不満があるから。 訳者自身もそんな意見が出るのは先刻承知で、訳者解説のなかでわざわざ紙幅を割き、これまで一般化してきた読み方は「アルファベットの綴りが持っていた視覚的効果、すなわち怪異な感じや異国的、異世界的な感じなどがごっそりこそげ落ちてしまう不都合がある」と記している。考え方として一概に否定はできないにしろ、そんなにこだわるべきところか? と思う。クトゥルー物に数多の翻訳作を持つ先達・大瀧啓裕の訳語を踏襲しておけばよいだろう。些細なことで独自性を主張するのは愚かだ。 2019/8/2追記 上記のレビューは些か抽象的過ぎ、根拠も示さず悪口を云っているように見られかねないので、本書の訳文について追記しておく。以下、例示。 まずは、「ふんぐるい~」から始まるクトゥルー教団の詠唱句から。 原典の英文は ”In his house at R'lyeh dead Cthulhu waits dreaming.” [既訳] 死せるクトゥルー、ルルイエの館にて夢見るままに待ちいたり [本書] ル・リエーなる館にて、死せるクトゥルーは夢見て待つ 次いで『ネクロノミコン』の有名な一節。 “That is not dead which can eternal lie. And with strange aeons even death may die.” [既訳] そは永久(とこしえ)に横たわる死者にあらねど、測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるもの [本書] 永遠(とこしえ)に寝(いぬ)るものは死せるにあらず、奇しき永劫ののちには死もまた死すべし インスマス譚に登場する半人半魚の異形のもの。 “the deep ones” [既訳] 深きものども [本書] 深海のものら 「先人の訳業をそのままパクるのもはばかられるし」というので苦心したのかも知れないし、むしろ原文に忠実でもあるだろうが、どちらが作品の雰囲気によりマッチしているかの話だ。少なくとも、私は断然既訳の方を推す。 それ以外の文章も全体として生硬いひと昔前の翻訳という感じで、大瀧啓裕らの手練の文体にはるかに及ばないと思う。さらに、”Pnakotic manuscripts (ナコト写本)” を「プナコトゥス写本」とするのは、英語読みの基本からしておかしいだろう。 | ||||
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