イタリアン・シューズ

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イタリアン・シューズの評価:

4.38/5点 レビュー 16件。 B ランク

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全30件 21〜30 2/2ページ
No.10
(5pt)

女を捨てる

六十六歳の男と、その男に三十七年前に捨てられた六十九歳の女の人生劇場です。
後半になると、目頭が熱くなった場面も度々ありました。

著者のヘニング・マンケルは、1948年生まれ。2015年に67歳で逝去。
この『イタリアン・シューズ』(2006年)は、著者58歳の時の作品。
自分自身も老齢期に入ろうという時期に書かれた長篇小説。力作です。

主人公の「私はいま六十六歳」(30頁)
「この六十六歳の身勝手で孤独な男を、もっと知りたいと思うか」(347頁、「訳者あとがき」より)
もしも訳者の柳沢由美子さんに尋ねられたら、読者として<もっともっと知りたい>と答えるでしょう。

主人公の男心が謎だからです。この男はなんて身勝手で孤独なんでしょうか?
男はみんな、とまでは言いませんけれど。
この男、自分自身でも、なんでそんな行動をとったのか皆目分からないみたいです。
「わからないと言っただろう」(87頁)

あーやだやだ。湖の氷の下に落ちて死んでしまえ。
それなのに、なんで助けてしまったのだろう。自己嫌悪。ドロドロの男と女。

「五十四歳で」(88頁)医者を辞めたのも、医療事故(外科手術のミス)の責任をとってのこと。
でも、自分一人の責任ではないんです。医師間のコミュニケーション・ミスが原因のようです。
それなのに、なぜ一人で全部責任を引っかぶって、群島の端の島に一人引きこもってしまうんですか?
その島へ「私は移ってきてから十二年だよ」(88頁)
主人公は、本当に読者の理解を超えた人です。
そんな人ですから、
「私は彼女に別れの言葉も言わず、ただ消えたのだ」(30頁)
「私が何の説明もしないまま彼女の前から姿を消したのは、正確に言うと三十七年前のこと」(30頁)
「かつて私が誰よりも愛した女」(29頁)ハリエットはいま「六十九歳」(30頁)

「ハリエットを捨てた自分」(98頁)
「あなたはなぜわたしを捨てたの?」(106頁)
「昔きみを捨てたことがあるからといって」(277頁)
「ハリエットのことは捨てた」(331頁)

女を捨てる? 猫を棄てるように、女を捨てる男?
こんな男は、殴るしかないですよね。
「わたしが病気でなかったら、あなたを思いっきり殴ってやるところよ」(87頁)
「ハリエットは起き上がっていた。不安と痛みから鋭い叫び声を上げていた。私がその肩に手をかけると、彼女は私の顔を強く殴った。 鼻血がどっと噴き出した」(79頁)
やってしまいましたね。無意識に。しようがないですよ。理屈では分からない男なんですから。

この本のエピグラフと141頁には、荘子(そうじ)という人物の言葉が出てきます。

靴が足に合うとき、人は足のことを考えない。
注)「忘足履之適也」 『荘子』達生 第十九

「彼女がいつか、人生は人と靴との関係のようなものだと言ったことを思い出した。いつか足に合うようになるなどと思ってはいけない。足に合わない靴は合わないのだ。それが現実なのだ、と」(84頁)

彼女の言うこと、何か良く分かりません。主人公の男と彼女は<合っていない>ということ?
男に合わない女は<いつまでたっても>合うようにはならない、ってこと?

「ハリエットの書いたとおりだ。 私たちはここまで来たのだ。
 これより先はない。まさにここに到達したのだ」(344頁) ここで、おしまい。ジ エンド。

世界の果ての物語でした。問題を残したまま果てる、短い命。それが人生。

この後、どうなるのでしょうか? 著者のマンケルは死んでしまったから、続編は不可能。
こまったなあ。

二人の間の娘(母親ハリエットの嘘かもしれません。「私」への復讐かも?)ルイースは、
実の(?)父親である「私」と一緒に水入らずで暮らしたいみたいです。
一方、片腕を外科手術で無くした元水泳選手の女性アグネスからは、
罪滅ぼしの「私」の申し出(島に施設を作り、少女たちの面倒をみたらどうかという提案)
に返事は未だ来ません。

やむを得ず、マンケルの他の作品『流砂』を読んで想像(創造?)してみたいと思います。
イタリアン・シューズ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: イタリアン・シューズ (創元推理文庫)より
4488209246
No.9
(5pt)

女を捨てる

六十六歳の男と、その男に三十七年前に捨てられた六十九歳の女の人生劇場です。
後半になると、目頭が熱くなった場面も度々ありました。

著者のヘニング・マンケルは、1948年生まれ。2015年に67歳で逝去。
この『イタリアン・シューズ』(2006年)は、著者58歳の時の作品。
自分自身も老齢期に入ろうという時期に書かれた長篇小説。力作です。

主人公の「私はいま六十六歳」(30頁)
「この六十六歳の身勝手で孤独な男を、もっと知りたいと思うか」(347頁、「訳者あとがき」より)
もしも訳者の柳沢由美子さんに尋ねられたら、読者として<もっともっと知りたい>と答えるでしょう。

主人公の男心が謎だからです。この男はなんて身勝手で孤独なんでしょうか?
男はみんな、とまでは言いませんけれど。
この男、自分自身でも、なんでそんな行動をとったのか皆目分からないみたいです。
「わからないと言っただろう」(87頁)

あーやだやだ。湖の氷の下に落ちて死んでしまえ。
それなのに、なんで助けてしまったのだろう。自己嫌悪。ドロドロの男と女。

「五十四歳で」(88頁)医者を辞めたのも、医療事故(外科手術のミス)の責任をとってのこと。
でも、自分一人の責任ではないんです。医師間のコミュニケーション・ミスが原因のようです。
それなのに、なぜ一人で全部責任を引っかぶって、群島の端の島に一人引きこもってしまうんですか?
その島へ「私は移ってきてから十二年だよ」(88頁)
主人公は、本当に読者の理解を超えた人です。
そんな人ですから、
「私は彼女に別れの言葉も言わず、ただ消えたのだ」(30頁)
「私が何の説明もしないまま彼女の前から姿を消したのは、正確に言うと三十七年前のこと」(30頁)
「かつて私が誰よりも愛した女」(29頁)ハリエットはいま「六十九歳」(30頁)

「ハリエットを捨てた自分」(98頁)
「あなたはなぜわたしを捨てたの?」(106頁)
「昔きみを捨てたことがあるからといって」(277頁)
「ハリエットのことは捨てた」(331頁)

女を捨てる? 猫を棄てるように、女を捨てる男?
こんな男は、殴るしかないですよね。
「わたしが病気でなかったら、あなたを思いっきり殴ってやるところよ」(87頁)
「ハリエットは起き上がっていた。不安と痛みから鋭い叫び声を上げていた。私がその肩に手をかけると、彼女は私の顔を強く殴った。 鼻血がどっと噴き出した」(79頁)
やってしまいましたね。無意識に。しようがないですよ。理屈では分からない男なんですから。

この本のエピグラフと141頁には、荘子(そうじ)という人物の言葉が出てきます。

靴が足に合うとき、人は足のことを考えない。
注)「忘足履之適也」 『荘子』達生 第十九

「彼女がいつか、人生は人と靴との関係のようなものだと言ったことを思い出した。いつか足に合うようになるなどと思ってはいけない。足に合わない靴は合わないのだ。それが現実なのだ、と」(84頁)

彼女の言うこと、何か良く分かりません。主人公の男と彼女は<合っていない>ということ?
男に合わない女は<いつまでたっても>合うようにはならない、ってこと?

「ハリエットの書いたとおりだ。 私たちはここまで来たのだ。
 これより先はない。まさにここに到達したのだ」(344頁) ここで、おしまい。ジ エンド。

世界の果ての物語でした。問題を残したまま果てる、短い命。それが人生。

この後、どうなるのでしょうか? 著者のマンケルは死んでしまったから、続編は不可能。
こまったなあ。

二人の間の娘(母親ハリエットの嘘かもしれません。「私」への復讐かも?)ルイースは、
実の(?)父親である「私」と一緒に水入らずで暮らしたいみたいです。
一方、片腕を外科手術で無くした元水泳選手の女性アグネスからは、
罪滅ぼしの「私」の申し出(島に施設を作り、少女たちの面倒をみたらどうかという提案)
に返事は未だ来ません。

やむを得ず、マンケルの他の作品『流砂』を読んで想像(創造?)してみたいと思います。
イタリアン・シューズ Amazon書評・レビュー: イタリアン・シューズより
4488010873
No.8
(5pt)

人は決して独りでは死んでゆけない

作家が58歳の時に、66歳の主人公の小説を書くということはどんな感覚なのだろうか。既に人生を終えつつあるが、死ぬことは恐怖であり、外科医であった人生にある大失敗を犯し、世間からも自分からも罰せられ地の果てのような孤島に世捨人のような人生を送る主人公を。

 一年で最も夜が長いスウェーデンの冬至を孤独に過ごしていた彼のもとを、過去に無言で別れてしまった女性が訪れる。2歳年上で、氷の上を歩行器で歩いてきて、しかも末期癌を患って。

 孤独な15年にも渡る孤島での一人暮らしの中で、出会う人間は数日おきにやって来る郵便配達夫だけだった。郵便は来ない。ただ郵便配達夫だけが世界との繋がりのように訪れる。そんな日々が、かつての恋人の登場
によって終わりを告げる。森の中の湖に連れてゆくという人生で一番美しい約束を果たしてもらいにやってきたハリエットの登場によって。

 ヘニング・マンケルがこういう小説を書くなんて知らなかった。まるでスウェーデンの村上春樹みたいだ。村上春樹は、どちらかと言うと情より知で味わう部分が大きいけれども、ヘニング・マンケルは知で始まりすべて情に行き着く感覚だ。どちらもいずれ劣らぬ読書の歓びを与えてくれるものの、凝縮された緊張感のようなものは、マンケルに軍配が上がる。

 物語全体を独白体で綴る主人公フレドリックは、とても難しい人間だ。恐ろしい罪悪感と、恐ろしいエゴイズムを併せ持ち、年齢の割に、周囲の人物たちに愛情表現より、むしろ感情抑制のできぬ自己本位な言動をぶつけてしまい、後悔を繰り返す。孤独に追いやられやすい体質の人間なのである。読んでいて許しがたい性格は、読者をも遠ざけることがある。

 しかし人生をどのように終わらせたら良いのか、迷い続ける主人公の黄昏の日々は、たとえ彼がどんな人物であろうと、我々の心に共通の物語として響いてくる。愛情を注ぐ相手が人間であったり、犬や猫であったりしても、その愛情はなけなしの命のひとしずくである。

 15年間隠遁していた彼を襲う激動と出会いと離別の一年間を描いて、非常に静的でありながらダイナミズムを感じさせるこの作品は、ミステリーでもハードボイルドでもない。フィヨルドや深い森と厳しい季節の変化を背景に、凄まじく美しい、人間たちの物語である。叙述の素晴らしさに魅かれ、作品世界に否応なく惹き込まれる小説というものが、存在するのだ。改めて、驚きと、作家の天賦の才とに、物語の豊かさに、読書の時間が満たされる。

 周囲の登場人物を含め、それぞれの老若男女が活き活きと個性的で、印象的で、忘れ難い物語を抱えたまま、主人公と対峙する。時には優しく。時には獰猛に。だからこそ、世界は生きて動いているように見える。読書が旅であるとするのなら、この作品ほど果てしなく遠いところへ連れ出してくれる物語は、そうそう見当たるまい。忘れ難い雪と氷の孤島の物語がここにある。
イタリアン・シューズ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: イタリアン・シューズ (創元推理文庫)より
4488209246
No.7
(5pt)

人は決して独りでは死んでゆけない

作家が58歳の時に、66歳の主人公の小説を書くということはどんな感覚なのだろうか。既に人生を終えつつあるが、死ぬことは恐怖であり、外科医であった人生にある大失敗を犯し、世間からも自分からも罰せられ地の果てのような孤島に世捨人のような人生を送る主人公を。

 一年で最も夜が長いスウェーデンの冬至を孤独に過ごしていた彼のもとを、過去に無言で別れてしまった女性が訪れる。2歳年上で、氷の上を歩行器で歩いてきて、しかも末期癌を患って。

 孤独な15年にも渡る孤島での一人暮らしの中で、出会う人間は数日おきにやって来る郵便配達夫だけだった。郵便は来ない。ただ郵便配達夫だけが世界との繋がりのように訪れる。そんな日々が、かつての恋人の登場
によって終わりを告げる。森の中の湖に連れてゆくという人生で一番美しい約束を果たしてもらいにやってきたハリエットの登場によって。

 ヘニング・マンケルがこういう小説を書くなんて知らなかった。まるでスウェーデンの村上春樹みたいだ。村上春樹は、どちらかと言うと情より知で味わう部分が大きいけれども、ヘニング・マンケルは知で始まりすべて情に行き着く感覚だ。どちらもいずれ劣らぬ読書の歓びを与えてくれるものの、凝縮された緊張感のようなものは、マンケルに軍配が上がる。

 物語全体を独白体で綴る主人公フレドリックは、とても難しい人間だ。恐ろしい罪悪感と、恐ろしいエゴイズムを併せ持ち、年齢の割に、周囲の人物たちに愛情表現より、むしろ感情抑制のできぬ自己本位な言動をぶつけてしまい、後悔を繰り返す。孤独に追いやられやすい体質の人間なのである。読んでいて許しがたい性格は、読者をも遠ざけることがある。

 しかし人生をどのように終わらせたら良いのか、迷い続ける主人公の黄昏の日々は、たとえ彼がどんな人物であろうと、我々の心に共通の物語として響いてくる。愛情を注ぐ相手が人間であったり、犬や猫であったりしても、その愛情はなけなしの命のひとしずくである。

 15年間隠遁していた彼を襲う激動と出会いと離別の一年間を描いて、非常に静的でありながらダイナミズムを感じさせるこの作品は、ミステリーでもハードボイルドでもない。フィヨルドや深い森と厳しい季節の変化を背景に、凄まじく美しい、人間たちの物語である。叙述の素晴らしさに魅かれ、作品世界に否応なく惹き込まれる小説というものが、存在するのだ。改めて、驚きと、作家の天賦の才とに、物語の豊かさに、読書の時間が満たされる。

 周囲の登場人物を含め、それぞれの老若男女が活き活きと個性的で、印象的で、忘れ難い物語を抱えたまま、主人公と対峙する。時には優しく。時には獰猛に。だからこそ、世界は生きて動いているように見える。読書が旅であるとするのなら、この作品ほど果てしなく遠いところへ連れ出してくれる物語は、そうそう見当たるまい。忘れ難い雪と氷の孤島の物語がここにある。
イタリアン・シューズ Amazon書評・レビュー: イタリアン・シューズより
4488010873
No.6
(5pt)

スウェーデンの美しい自然を舞台に描かれる愛と贖罪の物語

元外科医フレドリックは12年もの間、孤島で隠棲生活を送っているが、
40年ぶりに恋人ハリエットが訪ねてくる。それによって過去に直面せざるを得なくなったフレドリックは
自分の手術ミスといった「罪」を見直し、かつての患者アグネスやハリエットの娘ルイースといった人びととの交流を深めてゆく。

エゴの殻に閉じこもっていたフレドリックが愛や贖罪、老いや死と言った事柄に対する省察を深めていく
過程がスウェーデンの美しくも厳しい自然を舞台に描かれた心を打つ作品。
彼の犬や猫、ルイースが語るカラバッジオの作品、アグネスが世話をする不良少女たち、
イタリア靴をつくるマエストロ、ジアコネッリなどが美しく複雑なシンフォニーのような世界を
作り上げている。
現代社会に対する批判も盛り込まれた実にマンケルらしい佳品。
続編もあるということなので、残されたヴァランダー・シリーズとともに
訳者である柳沢由実子さんのご尽力に期待したい。
イタリアン・シューズ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: イタリアン・シューズ (創元推理文庫)より
4488209246
No.5
(5pt)

スウェーデンの美しい自然を舞台に描かれる愛と贖罪の物語

元外科医フレドリックは12年もの間、孤島で隠棲生活を送っているが、
40年ぶりに恋人ハリエットが訪ねてくる。それによって過去に直面せざるを得なくなったフレドリックは
自分の手術ミスといった「罪」を見直し、かつての患者アグネスやハリエットの娘ルイースといった人びととの交流を深めてゆく。

エゴの殻に閉じこもっていたフレドリックが愛や贖罪、老いや死と言った事柄に対する省察を深めていく
過程がスウェーデンの美しくも厳しい自然を舞台に描かれた心を打つ作品。
彼の犬や猫、ルイースが語るカラバッジオの作品、アグネスが世話をする不良少女たち、
イタリア靴をつくるマエストロ、ジアコネッリなどが美しく複雑なシンフォニーのような世界を
作り上げている。
現代社会に対する批判も盛り込まれた実にマンケルらしい佳品。
続編もあるということなので、残されたヴァランダー・シリーズとともに
訳者である柳沢由実子さんのご尽力に期待したい。
イタリアン・シューズ Amazon書評・レビュー: イタリアン・シューズより
4488010873
No.4
(5pt)

深い余韻

柳沢由美子さんには、今後もマンケルの未訳の本を翻訳されることを、強く希望します。訳者あとがきも、いつもマンケルへの思いと、仕事への熱意を感じてます。
ふと、マンケルの描く女性の登場人物たちの言動が、女性の読者にとってどのように感じられるものなのだろうかと、気になりました。
深い余韻がのこり、マンケルがまだ生きてたら、このような物語をもっと楽しめたのだが、と思ったところです。
イタリアン・シューズ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: イタリアン・シューズ (創元推理文庫)より
4488209246
No.3
(5pt)

深い余韻

柳沢由美子さんには、今後もマンケルの未訳の本を翻訳されることを、強く希望します。訳者あとがきも、いつもマンケルへの思いと、仕事への熱意を感じてます。
ふと、マンケルの描く女性の登場人物たちの言動が、女性の読者にとってどのように感じられるものなのだろうかと、気になりました。
深い余韻がのこり、マンケルがまだ生きてたら、このような物語をもっと楽しめたのだが、と思ったところです。
イタリアン・シューズ Amazon書評・レビュー: イタリアン・シューズより
4488010873
No.2
(4pt)

忘れたい過去は清算出来なくてもそれはそれでいいのかもね。

ヴァランダーシリーズが好きで本作も発売直後に手に取りました。

あらすじだけみると昔捨てた恋人と記憶を辿りながら記憶の中の美しい湖を目指しつつ踏み出す再生の道中記のようなものかと思いましたが実際はそうではなく。世捨て人として過ごしていたフレドリックに、捨てた過去のひとらが、まるで過去がいっぺんに追い付いたかのように現れ、交わることで予定されていた彼の人生はかたちを変えていく、という話なのですが、自分も独り身で三十代も半ばに差し掛かり老齢期を寂しく予感することもあり、だいぶ没入してしまいました。

望もうが望まなかろうが人生の終盤はきっと無様で情けなくて、でもだからこそここに辿り着いたと思えるものであって欲しい。そんな願いが生まれる一冊です。

単独の作品だったとしても十分ですがなんと続編があるみたいなので、想いを括るにはまだ早いのかな。という事であえて★4つに。
イタリアン・シューズ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: イタリアン・シューズ (創元推理文庫)より
4488209246
No.1
(4pt)

忘れたい過去は清算出来なくてもそれはそれでいいのかもね。

ヴァランダーシリーズが好きで本作も発売直後に手に取りました。

あらすじだけみると昔捨てた恋人と記憶を辿りながら記憶の中の美しい湖を目指しつつ踏み出す再生の道中記のようなものかと思いましたが実際はそうではなく。世捨て人として過ごしていたフレドリックに、捨てた過去のひとらが、まるで過去がいっぺんに追い付いたかのように現れ、交わることで予定されていた彼の人生はかたちを変えていく、という話なのですが、自分も独り身で三十代も半ばに差し掛かり老齢期を寂しく予感することもあり、だいぶ没入してしまいました。

望もうが望まなかろうが人生の終盤はきっと無様で情けなくて、でもだからこそここに辿り着いたと思えるものであって欲しい。そんな願いが生まれる一冊です。

単独の作品だったとしても十分ですがなんと続編があるみたいなので、想いを括るにはまだ早いのかな。という事であえて★4つに。
イタリアン・シューズ Amazon書評・レビュー: イタリアン・シューズより
4488010873